アップルM1チップ搭載Macで動くLinuxディストリビューション「Asahi Linux」のパブリックアルファ版が公開

アップルM1チップ搭載Macで動くLinuxディストリビューション「Asahi Linux」のパブリックアルファ版が公開

Asahi Linux

M1チップ搭載Macでの動作を目指すLinuxディストリビューション「Asahi Linux」が、初のパブリックアルファをリリースしました。アルファ版ということもあって、まだまだハードウェアの機能にすべてアクセスできるわけではありませんが、それでもまずはベータ版、そして正式リリースに向けての重要なチェックポイントに到達したと言えるでしょう。

Asahi Linuxプロジェクトはいまから約1年前、アップルが開発したM1チップシリーズを搭載したMacでの動作を目指し、Arch LinuxのARM版をベースに開発をスタートしました。ようやくのアルファ版ということで、興味のある(そして多少なりとLinuxをセットアップした経験のある)M1 Macユーザーなら誰でも(自己責任で)この新しいディストリビューション(とたくさん表示される警告メッセージ)を試すことができます。

インストールはApple SiliconとmacOS 12.3以降を搭載するMac、具体的にはMac Studioを除く、M1、M1 Pro、M1 Max搭載のMacなら、簡単なターミナルコマンドを入力するだけでインストールが可能です。インストールは管理者権限が必要ですが、デュアルブートにできるので、あくまでお試しにとどめたいニーズにも対応が可能。

現在のところはオンラインインストールのみが可能で、アンインストーラーはなく、パーティションの削除でアンインストールするとのこと。

また盛んに宣伝されているM1チップの統合GPUによる3Dアクセラレーション、Neural Engineをはじめ、DisplayPort、Thunderbolt、またはHDMIポート、カメラにタッチバーといった部分はすべて未サポート。一方USB3、スピーカーなどのサポートは間もなく追加予定とのこと。

M1 Macを手に自らすすんで人柱になりたい方は、Asahi Linuxのウェブサイトにある説明を熟読の上、自己責任でコマンドを入力、実行してみてください。

(Source:Asahi LinuxEngadget日本版より転載)

Appleシリコン「M1チップ」搭載MacでLinuxのネイティブ動作がついに実現、Linuxカーネル5.13が公式サポート

Appleシリコン「M1チップ」搭載MacでLinuxのネイティブ動作がついに実現、Linuxカーネル5.13が公式サポート

Linux Kernel 5.13がリリースされ、M1チップ搭載Macの公式サポートが表明されました。これは4月に可能性が言及され、5月にはLinux Kernel 5.13 RC(リリース候補)がリリースされたことに続くもので、足かけ数か月にわたる苦闘の末にこぎ着けたかっこうです。

今回の発表は、前回のRCと同じくLinux生みの親であるリーナス・トーバルズ氏が自らメーリングリストで行ったものです。そのなかでトーバル氏はKernel 5.13全体の規模はかなり大きく、2000人以上の開発者から 1万6000以上のコミット(マージを含めると1万7000以上)が行われるほどだったと振り返っています。

そんなKernel 5.13では、AppleシリコンM1チップを含むArmアーキテクチャに基づく複数のチップがサポートされています。これによりM1搭載のMacBook Air、MacBook Pro、Mac miniおよび24インチiMacでLinuxをネイティブに実行できるようになります。

これまでにもParallelsの仮想環境Corellium社の移植版によりM1 Mac上でLinuxを実行することは可能でしたが、いずれもネイティブ動作ではないため、M1チップの性能を最大限に引き出すことはできませんでした。それがAsahi LinuxプロジェクトのHector Martin氏ほか多数の開発者が力を合わせたことで、ようやく現実のものとなりました。

しかしLinux情報サイトPhoronixによると、Linux 5.13では「Apple M1に対する初期のサポートとして、基本的な機能は提供されるが、グラフィックスのアクセラレーションはまだ提供されず、さらに多くのことを解決しなければならない」とのことです。M1の仕組み、特にGPUの仕様が非公開で独特すぎるために移植が苦戦していることは、早い時期から伝えられていました。

最新の Linux Kernel 5.13 では、Landlocked LSM、Clang CFI のサポート、システムコールごとにカーネルのスタックオフセットをランダム化するオプションなどのセキュリティ機能が搭載。ほかFreeSync HDMIもサポートされており、いつの日かM1内蔵GPUの力も発揮できるようになることを祈りたいところです。

(Source:LKML Archive on lore.kernel.org。Via:9to5MacEngadget日本版より転載)

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6月公開予定のLinuxカーネル5.1.3がAppleシリコン「M1」搭載Macをサポート開始の可能性

6月公開予定のLinuxカーネル5.1.3がAppleシリコン「M1」搭載Macをサポート開始の可能性

Apple

これまでAppleシリコン「M1」チップ搭載MacにLinuxを移植する様々な取り組みがありましたが、6月に公開予定の安定版Linux 5.13カーネルで予備的なサポートが追加される可能性があると報じられています。

Asahi Linux公式アカウントは、M1対応のプルリクエスト(コードなどを追加・修正した際に、本体への反映を他の開発者に依頼する機能)がSoC向けLinuxにマージされ、Linux 5.13に反映されるだろうと報告しています。

このAsahi LinuxはM1へのLinux移植プロジェクトの1つであり、主催者のHector Martin氏が独特すぎるM1の仕組みに苦戦していることが語られていました

Linux関連情報サイトPhoronixによると、M1 MacでのLinux動作状況はまだ道半ばではあるものの、Linux 5.13カーネルにてサポート追加できる程度には「よい状態」になっているとのことです

今年の初めからM1チップを搭載したMac mini、MacBook Pro、MacBook AirでLinuxカーネルを起動するために何度かカーネルパッチが適用され、起動に必要なドライバが導入されていると説明されています。つまり、ひとまず起動はできる見込みは高い、というわけです。

この最初期となるM1 Linux移植では、UART、割り込み、SMP、DeviceTreeビットといった基本的な機能を備えているとのことです。またSimpleFBベースのフレームバッファ(画面表示まわり)も搭載されていますが、3D/ビデオアクセラレーションの動作はかなり難航しているもようです。

M1 Mac上でLinuxを動作させる試みとしては、他にも新興企業Corelliumが「完全に使用可能な」ものを移植したと発表していました。ただし、そちらもGPUアクセラレーションはサポートされず、描画はソフトウェアレンダリングに依存しており、M1 Macの持てる機能すべてを引き出せているとは言い難い状況です。

アップルが自社開発のM1チップにつき仕様を完全公開したり、GPUへのアクセス方法を教えるとは考えがたいことです。まだまだ実用にはほど遠く、注ぎ込まれた莫大な努力に見合う価値があるかどうかも不明ですが、その過程で「Appleシリコンはなぜ、これほど(価格の割に)パフォーマンスが高いのか」の謎が解き明かされていくのかもしれません。

(Source:PhoronixAsahi Linux(Twitter)、via:9to5MacEngadget日本版より転載)

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