これが新Foursquareだ―チェックインを分離してローカルスポット推薦サービスに生まれ変わる

「ゲーム化された位置情報共有」というアプローチを5年続けた後で、今日(米国時間8/6)、Foursquareはこれまでで最大のアップデートを行った。では、生まれ変わったFoursquareをご紹介しよう。新アプリはもはや位置情報共有とは無関係だ。FoursquareはYelpに真正面から対抗するローカルスポット推薦エンジンになった。

最近、Foursquareはメインのアプリから位置情報共有機能を切り離すことを発表した。位置情報共有はSwarmというアプリが担当し、Foursquare自身はユーザーごとにカスタマイズされたローカルビジネス、スポットの発見と推薦を担当する。

Swarmがリリースされてからしばらく経ち、それなりにユーザーを集めているが、依然として旧Foursquareを懐かしみ、Swarmを嫌う声も消えない。

しかし、新しいFoursquareはそんな状況を一新するだろう。


ルック&フィール

読者が昔のFoursquareを懐かしむ一人なら、それは忘れた方がいい。もう終わったことだ。新Foursquareは見た目も機能もまったく異なるサービスだ。ロゴもスーパーヒーロー的なFのデザインに変わり、画面はブルーとピンクを基調としている。そして―チェックイン機能は姿を消した。

新アプリをインストールして最初に起動すると、ユーザーはまずいろいろな「好み」を尋ねられる。表示された候補から「ピザ」、「史跡」、「映画館」、「広東料理」など関心のあるキーワードをタップして選択する。トップの検索バーに「寿司」などとキーワードを入力して検索することもできる。「好み」を選択し終わるとメイン・ページに移る。

アプリはユーザーの現在位置を把握し、その付近のスポットを検索する。トップの検索バーの下に横にスライドするバナーがあり、「飲食店、コーヒー、ナイトライフ、買い物」などのセクションが表示される。

いろいろな推薦アイテムを眺めていくと、新Foursquareはユーザーの好みに合わせて高度にカスタマイズされたレストランガイドのような印象を受けるかもしれない。たとえば「ナイトライフ」のタブを開くとナイトクラブからカラオケボックス、居酒屋までいろいろなジャンルの店が表示されるだろう。こうした推薦はユーザーの位置、前に選択した「好み」などをベースにフィルタされている。

候補に示された店をクリックすると地図、住所、電話番号、営業時間などの基本情報が表示される。また旧Foursquareのユーザーのチェックイン情報と、ユーザーが残したTipが写真入りで表示される。画面下部の「Tipを残す」をタップすれば新たにコメントを書き込むことができる。

アプリを開いたときに自動的に表示される推薦に加えて、もちろんユーザー独自の検索も可能だ。 検索結果はデフォールトではリストで表示されるが、画面右上隅のブルーのアイコンをタップすると地図表示になる。この場合、画面下部に横スクロールで個別店の基本情報が表示される。現在表示されている店は地図上で緑色のアイコンで強調表示される。.

SwarmとFoursquare

前述のとおり、チェックイン機能はSwarmアプリに移された。個別スポットの表示画面の右端に「チェックイン」が表示されているが、タップするとSwarmが起動する(インストールしていない場合はインストール画面に飛ぶ)。Swarmのユーザー体験は旧Foursquareに近い。

メインアプリとチェックインの機能を別のアプリに分割するという方向は基本的に正しいと思う。この点について私はプロダクト体験担当副社長のJon Steinbackにインタビューして話を聞いた。

Jon Steinback

「もともとfoursquareが使われる理由は主に2つありました。どちらもニューヨーカーの必要から生まれたものです。まず自分の好みにあった夕食の場所を探す。食べ終わると友だちがいるバーを探す。ところがこの2つの活動というのはそれぞれが独立で、たった2%しかオーバーラップしないことにわれわれは気づきました。『夕食はチリを食べたい。今チリを食べている友だちは近くにいるだろうか?』とは誰も言わないのです」とSteinbackは説明する。

そうであっても、メインの機能を一新してピボットするのはどんなソフトウェア企業にとっても難事業だ。Swarmはユーザーとその友だちのチェックイン履歴というかけがえのない宝物を、いわば泥棒したかたちになった。そういうわけでSwarmを憎むユーザーが多く、AppStoreストアでの評価は1.5と低いままだ。

しかし新アプリのローンチで、SwarmとFoursquareはうまく補完、協調して作動できるようになった。また新アプリが無事にスタートしたので開発チームはSwarmの改良にいままでより時間を割けるはずだ。新Foursquareは基本的に旧アプリをベースにしており、新しいUIを加え、チェックイン機能を外したものだ。それに対してSwarmはゼロからスクラッチで開発された。Steinbackによれば、開発チームは今でもバグや不具合の修正に追われているという。Foursquareファンの熱望するゲーム化も近くSwarmに戻ってくるようだ。

【中略】

今後の展望

Foursquareとしては、これまでのファンを新しいアプリに引き込み、満足スべきユーザー体験を与えていくためにやるべきことは多い。 その過程には多くの困難が伴うだろうが、この改革は避けて通れない道だった。

旧Foursquareはこのところユーザーエンゲージメントの指標が主要ソーシャルメディアの最下位に転落するなど深刻な不振に陥っていた。主要ユースケースを2つのアプリに分離することによって、Foursquareはこの問題を解決すると同時に、Yelpの独占で沈滞ぎみだったローカルビジネスの推薦エンジンという分野に革新を持ち込むという挑戦に打って出たわけだ。

新しいFoursquareは今日、App StoreGoogle Playで公開される。〔日本語版公開ずみ〕

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


地図・施設情報を集約するFoursquare、実現を目指すのは「忍びの地図」?!

Dennis Crowley | CrunchBase Profile未だにFoursquareを「チェックインしてバッジを獲得し、メイヤーを争うためのツールだと考えている人も多いかもしれない。あるいは友だちがどこにいるのかを探すツールだと思っている人もいるかもしれない。確かにそういう使い方もある。しかし地図情報に加えて人びとの訪問頻度等の膨大な情報を集積した今、Foursquareが提供しているのは、そうした範囲に留まらないものとなっている。

SXSWのステージで、Anil DashとFoursquareのCEOであるDennis Crowleyが対談を行なっていた。Foursquareがどのような進化を遂げてきたのかという内容だ。友だちのいる場所を発見するなどといった内容から、いまでは「世界を発見」するツールになってきているのだという話をしていた。

Crowley曰く、現在では公表されているよりもはるかに多くの企業がFoursquareの地図データを利用しており、APIを活用した開発を行なっているとのこと。Foursquareの場所データベースには5000万以上の情報が蓄積されており、しかも頻繁に更新されている。新しい施設がオープンすれば即座にFoursquare上にも反映され、逆に施設がクローズしてしまった場合にも速やかに当該情報が行き渡るようになっている。

Foursquareにおけるチェックインについて、CrowleyはGoogleのウェブクローラーに例えた話をしていた。「利用者のひとたちが興味を持つ場所、ないし興味をなくしてしまった場所についての情報が、絶え間なくFoursquareに集約されるのです」。

それでもデータの活性化という面で魅力的なのだが、最近では活性化の手段が、利用者からの情報以外にも広がっていることを強調している。つまりAPIを公開していることで、他のアプリケーションからも位置情報データが多数寄せられるようになっているのだ。たとえば位置情報付きでInstagramに投稿した場合、その情報はFoursquareにも寄せられることになるわけだ。

この面でいえば、FoursquareとAPI利用者の間には、ある種の共生関係が成立していると言えるかもしれない。Foursquareが最高の地図データを提供し、それを利用者に公開する。そして利用者からの見返りとしてAPIを利用するアプリケーションのユーザーが興味を持っている場所についてのデータがFoursquareに集まることになる。

こうした流れは、地図そのものを変えることに繋がる。Crowley曰く、地図はその登場のときからほとんど姿を変えずに利用され続けてきている。しかし膨大なデータを集約することで、利用者が興味を持ち、そして利用者にとってより重要な意味を持つ地図を示すことができるようになるとしている。

Foursquareが提供する「パーソナライズ」した地図とは、たとえばハリー・ポッターに出てくる「忍びの地図」のようなものだとCrowleyは言う。ハリー近くで、まさにハリーに関連する情報を提示してくれるわけだ。「データは十分に集まってきています。みなさんにとっての『忍びの地図』を実現することもできると考えています」とCrowleyは述べている。

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(翻訳:Maeda, H)