米国ヘルスケアインフラの「ラストワンマイル」を拡大するColorが172.2億円調達

ヘルスケアのスタートアップColor(カラー)は、シリーズDラウンドで1億6700万ドル(約172億2000万円)という巨額を調達したことを米国時間1月4日に発表した。調達後の会社評価額は15億ドル(約1547億1000万円)となる。これで同社の調達総額は2億7800万ドル(約286億7000万円)となり、今回の大型ラウンドで得た資金は2020年の記録的な成長を足場に全米を横断するヘルスケア基盤を構築するために使われる。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの「ラストワンマイル」配達もその1つだ。

Colorの最新調達ラウンドをリードしたのはGeneral CatalystおよびT. Rowe Priceが投資したファンドで、ほかにViking Global Investorsらが参加した。この資金調達に加えて、Colorは複数の上級幹部を招き、最高プロダクト責任者に元OptimizelyのClaire Vo(クレア・ヴォ)氏、戦略・事業担当VPに元Uberで同社のIPOプロセスの重要な役割を担ったEmily Reuter(エミリー・ロイター)氏、およびマーケティング担当VPに元StripeのAshley Chandler(アシュリー・チャンドラー)氏がそれぞれ就任した。

「この『新型コロナ』危機によってインフラストラクチャーの欠如が白日のもとにさらされました。PCR検査、抗体検査、そして今はワクチンと何度も起きています」とColorの共同ファウンダーでCEOのOthman Laraki(オスマン・ララキ)氏は私のインタビューで語った。「私たちが開発しているモデルは非常にうまくいっていて、本格的にスケーリングするチャンスだと感じています。私が思うに今起きているのは、テクノロジーファーストモデルから始まった国の公衆衛生インフラストラクチャーの構築であり、これは多くの業界で行われているような既存の流通や資源にテクノロジーを付け足すアプローチとはまったく異なるものです」。

2020年はColorにとって記録的な年だった。これにはサンフランシスコ市との提携によって医療従事者と住民の検査体制を確立したことが大きく貢献している。ララキ氏は私に、同社は前年比約5倍の売上を達成し、顧客から得た売上を元に持続可能な成長の準備を整える一方で、2021年以降に向けての野心的計画のために、今が新たな資金を得て成長を加速する最適のタイミングだと語った。

ララキ氏はColorのアプローチについて、会社にとってコスト効率が良いだけでなく、提携するヘルスケア提供者にとって大きなコスト削減になると説明している。同氏はこのアプローチを、小売業のオンライン販売へのシフトになぞらえる。中でもあの業界の巨人に。

「いつかはAmazon(アマゾン)を作ることになります。アクセスとスケールに最適化したテクノロジーファーストの仕組みです」とララキ氏は話す。「それこそが現在、私たちがヘルスケアでやろうとしていることだと思っています。たった今、一種の触媒作用を受けていると感じるのは、私たちがこれを新型コロナウイルス危機に適用できることに気づき、実際にそれを予防に利用する準備を始めたことです。今後ヘルスケアの巨大な領域に適用されるものと私は考えています。基本的に、緊急性のない、病院にいかなくてもよいすべてのヘルスケアが対象です」。

究極的にColorのアプローチは、ヘルスケアの供給を見直し「町や村の外れでも人々の命に直接関われる体制」を「低コスト」の「スケーラブルで多くの診療リソースを使わない」方法で提供することだとララキ氏は語る。これは現在行われている方法に関する多くの既存の知識に依存せず、問題を再評価すれば十分可能だと彼は指摘する。従来の無駄を廃して、本当に必要な結果を提供することだ。

ララキ氏は、この問題を容易に解決できるとは思っていない。むしろ2021年はヘルスケア産業にとって多くの面で2020よりも困難な年になることを認めている。そして我々はすでに、始まったばかりのワクチンの配給・配達の問題に直面している。それでもララキ氏は、こうした課題への取り組みを支援するColorの能力については楽観的であり、重要な医療の「ラストワンマイル」配達システムを作って利便性を高めるとともに、すべてが間違いなく適切な方法で行われるための努力を怠らない。

「一歩離れて見てみると、そもそも新型コロナの検査やワクチン接種は、何ら複雑な手続きではありません。手順は驚くほど単純です」と彼はいう。「難しいのはそれを大規模に、かつ個人にとってもシステムにとっても非常に安いコストで行うことです。それにはまったく異なる段取りが必要なのです」。

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タグ:Color新型コロナウイルス資金調達

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Carbon HealthとColorの創業者はコロナ禍に米国医療を最先端にする力を見出す

新型コロナウイルスによるパンデミックは、米国における医療の2つの相反する現実を露呈させた。1つは、高額で複雑な治療を得意とする医療システムと、地域レベルでの十分なアクセスを提供できない医療システムだ。

公衆衛生インフラへのアクセスの欠如は、米国にとって最大の課題かもしれない。しかしながらこの現実は、ヘルスケアスタートアップにとってのチャンスも生み出している、とCarbon HealthとColorの創業者たちは、米国時間9月14日から始まったTechCrunch Disrupt 2020で語った。

Colorの創業者でCEOのOthman Laraki(オスマン・ララキ)氏はDisruptのTech, test and treat: Healthcare startups in the COVID-19 era(テクノロジーと検査と処置:COVID-19の時代のヘルスケアスタートアップ)で「ヘルスケアを誰にでも利用しやすくすることを考えると、費用に注目しがちであり、それは間違いなく大きな問題だ。しかしヘルスケアを利用しやすくするためには、ヘルスケアをそれが生活の一部となっている人たちへ実際に届けることです。恵まれない人びとのコミュニティなどでは、費用よりもアクセス性の方が大きな問題であるケースが多くあります」。

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プライマリケアのスタートアップであるCarbon HealthとColorは、すでにこの問題に取り組んでいる。Carbon Healthの場合は、質の高いプライマリケアを地域レベルで実現する同社のビジネスモデルが、それにより新型コロナイルス流行に対して早い段階での洞察を与えた。

Carbon Healthには現在、25のプライマリケアの拠点が25あり、共同創業者でCEOのEren Bali(
エレン・バリ)氏は早ければ2020年2月に、中国の武漢からCOVID-19に似た症例の患者が直接クリニックに訪れるようになったという。

Carbon Healthの技術プラットフォームは、患者が訪れる前に問診し、それにより重要なデータを収集して、事前に患者の症状や問題を評価する。このような早期の洞察により、Carbon Healthに2つの選択肢が残されていた。閉鎖して新型コロナの嵐が過ぎ去るのを待つか、その嵐に飛び込むかという選択肢だ。バリ氏によると、Carbon Healthは後者を選んだ。

ララキ氏とバリ氏のTechCrunch Disruptにおける9月14日のコメントは、両社のビジネスモデルと成長の過程をよく表現している。新型コロナウイルスはただ、そのスピードを速めただけだ。

今週初めにCarbon Healthは、ポップアップ方式のクリニックを新たに立ち上げた。クリニックは現在、ブルックリンとマンハッタン、ロサンゼルス、サンフランシスコそしてシアトルにある。今後数週間でデトロイトなどにも開設され、最終的には1カ月に10万人の患者に対応できる100カ所の新型コロナウイルス検査施設を新たに立ち上げる。サンフランシスコのクリニックでは、ColorがCarbon Healthと提携している。

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一方、パンデミックが全米を吹き荒れる中でColorは、新型コロナウイルス検査をめぐる物流やとサプライチェーンの制約を緩和するためのプラットフォームを構築した。ベイエリアで大規模な自動化された検査ラボを運営する同社は、同地区での検査の75%を処理している。

今日でも、このようなハイパーローカルレベルの医療には限界がある。例えば手術が必要な人は病院へ行かなければならないが、そこまで数時間かかることもある。

「手術まで『エッジ』で行えるようになるのは、そう簡単なことではありません。しかし現在起きていること、そして今後10年間で起きるであろうことは、真の意味でのエッジ分散型の医療を実現につながるものなのではないでしょうか」とララキ氏は手術を例に説明する。

このアイデアは、テクノロジーによってヘルスケアが費用対効果の高いモデルでコミュニティに取り込まれることが可能になり、よりアクセスしやすくなるというものだ。「現在の米国ではまだ存在していないが、実際にアイデアは実現され初めていると考えています。根本的にはテクノロジーの問題だと思います」とララキ氏は付け加えた。

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画像クレジット: Carbon Health

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa