IT部門をクラウドから支援するElectricが01 AdvisorsとSlack Fundから7.6億円調達

IT部門をクラウドに置くことを目的とするプラットフォームのElectric(エレクトリック)は、2020年初めのシリーズBの延長に続く資金調達を発表した。

01 AdvisorsのDick Costolo(ディック・コストロ)氏とAdam Bain(アダム・ベイン)氏およびSlack Fund(スラック・ファンド)が、700万ドル(約7億6000万円)の資本注入に応じた。

Electricの創業者兼CEOのRyan Denehy(ライアン・デネヒー)氏によれば、01 Advisorsが大部分の500万ドル(約5億4000万円)を出資し、Slack Fundが100万ドル弱(約1億1000万円弱)、その他の既存投資家が残りをカバーしたという。

Electricの資金調達状況は少し変わっている。同社は2019年1月にGGVがリードするシリーズBラウンドで2500万ドル(約27億円)を調達した。ロックダウン直前の2020年3月には、コストロ氏とベイン氏からの投資のために、より高いバリュエーションでシリーズBを再開し追加で1450万ドル(約15億6000万円)を調達した。

そして新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックが世界を揺さぶった。3月9日の月曜日に株式市場が揺れを感じ取り、一時的に取引が停止された。翌週の金融市場は完全にカオスとなった。

ベイン氏が再びデニー氏に声をかけたのはその時だった。彼らは、この激動の時代におけるElectricの可能性について意見を戦わせた。

「リモートワークが劇的に増える」とデニー氏はベイン氏との会話を引き合いに出しながら語った。「大企業は予算に対してもっと工夫するようになる。ITのようなバックオフィス業務の予算をより効率的に使う方法を見つけることが急務だ。Electricを使えば大きなIT部門を構築するより金額的に数段効率が良いため、Electricの魅力は増している」。

4月の最初の週にベイン氏は再びデニー氏に電話をかけ、01 AdvisorsからElectricにもっと投資したいと語った。

Electricは、組織内のIT部門をサポートするために設計されたプラットフォームであり、場合によっては外部委託されたIT部門の機能に置き換わるものだ。IT部門の責任のほとんどは、ソフトウェアプログラムの管理、配布、保守に重点を置く。ElectricはIT部門が社内のすべてのマシンにソフトウェアをインストールすることを可能にし、組織内のITに関する状況を俯瞰できる。IT部門が実際の問題解決とトラブルシューティングのタスクに集中する時間を増やすことも可能だ。

IT部門のスタッフは、自分のマシンから権限の付与や取り消しや役割の割り当てを行い、全従業員のソフトウェアを最新の状態に保つことができる。

ElectricはDropboxやG SuiteなどのトップソフトウェアプログラムのAPIとも統合されているため、IT部門はElectricのダッシュボードを介して日常業務のほとんどを処理できる。さらに、ElectricはSlackとも統合されており、組織内の人々が問題にフラグを立てたり、普段最もよく使うプラ​​ットフォームから質問したりできる。

「Electricの最大の課題は需要に対応することだ」とSlack FundのJason Spinell(ジェイソン・スピネル)氏は述べた。Electricのシードラウンドでの投資を見送ったことにも言及し、「その間違いを修正できることに興奮している」と述べた。

Electricはまた、ドックに設置できる新しいセルフサービス製品を追加した。これにより従業員は組織がリモートオフィスから提供するすべてのソフトウェアアプリケーションを見ることができる。

「多くのIT部門で現在、大量の仕事を少数のメンバーでこなす必要に迫られ、負荷がかかっている」とデネヒー氏は述べる。「また、ITプロバイダーにアウトソーシングしていて、彼らに週に何回かオフィスに来てもらっていた会社もあるが、それは突然機能しなくなった」。

デネヒー氏によると、Electricは現在のエコシステムの中でマーケティングに資金を使い続けているが、受注見込みのある潜在的なクライアントからの関心が180%増加したという。

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(翻訳:Mizoguchi