欧州の打ち上げ会社Arianespaceが衛星ライドシェアに成功、民間企業を含む計53基を宇宙空間に運ぶ

小型衛星打上げ業界は加熱しており、現在多くの小型打上げ事業者が、活発な軌道上のロケットを持つ次の企業を目指している。既存の大型ロケット事業者であるArianespace(アリアンスペース)もこの争いに参加しており、同社のライドシェアサービスが小型衛星会社にどのように機能するかを示すために、初のデモンストレーション打ち上げを実施した。これは同社とって1年以上ぶりの打ち上げになるが、2020年初頭に予定されていたいくつかの打ち上げが新型コロナウイルスの感染蔓延や、打ち上げ施設のあるフランス領ギアナでの緩和措置のために中止または延期されていた。

Arianespaceは米国時間9月2日の米国東部標準時午後9時51分(日本時間9月3日午前11時51分)にギアナ宇宙センターから、合計53機の衛星を搭載した同社のVegaロケットを地球低軌道上のさまざまなな目的地に向けて打ち上げた。今回は欧州宇宙機関(ESA)と欧州委員会(EC)によって一部資金提供された概念実証ミッションだったが、民間企業の顧客のために26基の衛星も運んだ。IoT接続のスタートアップであるSwarmは12基の小型衛星、通信衛星のスタートアップのKeplerは3番目の衛星を打ち上げた。ほかの、リモートセンシング技術を開発中のSatellogicとメタン排出量の追跡を行うGHGSatも、ペイロードにそれぞれ衛星を搭載していた。

前述のようにこのミッションは、ArianespaceのVegaロケットが小型衛星のライドシェアの顧客のニーズに応えられることを示すことが目的だ。小型衛星のライドシェアモデルは、複数の顧客に打上げ費用を分散できるため、小型衛星事業者に人気がある。小型衛星は、政府や防衛省に代わって運ぶことを目的とした大型の非同期衛星に比べて非常に軽量であり、小型衛星のオペレータでも打ち上げ予算を捻出できるメリットがある。

SpaceXは昨年、小型衛星会社向けにセルフブッキング型のライドシェアモデルを導入した。また、Rocket Labは同じ市場に特化したサービスを提供しており、打ち上げコストを大幅に削減し、小型衛星を目的地まで直接運べる小型ロケットを使っている。しかし、市場はより多くの打ち上げ業者を受け入れる準備ができているようで、Arianespaceにとっても、この需要の高まりに対応しながら、提供するサービスを多様化し、新たな収益をもたらすだろう。

画像クレジット:Arianespace

原文へ

(翻訳:TechCrunch Japan)

欧州のロケット打ち上げは新型コロナですべて延期

数日前に3月下旬の打ち上げは予定通りとされていたが、Arianespace(アリアンスペース)は16日、フランス領ギアナにある欧州の宇宙基地、ギアナ宇宙センターでのオペレーションを一時停止するという難しい決断を下したと発表した。これには3月24日に予定されていた複数の衛星を打ち上げるヴェガロケットミッションや、4月14日に予定されていたソユーズロケットのファルコンアイミッションなどが含まれる。

Arianespaceは「フランス政府が決めた対策に完全に対応する必要があること」が、打ち上げ一時停止を決めた主な理由としている。同社はまた「従業員や(打ち上げ施設がある)地元の人々の健康を守る」ために今回の措置を取ったとした一方で、予定されている打ち上げの準備に必要なセキュリティは維持する。

シャットダウンし、そして安全に再開できる状況になったときにいつでも対応できるように、フランス国立宇宙研究センターは宇宙船と積荷をスタンバイモードにしておくために、Arianespace、そしてロケット打ち上げ側と荷主側のあらゆる企業と協力している。再開時期に関する情報はないが、現状を踏まえればそれは当然の措置だろう。

他国の宇宙当局やロケット打ち上げ企業はまだ特に影響は受けていないようだ。 SpaceXは3月15日に打ち上げを予定していたが、技術的な理由で中止になり、早ければ週半ばにも再設定されそうだ。一方、中国の長征ロケットは今日打ち上げが予定されている。そしてULA (ユニテッド・ローンチ・アライアンス)はSpace Force通信衛星の3月26日打ち上げに向けて予定通り準備を進めているようだ。

画像クレジット: Sergei SavostyanovTASS / Getty Images

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi

アリアンスペースが初の月へのライドシェアミッションを2023年に提供

ヨーロッパの打ち上げ事業者ことArianespace(アリアンスペース)は米国時間10月22日、国際宇宙会議で月探査に関するいくつかの刺激的なニュースを発表した。同社でCEOを務めるStéphane Israël(ステファン・イスラエル)氏によると、今後打ち上げられるAriane 6ロケットは、4年後に月へのライドシェア・ミッションを行う予定だという。

「我々は2023年までに、Ariane 6による月への最初のライドシェアミッションを提供する予定で、政府や民間の顧客を検討している」 と、イスラエル氏はイベントのステージで語った。

このライドシェアミッションでは、最大8.5トンの貨物を月へと向かう軌道に投入することができる。Israël氏によると、Arianespaceは有人宇宙船の輸送を計画している一方で、Ariane 6による着陸機と探査機を投入し、NASAのアルテミス計画を含めた有人ミッションへの準備を整えられるとしている。

Ariane 6は、現在ArianespaceがESA(欧州宇宙機関)の指示の下で開発中の、2段式の中〜大型ロケットだ。来年には初のテスト打ち上げを行う予定で、2023年には商業ペイロードを搭載した初の月周回軌道ミッションを実施することを目標としている。

Ariane 6がこの目標を達成できれば、月への有人飛行を確実にするだけでなく、インフラを設置して月にとどまり、長期間の生活、活動、研究を可能にするための重要な輸送システムになるかもしれない。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter