DJI新ジンバル、OM 4はスマートフォンを磁力吸着、ヒッチコック効果など新機能多数

DJI は主力のドローン事業以外にカメラスタビライザーというニッチでも安定した地位を築いている。ドローンにカメラを搭載して空撮するために開発したテクノロジーだが、同社ではプロ向けビデオカメラ用から消費者向けスマートフォン用まで多数のカメラスタビライザーを発表している。

8月26日、DJI はOsmoに新製品を追加した。多数の新機能が導入されており、ブランドとしてもリニューアルといっていい。このOM 4の最大の特徴は永久磁石を利用したスマートフォンの取り付け方法だ。取り付け部に永久磁石が使われておりジンバルにワンタッチで吸着させる。しっかり固定できるスライド式と手軽なリング式が選択できる。どちらを使うかはユーザーの好みだがこのモバイルジンバルを使う頻度によって選ばれることになるだろう。
  
昨年TechCrunch のビデオ編集者2人がOsmo 3をレビューしたとき述べた不満の主なものは「プロが必要とするような機能が少なく、あまりにもコンシューマー向けだ」という点だった。しかしこれはやむを得ないことで、確かに多くのプロビデオグラファーが DJIのジンバルにさらに高い機能を求めているものの、同社は本質的にコンシューマー向け製品のメーカーだ。 そのため使い勝手は同社にとって至上命題であり、このOM 4の場合もそうだが、片手で楽にすべての操作ができることが重要だ。

筐体も新しくなっているが機能も大きく強化されており、全く新しい撮影モードも導入されている。DJIによれば以下の通りだ【編集部:DJI日本サイトに解説があるものはそれらを引用】。

DynamicZoom:みんなを驚かせる「ヒッチコック効果」を試してみましょう。簡単な操作で、ハリウッド映画のような創造的なズームシーンができあがります。進化したアルゴリズムに全て任せて、撮影者はタップして歩くだけ。
タイムラプス:時間と動きを凝縮して、より印象的な映像として残せます。 モーモーションラプス::タイムラプスにカメラの動きが加わり、より印象的な映像に。事前に撮影位置を選択して、美しいビーチなどを撮影すると、スタイリッシュな映像に仕上がります。ハイパーラプス:時間と動きを凝縮して、より印象的な映像として残せます。(3モードとも 3軸ジンバルに加えてEMS=電磁スタビライザーを用いており さらになめらかな描写となっている。またこれらのビデオをソーシャルメディアで共有することも簡単だ)。
スローモーション:目では追えないような瞬間の出来事を、スローモーション映像で捉えることができます。( スポーツモード:OM 4対象を非常に素早く追うことができビデオにダイナミックなアクションを加える)。
パノラマ:3種類のパノラマモードから選択することができます。3X3パノラマ:9枚の写真が自動で合成されて、超広角ショットを生成します。 240°パノラマ:ジェスチャー操作かカウントダウンを使って、細部まで鮮明なパノラマ写真を撮影します。分身パノラマ:分身の術を使ってみたいと思ったことはありますか? そんなあなたには、この機能。分身パノラマを使えば、複数の写真を1枚のパノラマ写真として合成するので、各撮影タイミングで様々なポーズをとって、みんなを驚かせましょう。
スピンショットモード: DJI Mimoアプリを利用しジョイスティックでジンバルを操作して回転効果を生み出します。ストーリーモード:撮影や編集の仕方に不安がある場合は、ストーリーモードの創造性あふれるテンプレートを使ってみよう。タップするだけで、魅力的な映像を撮影して、色褪せない思い出として残すことができます。
ActiveTrack 3.0:ActiveTrack 3.0を使うと、まるで誰かが被写体に向けてカメラの向きを調整してくれているかのように、自然に被写体を追尾します。最新バージョンでは、大人や子ども、さらにはペットまで高精度で認識し、ジョイスティックを使って構図の微調整も可能です。
 
OM 4は即日販売が開始されており、本体に加えて磁気リングホルダー、磁気スマートフォンクランプ、クリップ式三脚等が同梱される。価格は16,500円から(ただし購入者1名について1ユニットのみ)。

画像:Gregory Manalo、DJI

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滑川海彦@Facebook

DJIの新スマホジンバルはスリム&シンプルに

先月の記事でも触れたように、DJIのカメラスタビライザー製品はドローンから派生したものだ。しかし現在、一眼レフカメラからスタンドアロンのポケットサイズ製品まで、非常に大きな規模にまで成長した。

当然、Osmo Mobileは人気モデルの一つだ。スマートフォンユーザー向けに設計されたこの製品は、最も購入しやすいDJI製品であり、iOSユーザーとAndroidユーザーの両方が利用できる。

同社によれば、最新バージョンのハンドヘルドジンバルは「基本へと戻った」としているが、Osmo Mobile 3は実際には進化している。顧客からのフィードバックを受け止め、いくつかの重要な変更をくわえた。この新しいデバイスは小型かつ折りたたみ式なので、バックパックに入れやすくなっている。DJIの担当者はポケットに入るかもと伝えたが、それは少し言い過ぎだろう。

もう1つの大きな改善点は、DJIがシステムを片手で操作しやすくしたことだ。バックトリガーや、フロントのサムボタンの組み合わせで多くの機能が利用できる。新しいクイックロール機能では、ボタンをクリックするだけでランドスケープ(水平)とポートレイト(垂直)が切り替えられ、またトリガーをトリプルクリックすることでセルフィーが利用できる。トリガーはまた、カメラを中央に戻したり、あるいはロックができる。

ストーリーモードやジェスチャーコントロール、アクティブトラック、タイムラプス、ハイパーラプスなど、同社のドローンやハイエンド製品のRoninから受け継がれた機能が数多くある。長期間試用することはできなかったが、ビデオチームによるレビューを近日予定している。

全体的に見て、これは小さなアップデートにもみえる。また若干値下げされており、スタンダードバージョンは119ドル(約1万3000円)、トリポッド(三脚)が付属するモデルは139ドル(約1万5000円)で発売される。Osmo Mobile 3は本日から購入可能だ。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

DJI Osmo対GoPro Karma Grip―韓国取材でジンバル・カメラを対決させてみた

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アクションカメラの大ファンだが、ぐらぐら揺れる画面はお断りだというユーザーは多いだろう。そこでジンバル・メカの登場だ。手持ち撮影の映像を安定化させるハンドヘルド・ジンバルは長らくプロのビデオ・フォトグラファー専用だった。

しかし2015年にDJIがOsmoで手持ちジンバルを発売し、GoProも最近Karmaドローンと同時に同様の安定化グリップをリリースした。そこでわれわれは両方のシステムを韓国取材に持ち出して実機でテストすることにした。

一言でいえば、どちらも素晴らしい製品でスムーズで安定したビデオを撮影することができた。ただし両者にはかなり異る部分もあり、これはDJIが本質的にドローン・メーカーであり、GoProがカメラ・メーカーであるところからくるものと思われた。

DJI Osmoはカメラ込みで価格559ドルからスタートする。GoPro Karma Gripは299ドル、Karmaドローンを含めると799ドルだ(こちらはカメラは含まず)。GoPro Hero5カメラは299ドルから。ただしKarma Gripは既存のHero4 Silver、Blackカメラを取り付けることができる。

スタビライザー

OsmoとKarma Gripはどちらも似通ったスタビライザー・メカニズムを装備している。撮影結果もほぼ同レベルだ。高速道路を走る自動車に取り付けられていてもスケードボードをしながらの手持ち撮影でも十分にスムーズな撮影ができる。ジンバルの効果は非常にはっきりしている。

下で述べるような差異もあったが、安定化の面では両者は同等といっていい。どちらも期待通りに作動した。

カメラ

DJIではこのシリーズにいくつかのモデルを用意している。トップ・オブ・ザ・ラインのOsmo Proは1999ドルで撮像素子はマイクロフォーサーズ。アクションカムとしては最高画質を狙っている。われわれがテストしたOsmoは550ドルのバージョンで、センサーはやや小型だが、4kビデオを撮影する能力は問題なかった。

GoPro Karma GripはGoProカメラを利用する。最新のHero5、Hero5 Sessionだけでなく、古いHero4カメラも使用できる。GoProカメラはサイズの割に驚くほど鮮明な動画を撮影できるだけでなく、カラーバランスなどの高度な調整も可能だ。

われわれのテストではOsmoの動画がわずかに鮮明さで勝っていたが、発色の自然さと色飽和の耐性ではGoPro Hero5がやや優れていた。 両者を並べてみるとGoProビデオの画質が少し優っているように見えたが、DJIは最近Osmoの新しいバージョンを発表しており、多少高価な分、カメラも改善されているようだ。

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ジンバル

GoProカメラの実際の利用状況を考えてみると圧倒的に〔ファインダーを使わない〕ポイント・アンド・シュート撮影が多いだろう。最初のモデル以來長いあいだGoProカメラには組み込みのディスプレイがなかった。Karma Gripもこういう使い方を前提としている。写したい対象の方向にカメラを向ける。それだけだ。

Karma Gripが要するに手持ちのジンバルであるのに対して、Osmoはそれより高機能な撮影プラットフォームだ。 Karma Gripの場合、取り付けるカメラによっては画像を表示するスクリーンが内蔵されている場合もある。しかしその場合でもグリップのメカニズムによって、それでなくても小さいスクリーンの半分が隠されてしまう。

またKarma Gripにはカメラの向きをコントロールする装置は付属していない。ユーザーはグリップを動かしてカメラの向きを変えることになる。これは直感的であり、簡単だがそれなりの慣れが必要だ。

Osmoはこれとは異なり、DJIは小型のジョイスティック式ボタンを付属させている。装置を安定した状態に静止させておいて、このボタンを操作することでカメラをパン、ティルトさせることができる。精密なカメラの動きが必要な場合にはたいへん便利だ。Osmoをしっかりした三脚に固定した場合、ボタンの操作でカメラを自由にコントロールできる。別のボタンを押すとカメラが急速に半回転してユーザー側に向き、セルフィー撮影モードになる。

これに対してKarma Gripのボタンは電源などの基本的なものしかない。あくまでポイント・アンド・シュートが前提だ。 ただしKarmaにはある程度の防水性があり、かなりの耐久力もある。Osmoはもう少しデリケートな感じだ。

ディスプレイ

ユーザーによって好みが別れるところかもしれないが、私はカメラにはディスプレイ欲しい派だ。GoPro Karma GripにHero5またはHero4 Silverをセットした場合は、ディスプレイがあるので対象をきちんとフレーミングできる。Osmoには内蔵のディスプレイはなく、ユーザーは手持ちのスマートフォンをグリップの横にセットする。

理屈の上では内蔵ディスプレイには優位性があるはずだ。GoProの背面のディスプレイはあまりに小さく、しかもジンバル機構が真後ろにあって邪魔をするので実際には非常に使いにくい。非常に奇妙な設計で、せっかくディスプレイを取り付けたのにその魅力を大きく削いでいる。

Osmoとスマートフォンを接続する場合、DJIの独自アプリをインストールする必要がある。 また接続の操作はかなり難しく数分かかることもある。使用中スマートフォンは危なっかしく横に突き出したままだ。しかしOsmoを利用するのにスマートフォンは必須ではない。GoPro同様、単にポイント・アンド・シュートで使うことができる。ビデオはローカルのmicroSDに記録される。Osmoアプリを利用すればスマートフォンにダウンロードすることもできる。

DJIのOsmoアプリを利用すればビデオ撮影に対して細かいコントロールができる。アプリにはビデオ撮影に関して多数の高度な設定ができる他、カメラからスマートフォンに動画をダウンロードするのも簡単だ。

この項の執筆にはKhaled “Tito” Hamzeが参加

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〔日本版〕gimbalの発音は辞書によればジンバル、ギンバルいずれでもよい。ただしアメリカ英語ではギンバルと発音する場合が多く、その発音の方が通じやすい。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+