いよいよ登場したmacOS Catalinaの目玉はやはりSidecar

ここ数年、Apple(アップル)がmacOSに施してきたアップデートは控えめなものだった。それも当然かもしれない。Facebookがボタンの配置を変えるたびに、ネット上で大騒ぎになることを思い出すまでもなく、UXデザイナーにとって、変更は少しずつ、微妙なものに保つことが肝要となっている。最近では、OSの設計についての全般的な哲学も、どちらかと言うと操作性の改善を目指すものが中心となり、大きな変更にはゆっくり時間をかける傾向が強くなっているように思われる。

消費者に対して毎年オンラインでアップグレードを提供するという規範は、Appleが率先して常態化させたもの。そのためもあってか、macOSのアップデートは、目新しさを維持するためには、いささか控えめなものになり過ぎたきらいがある。正直なところ、それ自体ははまったくかまわない。毎年のように登場するラップトップの新モデルが、華やかな新車だとすれば、OSは、運転中にずっと安心して握っていられる、できのいいハンドルのようなものだからだ。

Catalinaは、最近のmacOSのアップデートとは異なった傾向を見せていて、目立つ内容が多くなっている。底流する精神は変わっていないとしても、日常的に利用するアプリの中には、根本的な変更が加えられたものもある。それによって、普段の使い方が変わってくるのはもちろん、将来のデスクトップ用OSの進化の方向性に影響を与えるものもありそうだ。

最も目立った変化は、iTunesが鳴り物入りで廃止されたこと。その名前自体は、あちこちに名残として存続しているものの、基本的にCatalinaではiTunesの出番はない。このアプリが18年続いたというだけでもすごいことだが、かつて強大な勢力を誇ったアプリの足跡は、Apple Musicに引き継がれる。しかしこの新しいOS上の音楽再生機能は、疑いなくAppleの巨大な収益を生む装置として、有料コンテンツ再生の方向に大きく舵を切ったものとなっている。

それと同じ流れで、Mac用のTVアプリも登場し、今後登場するApple TV+とArcadeのためのお膳立ては整えられた。さらに、いくつか新しいアプリも登場して、Catalinaの公式リリースを祝っている。たとえばPodcastは、デスクトップアプリとして独立したものとなった。とはいえ、少なくとも今のところは、Appleがそこから直接収入を得るような仕組みにはなっていない。それよりAppleにとっては、この急速に主流になりつつあるメディアについて、「ポッドキャスト」という名前を付けるきっかけとなったのは自分であると主張することの方が重要だったのだろう。

一方、Catalystの登場は、将来のMacアプリの種が蒔かれたことを意味する。Apple純正のニュース、株価、ボイスメモ、ホームのような、iPadから移植したアプリに続き、同社はすべてのiPadデベロッパーにCatalystを公開した。iPadアプリを、macOS用に簡単に移植できるようにするためだ。良かれ悪しかれ、この動きは、2つのOSの間の境界を、広い意味で曖昧にするもの。しかしAppleにとっては、これはむしろ実利を重視した動きだったのかもしれない。というのも、iOSの人気が高まるにつれて、Mac用アプリの開発は逆に停滞してしまっていたからだ。これは、こうした状況を打破するためのシンプルな解決策と言える。

アクセシビリティについても、進化した音声コントロール(英語版のみ)など、いくつかの歓迎すべきアップデートが加えられた。また、セキュリティ面でも機能強化が図られている。

ただし、この記事を書くにあたって、私がもっとも強い興奮を覚えたのは、Sidecarだった。私に言わせれば、これはAppleが新機能のリストの中に仕込んだ隠し玉だ。もちろん、これがMusic、TV、あるいはArcardeのように、万人受けするアプリではないことは十分に理解しているつもりだ。ちょうど私は、TechCrunchがサンフランシスコで開催したイベントから戻ってきた ばかりで、余計にそう感じるのかもしれないが、Sidecarは、生産性に関して本物の革新をもたらすものだ。

すべての注意事項を無視して、私はCatalinaのベータ版を、メインの仕事用マシンにインストールした。もちろん、自分で何をしているのか、分かっているつもりだ。もし出先でベータ版が落ちてしまえば、打つ手がなくなってしまうことも含めて。この記事では取り上げてないソフトウェアの問題にも遭遇したが、それはあくまでベータ版でのことと考えている。意外にも、最新版のiPadOSとCatalinaのゴールデンマスターの組み合わせでも、うまく動かない機能があった。しかし、最終版のリリースまでには、すべてスムーズに動作するようになるはずだ。

言うまでもなく、Sidecarも一種の「シャーロッキング」であることには違いない。つまり、昔からAppleがよくやってきたように、元はサードパーティが開発した機能を、自らのOSに組み込んでしまったものだ。そして、この類の機能の場合、ほとんどのユーザーにとって、OSがネイティブでサポートしたもの対抗するのは非常に難しい。ただし、アートの領域で、Apple Pencilのようなものに繊細なタッチを求める人なら、DuetやLunaを検討してみる価値はあるだろう。しかし私のように、iPadを出先でセカンドディスプレイとして使って、表示面積を確保したいというだけの人なら、Sidecarで十分だ。

この機能を有効にするには、関連するすべてのアカウントにサインインするだけでいい。ワイヤレス接続に関する機能がオンになっていることも確認して、ドロップダウンメニューから接続するデバイスを選択する。メインのmacOS画面を、ミラーリングによってそっくりiPadに表示するか、iPadを外部モニターとして、拡張デスクトップモードで使うかも選択できる。ミラーリングの場合には、iPadの画面をタッチスクリーンとして使ったり、Pencilによる入力装置として機能させることもできるというメリットがある。これは、アーティストにとって魅力的だろう。たとえばWacomのような、プロ用のタブレットの代わりに使える可能性もある。

私にとって、セカンドディスプレイは重要だ。外部モニターをつないで、作業スペースが拡がると、それだけで安心できる。複数のウィンドウを同時に開いたままにしておくのもずっと簡単になる。メインのデスクトップでPagesとChromeを使いながら、iPadでSlackを開いておけば、かなりの時間の節約になる。

細かいことを言えば、Sidecarとディスプレイの設定が別々になっているのは、ちょっと面倒に感じる。たいていの場合、私はiPadのある側に座って作業することになる。使用中に、そのまま左右を入れ替えることができれば、もっといいのだが。一方、仮想的なサイドバーが表示されるのも面白いが、ミラーモードの場合には、どうしても余計なものに感じられる。

それはともかくとして、やはりSidecarは、記憶にある範囲でmacOS最高の新機能だと思っている。

私はiTunesがなくなったことは、さほど気にしていない。Appleが、そうすることに決めた理由は、よく理解できる。正直に言えば、むしろ今までそうなっていなかったことの方が驚きだ。私は以前からSpotifyのユーザーで、Apple Musicに乗り換えるつもりもない。Spotifyは、サポートするデバイスの種類が多いのも気に入っている。とりわけApple Musicへの乗り換えは、ユーザーを常に「無料試用」に駆り立てる策略に乗ってしまうことのように感じられる。

ミュージックアプリは、iTunes同様、ローカルに保存された曲の再生も可能だ。しかし、ストリーミングサービスを利用すれば、デジタル音楽の所有権という概念も過去のものとなる。私のアパートのどこかには、何百ギガバイトもの音楽データを保存した、古いハードディスクが埃をかぶっている。いつかまた聴きたくなることもあるだろうと思っていたが、正直に言って、その機会はますます遠ざかっているように感じられる。

Podcastアプリの基本は、iOS版のアプリを使ったことのある人には自明のものだろう。非常にシンプルな作りで、Musicと同じように、聴きたいものを発見することに焦点を合わせている。これをApple Musicから分離させたのは、AppleはこのカテゴリにSpotifyのような巨額の投資をしようとは考えてないことを示しているのだろう。そして今のところ、少なくともその必要はなさそうだ。Appleは、すでにこの分野で非常に有利なスタートを切っているのだから。

Apple TVも、うまくリフレッシュされた。これも、同様に発見に焦点を合わせている。しかし、長期的に見てAppleにとってずっと重要なのは、このアプリが、来月に登場する予定のApple TV+の土台を築くものだということ。HBO、Showtime、Starzなどのプレミアムチャネルがここに統合され、ケーブルテレビを解約して、ネットに乗り換える人の着実な受け皿となる。また、あらゆる対象年齢のコンテンツを取り揃えた、キッズ専用のセクションが登場するのも素晴らしい。

確かにArcadeは、Macがもっと本格的なゲームシステムになるための条件として、誰もが期待するようなものではないだろう。また、そのタイトルの大部分は、モバイルデバイスで遊ぶことを前提に設計されている。とはいえ、月額4.99ドル(約533円)というサブスク料金を考えれば、デスクトップでも遊べるのはかなり魅力的だ。すでに、ゼルダの伝説のイミテーションであり、オマージュでもあるOceanhorn 2が、仕事中の気分転換に適しているかどうかなど、盛んに話題になっている。

写真アプリは、iOS版の主要な機能を多く取り入れている。機械学習によるAIによって、最高のショットを選んでハイライト表示してくれる。また写真は撮影した日/月/年で分類される。写真のプレビューは大きく、ライブフォトやビデオの再生も可能となった。

より実用的な面について言えば、iOSデバイスとの同期とバックアップ機能についても、嬉しいアップグレードが施された。iTunesがなくても使えるようになったのだ。こうした機能に、Finderから直接アクセスできるようになったのは、確かに意味深い変更と言える。そもそも、そこにあるべきものだったのだ。iTunesの中から使えるようになっていたのは、初期のiTunesとiPodを組み合わせて使っていた時代の名残に過ぎないと感じられるものだった。それが、今やFinderサイドバーから直接利用できるようになった。

これまで同様、Macユーザーに対してmacOSの最新バージョンへのアップデートを勧めない理由は何もない。もちろん、それが無料だというのも、それを後押しする要因の1つだ。今回のアップデートは、記憶する範囲では、かなり革新的なものであり、ほとんどの新機能は待ち望まれていたものだ。すでに述べたように、個人的な理由で、Musicだけは愛用することにはならないだろうが、Sidecarは大歓迎だ。

macOS Catalinaは、すでにすべてのユーザーが利用可能となっている。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Sidecarや新ミュージックアプリなどmacOS 10.15 Catalinaの注目点

Catalinaほど、2019年現在のApple(アップル)の状況を縮図のように反映しているものはないかもしれない。このmacOSの最新バージョンは、Appleにとっての過渡期に登場することになった。デスクトップOSとして、コンテンツに注力するというAppleの方針、クロスプラットフォームの互換性への継続的な追求、そしてクリエイティブなプロユーザーを改めてMacに惹き付けようという動きのショーケースのようだ。

もうかれこれ数年にもなるが、macOSはiOSに主役の座を明け渡したままとなっていた。しかし、AppleがiPhoneによって、そのカテゴリに革命を起こして以来初めて、スマホの売上にも陰りが見えはじめ、長く続いたモバイルの勢いにも衰えが感じられるようになってきた。同社は明らかに、Apple TV+によって見込まれる10億ドル(約1000億円)規模の売上に将来性を見出している。その一方で、Mac Proのように、長い間失望を与えてきた製品の復興によって、かつてのコアな客層を取り戻そうとしているようにも見える。

macOS 10.15は、詳しく述べるべき多くのアップデートを含んでいるが、新機能に限って言えば、大きく2つのカテゴリに分けられるだろう。

  • 新しいミュージックとApple Podcast(さようならiTunes)、Apple TVによるコンテンツの提供方法の変更。
  • iOSやモバイルデバイスとの連携の強化。もちろん、これはAppleが長年の推し進めてきたことだが、iOS/iPadOSアプリの移植を容易にするProject Catalystと、iPadをMacのセカンドディスプレイとして使えるSidecarは、今回のmacOSのアップデートの中でも最大のものと言っていいだろう。

ミュージック

ある年齢以上のAppleユーザーにとって、これはちょっと感傷的なものだろう。macOSのアップデートは、時間の経過を計るための最善の方法ではないとしても、それは毎年毎年、機械仕掛けのようにやってくる。iPod Classicが、ゆっくりと、そして静かに消えてなくなったように、iTunesの終焉も、Appleにとって、そしてデジタルミュージック全般にとって、重要な一時期が過ぎ去ったことを象徴している。

もちろんAppleは、何年も前にiOS版のiTunesをミュージックとPodcastに分割した。それによってiTunesの、この避けられない運命を予告していたのだ。正直なところ、Mac版のiTunesが、ここまで長く生き延びてきたのは、むしろ驚きだ。

「ユーザーはiTunesが大好きで、その機能も気に入っています。それでも、何度も耳にしてきたのは、iTunesにはもっとできることがあるんじゃないの?ということでした」と、副社長のCraig Federighi氏は、WWDCのステージで冗談めかして言った。その後、カレンダーとメールの機能も含んだiTunesのモックアップを見せた。これは大きな笑いを取った。エンジニアは、こうしたジョークが大好きなのだ。

Appleは、新しい、スリムになったMac版のミュージックを、ソフトウェアの肥大化との戦いの一環と位置づけている。それも確かにそうだが、ここでもっと重要なのは、デジタル音楽が、所有するものからサブスクリプションベースのサービスに移行したことの方だ。Apple Musicが前面に出て目立つ存在となり、AppleがSpotifyのようなサービスと戦い続けるための援軍としての役割を果たすことになる。

とはいえ、名前や目指すところが変わっても、このアプリは、そのアイコンからして、長年のiTunesユーザーにとって馴染み深いものとなっている。さらに、20年近くも使われ続けてきたソフトウェアの名前が完全に消えてしまうのではないかと思っている人も、心配は無用だ。iTunesという名前は実際には「iTunes Store」として残る。こちらは、Appleのストリーミングサービスに対して、伝統的なダウンロード販売を続けることになる。各社の音楽レーベルは、今後もそこで音楽の購入を促していくことになるのは疑いようがないが、「iTunes」という名前が、将来に渡ってmacOSの中に存在し続けるかどうかはわからない。

感傷的なものかどうかは別として、「iTunes」と「ミュージック」という名前を今後両方とも使い続けるようにしたことは、なにかとユーザーの混乱を招くことになるかもしれない。私自身、今でもときどきPodcastアプリのことをiTunesと呼んでしまうことがある。身についた習慣はなかなか抜けない。

ミュージックのユーザー体験の中心的な存在となるのが「For You」だ。これは、iTunesにもあった一種のホームページで、アプリからの提案、最近再生された楽曲、あるいは友だちからのおすすめ、などが組み合わされて表示される。こうした提案も、以前よりずっとダイナミックなものとなっている。ユーザーの好みに合わせてApple Musicをカスタマイズするようなものだ。

このアプリは、まずAppleのサービスにサインアップするように促してくる。私も、ご多分に漏れず長年のSpotifyユーザーなので、そうするつもりはない。これは、Appleのサービスに加入せずに、自分のデバイスに保存されている音楽コレクションを聴こうとしている人にとっては、うっとうしいだけだ。サイドバーにある「アーティスト」、「アルバム」、「曲」のアイコンを直接クリックするか、検索範囲を自分のライブラリに制限することで、これはほぼ解決できる。

Apple TV

macOS版のApple TVアプリは、iOS版のすぐ後に続いて大きなアップデートを受けることになる。Appleは、この秋に登場予定の10億ドル(約1000億円)規模のプレミアムなストリーミングサービス、TV+を準備するため、非常に明からさまな推進策をあらかじめ用意したわけだ。

Apple Musicと同様、ここでの大きな変化は、ほとんどコンテンツにある。今年の年末に向かってAppleにとってかなり大きなパラダイムシフトになると見られていることに対して、どのように準備がなされているかを、それが表している。しかし、みんながTV+の降臨を待っている間に、Appleはこのアプリに重要な機能を追加した。チャンネルだ。

今年初めごろにあったApple TVのイベントで発表されたチャンネルは、HBO、Show and Startといったプレミアムネットワークをアプリに直接統合する。これは、Netflix、Huluなどと直接競合することになる。さらにAppleは、ケーブルテレビに取って代わることももくろんでいる。正直なところ、ComcastやTime Warnerのような会社がそれなりに受け入れられているところから判断すると、そうしたこともさほど難しくはないのかもしれない。もちろん、人々がAppleに目を向けて、Appleのもくろみ通りに事が運ぶかどうかは、TV+が首尾よくNetflixを置き換えることができるかどうかにかかっているだろう。

最上部には、コンテンツが「Watch Now」「Movies」「TV Shows」「Kids」「Library」という5つのカテゴリーに分けられたタブがある。この表示はApple Musicとも似ている。検索機能は閉め出され、ライブラリもいちばん後ろのタブへと格下げされている。今のところ、ダウンロードとケーブルチャンネルが主体だが、将来的には、間違いなくこれがApple TV+の購読を促すためのものとなるだろう。おそらく、TV+には独自のタブも用意され、さらに「今すぐ観る」の中で推薦されるアイテムの中でも重要な位置を占めることになるだろう。

子供用のタブも用意されることになる。そこには、家族向けの作品が一堂に集められることになる。たとえば、ミッキーマウスやチャーリーブラウンといった、よく知られている作品から、2-4、5-7、8-10のように年齢別に分類された映画やテレビ番組が並べられることになるだろう。

Apple Podcasts

Podcastsは、長い間iOS上で独自のスタンドアロンアプリとして日の目を見てきた。そして今、デスクトップ上にも居場所を見つけることになった。新しいミュージックアプリと同様、PodcastsもiTunesからそれほどかけ離れたものとはなっていない。現在では、およそ70万もの番組がある。独立したアプリになるには、ちょうどいい頃合いだったのかも知れない。このアプリも、成熟するにつれて、独自の個性を持つものになるだろう。

iOS版と同様に、「今すぐ聴く」がメイン画面となっていて、番組を新しいものから順に表示する。このような表示方法は、最初にiOS版に実装されたとき、賛否両論を巻き起こした。番組がポストされた順番にポッドキャストを聞きたいという人にとっては、あまり嬉しくない設定だ。その結果、あらかじめ「ライブラリ」にダウンロードしたものを、下から上に向かって聴いていくことになる。

個人的には、番組をどのように並べるか、もう少し自由に設定できるようにしてほしい。このようなことにこだわりを持っているのは、私だけではないと信じている。

他のすべてのコンテンツのアップデートと同様に、目的のものをどうやって見つけるのか、ということがやはりもっとも重要だ。Appleは近年、編集者が番組をピックアップして紹介することに力を入れてきた。ユーザーに興味を持ち続けてもらうには、おすすめのものを取り揃えるのがもっとも有効、かつ簡単な方法であることを理解しているからだ。ポッドキャストが、Appleのような大企業に重要視され続けているのを見るのは嬉しいものだ。そもそも、ポッドキャストという名前自体、Apple製品の名前にちなんで付けられたものなのだ。

サイドバーによる同期

これは、今月初めのWWDC基調講演では、ほとんど注目されなかったものの、興味深い新機能だ。デバイス間でのメディアの同期は、伝統的にiTunesの領域だった。Appleは、iTunesを分割して、アプリ自体は引退させることにしたので、残った同期機能を直接Finderに組み込むことにしたというわけだ。

今や、Macに接続したiOSデバイスは、ドライブと並んでFinderサイドバーに表示されるようになった。そこから、iOSデバイスのソフトウェアが最新かどうかをチェックしたり、iPhoneのバックアップや復元を管理することができる。また、ストレージの残量、バッテリーの充電状態、といった情報をまとめて確認できる。

上の方にあるメニューには、ミュージック、ムービー、テレビ番組、ポッドキャスト、オーディオブック、ブック、写真を管理するためのオプションもある。こうしたことを、すべてFinderで管理するというのには、ちょっとした慣れが必要だが、一箇所にすべてまとまっているのはよいことだ。

写真

正直に言うと、Mac版の写真アプリは、私はほとんど使わない。実際、今回Catalinaをインストールするのに使った仕事用のラップトップでは、起動したこともなかったようで、最初に起動する際にインストールプロセスをたどる必要があった。それでも、macOS版をこれまでのものよりも魅力的にする機能が、iOS版から持ち込まれていることがわかる。

ユーザーは日、月、年ごとに写真を見ることができる。写真に位置情報が含まれていれば、コンテキストを考慮した表示が可能となる。たとえば、記念日ごとにまとめた表示などができる。Appleは、数年にまたがって子供の誕生日をハイライトする、本当に魅力的な表示機能を基調講演のステージでデモしていた。それれは、あたかもFacebookの記念日機能をより強力にしたような感じのものだった。

iOS版と同様に、AppleはAIを使用してベストショットを選び、他のものよりも大きく表示してくれる。その際、あまり見栄えのよくないもの(たとえば私がメモとして撮っておくホテルの部屋番号のようなもの)はスクロールから除外される。スクロール中には、Live Photosが自動的に再生され、よりダイナミックな体験が得られるようになった。

Sidecar

これは数々の新機能の中でも、間違いなくもっとも期待されているものだろう。私自身、いちばんワクワクしている。私はこれまで、LunaとDuetを両方とも使ってきた。数ヶ月前まで、このような機能をAppleが自社の製品に取り込むことになるとは思ってもみなかった。しかし、それは現実のものとなり、私は興奮を覚えている。サードパーティの製品は、それぞれ独自の方法でこうした機能を実現し、さまざまな効果を備えていた。

Sidecarでは、iPadをセカンドディスプレイとして利用できる。サードパーティの製品も、私は特に出張時にとても重宝していた。目的地に着いたら、すぐにiPadを取り出してスタンドに設置し、TweetDeckや、オンラインリソースの表示用として使う。その間、Mac本体のディスプレイは、原稿を書くために確保しておける。

関連記事:iPadをMacの外部モニター/液タブにするアップル純正Sidecarの脅威

こうしたことすべてが、Sidecarの拡張デスクトップを使ってできるようになった。しかもそれだけではない。ついに、公式なタッチスクリーン付きのMacが、ほとんど実現したのと同じようなものだ。さらにApple Pencilも使えるのだ。そのためには、iPadのディスプレイをミラーリングモードで使う必要がある。この効果は、Wacomのタブレットを使って、メインのMac画面に表示されているコンテンツの上に描画するようなもの。その際、負荷の重い演算処理は、すべてMac側で実行される。

この最後の部分は、Appleがこの機能のターゲットと考えているユーザー層を考えると、特に重要だ。確かに、Sidecarは頻繁に出張する人にとって便利な機能だ。しかし、本当のターゲットは、クリエイティブなプロフェッショナルなのだ。かつてAppleは、この分野で独占的な状態にあった。しかし、MicrosoftのSurfaceシリーズのような製品との競合が、徐々に激しくなってきていた。

この機能は、PhotoshopやMayaなど、スタイラスをサポートするプロ用のアプリと互換性がある。ちなみに、MacBookのTouch Barは、iPadのディスプレイの底辺部分に表示される。セカンドディスプレイ上では、以下に挙げるようなさまざまなタッチジェスチャもサポートされている。

  • カット:3本指で上向きに2回スワイプ
  • コピー:3本指で上向きにスワイプ
  • 貼り付け:3本指で下向きにスワイプ
  • 元に戻す:3本指で左向きにスワイプ
  • やり直し:3本指で右向きにスワイプ

この機能が特に優れているのは、有線接続でも無線接続でも使えること。多くのワイヤレス機器を使っているような場所では、有線接続の方が確実だ。Appleによれば、このシステムは、最大10メートル離れていても無線で使えることになっている。BluetoothとWi-Fiを組み合わせることで、遅れを最小限にして通信できるという。

私は地元のコーヒーショップで、この機能をちょっと使ってみることにした。今その状態でこの原稿を書いている。実際に、その応答性の良さは感動的なものだった。使ってみると、あちこち変更したくなる部分はある。たとえば、iPad上のタッチバー表示の明るさを調整できれば、根本的に使いやすくなるのだが。

アクセシビリティ

障がいのある人にとって使いやすいものにするための機能を、さまざまな企業が自社の製品に追加するのを見るのは、いつも嬉しいものだ。Catalinaの音声コントロールは、その最たるもの。私自身は、今のところ実生活でそのような機能にアクセスする必要はない。しかし、WWDCでの発表の際に使われたビデオに紹介されていた機能を実際に試してみた。

当然と言えば当然だが、この機能に慣れるのには、かなり時間がかかる。システムが提供できる能力の限界を知るのもたいへんだ。しかし、ちょっと試してみただけでも、一般的な入力方法が使えないユーザーにとって、これが状況を一変させるものになるであろうことは容易に理解できた。

試しに、私は「Open Messages(メッセージを開け)」から始めてみた。それから「Show Numbers(数字を表示)」と言うと、さまざまな機能に対して数字がオーバーレイ表示される。これは、Siriに「compose message(メッセージを作成)」と言う代わりに、たとえば「15」と言うだけで、その行にテキストを入力し始められることを意味している。もちろん、まだこの機能は初期段階であり、すべてのサードパーティ製アプリで使えるようにはなっていないといった制限もある。しかし、Appleがこのような機能を実現したことは喜ばしい。

今後数ヶ月の間に、さまざまな新機能を実際に使ってみた上での記事がいろいろ出てくるだろう。Catalinaのパブリックベータ版は米国時間の6月24に公開された。正式バージョンは今秋にリリースされる予定となっている。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

この秋からiOSアプリがmacOSで動くようになる

Apple(アップル)は6月3日(日本時間6月4日)、WWDCの基調講演で、今秋公開されるmacOSの次期メジャーリリースであるmacOS Catalina(カタリナ)で、iOSアプリをmacOSで動かせるようになることを発表した。サードパーティーデベロッパーはこの秋からiOSアプリをMac向けにリリースできるようになる。

これは小さな変更に思えるかもしれないが、舞台裏では大きな変更が数多く行われたはずだ。昨年アップルは、ボイスメモ、Apple News、株価、およびホームの各アプリをmacOSに移植してこの機能を予告していた。

スクリーンタイムもMacにやってくるほか、iOS 13で加わる新機能のフォトギャラリー、メモのフォルダー、改訂されたリマインダーなどもmacOSで動作する。

想像されていたとおり、アップルはプロジェクトCatalyst(カタリスト)を使ってこれらのアプリを移植した。プロジェクトはアップルの内部コード名 Marzipan(マジパン)の名前で知られていた。

Catalystは今日からmacOS Catalinaの初期ベータ版とともにデベロッパーに公開される。今年の夏には多くのデベロッパーがこれを使って何かを作っているに違いない。

Gameloft、Twitter、Atlassianの各アプリは、すでにアプリをmacOSに移植している。つまり、次期バージョンのmacOSではTwitterのネイティブアプリをダウンロードできるということだ。デベロッパーは、この秋にユーザーがmacOS Catalinaにアップデートすれば、macOSユーザー向けにiOSアプリを提供できるようになる。

Catalinaは、iTunesの入っていない最初のmacOSになる。さようなら、iTunes。アップルはiTunesをApple Music、Apple TV、Apple Podcastsの3つに分割した。

Apple Musicは音楽のみに特化する。つまりiTunesよりずっと速くなるはずだ。Apple Podcastsは、ユーザーの所有する複数デバイス間で再生状態を同期できる。アップルはポッドキャストの音声コンテンツをインデックス化しているので、番組の検索が可能だ。

Apple TVアプリは、iOSデバイスやApple TVデバイス上のApple TVアプリ(ややこしくて申し訳ない)とよく似ている。ビデオのストリーミングは、4K HDR、Dolby AtmosおよびDolby Visionを備えて画質が向上した。

iOSデバイスをMacと同期したいときは、Finderの中にその機能がある。iTunesの同期画面とまったく同じ外見だ。

iPadをMacの外部ディスプレイとして使うことができる。サードパーティーアプリのDuet DisplayやLuna Displayと同様の機能だ。Apple Pencilをドロー機能や写真編集に使うこともできる。ケーブル接続でもワイヤレスでも利用可能。

アクセシビリティ機能では、ボイスコントロールがmacOSとiOSの両方にやってくる。例えば、アプリを開き、「scroll down」と言ってスクロールしたり、ボタンをクリックしたり、テキストや絵文字を音声入力したりできる。数多くのボタンやエリアに数字のラベルが付けらるので、音声でボタンなどのタップやクリックができる。

新しいmacOS(とiOS)アプリ(Find Myは」Find My iPhone(iPhoneを探す)とFind My Friends(友達を探す)を組み合わせたものだ。これに伴い、オフライン状態のデバイスも見つけられるようになった。オフラインのデバイスは同じエリア内のアップルのデバイスに暗号化された匿名の信号を送る。例えば、地下にあるバーにiPhoneを置き忘れたとき、近所の人が信号をキャッチしてFind Myアプリに位置情報を送ってくるかもしれない。

なんと言っても最大のニュースはCatalystだ。詳細はまだほとんどわかっていないが、アップルは本日午後に行われるセッション(Platforms State of the Union)で追加情報を発表する可能性が高い。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook