DroneDeployが作業現場の3D写真作成でBoston Dynamicsと提携、空中のドローンと地上ロボットの写真を組み合わせる

農業や石油・ガス、建設といった産業の企業が作業現場の3D写真作成に使う鳥瞰図を入手するのをドローン撮影を通してサポートしているクラウドソフトウェア企業のDroneDeploy(ドローンデプロイ)は米国10月13日、新たなサービスを発表した。「360 Walkthrough」という名称で、ドローン写真と地上のカメラ、そしてBoston Dynamics(ボストン・ダイナミクス)などの地上ロボットと組み合わせるものだ。

本日の発表まで、DroneDeployは作業現場の外観写真を得るのにドローンを用い、そうした写真をアップロードしてつなぎ合わせて3Dモデルにしていた。DroneDeployのCEOであるMike Winn(マイク・ウィン)氏によると、3Dモデルの誤差は1インチ(約2.5センチ)以下だ。

こうした種の作業現場の外観写真の入手は価値あるものだが、顧客は内側も外側も含む完全な写真を求めており、ドローンから送信される写真を処理するだけのプラットフォームは、他のデバイスカメラからの写真に簡単に対応できるようになるとウィン氏は話す。

「当社の顧客は内部からのデータの取得も模索しています。また、現場の状態を安全チームや幹部など社全体で共有し、どういった状態なのかを理解するために現場全体をデジタルで再構築する『デジタルツイン』を求めています」。

同氏はまた、新型コロナウイルスのパンデミックで作業現場へのアクセスが限定される中、定期的に現場の状態を把握することがより重要になっているとも付け加えた。

「顧客は、仕事を行うのに必要な人だけを配置し、現場の全体数を少なくしたいと考えています。なので、現場についての情報を必要としている人がデスクトップや3Dモデル、ストリートビューのようなものでそうした情報を得られれば、この新型コロナ下では本当に役に立ちます」と同氏は話した。

企業はこうした機能を現場内部に設置したカメラと組み合わせることができるものの、地上のロボットが行えるようにはカバーできない。しかしBoston Dynamicsのロボットは、埃や瓦礫がある現場を自由に動き回ることができると同氏は述べた。

画像クレジット:DroneDeploy

ウィン氏はBoston Dynamicsロボットの活用を最終目標以上のものととらえている一方で、DroneDeployソフトウェア用に現場の内外写真を完成させるために近い将来、撮影カメラを持って人間が現場を歩き回るようになるのは大いにあり得ると話す。

「顧客はすでにこうしたデータを集めるのにロボットを導入したがっています。Boston Dynamicsのロボットがこの役割を果たすところを想像できますが、それは最終的なものです。当社は現在、人間の現場見回りもサポートしています。現場の状態をとらえるのに週に1回ほど360度カメラを持って現場を歩き回るというものです」と同氏は語った。

ウィン氏によると、DroneDeployは2013年創業で、これまでに1億ドル(約105億円)を調達した。5000超の顧客を抱え、多くの企業が新型コロナ対応策としてドローンを受け入れていることから、ドローン飛行時間は昨年の2.5倍に増えているとのことだ。

関連記事:ボストン・ダイナミクスの犬型ロボット「Spot」がヨーロッパとカナダで発売へ

カテゴリー:ドローン
タグ:DroneDeployBoston Dynamics

画像クレジット:DroneDeploy/Boston Dynamics

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(翻訳:Mizoguchi

Boston Dynamicsは早ければ来年にも物流ロボットの計画を実現へ

Boston Dynamics(ボストン・ダイナミクス)は、四足歩行ロボット「Spot」で大規模なロボットを構築する能力を証明した後、同社が最初に参入を目指している本格的な物流分野へのアプローチを発表するまであと数カ月となった。同社の新CEOであるRobert Playter(ロバート・プレイター)氏は、数十年におよぶ実験を経て、同社が独自の道を歩むことになると見ている。

Disrupt 2020のバーチャルメインステージでインタビューに応じたプレイター氏は、長年のCEOであり創業者でもあるMarc Raibert(マーク・ライベール)氏が研究開発に専念するために身を引いた後、プレイター氏も長年務めてきたCOOからCEOに昇進したばかりだ。今回の就任後、プレイター氏は初めての公の場でのスピーチに臨んだが、同氏がBoston Dynamicsとともに大きな計画を持っていることは明らかだろう。

有名なBigDog(ビッグ・ドッグ)の遠縁にあたる四足歩行ロボットであるSpotの最近の商品化は、プレイター氏と会社にとって、その需要がどこにあるのか完全にはわからないにしても、彼らが提供するものには大きな需要があることを示している。

「ターゲットとなる市場がどのようなものになるのか正確にはわからなかった」と同氏は認めたが、どうやら顧客たちは、どちらとも言えなかったようだ。この7万5000ドル(約784万円)のロボットは複数の顧客によって約260台が購入され、現在はSpotプラットフォーム向けに独自のアドオンや業界固有のツールを積極的に開発している。ちなみに「その価格は抑止力にはなっていない」と同氏。「産業ツールとしてこれは実際にかなり手ごろです。私たちはこれらを手ごろな価格で生産する方法を構築するために、非常に積極的に大量の資金を投下してきました。そして、すでにコストを削減する方法に取り組んでいます」と付け加えた。

TC Sessions: Robotics + AI at UC Berkeley on April 18, 2019(画像クレジット:TechCrunch)

世界的な新型コロナウイルスの大流行は、手作業に代わるものとしてのロボットへの必要性を生み出すのにも役立っている。

プレイター氏は「人々は自分自身の物理的な代理者を持つこと、遠隔地にいることが以前に想像していた以上に重要であることに気付いています。私たちはロボットが危険な場所に行けると考えてきましたが、新型コロナウイルスの影響で危険性が少し再定義されました」と説明する。新型コロナウイルスの感染蔓延は緊急性を加速させており、おそらくこの技術を使って探索するアプリケーションの種類が増えることになるでしょう」と続けた。

新型コロナウイルスに特化したアプリケーションとしては同社は、入院患者の遠隔監視や、Spotを使用して施設内にエアゾールスプレーを運ぶ自動消毒などの共同作業の依頼を受けている。「これが今後大きな市場になるかどうかはわかりませんが、依頼を受けたときに対応できることが重要だと考えまそた」と同氏は語る。「ここで正しいことをしなければならないという地域社会への義務感もありました」と。

MITの遠隔バイタル測定プログラム「Dr Spot」(画像クレジット:MIT)

最も早くから成功した応用例の1つはもちろん物流で、Amazon(アマゾン)のような企業が生産性を高め、人件費を削減する方法としてロボット工学を採用している。Boston Dynamicsは、現在実用的な「自律パレット」方式とはまったく異なる方法で、箱や箱のようなものを移動させるのを助けるロボットで市場に参入しようとしている。

「私たちは物流の分野で大きな計画を持っています。今後2年間で、いくつかのエキサイティングな新しい物流製品が出てくるでしょう」とプレイター氏は明かしてくれた。「現在、顧客が概念実証試験を進めていて、2021年に何かを発表し、2022年には製品を提供できるようになるでしょう」と続けた。

同社はすでに、より伝統的な固定式のアイテムピッキングシステムであるPickを提供しているが、次のバージョンのHandleも開発中だ。この機動性によって輸送用コンテナやトラックなどの限られたスペースや予測不可能な場所でも、荷物を降ろすことができるようになる。

インタビュー中に公開されたビデオでは、既製のパレットロボットとHandleが協働している様子が映し出されている。プレイター氏は、このような協力関係の必要性を強調する。「我々はロボットが一緒に作業できるようなソフトウェアを提供します。今は、すべてのロボットを作る必要はありません。しかし最終的には、これらの作業のいくつかを行うにはロボットのチームが必要になりますが、私たちは異種のロボットを使って作業できるようになることを期待しています」と語る。

このように優しく、穏やかで、業界に優しいBoston Dynamicsは、2018年に同社を買収したソフトバンクからの意思決定の産物であることはほぼ間違いないが、世界をリードするロボット研究開発会社を何もせずに運営することはできないという単純な現実もある。しかし、プレイター氏は、日本の大手テック企業が「過去20年間に行ってきた高度な能力の開発という過去の仕事があったからこそ、今の位置にいるのであってそれを続けていかなければならない」と理解していることに注目していた。

すぐに実際の仕事をすることはなさそうなのが、同社の驚くほど機敏なヒューマノイドロボットAtlasだ。今のところ実用的ではないが、一種のプレステージプロジェクトのような役割を果たしており、常に視野を上方に向けて調整する必要がある。

実際に仕事をしている姿を目にすることはないが、Atlasは驚くほど俊敏な人型ロボットだ。まだ実用的ではないが、同社では一種の威信をかけたプロジェクトのような役割を果たしており、常に上を目指して調整を続けている。

ヒューマノイドロボットAtlas(画像クレジット:Boston Dynamics)

「このように複雑なロボットで、多くのことができ、そうでなければできないようなツールを作らざるを得ません。そして、人々はそれを愛しています。

「これは非常に複雑なロボットであり、非常に多くのことができるため、ほかでは不可能なツールを作らざるを得ない。人々はそれを愛しています。それは野心的で、才能を引きつけます。」とプレイター氏は語る。

彼自身も例外ではない。かつて体操選手だったプレイター氏はAtlasの跳躍を見て「懐かしい瞬間」を思い出したそうだ。「マークをはじめとする当社の社員の多くは、人や動物の運動能力からインスピレーションを得ています。そのDNAは当社に深く根付いています」と締めくくった。

関連記事:Boston Dynamicsが恐竜的2輪ロボットで倉庫業務をデモ

カテゴリー:ロボテックス

タグ:Boston Dynamics Spot Disrupt 2020 Atlas

画像クレジット:Boston Dynamics

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(翻訳:TechCrunch Japan)

ボストン・ダイナミクスの犬型ロボット「Spot」がヨーロッパとカナダで発売へ

Boston Dynamics(ボストン・ダイナミクス)は米国時間9月9日の朝、犬型ロボット「Spot」を米国続いて(未訳記事)、ヨーロッパや英国、カナダなど幅広い市場に投入すると発表した。

Spotはボストン・ダイナミクスの初の市販製品であり、四半世紀にわたるDARPAなどによるロボット工学の実績を基に開発された。同社はここ数年、建設測量から警備まで、ロボットによるさまざまな仕事のデモンストレーションに多くの時間を費やしてきた。

新型コロナウイルスの感染拡大により、企業が感染のリスクを軽減しつつ自動化分野を増やしつつ運営する方法を探しているため、ロボット部門への注目度が高まっている。ボストン・ダイナミクスはこの機会を利用して、病院での遠隔手術を含む、さまざまな新しいシナリオでSpotを活用している。

ボストン・ダイナミクスによると、CogniteやEnergy Robotics、Clearpath Robotics、Replyなどのサードパーティーのパートナーが、ロボットの今後の機能向上に協力している。同社はこのロボットを、さまざまな異なるタスクに対応できる一種のプラットフォームとして位置づけたいと考えている。このセットアップは、Spotのクリエイターが新機能をプログラムする際の負担を軽減し、7万4500ドル(約790万円)のロボット(価格は市場によって異なる)が実際にどれだけの能力を発揮できるかを実証することに期待している。

その他の市場でも、同社の限定的なアーリーアダプタープログラムを通じてSpotを利用することができる。ボストン・ダイナミクスとSpotの詳細については、来週開催されるDisrupt 2020での新CEOのRob Playter(ロブ・プレイター)氏へのインタビューをチェックしてほしい。

画像クレジット:TechCrunch

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(翻訳:塚本直樹Twitter

Boston DynamicsのCEO、ロブ・プレイター氏がDisrupt 2020でロボット工学と自動化に関して語る

Robert Playter(ロバート・プレイター)氏は、1月にBoston Dynamics(ボストン・ダイナミクス)のCEOに就任した。これは、1990年代初頭にMarc Raibert(マーク・レイバート)氏がBoston Dynamicsを創設して以来初の新CEO誕生で、同社にとって記念すべき出来事であった。この就任の時期は同社の移行期であったが、その分、Disrupt 2020での彼のトークからは目が離せない。

SoftBank(ソフトバンク)による買収に続き、Boston Dynamics は、最初の商用製品であるSpotの早期販売を開始した。昨年 4 月同社は、ベイエリアを拠点とするKinema Systems(キネマ・システムズ)を買収し、Handleのような自社倉庫ロボット向けのビジョン・システムの設計に役立てた。

これらの動きは、もちろん新型コロナウイルスのパンデミック前に行ったものであり、自動化とロボット工学は数年前と比べさらに注力すべき課題となっている。ここ数か月の間に、建設会社から医療施設そしてベースボールチームなどの各種分野で、四足歩行型ロボットの支援を求め、Spotを採用したことが分かった。

プレイター氏は、今年 9 月に開催される当社初のオンライン限定Disrupt で、CEO として初めて公の場でスピーチを行う。彼は、Boston Dynamicsの創設者であるレイバート氏(前 CEO)の登壇から数人をはさんで後出演する予定だ。最近レイバート氏は、TC セッション:ロボット工学イベントに登場し、商用版のSpotをお披露目した。

プレイター氏は、9月14日~18日のDisrupt 2020に参加し、Boston Dynamicsを商業ベンチャーに変革するための課題と機会に関して答弁する。他の登壇者の情報など、イベントの詳細は以下の特設ページで確認してほしい。

Disrupt 2020特設ページへ

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(翻訳:Dragonfly)