東大・松尾研発のAIスタートアップACESと陸上自衛隊がAI技術活用の助言について合意

東大・松尾研発のAIスタートアップACESと陸上自衛隊がAI技術活用の助言について合意

画像・映像認識AIアルゴリズムの力でリアル産業のDXを目指す東大松尾研発のAIスタートアップであるACES(エーシーズ)と、防衛省陸上幕僚監部人事教育部人事教育計画課は9月29日、ACESが陸上自衛隊の各種分野におけるAI技術活用について助言を行うことで合意したと発表した。

この合意に基づき、ディープラーニングの基礎研究に関係する分野において、AIに関する技術的な知見を講話などを通じて提供し、陸上自衛隊のAI活用を推進する。ACESは引き続き人事領域などにおいてAIを活用し、ヒトの働き方をデジタルの力で自動化・効率化することで、誰もが生き生きと生きられる社会を実現するとしている。

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画像認識アルゴリズムを開発・提供する東京大学松尾研発のAIスタートアップ「ACES」(エーシーズ)は8月27日、メガネブランド「Zoff」(ゾフ)運営のインターメスティックと、ACESによるヒトの行動や感情を検知・解析するヒューマンセンシング技術(行動認識技術)を用いたDXの取り組みを開始したと発表した。

Zoffは、創業20周年を迎える2021年に向けたリブランディングの中核として、初となる研究・開発機関「Zoff Eye Performance Studio」(ゾフ アイパフォーマンス スタジオ。ZEPS)を設立。ヒューマンセンシング技術に強みを持つACESは、「メガネや店舗にIT・AI技術を援用することで人間の可能性を拡張し、顧客体験を洗練すること」を目指すZEPSのビジョンに共感し、AI活用の設計から技術開発・運用まで全面的にサポートを行うことで合意、業務提携が実現した。

今回の提携では、Zoffのコアコンピタンスである接客や商品などをAIによってアップデートするという。また、長期的にはIT・AIなどの技術躍進を背景に、メガネを視力矯正器具に留めず、人間の可能性を拡張するツールとしての価値を提示していくことを目指す。

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今後の展望としては、ヒューマンセンシング技術を応用し、目のパフォーマンスおよび人のパフォーマンス向上に関する取り組みを検討。ACESとZEPSは、既存の商品・サービスの枠を超えて、目だけではなく人のパフォーマンスを向上させる「新しい機能」「新しい商品」「新しいサービス」の研究・開発を行い、メガネ業界のニューノーマルを牽引するとしている。

共同研究・開発テーマイメージとしては、以下を挙げている。

  • 日常生活やスポーツシーンにおける、目のパフォーマンスや身体能力向上を目的としたフレーム・レンズの開発
  • 光学・デジタル的なアプローチでの研究開発の推進
  • 機械学習・ディープラーニング・IOTなどを利用した生産・流通・販売基盤の構築

ACESは、東京大学松尾研発のAIスタートアップ。ディープラーニングのAIアルゴリズムを用いることで、ヒトが関わる様々なビジネスシーンをデジタル化し、課題解決と価値創出を行うDX事業を展開。ヒトの認識・解析を行うヒューマンセンシング技術を中心とした画像認識・動画解析アルゴリズムのAPI/SDKの提供や、共同DXプロジェクトなどを推進している。

ZEPSは、既存の商品・サービスの枠を超えて、目だけではなく人間のパフォーマンスを向上させるための「新しい機能」「新しい商品」「新しいサービス」を研究・開発し社会実装することを目的に設立した、Zoff初の研究・開発機関。エンジニアやゲームプレイヤーなど、目を酷使する職業のパフォーマンス向上を目的としたフレーム・レンズの開発や、視力だけでなく目の疲れ度合いなど目のパフォーマンスを数値化するサービスの開発など、新たな取り組みを進めている。

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ACES(エーシーズ)

東大・松尾研発AIスタートアップのACES(エーシーズ)と、テレビ東京ホールディングスは6月24日、データ基盤をもとにしたAI活用に関する共同開発を行い、テレビ東京HD社内で運用を開始したと発表した。

テレワーク環境の整備や多様で柔軟な働き方のニーズが高まる中、報道機関などメディア業界でも情報のアナログ管理が課題となっており、現場の業務改善が求められている。なかでも、1日あたり数百件を超えるプレスリリースの情報管理が、紙媒体のアナログ管理が主となっている報道機関では、生産性を上げる際のボトルネックとなっている。
ACES(エーシーズ)

ACESとテレビ東京HDは、こうした課題を解決すべく、「AIを活用したプレスリリース情報のデジタル化アプリケーション」の開発を行い、報道局内での実運用を開始した。これにより、散逸しがちなプレスリリース情報の一元化、デジタル管理による業務効率化・テレワーク環境の整備、デジタル管理によるデータの資産化と報道の質の向上が可能になった。

ACES(エーシーズ)

東京大学松尾研発のAIスタートアップACESは、ディープラーニング(AI)アルゴリズムを用いることで、人が関わるさまざまなビジネスシーンをデジタル化し、課題解決と価値創出を行うDX(デジタルトランスフォーメーション)事業を展開。人間の認識・解析を行うHuman Sensing(ヒューマンセンシング)を中心とした画像認識・動画解析アルゴリズムのAPI/SDKの提供、共同でDX事業に取り組むプロジェクトを担っている。

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AI研究で著名な東京大学松尾研究室発のAIスタートアップACES(エーシーズ)は5月22日、AI技術に特化したVCファンドのDeep30と経営共創基盤を引受先とする第三者割当増資を実施したことを明らかにした。

具体的な調達額は非公開だが数千万円規模になるとのこと。調達した資金は本日公開した画像認識サービス「SHARON(シャロン)」の研究開発や人材採用の強化に用いる計画だ。

合わせてACESでは東京大学工学系研究科教授の松尾豊氏と経営共創基盤パートナーの川上登福氏が顧問に就任したことも明かしている。

ディープラーニングを用いた画像認識技術を社会実装へ

ACESは2017年11月の設立。同社のCEOで現在も松尾研究室(以下 松尾研)の博士課程に在籍中の田村浩一郎氏を含む6人のメンバーが立ち上げた。6人中3人が松尾研に所属、5人はエンジニアとしてのバックグラウンドを持つなど、AI領域への知見と技術力が強みだ。

田村氏自身、起業前から松尾研を通じて複数の企業との共同研究プロジェクトに参画。当初は研究者への道も考えたそうだが、ディープラーニングの可能性や社会へのインパクトなども踏まえ、自分たちでこの領域に特化した会社を作ることを決めたという。

ACESのメンバー。左から3番目がCEOの田村浩一郎氏

創業からこれまでの期間はディープラーニングを用いた画像認識技術を社会実装するべく、企業と共同研究を実施。同社のコアとなるヒトの行動や感情を認識、検出するヒューマンセンシングのアルゴリズムを中心にプロジェクトを進めてきた。

たとえば共同研究パートナーの1社である電通とは、姿勢推定・行動認識技術を用いてスポーツ選手の動作分析を行うプロジェクトに取り組んでいる。このプロジェクトでは野球中継動画から選手の体の位置や行動を抽出し、細かく定量化。取得されたデータを分析することで個々の特徴や傾向を割り出す。

具体的には「ある投手の各球種ごとの姿勢(フォーム)や体の使い方の違いなどからクセを見つける」といった用途をイメージしてもらうとわかりやすいかもしれない。

「以前から球界では言及されていたこと。ただこれまでは知見や経験を基にしていて、身体情報を定量化することによる科学的なアプローチは十分にできていなかった。大量のデータ・画像を処理できるディープラーニングの力を使えば、このようなアプローチも可能になる」(田村氏)

この事例のように、ACESではこれまでディープラーニングと繋がっていなかった領域を始め、様々な分野で共同研究やアルゴリズムの研究開発に取り組んできた。大手企業では電通のほかエムスリーやテレビ東京、SOMPOホールディングスなどが同社のクライアントだ。

