アフリカや東欧で交通ネットワーク拡大に取り組むBoltが国際金融公社から約25.8億円調達

Bolt(ボルト)は、欧州とアフリカで、自動車やスクーター、自転車を使って人や食料品などを輸送するサービスの国際的なオンデマンドネットワークを構築している、Uber(ウーバー)の競合企業の1つだ。このエストニアのタリンを拠点とするスタートアップは、新興市場における事業拡大を継続するために、世界銀行グループの一部門である国際金融公社(IFC)から、2000万ユーロ(約25億8000万円)の資金を調達したと、3月4日のブログ記事で発表した。

この資金を使って、Boltは東欧とアフリカでさらなるサービスを展開していくという。中でもそれぞれの地域で最大の経済規模となるウクライナとナイジェリアにおいて、これまであまり重視されず十分なサービスを受けていなかった消費者層、すなわち女性のために革新的なサービスを提供していくと、特に言及している。

IFCからの資金調達は、金額を見ればBoltの幅広い資金調達努力の中では比較的少ない方かもしれないが、同社にとって大きな信用となる。

直近では、Boltは12月に1億8200万ドル(約197億2000万円)を調達し、19億ドル(約2059億円)だった前回の評価額を大幅に引き上げた。同社の広報担当者は「私たちの評価額は、最新の資金調達ラウンドで成長していますが、私たちは更新された数字を開示していません」と繰り返し語っている。我々の計算によると、2020年12月時点における同社の評価額はおそらく43億ドル(約4660億円)前後だと予想される。これは同社の共同創業者でCEOであるMarkus Villig(マークス・ビリグ)氏から提供されたGMV(流通取引金額)の35億ユーロ(約4520億円)という数字から推定したものだが、実際にそれを確認できたわけではない。

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IFCを、SoftBank(ソフトバンク)やSequoia(セコイア)、Index Ventures(インデックス・ベンチャーズ)、Andreessen Horowitz(アンドレセン・ホロウィッツ)などの典型的なVCと同列に考える人は少ないかもしれないが、世界中のスタートアップを支援するという点では、IFCは重要な役割を果たしている。2020年だけでも220億ドル(約2兆3800億円)を企業に投資したという。

これまでIFCのテック分野に向けた関心の多くが、例えば、CurrencyCloud(カレンシークラウド)、Remitly(レミトリー)、CompareAsiaGroup(コンペアアジアグループ)、Kreditech(クレディテック)など、金融サービス関連であったことを考えると、交通機関のスタートアップであるBoltへの支援は注目すべき動きだ。

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特にBoltのような企業は、消費者の移動を支援するという最も明白なサービスに加えて、人々に収入を提供し、企業に(配送というかたちで)インフラを提供するマーケットプレイスのようなものを構築していると考えると、交通機関の改善もIFCの開発目標の1つとなる。

「私たちはIFCと提携して、アフリカと東欧の起業家精神をさらに支援し、女性に力を与え、手頃に利用できるモビリティサービスを充実させるという目標に取り組むことを楽しみにしています」と、ビリグ氏は声明で述べている。「2020年の欧州投資銀行からの投資と合わせて、大規模で戦略的に重要な機関が私たちを支援し、Boltが新興国に提供している戦略的価値を認識していることを、私たちは誇りに思います」。

新興市場におけるBoltの取り組みは長い間、同社がUberとの差別化を図るための重要な方法の1つとなっている。2013年の創業以来、同社は40カ国で5000万人以上の利用者と150万人以上のドライバーを抱えてきた。その中にはアフリカ大陸の70都市における40万人のドライバーも含まれる。

これまで光が当たっていなかった地域で、光が当たっていなかった人々に向けたサービスを展開するという同社の戦略は、時間とともに成長してきた。Boltは南アフリカで、運転手も乗客も女性に限定した「女性専用」の配車サービスを試験的に実施しており、女性の雇用機会と一般的な安全性を向上させている。これもIFCの資金が支援するプログラムの1つだという。

「テクノロジーは、持続可能な開発と女性のエンパワーメントのための新たな道を切り開くことができますし、そうすべきです」と、IFCのオペレーション担当シニアバイスプレジデントであるStephanie von Friedeburg(ステファニー・フォン・フリーデバーグ)氏は声明の中で述べている。「Boltへの投資は、テクノロジーを活用して既存の輸送業界に風穴を開け、環境に優しく、女性のためのより柔軟な仕事の機会を創出し、新興市場においてより安全で手頃な価格の交通アクセスを提供することを目的としています」。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Bolt資金調達ライドシェアアフリカ世界金融公社

画像クレジット:Bolt under a license.

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ライドシェアから食品の配達まで、Boltが欧州やアフリカでの事業拡大に向け190億円調達

欧州全域で新型コロナウイルス感染の大規模な第二波が広がる中、食品や人々を自動車やスクーター、そして最近では自転車で移動させるオンデマンドネットワークを構築しているエストニアのスタートアップ企業が、資金調達の大規模なラウンドを発表した。

ライドシェアから食品の配達まで、交通サービスを40カ国200都市で展開しているBolt(ボルト)は、エクイティラウンドで1億5000万ユーロ(約190億円)の資金を調達した。同社CEO兼共同創業者のMarkus Villig(マーカス・ヴィリグ)氏は、この資金が事業地域の倍増と、欧州で最大の電動スクータープロバイダになるために使われるとインタビューで語っている。

現在は約5000万人の顧客がBoltのサービスを利用しており、ヴィリグ氏は世界各地のUber(ウーバー)との差別化を図るために、主に2つの分野を中心に事業を構築してきた。1つは強力な資本効率、同氏がいうところの「倹約」。そしてもう1つは、ロンドンやパリ、そして近々事業が開始されるベルリンなどの都市とともに、新興市場向けのサービスに重点を置いていることだ。

「今回のラウンドは、新型コロナウイルスの圧力にもかかわらず、まだ前回のラウンドで調達した資金のほとんどが銀行に残っている状態で初めて行った資金調達でした」と、ヴィリグ氏は語っている。「これは当社の倹約家ぶりを示しています。ロックダウンのため、我々は望んでいたほど攻めることはできませんでしたが、財務的には2021年に向けて非常に良い状態になっています」。

今回のラウンドはD1 Capital Partnersが主導し、Darsana Capital Partnersも参加した。D1は2020年になってから、超大手スタートアップ企業の成長ラウンドで大きな活躍を見せている。メガネ大手のWarby Parker(ワービー・パーカー)、ゲームエンジンメーカーのUnity(ユニティ)、自動車販売ポータルのCazoo(カズー)、フィンテック企業のTransferWise(トランスファーワイズ)などに投資しており、その評価額は合計で数十億ドル(数千億円)に達している。

ヴィリグ氏はBoltの評価額を明らかにしなかったが、GMV(総流通額、Boltのプラットフォーム上で取引された総額)の1.5倍の倍数に近いと述べ、GMVの0.5倍に近い評価額と見られる「他の」輸送分野の企業よりも、最近上場したDoorDash(ドアダッシュ)に近いと語った。

彼はまた、Boltが現在、年間約20億ユーロ(約2530億円)のGMVを上げていることを認めた。彼のほのめかした計算によれば、評価額は35億ユーロ(約4420億円)程度ということになる。私が上げたこの数字に対し、ヴィリグ氏はコメントしなかったが、異を唱えることもなかった。

参考までに挙げると、2020年の5月にBoltは1億ドル(約104億円)あまりの資金を調達した後、19億ドル(約1970億円)と評価された。当時は3000万人のユーザーを抱えていると言っていたので、約半年で2000万人のユーザーを加えたことになる。

同社の成長は、Uberのように短期間で積極的に、そしてその結果として、非常に多くのコストをかけて、事業を構築してきた企業と比べると対照的で興味深い。Uberは複数の市場や製品分野で成長を遂げてきたが、最近ではその中のいくつかが売却されている。他の例としてはこれこれこれをご覧いただきたい。

当初はTaxify(タクシファイ)として設立されたこの企業は、比較的規制が緩い新興市場で数年間、配車送迎サービスを中心としたビジネスをゆっくりと成長させてきた。2019年にBoltと社名やサービス名を変更した同社は、ロンドンのような都市での事業開始や、主に電動スクーターを中心としたマイクロモビリティへの移行など、その戦略をより高いギアへと蹴り上げた。現在、同社にとって最大の市場となっている国名のリストには、それらのミックスが反映されている。ヴィリグ氏によれば、それは英国、フランス、南アフリカ、ナイジェリアであるという。

とはいえ、その積極的すぎる動きがすべて順調に進んだわけではない。最初の起ち上げに失敗したロンドン(Wired記事)は、ライセンスを取得するために抜け道を利用しようとしたら規制当局が早急に対応し、会社はすぐに焦げついてしまった。そしてこのことは、ヴィリグ氏にとって今後も肝に銘じるべき教訓となった可能性もある。

このような事業の変化があっても、新たな投資や成長の方法を検討する際に、ヴィリグ氏が目指していることは、変わらぬ質素な精神で会社を運営し続けることだと、同氏は語っている。そしてこれはBoltがスクーターの新型モデル(Boltブログ)を発表、炭素削減に取り組む(Boltブログ)というニュースに、潜在的に異なる役割を与えることになる。

彼は、特にユーザー数と使用量の大幅な減少が見られた大企業では、非常に多くの雇用が失われた年に、Boltは誰も解雇していないことを指摘した。

それは確かに興味深い。多くの企業が「ジグ」を選択するとき、どの企業がどのように「ザグ」を選択するのだろうか。

フードデリバリー事業はその一例である。UberがPostmates(ポストメイツ)を買収したり、Just Eat Takeaway(それ自体が大きな合併)がGrubhub(グラブハブ)を買収したりと、この業界では現在多くの統合が進行中だ。それと並行して、規模を拡大しようとするとあまりにもコストがかかることを発見した多くの小さな企業が、次々と撤退している。そのような状況の中で、Boltは16カ国33都市でBolt Foodsを展開しており、2021年にはさらに多くの都市での展開を計画している。

「ほとんどの人が気づいていないのですが、食品の分野は私たちが最も楽観視しているところです」とヴィリグ氏はいう。「現在、私たちは毎日のようにレストランを追加しています。ドライバーが乗客だけでなく食べ物を運ぶという供給側を含め、多くの面でコストの相乗効果があります。これまでは自動車をベースにしたサービスだったため、自動車運転免許を持たない人はお断りしなければなりませんでしたが、今では自動車運転免許を持っていない人にも、スクーターや自転車で商品を運ぶ仕事を提供できるようになりました。今までできなかったことを、提供できるようになる。それが意味するものは、ドライバーを見つけるためにお金を使う必要がないということです」。

ヴィリグ氏によれば、2019年以降でさえも、Boltは食品業界に参入して「ラッキー」だったという。すでに人気のあったレストランにも、ウイルスの流行による新たな波が押し寄せ、店内で食事する客が全体に減少したり、閉鎖を余儀なくされているからだ。「彼らはみんな、副収入を得ることに熱心で、新しいプラットフォームを試してみたいと思っていました」とヴィリグ氏はいう。

濁っていたり厳しいように見える市場でも、先を見通そうとするその意欲こそが、今回の投資家を呼び寄せたのだ。ヴィリグ氏は、すでに多くの投資家と話をしていたので、2021年に備えてラウンドを閉じることは理に適っていたと述べている。

D1 Capitalの創設者Dan Sundheim(ダン・サンドハイム)氏は声明の中で次のように述べている。「欧州とアフリカで市場をリードするモビリティ・プラットフォームを構築し続けているBoltとパートナーを組むことに興奮しています。チームは困難な1年の間に信じられないほどの成果を上げ、何百万人ものユーザーに安全性、柔軟性、そして優れた価値を提供し続けています。我々は新型コロナウイルス流行後のBoltの成長機会を楽観視しており、今後数年間にわたるイノベーションへの投資としてチームをサポートすることを楽しみにしています」。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:Bolt資金調達ライドシェアフードデリバリー

画像クレジット:Bolt

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(翻訳:TechCrunch Japan)

Boltが第4世代キックボードを発表、事故や危険走行を検知するセンサーを搭載し安全性重視

Boltは配車サービスでよく知られているが、同社は欧州の45都市で電動キックボードサービスも運営している。そしてBoltの社内ハードウェアチームが設計した新モデルの電動キックボードは、安全性に重点を置いている。

写真を見るとわかるように、新モデルは重量19kgの大型キックボードで、平均的な自転車より重い。航続距離40kmのバッテリーを搭載し、車体は主にアルミニウムでできている。

Boltによると、新車両はモジュラー設計のおかげで最大60カ月は使用できるという。またBoltは車体全体を交換しなくても、部品を交換できる。

車両には事故や危険な走行を検知するセンサーが搭載されている。利用者が落下するか、または急ブレーキをかけた場合、Boltは警告を発することができる。さらに車両は危険なライディングパターンも認識する。音声と視覚的な警告を組み合わせて、何をすべきか、あるいは何をしてはいけないかを利用者に伝えることができる。

統合ダッシュボードは歩行者エリアで乗車していることや、低速エリアで乗車していることをアラートで通知する。また、駐車可能エリアかどうかも確認できる。Boltによれば、歩行者や低速エリアに入るとフロントライトを点滅させる予定だ。

最新のeスクーターと同様に、車両を移動させなくてもバッテリーが交換できる。着脱式のバッテリーは、スクーター本体の交換よりもはるかに効率的だ。

数週間前、Boltはキックボード事業を拡大する計画を発表し、2021年には100以上の都市でサービスを運営する計画だ。これにより、ヨーロッパの都市で13万台もの電動キックボードや電動バイクが展開される可能性がある。同社の2021年における野心的なロードマップが達成できるのかどうかに注目が集まる。

画像クレジット:Bolt

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タグ:Bolt電動キックボード

画像クレジット:Bolt

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter