NASAがテスト飛行や技術開発のパートナーとしてSpaceX、Rocket Lab、Blue Originなどと契約

NASAは商用宇宙開発チームとして、新しく20の企業とのパートナーシップ(NASAリリース)を発表した。これにはSpaceX(スペースエックス)、Blue Origin(ブルー・オリジン)、Rocket Lab(ロケット・ラボ)との協力関係も含まれる。金銭的な取引はないものの、NASAは無数の人材とその他の支援をテスト飛行や技術開発に投入する。

これらの提携企業は、NASAのAnnouncement of Collaboration Opportunity(協力機会の通達、ACO)に基づく2020年の選抜組だ。今回の契約は、NASAが資金を出して「6カ月でどこまで可能かを示せ」と要求するSBIR(中小企業技術革新制度)や(未訳記事)、NIAC(NASA革新的で高度な宇宙技術コンセプト)といったプログラムとは形式が異なる。

逆に、NASAの世界最高水準の施設や専門家を自由に使えるというものだ。これは正式な官民パートナーシップであるため、プロジェクトが承認されるにはまだ競争の段階が残されている。17社の提案の中には、大型プロジェクトもある。

SpaceX は、NASAのラングレー研究所と協力して、同社のStarship(スターシップ)型ロケットと宇宙船が太平洋上で大気圏に再突入する際の温度測定と監視のための研究を行う。

Rocket Labも同様に、ラングレー研究所、エイムズ研究センター、アームストロング飛行研究センターと共同で、Electron型ロケットを再利用型に変更するハードウェアの組み込みのための分析を行う。同社は、今から1週間後に完全なブースター回収の実験を実施する予定だが、この計画にNASAが参加するかどうかは明らかにされていない。

またBlue Originは、2つの個別の契約をしている。1つは「宇宙ロボット用オペレーティングシステム」の開発を手伝う多施設共同事業。壮大な計画のように聞こえるが、むしろ、いくつものオープンソースやNASAが開発したフレームワークを、コストをかけず、互換性を高め、うまく協調するよう統合するまとめ役になるようだ。

もう1つは、3Dプリントを使ってエンジンの設計を進化させるためのもの。おそらく彼らは、同社でまさに同じ事業を始めようとしていたTim Ellis(ティム・エリス)氏を逃してしまったことを後悔しているだろう。彼はBlue Originを辞めてRelativity Space(レラティビティー・スペース)創設した。おかげで同社は、逆に追いかける立場になってしまった。

月の人工表土から電波周波数推進装置まで、残りのプロジェクトはNASAの資料で詳しく解説されている。

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タグ:NASASpaceXBlue OriginRocket Lab

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(翻訳:金井哲夫)

Blue OriginのNew Shepardが打ち上げ、NASAの技術テストを実施

Blue Origin(ブルー・オリジン)は2019年12月の最後の打ち上げから約1年の休止を経て、米国時間10月13日にミッションを再開した。

打ち上げは、同社の再利用可能なサブオービタルロケット「New Shepard」(ニュー・シェパード)のミッションで、同ロケットは2017年12月に最初に飛行して着陸し、今回が6回目のフライトとなる。また今日の打ち上げには、NASAの「Deorbit, Descent and Landing Sensor(軌道離脱・下降・着陸センサー)」技術をテストするためのシステムが含まれており、これは将来の月面・火星着陸に使用するための自動化技術を提供し、目標着陸ゾーンにおける潜在的な危険を自動で識別し回避できる。

この試験には、New Shepardのロケット本体とカプセルの回収が含まれる。ロケットはエンジン噴射によりウエスト・テキサスの発射着陸地点に着陸し、カプセルはパラシュートで降下する。カプセルにはさまざまな実験やその他のペイロードが入っており、その中にはBlue Originの非営利団体「Club for the Future」が全米の子どもたちに提供しているポストカードも含まれている。

打ち上げは米国中部夏時間10月13日午前8時35分(日本時間10月13日午後10時25分)に実施され、ライブストリームは米国中部夏時間午前9時05分(日本時間午後10時05分)から始まった。ストリームにはNASA長官のJim Bridenstine(ジム・ブライデンスタイン)氏からのメッセージも含まれている。Blue OriginはNASAとの緊密な協力関係を深めており、その中には次の宇宙飛行士を月の表面に到達させる手段となり得る有人着陸システムも含まれている。

カテゴリー:宇宙
タグ:Blue Origin、NASA、New Shepard

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(翻訳:塚本直樹)

Blue Originが軌道上生活に実現に向けたスタッフを募集中、商業目的で滞在する人向けの居住空間目指す

Blue Origin(ブルー・オリジン)の創業者でアマゾンのCEOであるJeff Bezoz(ジェフ・ベゾス)氏は、最終的には人々が生活したり仕事をしたりする場所として機能する軌道上の宇宙ステーションを作りたいという野心を持っている。そして現在、Blue Originは「軌道上の居住地の定式化」を中心とした取り組みをリードする人材を募集する求人広告を出しているSpace News記事)。

この求人広告では「何百万人もの人々が宇宙で生活し、働く」という最終的なビジョンの策定を担当する人材を募集しているが、近い将来の目標は既存の国際宇宙ステーション(ISS)をヒントにしながらも、「価値創造的な経済活動」を促進することによって、既存の国際的な共有研究構造を「超えた」ものにすることのようだ。

