LINEがCA、グリーとゲーム合弁会社2社を設立、脳トレアプリ「BrainWars」に出資

gumiと提携してゲームの海外展開を強化中のLINEだが、その動きがさらに加速しそうだ。サイバーエージェントと10月31日、グリーと11月4日に、それぞれLINE向けゲームを開発する合弁会社を設立する。LINE GAMEは「LINE POP」や「ディズニーツムツム」をはじめとするカジュアルゲームでヒットを連発。最近ではgumiが得意とするミッドコアゲーム(カジュアルゲームよりもやりこみ要素があるゲーム)に注力する同社だが、新会社ではRPGやシミュレーションゲームといったタイトルを国内外に投入していく。

LINEがゲーム分野でジョイントベンチャーを設立するのは初めて。その相手となるサイバーエージェントについてLINE上級執行役員の舛田淳は、「ゲーム事業の連結子会社を9社も抱えていて開発力がある」と評価。新会社の社名は協議中だが、代表取締役社長には、サイバーエージェント取締役副社長の日高裕介が就任する。サイバーエージェントはゲーム事業だけで約1700人を抱え、現在は42タイトルを提供している。

グリーとの合弁会社の社名は「Epic Voyage」。資本金は1000万円で、代表取締役にはグリー取締役執行役員の荒木英士が就任する。新会社では、日本や北米、韓国に開発拠点を構えるグリーのノウハウを活かし、コアゲームを投入していきたいという。

世界のポテンシャルを感じるスタートアップに出資

9月に設立した100億円規模の投資ファンド「LINE GAME Global Gateway」を通じて、リアルタイム対戦型脳トレ「BrainWars」を提供するトランスリミットに出資した。同ファンドの第1号案件となる。LINEはゲーム開発を資金面で支援する。トランスリミットはLINEのユーザー基盤を生かした新たなゲームの開発に着手する。

BrainWarsは米国やアジア圏で利用者を集め、150カ国で300万ダウンロードを突破。海外ユーザー比率は95%に上り、米App Storeのゲームカテゴリでは1位を獲得している。「世界のポテンシャルをもっとも感じさせてくれるスタートアップ」(舛田)。トランスリミットはLINEの投資ファンドに加えて、ユナイテッド、East Ventures、Skyland Ventures、Genuine Startupsを引受先として、総額3億円の資金調達を実施した。


サイバーエージェントがAmeba事業の大改革、人員を半減しネイティブアプリや音楽ストリーミングなど新領域に

サイバーエージェントは7月24日、2014年9月期第3四半期の決算説明会を開催した。その中で、主力事業の1つであるAmeba事業の人員を現在の1600人から800人に半減し、800人を新たな成長分野にあてる大幅な構造改革に踏み切ることを明らかにした。

Ameba事業ではこれまで、「ガワアプリ」(ブラウザの外側だけ、という意味でウェブブラウザを表示するスマホアプリのこと)こそ提供してきたが、ネイティブアプリではなくブラウザベースでAmebaのプラットフォームを構築することに注力していた。

今回の構造改革でCP事業本部(ゲーム、コミュニティ以外のネイティブアプリ事業。内製のほか提携やM&A含む)、コミュニティ事業本部(Amebaの既存コミュニティサービスおよび各サービスのフルネイティブ化)、新規事業(音楽、動画関連の新事業)の3つの事業部を設立。Ameba事業から離れる800人を3つの新事業にあてる。

決算説明会の場でサイバーエージェント代表取締役の藤田晋氏は「Ameba事業は決してジリ貧になっているわけではないが、早めの構造改革が得策と考えた。これまで進めてきたブラウザのプラットフォーム戦略は一定の安定収益が得られているが、急激な拡大は難しいと判断した」と説明。明日7月25日に社内で説明会を開催し、8月1日付けで辞令を出す。

大幅な人員減になるが、藤田氏は「LINEが400億円(LINEの2013年通期の単体売上高)、600人規模でやっている。メディアを運営する規模としては適正。一気にスマホシフトした中で残った体制なので、いいタイミングで整理できたと思っている」と説明する。

新規事業はそれぞれ個別採算制とする。今後はプラットフォームを作るというよりは、「フルネイティブのアプリを出して、1つヒットが出れば他のアプリに誘導をして…ということをしていく」(藤田氏)とのこと。また、音楽関連の新規事業については、「Spotify」などの名前も例に挙げて、音楽ストリーミングサービスを検討中であると明かした。決算説明会後に藤田氏にあらためて話を聞いたところ、Amebaで培った芸能・音楽関係のネットワークをもとに権利者などとの話し合いを進めている最中だという。