バイデン大統領がソーシャルメディアのメンタルヘルスへの影響について訴え、一般教書演説で

ホワイトハウスは、バイデン大統領による初の一般教書演説に先立ち、米国におけるメンタルヘルスの危機に取り組む計画を発表し、特にソーシャルメディアが子どもや10代の若者に与える影響について強調した。この問題は、一部の議員の間で重要視されている。特に、内部告発者のFrances Haugen(フランシス・ホーゲン)氏がFacebook(フェイスブック、現在はMeta)に不利な内部文書を大量にリークした後はそうだ。内部文書には、10代の若者への悪影響を同社が認識している証拠も含まれていた。

ホワイトハウスによると、バイデン大統領は議会に対し、プライバシー保護の強化、子どもへのターゲット広告の禁止、テック企業による子どもの個人情報収集の停止を要請する。

一般的に、一般教書演説でテック企業が重要な役割を果たすことはない。バイデン大統領が米国3月1日夜、ロシアのウクライナ侵攻に関するより差し迫った危機を考慮し、言及さえしない可能性もある。とはいえ、大統領はソーシャルメディアのプラットフォームに対し、若いユーザーの安全を守るよう呼びかけている。ファーストレディのJill Biden(ジル・バイデン)博士がホーゲン氏を特別ゲストとしてこのイベントに招待したことは、ソーシャルメディア幹部に対する5回にわたる上院公聴会のきっかけとなったホーゲン氏の主張に、大統領が注目していることを示している。

「大統領は、子どものデータとプライバシーの保護をはるかに強化すべきと考えているだけでなく、プラットフォームやその他の双方向デジタルサービス提供者は、製品やサービスの設計において、利益や収益よりも、子どもや若者の健康、安全、幸福を優先させ確保すべきだと考えています」。ホワイトハウスのブリーフィングには、こう書かれている。

この文言は、ホーゲン氏が議会に登場した際に使っていた言い回しを彷彿とさせる。同氏は「60 Minutes」のインタビュー以来、元社員としての立場から、Facebookは安全性よりも利益を優先していると繰り返してきた。

大統領はまた、ソーシャルメディアが私たちにどのような害を及ぼすのか、およびその害に対処するためにどのような臨床的・社会的介入が可能かについての研究に、少なくとも500万ドル(5億7500万円)を投資する計画の概要を示した。また、米保健福祉省は「ソーシャルメディアとメンタルウェルネスに関する全米センター」を立ち上げ、10代のソーシャルメディア利用がもたらす影響について一般市民に啓蒙していく予定だ。

バイデン大統領はまた、子どもたちを対象とした過剰なターゲット広告やデータ収集を禁止するよう議会に要求する見通しだ。2000年に施行された児童オンラインプライバシー保護法(COPPA)は、13歳未満のユーザーの追跡やターゲティングを制限することを目的としているが、プラットフォームがユーザーの年齢を認識していることが証明されない限り、この法律を適用することはできない。つまり、子どもが「はい、私は13歳です」というボックスをクリックするだけで、子ども向けではないコンテンツにアクセスできてしまうため、COPPAは簡単に適用できないことが多い。

すでに一部の議員は、COPPAをより効果的なものにするためにアップデートを試みている。Ed Markey(エド・マーキー)上院議員(民主党、マサチューセッツ州)とBill Cassidy(ビル・キャシディ)上院議員(共和党、ルイジアナ州)は2021年、インターネット企業が13〜15歳のユーザーの個人データを本人の同意なく収集することを違法とする法案を提出した。この法案はまた「消去ボタン」を設け、ユーザー(またはその親)が、企業が収集した自らに関するデータを手動で消去できるようにするものだ。

「消去ボタン」のコンセプトは、Richard Blumenthal(リチャード・ブルメンタール)上院議員(民主党、コネチカット州)とMarsha Blackburn(マーシャ・ブラックバーン)上院議員(共和党、テネシー州)が最近提出した「Kids Online Safety Act(KOSA)」にも登場する。2021年10月には、YouTube(ユーチューブ)、TikTok(ティクトック)、Snap(スナップ)の代表者が上院の公聴会で、親が自分の子どもや10代の若者のオンラインデータを消去できるようにすべきだという意見に同意した。

ホワイトハウスのブリーフィングでは、アルゴリズムが選ぶコンテンツが、特に若い有色人種の女性の間で、メンタルヘルスに悪影響を与える可能性があることも取り上げている。

「『黒人の女の子』、『アジア人の女の子』、『ラテン系の女の子』と検索すると、ロールモデルやおもちゃ、アクティビティではなく、ポルノなどの有害なコンテンツが並ぶことがあまりにも多い。プラットフォームは、子どもたちが何が可能かを理解し、アクセスする機会に方向性を与えます」と報告書は述べている。「私たちは、プラットフォームやその他のアルゴリズムによって強化されたシステムが、差別的に子どもたちを標的にすることがないようにしなければなりません」。

ここ数年、ホワイトハウスがこのブリーフィングで説明したような問題を解決することを目指す法案がいくつか議会を通過したが、ほとんどは可決されるに至っていない。法案が成立するほどの勢いになっても、意図したことが達成されないこともある。トランプ前大統領は2018年「オンライン性的人身売買対策法(FOSTA)」に署名し、法制化した。その名の通り、人身売買を抑制するための法律だったが、かえって合意の上で働くセックスワーカーにとって、より危険な状況を作り出しただけだった。

バイデン大統領は、研究に500万ドル(約5億7500万円)を投じ、ソーシャルメディアとメンタルウェルネスに関する全米センターを設立したが、ソーシャルメディアとメンタルヘルスに関するコメントは、長年にわたって議会で議論されてきたことを繰り返したに過ぎない。しかし、これらのメッセージから、大統領が少なくとも、米国人のオンラインでの生活にいくらか注意を払っていることがわかる。

バイデン大統領は一般教書演説で、ソーシャルメディアの巨人に関する計画を示唆した。

「パンデミック以前にも、子どもたちは苦労していました。いじめ、暴力、トラウマ、そしてソーシャルメディアの害。今夜ここにいるフランシス・ホーゲン氏が示したように、我々はソーシャルメディアプラットフォームが利益のために子どもたちに対して行っている国家的な試みに対して責任を負わせなければならないのです。今こそ、プライバシー保護を強化し、子どもへのターゲット広告を禁止し、テック企業に子どもの個人情報収集をやめるよう要求するときです」。

また、ホーゲン氏は演説後、バイデン大統領の発言についてコメントした。

「バイデン大統領が一般教書演説でこの問題を提起し、これにより我々がソーシャルメディアが子どもたちの精神衛生に与えている真実の暴露を続け、この恐ろしい現実を変えるためにすべての関係者に力を与えられることに感謝しています」とホーゲン氏は報道機関にメールで送った声明で述べた。声明はTwitter(ツイッター)にも投稿された。「FacebookとInstagram(インスタグラム)は、私たちを中毒にし、また子どもと私たち自身の最悪の事態を増幅させるために設計された欠陥商品です。彼らは私たちの子どものメンタルヘルスを犠牲にして利益をあげているのです」。

【更新】3月2日米国東部時間午前9時20分、バイデン大統領とフランシス・ホーゲン氏の言葉を盛り込んだ。

画像クレジット:Al Drago/Bloomberg via Getty Images / Getty Images

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Nariko Mizoguchi

アドエクスチェンジのOpenX、子どもの位置情報収集で連邦取引委員会が罰金

広告テクノロジー企業のOpenX(オープンX)は、同社が米国の児童プライバシー法に違反したという疑惑を解決をするため、連邦取引委員会に200万ドル(約2億3000万円)を支払うことになった。

連邦取引委員会は、カリフォルニア州中央地区連邦地方裁判所に提出した訴状において、OpenXが親の同意を得ずに13歳未満の子どもから個人情報を収集したことにより、児童オンライン・プライバシー保護法(COPPA)に違反したと主張している。

カリフォルニア州に本社を置くこの企業は、子どもや幼児、就学前児童の学習用に販売されている数百ものアプリから故意に情報を収集し、このデータ(詳細な位置情報、IPアドレス、デバイスの固有識別子など)を、ターゲット広告に使用する第三者に渡したとしても告発されている。

「OpenXは、子ども向けアプリから直接または間接的に数百万から数億のアドリクエストを受信し、子どもの個人情報を含む数百万から数億のビッドリクエストを送信した」と、訴状には書かれている。

連邦取引委員会の訴状では、OpenXはCOPPAに違反したことに加え、データ収集をオプトアウトしたユーザーから詳細な位置情報を収集していないと偽り、連邦取引委員会法に違反したと主張している。連邦取引委員会によると、OpenXは、一部のAndroidユーザーが位置情報の収集を「許可しない」を選択した後も、位置情報の収集を続けていたとのことだ。

「OpenXは、位置情報を密かに収集し、子どもを含む大規模なプライバシー侵害の扉を開きました」と、連邦取引委員会の消費者保護局で局長を務めるSamuel Levine(サミュエル・レビン)氏は述べている。「デジタル広告のゲートキーパーは、舞台裏で活動していても、法を免れることはできません」。

連邦取引委員会の理事を務めるNoah Joshua Phillips(ノア・ジョシュア・フィリップス)氏は、別の声明の中で、この命令は当初、OpenXに対して750万ドル(約8億5000万円)の罰金を求めていたが、同社の支払い能力が不十分であったため、罰金を200万ドルに減額したと述べている。また、この和解案では、同社がターゲット広告を配信するために収集したアドリクエストのデータをすべて削除し、COPPAを完全に遵守するための包括的なプライバシープログラムを実施することが求められている。

OpenXはTechCrunchのコメント要請にすぐには応じなかったものの、和解案に言及したブログ記事の中で、データ収集は「意図しないミス」であるとし、内部検査の結果「99%以上のドメインとアプリは適切に分類されていた」と述べている。

「当社は、COPPAを完全に遵守するために、ポリシーや手順の見直しと強化に取り組んでいます。また、質的および量的属性の厳格な基準に引き続き従い、サイトやアプリが当社のエクスチェンジに含まれるのに適しているかどうかを判断していきます」と同社は述べている。

画像クレジット:Bryce Durbin

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(文:Carly Page、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Snap、TikTok、YouTubeの公聴会で、米議員がオンラインで子どもたちを守る新ルールを声高にアピール

Instagramでの10代のメンタルヘルスに関する情報暴露の影響は、Facebookだけではなく、今も続く。米国時間10月26日、YouTubeとSnap、TikTokのポリシー担当者が、子どもたちとオンラインの安全性について議会で議論した。SnapとTikTokが主要な技術系の公聴会に登場したのは初めてのことだ。

関連記事:FacebookはInstagramが10代に悪影響を及ぼすことを把握していながら子供向けアプリ立ち上げを計画、この計画はさらに有害だと考えられる

上院の国消費者製品安全委員会が開催したこの公聴会では、この話題に触れるのは時間の半分程度にとどまった。委員会の共和党メンバーは、TikTokの幹部との貴重な時間を、同社と中国政府との関係をめぐるプライバシーの懸念についての質問に絡めようと必死だった。


このような逸脱はあったが、公聴会では、3人のポリシー担当者が、議会で審議されている具体的な政策案について、イエス / ノーで答えるよう求められるなど、有益な場面もいくつか見られた。公聴会では、Snapのグローバルパブリックポリシー担当副社長のJennifer Stout(ジェニファー・スタウト)、TikTokのパブリックポリシー担当副社長兼責任者のMichael Beckerman (マイケル・ベッカーマン)、YouTubeで政府関係およびパブリックポリシーを担当するLeslie Miller(レスリー・ミラー)が証言を行った。

YouTubeとTikTokの両社は、米国においてオンラインプライバシーに関する包括的な法律を制定することを求め、ベッカーマン氏は、国家的なプライバシー法の法的枠組みを「遅きに失した」と評価した。また、3社とも、親は子どもや10代の若者のオンラインデータをすべて消去できるようにすべきだという意見で一致しており、スタウト氏は、Snapchatのデータは仕様上消去されるようになっていると指摘している。しかし、Snapchatのプライバシーページには、同社が位置情報データを「どのくらいの精度で、どのサービスを利用しているかによって異なる期間 」保持することができる旨記載されている。

Ed Markey(エド・マーキー)上院議員(マサチューセッツ州)は、自身もTikTokで人気を博しているが、公聴会では、彼が「21世紀のプライバシー権利章典」と呼ぶ、子どもたちのための権利を主張した。マーキー氏は、自身が提案した児童オンライン保護法(COPPA)の改正案について、若いソーシャルメディアユーザーの保護を強化すると述べた。この法律は、テック企業が13歳から15歳までのユーザーのデータを明示的な同意なしに収集することを禁止し、未成年者の個人データを簡単に削除できる「削除ボタン」を導入するとともに、ソーシャルメディアのプラットフォームが収集できる情報の種類をより広範囲に制限するものだ。

マーキー氏は、COPPAの変更を支持するかどうかについて、各企業の担当者に質問した。TikTokを代表してベッカーマン氏は、同社はこの提案を支持するが、プラットフォームがユーザーの年齢を確認するための標準的な方法も、それ以上ではないにしても、同様に重要であると考えていると述べた。

SnapはCOPPAの提案にコミットしなかった。そして、マーキー氏はスタウト氏がテック企業が具体的な内容にコミットすることを拒否する「古いゲーム」をしていると揶揄した。YouTubeは、過去にCOPPA違反でFTC(連邦取引委員会)から1億7000万ドル(約193億円)という歴史に残る罰金を科せられたが、明確な約束はせず、マーキー氏のスタッフと「建設的な」話し合いを行ったことを強調した。

公聴会では、マーキー氏とブルメンタール氏は、2021年9月に再提出した「KIDS(キッズ・インターネットデザイン安全法」も強調した。この法案は、16歳未満のオンラインユーザーを、オートプレイ、プッシュアラート「いいね!」ボタンなどのエンゲージメントを高める機能から保護するものだ。また、16歳未満の子どもを対象としたインフルエンサーマーケティングを禁止し、プラットフォームに対し、有害なコンテンツを若いユーザーに提供した場合の報告システムの構築を義務付けるものだ。

画像クレジット:Jakub Porzycki/NurPhoto / Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Akihito Mizukoshi)