MaaSプラットフォーム「CREW」を提供するAzitは11月20日、特定⾮営利活動法⼈の中越防災フロンティアと共同で、新潟県⻑岡市の⼭古志地域におけるCREWの実証実験を開始した。
CREWは”乗りたい”と”乗せたい”を繋げるモビリティのプラットフォーム。アプリで出発点と到着点を設定すると、「CREWパートナー」と呼ばれるドライバーとマッチングされ、指定した場所まで送ってもらう ことが可能。⽬的地に到着すると、ライダーとドライバーそれぞれが相互評価をする。ここ日本において自家用車を使った営業目的のいわゆるライドシェアは白タク行為となり法律で禁止されている。だが、CREWは利用者がガソリン代、システム利用料、そして任意で謝礼を支払うという仕組みのため、法律に抵触しない配車サービスとなっている。
この実証実験を通して「⾼齢者を中⼼とした⼭古志地域の住⺠の移動をサポート」することを目指すというAzitと中越防災フロンティア。Azitのこれまでの地方での取組は全て観光客による利用を想定するものだったが、今回は初の「住民向けのサービス提供」に向けての実証実験となる。
新潟県の中央に位置する⼭古志地域の⼈⼝は2019年9⽉1⽇現在、約1000⼈。Azitいわく、⼭古志地域では、2004年の新潟県中越地震をきっかけに路線バスが運休や減便され、2007年には廃⽌の決定がなされた。現在は中越防災フロンティアが主体となりコミュニティバスの「クローバーバス」を運行させているが、実態としては住⺠の移動需要を賄いきれていない。
Azitの取締役CCO、須藤信一朗氏は「これまでも日本各地では、住民同士の移動の助け合いは行われてきており、それぞれの地域で重要な移動手段の一つとなっています。山古志でも『クローバーバス』というコミュニティバスが、この度一緒に取り組みを行うNPO法人の中越防災フロンティアにより運営されており、地域に欠かせない交通機関となっています。しかし、ダイヤがない時間帯や、停留所がない場所への移動需要に対応する移動手段が足りていない現状もあります」と話す。
「CREWはそんな、これまで地域を支えてこられた交通機関と共存し、補完する存在としてサービスを提供してまいりたいと考えています。また、山古志は特に高齢化が進んでいる地域でもあるので、免許返納後のあたらしい移動手段として住民の方々にCREWを使っていただけるよう、サービスの運営と改善につとめてまいります」(須藤氏)。
中越防災フロンティアの理事で事務局⻑の⽥中康雄氏いわく、⼤きな費⽤がかかってしまうため、すぐにはバスの増便には対応できない。加えて、Azitの説明によると⾼齢者の“⾃家⽤⾞以外”を利用した移動に対する需要も⾼まっている。そのため、田中氏は「地域に今ある⾞を活⽤して新たな移動⼿段を確保できる」CREWに目をつけた。
田中氏は「CREWで住⺠が快適に移動できるようになることはもちろんですが、CREWの利⽤を通して⼭古志の⾼齢者がスマートフォンの利⽤に慣れ、より快適な⾒守りサービスや配⾷サービスの提供にも繋げることができればと考えています」とコメントしている。