2013年の世界の企業・公共機関のIT支出は2兆690億ドル―アプリとアメリカが変化の牽引役(Forrester予測)

Forrester Researchはさきほど世界のIT関連支出に関する年次報告を発表した。Forresterのアナリストの予測によれば、世界の2013年のハードウェア、ソフトウェア、IT関連サービスに対する企業、公共機関(一般消費者は含まず)の支出総額は2兆690億ドルに上るという。

国別ではアメリカが2位以下を大きく引き離してトップだ。支出のカテゴリー別にみると、トレンドを反映して、アプリがトップとなるという。

数週間前に発表されたGartnerの予測と比較するとForresterのレポートはやや慎重だ。Gartnerのレポートも一般消費者の支出は含まず、 総額を3兆7000億ドルと推計している。

Gartnerのレポートでも注意されていたが、Forresterも為替の変動、特にアメリカ・ドルが強くなったことが統計に大きな影響を与えていると述べている。各国通貨ベースの成長率は4.6%となるが、ドル・ベースで計算すると2.3%に低下する。アナリストのAndrew Bartelsはアメリカと日本で景気が上向いているものの、ヨーロッパで景気後退が続いていること、中国の成長が鈍化したことが全体の成長率を低下させると書いている。

レポートは長大であり、われわれ自身、現在詳しく読み込んでいる最中だが、とりあえず大見出しを報告しておこう。

ソフトウェアが世界を食っている: Forresterによれば、全体としてみると、5420億ドルでソフトウェアが最大の支出分野だ。Bartelsによれば、ソフトウェアでもっとも大きな技術革新が起こっていることの反映だという。オンプレミスで利用される伝統的プロダクトへの支出が減少している一方、しばらく前から目についているトレンドだがSaaSなどのクラウド・ベースのサービス、ビッグデーア分析、モバイル・アプリが急成長している。 ソフトウェアへの支出の成長は2013年に3.3%、2014年には6.2%に達するものと予測されている。

ハードウェアではタブレットとAppleが引き続き牽引役: 上の円グラフを見れば明らかなように、コンピュータのハードウェアでは依然としてパソコンが最大のカテゴリーだ。2013年の総額は1342億ドルと予測されている。しかしPC市場は縮小傾向にある。Bartelsによれば伝統的なパソコンはWindows8のリリースがあったにもかかわらず3%の伸びにとどまった。成長が著しいのはタブレット、なかでもiPadだ。Forresterの予測では、企業と公的機関のタブレットへの支出は2013年に36%アップして2100億ドルになるという。なかでもAppleのシェアが高く、そのうちの1400億ドルを占める。SamsungのGalaxy、MicrosoftのSurfaceも順調に成績を伸ばしているがAppleのiPadの優位を大きく揺るがすところまでいっていない。

伝統的パソコンではWindowsマシンよりAppleとLinuxの成長が著しいが、全体としてみると低調な数字となっている。2014年の支出総額は1350億ドルという予測で、これは2013年に比べてわずか10億ドルの増加にすぎない。Windowsマシンは70億ドルの減少、AppleのMacとタブレットが60億ドルの増加と予測されている。ストレージ機器は横ばい、サーバーは1%の減少、その他周辺機器は3%の減少が予測されている。今年初めにForresterは向こう2年間で390億ドルのハードウェアを販売するだろうとpredictedしている。

アメリカのシェアが圧倒的: ドルが強くなったことと、実際に世界最大のIT財購入国であることの両面からアメリカの優位は説明できる。Forresterによれば、2014年のアメリカにおけるIT支出は8750億ドルとヨーロッパとアジアの支出の合計を上回るレベルに成長するという。

アメリカはマーケットが巨大であるうえに、成長率も5.9%と東欧、中東、アフリカの 6.9%なみに高い。2014年にもっとも成長率が高くなるのはラテン・アメリカで10.7%に達する。ヨーロッパは2012年のIT不況から何とか脱して今年は4870億ドルに回復する。逆にアジアは景気後退の波を受けて4920億ドルにとどまると予想されている。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


全世界のスマートフォンの営業利益シェア: トップはApple(57%), Android世界でトップはSamsung(95%)

2013Q1の数字を見るかぎり、Appleは依然として利益額が最大のスマートフォンメーカーであり、同時にそれは、利益が最大のモバイルプラットホームでもある*。Q1のスマートフォンの営業利益総額125億ドルの57%をAppleが占めている。これを報じたStrategy Analyticsによると、Android全体の利益額シェアは43%、額面で53億ドルとなる。同社のチーフアナリストNeil Mawstonが、本誌にそう語った。〔*: iOSプラットホームはデバイスのメーカーが複数化していない。〕

Q1のスマートフォンの売上に関しては、複数のアナリストハウスがさまざま数字を上げているが、Strategy Analyticsが今回発表した数字は、それらと趣を異にしている。

たしかに、Androidはスマートフォンの売れ行きを支配している(Gartnerの先日の数字では、このGoogleのプラットホームが同じ三か月で台数ベースでは全売上の75%を占めている)。同じく台数ベースでは、SamsungがAppleとの差を広げ、スマートフォンの全売上の31%を占めている(Appleは18%)。しかしそれでも、利益では、高級ブランドを確立しているAppleを抜いてトップには立てない(これまでAppleが低価格機を出さなかったのも、ブランドイメージがその理由かもしれない)。

[表1]

[表2]

しかし話をAndroidに限定すると、営業利益におけるSamsungのシェアはとても大きい。同社の51億ドルの営業利益は、Android全体の営業利益の95%の相当し[表2]、またスマートフォン全体ではAppleの57%に次いで40.8%である[表1]。Nokia、BlackBerryなどのその他大勢は、全体でQ1の利益額が3億ドル、シェアは2.2%となる[表1]。

Samsungは昨年、一貫して成長を続けたが、そこには確実に利益も伴っていたということだ。1年前の同社のモバイル製品(スマートフォンとフィーチャーフォン計)の売上額は、わずかにAppleの半分にすぎなかったし、利益率も薄かった。

これらの数字は、今月初めに調査会社Canaccord Genuityが発表した数字とおおむね符合する(AllThingsDより)。違いは下位の部分のみで、Canaccord Genuityによると、上位二社以外のベンダは実質的には無に等しい。

たまたまGoogle I/Oが始まったばかりという時節だが、Strategy Analyticsの数字はAndroid世界におけるSamsungの、異常なほどの大きさを示している。同社の営業利益51億ドルはAndroid全域の利益の95%だから、かろうじてLGの2,5%を除けば、世界中のすべてのAndroidベンダが、利益を全部合わせても2.7%の“その他大勢”になってしまうのだ[表2]。

“効率的なサプライチェーンと無駄のない製品設計、そして切れ味の良いマーケティングが、Samsungの驚異的な高利益を支えている”、とStrategy AnalyticsのシニアアナリストWoody Ohは書いている。これと対照的に“LGはこの四半期に少額の利益を上げたが、規模が小さすぎるのでSamsungと互角に論ずることはできない”。

ではもっと小さなAndroid OEMは、どうしたらいいのだ。

Mawstonの考えでは、Androidから生み出している収益はSamsungの方がGoogleよりも大きい。モバイルの広告量もアプリの売上も、Samsungが上だろう。

“Androidプラットホームから上げている売上と利益は、SamsungがGoogleよりも大きいと思う”、と彼は書いている。GoogleのAndroid担当チーフSundar PichaiはI/Oのキーノートで、全世界のAndroidのアクチベーションが9億に達したと報告したが、しかしAndroidという車の運転席に座っているのは本当は誰なのか? 世界のスマートフォン市場を本当に牛耳っているのは?

“Samsungはその強力な市場支配力により、これからもAndroid世界の進むべき方向性に関し影響力を発揮し続けるだろう”、とMawstonは書いている。“たとえばAndroidの新しいアップデートなどは、他社に先がけてSamsungが要求することになるかもしれない”。ソフトウェアに関する要求がSamsungという一介のベンダから来た場合でも、これからのGoogleは、それに抵抗して、従来と同じく完全平等公平なモバイルプラットホームを維持し続けることが、難しくなるのかもしれない。

なお、Strategy Analyticsによると、これらの数字にはタブレットはいっさい含まれていない。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


2013Q1では全世界のスマートフォン売上の75%がAndroidでSamsungのリードが続く

【抄訳】

Gartnerがさきほど(米国時間5/13)、2013Q1のモバイルハンドセットの売上データを発表したが、その核心部分はAndroidの続伸とSamsungのトップ独走だ。GoogleのモバイルプラットホームAndroidは、今ではハンドセットの全売上台数の75%近く(1億5600万台)を占め、1年前に比べて20%伸びている[Table 3]。スマートフォンの売上は前年同期比で6300万台増えて2億1000万台となり[Table 2]、ハンドセットの全売上4億2500万台[Table 1]の半数に近い。ただしモバイルハンドセット全体の売上は前年同期比でわずか0.7%の増だから[Table 1]、スマートフォンなどのハイエンド機が今のモバイル業界の成長を支えていると言える。

Samsung自身は売上台数を公表しないが、Gartnerの推計では同社が全スマートフォンの売上の約31%を占め、次位のAppleの18%を大きく引き離している。前年同期では両社のシェアはほぼ拮抗し、差は5%しかなかった[Table 2]。Samsungはこのところ新製品の看板機が好評だから、今後さらに差が拡大するものと思われる。ただしAppleにはiPhoneの新機種という未知数要因があることを忘れてはならない。それが噂どおりの低価格機なら、途上国市場にも食い込み、Androidと十分に競合できるかもしれない。

“新製品のGalaxy S4は、S3と比較して、革命的というよりやや進化した製品にすぎないが、それでも人気製品として売れると予想される”、GartnerのアナリストAnshul Guptaはそう書いている。

上位2社と3位とのあいだの差はあまり縮まらず、Sumsungのリードが続いている。“OSは明らかに二者寡占で、Androidの優位は今後も変わらない”、とAnshulは書いている。

しかし細かく見ると、AppleとSamsungのスマートフォンのシェアは計49.0%で、前年同期の50.1%から微減し、そのぶんスマートフォン市場の多様化が進んでいるとも言える。[Table 2]に見られるようにスマートフォンは3位以下の変動が激しく、LGとHuawaiは1年で順位が逆転している(LGは新製品の4Gハンドセットと低価格スマートフォンが寄与か)。ただし5位のZTEも含めて3位以下の3社はいずれも、スマートフォンにおけるシェアが1年前に比べて伸びていることが印象的だ[Table 2]。

【後略】

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))