主な流れとしてはビジネス課題を踏まえたAI導入の要件定義フェーズから顧客に伴走。データの収集や初期実験、モデルの開発・検証、システムへの導入に至るまで一連のフローをサポートする。

磨いてきたアルゴリズムをパッケージ化して外部提供

これまでACESでは1年以上に渡って企業との共同研究開発を軸に事業を運営してきた。その中で田村氏が意識していたと話すのがアルゴリズムのパッケージ化だ。

「AIのプロジェクトは1件1件が典型的な受託開発になりがちで、過去にやった研究開発を次の案件で活かしづらい側面がある。それを避けるため、自社では当初から顧客との共同研究を担当するエンジニアと基盤のアルゴリズムを開発するエンジニアを分け、強みとなる複数のアルゴリズムがパッケージとして社内に蓄積されていく仕組みを作った」(田村氏)

秘匿性の高い顧客データの管理には配慮した上で、コアとなる各アルゴリズムについては社内の各プロジェクトで共通して使える体制を整備。それによって毎回ゼロから時間をかけて学習モデルを生成する必要がなくなった。

田村氏いわく「社内的には受託の最適化」を続けることで、各顧客に対してより本質的なサポートを提供できたという。

そしてこのアルゴリズムパッケージを外部の企業が使いやすいようにプロダクト化したものが、まさに本日ACESが新たに公開した画像認識サービス「SHARON」だ。

同サービスでは物体認識、顔・表情認識、姿勢推定・行動認識といった画像認識アルゴリズムをパッケージとしてAPIなどで提供する。

ACESが開発したアルゴリズムを用いて手軽に、かつ安価に実ビジネスへのAI導入を実現できるのが特徴。各アルゴリズムは定期的にアップデートされるので常に先端のモデルを活用できるほか、社内でデータを蓄積して個別に学習することで、使えば使うほど精度の向上も見込める。

ユースケースとしては工場での作業など身体動作を伴う業務のパフォーマンス分析や、マーケティング用途における人の心の動きを可視化する技術の活用を始め、健康状態の管理や防犯、3Dの生成、異常検知など多様な応用例が考えられるという。

「SHARONは人の行動や表情など、これまではぼやっとしていたものをデータ化し、よりクリアに見通せるようにする仕組み。そのための画像認識アルゴリズムを(個々で共同研究をするのに比べて)よりリーズナブルで楽に導入できる形にすることで、いろいろな企業に活用してもらいたい」(ACES取締役COOの與島仙太郎氏)

SHARONでは個々の企業に対して導入時のヒアリングや要件定義などを含めたシステム構築サポートを行っていく計画。今の所は「月額数万円から誰でも使えるSaaS型のプロダクト」という訳ではないが、それでも個別で共同研究をする場合に比べると、コスト面では1/5〜1/10くらいになるそうだ。

ゆくゆくは特定の領域に特化した自社プロダクトの展開も

冒頭でも触れた通り、今回の資金調達はSHARONの研究開発や組織体制の強化を主な目的としたもの。顧問に就任した松尾氏と川上氏のサポートも受けながら、さらなる事業成長を目指すという。

田村氏によると自身の中では会社のフェーズを大きく3つに分けてイメージしているそう。松尾研のネットワークや知見も活かしながら、他社と共同でAIプロジェクトを進めてきたこれまでは第1フェーズに当たる。

第2フェーズは開発してきたアルゴリズムの中で共通化できるものをパッケージとして外に出していくと共に、会社としても共同研究事業に次ぐ新たな柱を作っていくタイミング。現在のACESはまさにこの段階に差し掛かっている状況だと言えるだろう。

そして同社が中長期的に見据える第3フェーズでは、業界特化など特定の用途に合わせたバーティカルな自社プロダクトを展開していく計画だ。

具体的な領域に関しては今後検討を進めていくが「ディープラーニングを用いることで課題が解決されるような産業・領域に対して、独自のアルゴリズムを活かした製品を自社で作っていきたい」(田村氏)という。