ボーイングとNASAは無人軌道飛行の再挑戦を2020年9月に設定

Boeing(ボーイング)とNASAは、Commercial Crew(商業乗員輸送開発)計画におけるボーイングのCST-100宇宙船の定期有人飛行用としての認可取得に向けた予定を更新した。CST-100とボーイングの商業乗員輸送開発にかける強い想いは、2019年に初めての無人軌道飛行テスト中の思わぬ障害に遭遇した。ソフトウェアのエラーのために飛行予定が狂い(未訳記事)、ミッションを早々に断念。国際宇宙ステーション(ISS)まで送るという目標を達成できなかったのだ。

米国時間8月28日のNASAのブログ記事には、NASAとパートナーであるボーイングは、無人飛行テストの再挑戦を2020年12月よりも前に実施することを目指していると書かれていた。これには、完全に再利用可能なStarliner(スターライナー)CST-100が使用され、人は乗らないものの、軌道上のISSとのランデブーとドッキング、帰還、着陸の操縦、カプセルの回収といった打ち上げの際の乗員の作業を、ライブかつ完全自動のシミュレーションで行うことにしている。

2019年12月に行われた最初の軌道飛行テスト(OFT)では、同宇宙船は、計画どおりUnited Launch Alliance(ユナイテッド・ローンチ・アライアンス、ULA)のAtlas V(アトラス・ファイブ)ロケットに載せられフロリダ州ケープカナベラルから打ち上げられた。ところが、ロケットから切り離された直後、宇宙船に搭載されたミッションタイマーに問題が発生した。それによりスラスターが誤作動し、燃料が浪費される事態に陥った。通信障害も発生したため、NASAはこの事故に対処できず、計画どおりにISSまで飛行するために必要な燃料を残せなかった。だが、カプセルは無事に地球に帰還し、飛行中の貴重なデータを提供してくれた。

NASAとボーイングは、その後、ボーイングのソフトウェア開発計画を包括的に見直し、さらにNASA自身も官民パートナーシップに付随する実務も再検討し、いくつもの是正処置を講じた。その審査が2020年7月に完了し、現在、NASAとボーイングは、2回目のテスト飛行に向けて活動を再開している。

ボーイングにとって、この出直しにかけるものは大きい。商業乗員輸送開発におけるNASAのもう1つのパートナーであるSpaceX(スペースエックス)には、認証プログラムに関して少なくとも1年は先を越されている。SpaceXは先日、Dragon(ドラゴン)宇宙船を使った初の有人試験ミッションを成功させ、早ければ10月には最初の有人運用ミッションを実施する予定だ。

OFT-2がボーイングの思惑どおりに進めば、Starlinerの最初の有人試験飛行は、早ければ2021年6月の打ち上げが可能となる。最初の運用ミッションは、現在は2021年12月に設定されている。もちろん、これらすべての予定は確定でない。

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カテゴリー:宇宙

タグ:Boeing NASA

画像クレジット:Boeing

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(翻訳:金井哲夫)

ボーイングのStarliner宇宙船、米国製有人カプセルとして初の砂漠着陸に成功

米国から新たに宇宙飛行士を運ぶ宇宙船の一つとなるBoeing(ボーイング)のCST-100 Starlinerが、軌道から帰還しニューメキシコ州ホワイトサンズにある目標地点に無事着陸した。米国時間12月21日の記者会見で説明されたミッションスケジュールのとおり、カプセルは東部標準時7時58分に着陸した。

Starlinerには誰も搭乗していなかったが、その代わりに打ち上げ、国際宇宙ステーション(ISS)とのドッキング、地球への帰還を目的とした、最初のテスト飛行を実施した。しかし、予定どおりには飛行できなかった。ISSとのドッキングは宇宙船に搭載されていたミッションタイマーのエラーが原因で、初期の軌道飛行中に過剰な燃料を消費し、その後にミッションパラメータの変更を余儀なくされた。

しかし今回のミッションでは、着陸を含む計画されていた操作を実行し、宇宙船の飛行に関する多くのデータを収集できたので、ボーイングにとっては多くの収穫があった。さらに今回の着陸は、海上に着水したマーキュリー計画やジェミニ計画、アポロ計画とは異なり、米国製のカプセルが宇宙から帰還し地上(砂漠)に着陸した初めてのケースでもあることから、重要な意味を持つ。

Starlinerは、東部標準時7時23分ごろ(日本時間12月21日21時23分)に軌道を離脱する燃焼を開始し、地球の大気圏に再突入し、計画どおりに3つの降下制御パラシュートをすべてを展開した。宇宙船はボーイングとNASAが回収し、搭載コンピューターからさらにデータを収集して調査する。カプセルには 「Rosie」(ロージー)と呼ばれる飛行テスト用のダミーも搭載されており、開発チームは人間が搭乗した場合の着陸に関する影響を予測できる。

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(翻訳:塚本直樹Twitter

ボーイングのStarliner乗員カプセルが軌道に乗り損ねてISSとドッキングできず

【抄訳】
Boeing(ボーイング)の乗員輸送宇宙船Starliner CST-100は、米国時間12月20日に初めての国際宇宙ステーション(ISS)への打ち上げを大成功させたが、しかしロケットと打ち上げ機は期待通り動作したにも関わらず、Starliner宇宙船自体は、打ち上げ後、自分のミッションを開始する際に思わぬ障害にぶつかった。

Starlinerのカプセルは、二段目のロケットULA Centaurからの切り離しに成功し、宇宙の軌道外ターゲットに到達したが、Starlinerが自らのエンジンに点火して目的の軌道へと進もうとした際、必要な噴射が起こらなかった。ボーイングによると、同機は太陽電池を安定して充電できる位置の確保はできており、地上チームが、宇宙船を必要な位置に到達させるために次にどのような操作をすればよいかを検討しているという。

NASAの管理官Jim Bridenstine(ジム・ブリデンスティン)氏は、東部時間午前8時45分のツイートで、そのエラーに関する中身のある最初の最新情報を投稿した。それによると、何らかの出来事により宇宙船Starlinerが「そうではなかったのに、自分は軌道投入噴射をしていると思った」という。

[Jim Bridenstine: Mission Elapsed Time(MET、ミッション経過時間)が異常を起こし、そのせいで宇宙船は自分が軌道投入噴射をしていると信じたが、しかしそうではなかった。次の情報は東部時間午前9時にご報告する。]

ミッション用の時計は何らかのバグかエラーに遭遇して、Starlinerのシステムに実際のミッションの段階ではなく、違う段階にあると伝えた。その結果、宇宙船は予定外に燃料で噴射し、計画されていた軌道投入点を通り過ぎてしまった。その後、Starlinerは二目の噴射を行い安定した軌道をとるが、状況では計画どおりに国際宇宙ステーションへ到着することはできない。

【後略】

[原文へ]
(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ボーイングによるISS向け新宇宙船の初打ち上げをライブ配信

Boeing(ボーイング)は新しい宇宙船の国際宇宙ステーション(ISS)への最初の飛行という、重要な打ち上げを準備している。CST-100 Starlinerはボーイングにとって、スペースシャトル計画が終了して以来初めて、米国から宇宙飛行士を打ち上げるというNASAの商業乗員輸送プログラムに対する貢献である。

米国時間12月20日の打ち上げは、フロリダのケープカナベラル空軍基地から東部標準時6時36分(日本時間同日20時33分)に実行された。StarlinerのカプセルはULA(ユナイテッド・ローンチ・アライアンス)のAtlas Vロケットに搭載され、宇宙にて分離され、ISSとのドッキングに必要な軌道に向けて飛行する。

これは有人飛行に向けた重要な打ち上げだが、今回は宇宙飛行士は搭乗していない。これは「軌道飛行試験(OFT)」と呼ばれるもので、ISSステーションへの実際のフライトで使用されるすべてのシステムをテストし、すべてを有人ミッションと同じように実施するものだ。

すべてが計画通りに進めば、OFTの成功は来年前半のいずれかの時点に実施される有人試験飛行という目標に向けた、重要なマイルストーンになるだろう。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter