スペインのClideoは、インタラクティブなオーバレイを使って動画から直接買い物できるようにすることで、企業はよりスマートに消費者へリーチできるようになるという。
元Ki Groupの役員であり、イタリアのKPMGで合併や買収に携わったこともあるCEOのMichele Mazzaro(ミケーレ・マザーロ)氏は、動画には解決すべき大きな問題があると気づいた。「今のデジタルメディアでは、企業は多くの人とコミュニケーションできていない。大量のバナー広告やプリロール(本編開始前広告)やミッドロール(本編の途中広告)を視聴者に投げつけるだけだ。一人の消費者としても、この状態は好ましいものではない」という。
そこでマザーロ氏と共同創業者のNitzan Mayer-Wolf(ニッツァン・メイヤー-ウルフ)氏およびAndrea Iriondo(アンドレア・イリオンド)氏は、「どんな動画も発見の体験に変える」とマザーロ氏が呼ぶものを制作した。そのプロダクトは米国時間12月10日、Disrupt BerlinのStartup Battlefieldでプレゼンされた。
インタラクティブな動画と言ってもClideoは、EkoやNetflixが配信したBlack Mirror(ブラックミラー)の特別編「Bandersnatch」(バンダースナッチ)のような本編からの分岐ではなく、よくある動画に登場する製品を軸としており、その製品を買えたり、欲しい物リストに入れたり、ソーシャルメディアでシェアしたりする新機能が追加される。
マザーロ氏は「こういう機能があれば、企業はその製品に強い関心を持つオーディエンスがどんな人たちかを知ることができる」と主張する。「動画の予算をゴミ箱に捨てるのはやめて、消費者がポジティブな関心を持つ理由を知るべきだ」と同氏。
Clideoの動画は専用のプレーヤーが必要になるため、YouTubeやソーシャルメディアで再生できないが、FacebookやTwitterなどにリンクを投稿し広められるとマザーロ氏はいう。制約があるにも関わらず、マドリッドに本拠地を置く同社はすでに、スペインのModalia.comなどのeコマースサイトでテストされており、33%という高いコンバージョン率を出している。
インタラクティブでショッパブル(買い物できる)な動画は新しいアイデアではないが、マザーロ氏によると、これまではクリエイティブエージェンシーなどがごく一部のラグジュアリーブランドのために制作したものか、非常に限定的なインタラクティブ機能しかないビデオマーケティングプラットホームと称するものだったという。
マザーロ氏によると、Clideoは「クリエティビティを犠牲にせずにDIYでできるソリューション」だ。インタラクティブな動画をわずか5分で作ることも可能だという。
さらに彼のピッチ(セールストーク)によると、Clideoはビジネスモデルも独特だ。月額のサブスクリプションのほかに、企業は特別料金を支払うことで視聴者を買い物と決済のページに誘導できる。「私たちの目標と顧客の目標が同じサービスは、私たちだけだ」と同氏は自信を見せる。
Clideoはまだ自己資本だけで操業しているが、そのプロダクトはすでにグローバルで利用可能。初期の顧客はスペインとイタリアとイスラエルの企業になりそうだ。
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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa)