VMwareは今週ラスベガスで、顧客のためのカンファレンスVMworldを開催しており、その席で同社は、ボストンのCloudHealth Technologiesを買収したことを発表した。買収の条件は公表されていないが、ロイターの報道では買収価額は5億ドルとされている。
CloudHealthはVMwareに、重要なマルチクラウド管理プラットホームを提供する。そのツールはAWS, Microsoft Azure, Google Cloud Platformなどをサポートし、ユーザーは、クラウドのコストや利用、セキュリティ、パフォーマンスなどを一つのインタフェイスから管理できる。
クラウド市場はAWSが大きくリードしているが、それは広大で急成長中の市場であり、多くの企業が複数のプラットホームを使い分けている。それぞれの目的にもっとも合ったクラウドサービスを使いたいからだ。
このマルチクラウドのアプローチには単一のプロバイダーに縛られないという利点はあるが、一方、その管理がたいへんになる。そこでCloudHealthはマルチクラウドのユーザーに、単一のツールでそれらの環境を管理する方法を提供する。
VMwareでプロダクト管理とクラウドサービスを統括しているCOOのRaghu Raghuramによると、CloudHealthはマルチクラウドのオペレーションに伴うジレンマを解決する。彼曰く、“CloudHealth Technologiesが加わったことによって、複数のクラウドにまたがるコストとリソースや、アプリケーションのセキュリティとパフォーマンスを一元管理し、問題に迅速に対応できるようになった”。
つい先月、CloudHealthがサポートするクラウドプラットホームにGoogle Cloud Platformが加わった。CTOのJoe Kinsellaは、GCPのサポートを加えたことについて、こう述べている: “GCPでは、2015年にDiane Greeneが来て以来、いろんな企画が動き出し、エンタープライズへの適性が強化されている。その結果、われわれの顧客の間にも、急激に関心が高まっている”。
これによりCloudHealthの顧客も、大手プラットホーム三社のクラウドを安心して併用できるようになる。そして、かねてから顧客のハイブリッド環境や、マルチクラウド環境の管理を目指してきたVMwareにとっても、CloudHealthがいわば“買い時”になってきた。
これまで同社は、パブリッククラウドだけでなくプライベートクラウドやデータセンターも含めたすべての環境の一元管理を目指していた。それに対しVMwareもまた、さまざまなVMを使っている企業の、ハイブリッド環境の支援を、近年は志向してきた。
CloudHealthは、マルチクラウド管理のソリューションだけでなく、Yelp, Dow Jones, Zendesk, Pinterestなど、3000社の顧客をVMwareに連れてくる。
CloudHealthは2012年に創業され、これまで8700万ドルを調達している。最近では2017年6月のシリーズDで、Kleiner Perkins率いるラウンドにより4600万ドルを調達した。それよりも前のリード投資家は、Sapphire Ventures, Scale Venture Partners, そして.406 Venturesだ。