オンラインプレゼンテーション作成・共有ツールのSlides

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ミーティングがなくなることは恐らく決してないだろう – それに伴いプレゼンテーションがなくなることも。しかし、プレゼンテーションを作るためのこれまでのやり方は、少々時代遅れなものになっている。PowerPointなどのツールは定期的なアップデートを繰り返しているが、それらはプレゼンテーションに対するある種の簡潔さに欠けている。

それこそが、Owen BossolaとHakim El Hattabの2人が、スライドショープレゼンテーションの作成、表示、コラボレーションのためのオンラインサービスであるSlidesを始めることに決めた理由である。Slidesの目標は、世の中に散在するPowerPointやSlideShareといったプレゼンテーション管理サービスの、最も優れた部分を取り入れて、1つのシームレスな使い勝手を提供することだ。

「ビジュアルストーリーの需要は常にあります、そしてSlidesのコアはビジュアルストーリーツールなのです」とEl Hattabは語った。「たぶん、Slackを使ったもっと効率的なコミュニケーションも可能でしょう、しかしセールスやマーケティングや教育の場には、プレゼンテーションソフトウェアを必要とするユースケースが存在しています。人々はそれぞれが異なるやり方でプレゼンテーションを行います。私たちはそれら全てに取り組みたいのです」。

スライド作成の使い勝手は、あなたが期待するやりかたにほぼ沿っている。他の多くの作成ツールの中にも存在する各種機能を見つけることができるだろう、そして作成後、ユーザーはプレゼンテーションへのリンクを共有することが可能で、ミーティングの最中にリアルタイムにそれらを広げて見せることが可能だ。また限定的なコメント機能もサービスには組み込まれているが、現段階ではまだ実験的なものだ。これはBossolaとEl Hattabが、機能を急激に膨らませることは避けたいと考えているためだ。

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スライドショーを行う者は、プレゼンテーション内に他のサービスからのコンテンツを埋め込むこともできる。すべてがオンラインで閲覧されていて、したがって、すべてのものがWeb上でレンダリングされているので、込み入ったPDFファイルや3Dビジュアルをダウンロードすることに比べて複雑なビジュアルのレンダリングも、よりシームレスなものになり得る。

オンラインですべてをレンダリングすることには別の利点もある:任意のデバイス上で閲覧することができるということだ。こうすれば、実際にその場にいなくても、電話やタブレットを使ったカンファレンスコールを通して、リアルタイムに遠隔からプレゼンテーションを見ることができるようになる。プレゼンターがスライドをめくれば、遠隔のデバイス上でも同じことが起きる。

こしたことがすべてSlidesの中で行うことができる、なぜならプレゼンテーションをより柔軟にすることに彼らはアプローチしているからだ。作成ツールの使い勝手は他の標準的なツールに比べて遜色ないものである(むしろ既存のものよりも幾分巧妙にも見える)、例えばカラースキームを変更する機能はテキストが暗い背景の中に沈んでしまわないようにしている。オブジェクトはグリッドに自動整列し、外部からのコンテンツの取り込みも容易で、事前に用意されたテンプレートにアクセスすることもできる ‐ それらが同社によって作られたものか、あるいは同社によって提供されるストックスライドであるかは問わない。

プレゼンターはまた、自分の携帯電話をクリックを行いノートを書き込むアプリケーションで使うことが可能で、スライドを先に進めたり、スライドのノートを参照したりすることができる。このツールは – 開発者にとってもとても柔軟なものだが ‐ 明らかにマーケティングを行うひとやプレゼンテーションをまとめ上げる必要のあるひとを狙っていて、その全てのプロセスを可能な限りシームレスなものにしようと努力している。当然のことながら、このための大きな市場が存在している(もしそれがなければPowerPointのような巨大なアプリケーションが定期的な更新を行うことはない)。

「私たちのフォーマットは、その終端は結局ウェブサイトなので、あなたはプレゼンテーションのためのウェブサイトを持っていることになります」とBossolaは言う。「そのウェブサイトの中で、あなたはウェブサイトに含めることができるものは何でも含めることができます。こうした特定の機能の中で、数式を書くのにテキストを使うひとたちが教育現場には沢山います。ウェブベースですので、私たちは即座に柔軟に対応することができるのです」。

明らかな適用シーンが存在している。大学でプレゼンテーションをする際に、この種のツールがあると素晴らしい。例えば、他のツールを求めてウェブをさまよったり、学校のPowerPointライセンスを扱ったりする必要がなくなるからだ。しかしこの先Slidesの主要な顧客は、常に魅力的なプレゼンテーションを作るために良いツールを必要としている、企業のより大きなマーケティング部門になるだろう。

Slidesは、実際にはEl Hattabが長い時間をかけて開発して来た、オープンソースソフトウェア技術の上に構築されている。開発者たちは、プレゼンテーションを作成するためにそのツールを使用していたものの、手作業でコードを書く必要があった。El HattabとBossolaはそこに会社設立の可能性があることに気付いた。同社はこれからも、そのオープンソース資源に貢献するだけでなく、バグやセキュリティ修正などのコミュニティから来る新しいツールコンポーネントを取り込んで、そのサービスを更新していく予定だ。オープンソースソフトウェアの上に会社を構築するリスクは常に存在するが、El Hattabによれば、それは同社のDNAの一部であって、Automatticのような成功例もたくさんあるということだ。

さて当然ながら競合もいる、例えばBunkrSwipeといった会社だ 。Slidesチームはコンテンツ開発という意味ではとても長い歴史を持っている、Bossolaは以前Thrillistで働いたことがあり、El Hattabはデジタル制作会社からやって来た。希望として、もし同社がそのツールをシンプルで、柔軟で、可能な限り広い範囲に適用できるもに保ち続けることができるなら、最終的にPowerPointキラーを彼ら自身の手に持つことになるだろう。

[ 原文へ ]
(翻訳:Sako)

プレゼン用ウェブアプリ、Bunkrは優れもの―HTML5出力でどんなデバイスでもブラウザだけでスライドが再生可能

フランスのスタートアップ、BunkrはPowerPointキラーになろうという野望を抱いている。

このウェブ・アプリを使うユーザーはビジュアルなコンテンツをさまざまな場所から収集、編集してスライドに仕上げることができる。UIはよく考えられており、デザインも美しい。スライドショーはHTML5ファイルで出力されるので、パソコンでもタブレットでもスマートフォンでも自由に再生できる。またPDF、PPT形式でも出力できる。

共同ファウンダーで最高マーケティング責任者のÉdouard Petitは私の取材に対して「われわれは役立つ情報を収集、分析してクライアントのために戦略を立案するのに使う以上の労力を美しいPowerPointプレゼンを準備するために費やすという本末転倒に陥っている。そこでBunkrではどうやったら最小限の時間でわかりやすいスライドが制作でくるかを追求した」と語った。

その回答はこのプロダクトの2つの側面、情報の収集とプレゼンの制作に現れている。PowerPointでは役に立つ画像や動画をウェブで検索し、ダウンロードして、スライドに体裁よく配置することに非常に長い時間がかかる。また情報の収集と保存にはEvernoteのような別のアプリを使わねばならない。

これに対してBunkrはこのプロセスをすべて引き受ける。 単なるスライド制作ツールではなく、Evernote的なクリッピングと整理のツールでもある。ウェブで役に立ちそうな情報を発見したらブックマークレットでチェックするだけで、Bunkrのアカウントに保存される。ユーザーは画像、ビデオ、ウェブページ、ノート、引用などをこうして処理できる。

Bunkrは伝統的スライドショーを枠組みを守りながらあらゆるデバイスのあらゆるブラウザで自由に再生できる能力を加えた

その結果はテーマごとにPinterest風のグラフィカルなデータベースに保存される。毎日なんらかのプレゼンをしなければならないようなエグゼクティブ―つまりPowerPointのパワー・ユーザーにとっては非常に魅力的な機能yだ。

Petitは「“共同ファウンダーと私は以前、広告代理店に勤務しており、毎日の大半の時間をプレゼンの準備に使っていた。それがBunkrの開発を思い立った理由だ」と語った。

ただしプレゼンの構造に関してはBunkrはたとえば、Preziのように過激に新しくはない。これはPowerPointユーザーには安心できる要素だ。しかしPreziなどのライバルとの最大の違いはBunkrがフルHTML5出力をサポートしている点だ。Flashプログインを必要とせずにブラウザなどのデバイスで再生できるl.スマートフォンで再生するにも専用アプリをインストールする必要がない。ユーザーはプレゼンへのリンクを送るだけで、相手はどんなデバイスのどんなブラウザでも再生できる。またYouTubeのエンベッドも簡単だ。

Google Driveのプレゼンテーション・ウェブアプリと同様、複数のユーザーが同時にスライドを同時に編集できる。サービスを使い始めるのは無料だが、HTML5ファイルやPPTフォーマットでダウンロードせずにオンラインで同時に3つ以上のプレゼンを保存しようとすると、月額2.50ユーロ(日本からは3ドル/月)の利用料金がかかる。現在、7000ユーザーのうち200人が有料契約をしているという。

Bunkrはフランスのルーアンに本拠を置くTheFamilyアクセラレータ参加のスタートアップで、年内にもシード資金調達のラウンドを行う予定だ。しかしプロダクトはすでに完成しており、出来は非常に良い。これだけのデザイン力と技術力があればBunkerが有力なPowerPointのライバルに成長できる可能性は十分ある。まずは試してみることをお勧めする。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+