以下に募集リストからの重要な点を抜粋した。

Blue Originの軌道上居住空間ラインの設計リーダーとして、技術コンセプト、製品戦略、ビジネスケース、顧客関係、市場形成のアウトリーチ、産業パートナーシップ、実装アプローチ、サプライチェーンの開発をリードしていただきます。事業開発の専門家と協力して、NASAやほかの政府機関、企業のニーズを詳細に理解し、製品戦略の反復的な開発を導きます。2020年代に実行可能なLEOデスティネーションシステム(観光資源の有効活用を促進するための手法)を確立するために、外部および内部のスポンサー資金を獲得する責任があります。あなたは、人類の宇宙飛行の歴史に直接影響を与えることになります。

Blue Originはまた、彼らが作っているのはISSのようなステーションとは「根本的に異なる」だと説明している。ISSは「小さいうえ、プロの訓練を受けた乗組員」のために設計されているが、同社が考えているものは、専門家でないユーザーにとっても、居住性が高く実用的なものにしたいようだ。つまり、宇宙飛行士になるためではなく、主に商業目的で滞在する人向けの居住空間を目指す。

ベゾス氏が昨年5月のイベントで語った理想的なコンセプトビジョンには、現実とはまだかなりの距離があると思われる。しかし、同氏がどれだけ実現させたいのかによってはBlue Originの商業宇宙居住区を軌道上に置くことができるようになるかもしれない。

画像クレジット:Blue Origin

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(翻訳:TechCrunch Japan)

NASAがBlue Origin宇宙船ミッションで月と火星用の精密自動着陸システムをテスト

米航空宇宙局(NASA)は、Blue Originの再利用可能な準軌道ロケット「New Shepard」(ニューシェパード)のミッションで、月や火星の厳しい地形で使用するために設計された新しい精密着陸システムを初めてテストする予定だ。安全で正確な着陸、統合された機能の進化を目指すSPLICEシステムは、多数のレーザーと光学式カメラ、コンピューターで構成されており、センサーが収集したすべてのデータを高度なアルゴリズムを用いて処理し、潜在的な危険を特定し、飛行中に着陸パラメータを調整して安全な接地を確保する。

SPLICEは、4つの主要なサブシステムのうち3つ実戦テストをNew Shepardのミッションで実施する。AmazonのCEOであるJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏が創業したBlue Originは、通常は宇宙との端まで旅をした後、第1段階のブースターを地球に戻すが、今回のSPLICEのテストではNASAの自動着陸技術が月や火星の地表に接近するときと同じように、船上で動作することになる。テスト要素は地形相対航法、ドップラーレーダー、SPLICEの降下・着陸コンピュータが含まる。4つ目の主要なシステムであるLidar(ライダー、光による検知と測距)ベースのハザード検出は、将来の計画飛行でテストされる。

現在NASAは、火星に向かうPerseverance(パァーサァヴィアラァンス)ローバーを含む、ほかの惑星の地表にあるロボット探査機のためにすでに自動着陸を使用している。しかし、安全な着陸を確実にするには、障害物のない広大な土地で潜在的な危険がない着陸地点を選ぶことが重要だ。既存のシステムは、いくつかの調整が可能だが制限も多い。

SPLICEは、より正確な着陸を可能にするように設計されており、より近くの危険に対応できるようになっている。これにより、月や火星についての知識や理解を深めるられると期待される。

前述したLiDARシステムは、今回のSPLICEテストの重要な新要素だ。LiDARが火星や月の地形でどの程度の性能を発揮するのか詳細にはわかっていない。それでもNASAは、表面マッピングや特徴検出のためのレーダーベースの方法よりもはるかに優れた精度を提供すると確信している。

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タグ:NASA Blue Origin New Shepard

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(翻訳:TechCrunch Japan)

Blue Originの有人月面探査船開発オールスターチームが重要なテストに成功

Blue OriginとパートナーであるLockheed Martin(ロッキード・マーティン)、Northrop Grumman(ノースロップ・グラマン)、DraperはNASAの有人月探査船を開発するメンバーに選定されている。Blue Originが主導するこの「オールスターチーム」は2024年までにHLS(Human Landing System )と呼ばれる月面に宇宙飛行士を送り届け地球に帰還させるシステムを開発中だ。

Blue Originはオールスターチームを代表して「宇宙空間および月面で利用されるすべての機器に要求される基準に関するテストに成功した」と発表した(Blue Originリリース)。

これは、数千のアイテムがNASAのチェックリストをクリアした極めて重要なマイルストーンだ。有人月面探査の実現に向けて大きな一歩を踏み出したことになる。NASAはナショナルチームが提案した多数の個別要素について設計、性能基準などを承認しているが、今後はシステム全体のレビューに入る。

ただしBlue Originとそのパートナーはゼロから設計を始めたわけではない。Jeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏が創立した宇宙企業であるBlue Originにとって、この分野で長い経験を持つロッキード・マーティン、ノースロップ・グラマン、Draperをパートナーにしたことの利点がここにあるわけだ。この月探査システムは既存システムの進化形であり、ロッキード・マーティンはNASAの再利用可能宇宙船開発であるアルテミス計画に参加しており、Orion計画においても宇宙飛行士を月に往復させるシステムの開発の一端を担っている。

HLSはBlue Originが開発する月着陸船、ロッキード・マーティンによる月面から上昇するためのシステム、ノースロップ・グラマンによる月面着陸の最終段階を制御する軌道遷移システムによって構成される。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook