京急アクセラレータープログラム第2期にアイカサやecbo cloak、nearMeなどが選出

京浜急行は4月17日、ベンチャーキャピタルのサムライインキュベートと共同で開催中のスタートアップ支援の取り組みである「KEIKYU ACCELERATOR PROGRAM」の第2期に採択されたスタートアップを発表した。

採択企業には、TechCrunchでも何度も取り上げたことがある傘シェアサービス「アイカサ」を運営するNature Innovation Groupや、TechCrunch Tokyo 2017のスタートアップバトルのファイナリストである手荷物預かりサービス「ecbo cloak」を運営するecbo、TechCrunch Tokyo 2018のスタートアップバトルのファイナリストであるタクシーの相乗りのマッチングサービスを運営するNearMeが選出された。そのほか、ヘリコプターのライドシェアサービス「CodeShare」を展開するAirX、AIチャットボットを活用したホテルのカスタマーサポート支援サービスを提供するtriplaも選ばれ、合計は5社。

アイカサ(Nature Innovation Group)

Nature Innovation Groupでは今回のプログラムの採択により、品川駅周辺のオフィスビル数棟や駅周辺商業施設にアイカサを設置。利用者にとっては突然の雨でも傘を低コスト借りられる場所が増え、アイカサ対応店舗では傘を借りに来る利用者に向けての販促が可能になる。中長期的には、京急グループ保有の商業施設やオフィスビル、マンション、ホテルなどにサービスを導入して、雨の日限定のキャンペーン施策などによる相互送客を実施したいとしている。利用客の移動データの取得・分析も進める。

ecbo cloak(ecbo)

ecbo cloakはコインロッカー難民を救済するサービスで、駅構内やカフェなどの空きスペースに荷物を預けられるのが特徴だ。ecbo cloakサービスを京急沿線店舗に導入し、「手ぶら観光」の訴求や大型荷物による電車内の混雑解消を目指す。

tripla(tripla)

AIチャットボットを活用した多言語対応の宿泊予約サービスを、京急系列のホテルに試験導入予定。ホテルのウェブサイトに予約機能を実装することで、オペレーションコストの削減を実現する。今後はバスやタクシーなどの移動手段とのワンストップサービスも検討していくとのこと。

nearMe(nearMe)

NearMeは、同じ方向にタクシーで移動する人々をマッチングして、1人で利用するよりも実質的に安価なタクシー料金を実現するサービス。京急との取り組みにより、沿線の新たな移動手段を創出。今後は観光などの需要に合わせたオンデマンドシャトルの試験運行などを予定している。なお同社は5月をメドに、東急リゾートサービスが運営する「季美の森ゴルフ倶楽部」でのゴルフ場の相乗り送迎サービスの試験運行も予定している。

CodeShare(AirX)

ヘリコプターのライドシェアを提供しているAirXは、京急とは三島半島におけるエアモビリティーを活用した観光プランの実現を目指す。同社によると、日本国内ではヘリコプターが空を飛ぶ乗り物の4割ほどの台数を占めているが稼働率は10%未満と低いとのこと。そこで稼働していないヘリコプターの管理や整備を所有者から請け負い、これらを複数人でシェアすることで低料金での飛行を実現するという。将来的にはハイヤーと変わらない料金での利用も可能になるそうだ。

京急は、今回の2期、前回の1期で採択された企業への出資についてはまったくの未定とのことだが、協業は順調に進んでいるとのこと。

同社はモビリティを軸としたライフスタイルの提案を目指しており、具体的には第1期採択企業のヤマップとは、「MIURA ALPS PROJECT」(三浦アルプスプロジェクト)として、ヤマップが提供する「YAMAP」アプリ上で、三浦アルプス登山マップを整備。観音崎京急ホテルや葉山マリーナを起点とした三浦の山をめぐるトレッキングイベントも昨年開催した。日本美食とは、アリペイなど15種類のQRコード決済に対応する「日本美食Wallet」を「京急ツーリストインフォメーションセンター羽田空港国際線ターミナル」、ラーメンフードコート「品達羽田」、ショッピングセンター「ウィング高輪」の一部店舗に試験導入している。

ヘリコプターのライドシェアサービス「CodeShare」がサービス開始、東京から成田は20分5万9800円

ライドシェア系のサービスと言えば車を浮かべるかも知れないが、今回紹介するAirXの「CodeShare(コードシェア)」は、ヘリコプターのライドシェアサービスだ。ヘリコプター運航会社の有休在庫を活用することで、安価にサービスを提供するという。AirXは10月11日、サービスを開始した。

CodeShareがまず提供するのは、東京と成田空港、初島、箱根を結ぶルート。サイトにもあるように定期便ではなく、1席以上の予約が確定したタイミングでフライトが決定する。チケットは無料会員登録後に購入できる。ヘリコプターといえばチャーターで予約するイメージがあると思うが、冒頭の通りCodeShareはライドシェアサービス。飛行機同様、席ごとにチケットを購入するかたちとなる。

1人あたりの料金は東京〜成田空港が5万9800円、東京〜箱根、東京〜と初島が6万9800円となる。通常通りのチャーターであれば数十万円かかってしまう(AirXの提供するチャーターサービス「AIROS」では、初島までの片道で26万6000円。これに離着陸場の利用費用などがかかる)。なお機体の都合上、1フライトあたりの最大乗員数は8人までとなっている。東京23区から東京ヘリポート(新木場)への無料タクシー送迎、箱根、初島、成田空港への無料荷物配送も行うため、フライト当日は荷物なしでの搭乗が可能だ。

「ヘリコプターは渋滞がなく、高速で移動できる。だがこれまではチャーターでの提供が一般的。渋滞がないとは言え。貸し切り料金でしか使えなかった。一方でヘリコプターの稼働率は15%ほど。今後は『空』の市場が一般化されていく。(移動時間を短縮することで)時間を作り出すサービスを作っていく」——AirX代表取締役の手塚究氏はそう語る。手塚氏と取締役の多田大輝氏はいずれもフリークアウトの出身。同社を退職後、移動領域、物流領域のビジネスを模索する中でCodeShareを提供するに至った。同社は2016年にANRIおよび個人投資家から数千万円の資金を調達している。

AirXではすでに複数のヘリコプター運航会社とパートナーシップを結んでいるが、今後はそれを拡大。発着陸場所も増やすことで、さらなる路線の提供をねらう。

AirXのメンバーら。中央左が代表取締役の手塚究氏、中央右が取締役の多田大輝氏