Facebook Messengerはついにゲームの世界にまで拡張された。今日(米国時間6/10)、私はMessengerプラットフォームのアプリのリストにDoodle Drawという ゲームを発見した。取材したところ、Facebookは「4月にプラットフォームがスタートして以来、これが最初の本格的なゲームだ」と確認した。
当初FacebookはMessengerプラットフォームに登録できるアプリをGIF化やサウンドメーカーなどコンテンツ加工系に限っており、ゲームは許可していなかった。
しかし私はプラットフォームのローンチ前に情報源から「Facebookはテストの結果がよければ、けっきょくゲームやユーティリティーなど広範囲なアプリを許可することになるだろう」と聞いていた。先月、The Informationは「FacebookはMessengerにゲームを導入することを前向きに検討している」という記事を載せた。
私の取材に対して、Facebookは「われわれはMessengerプラットフォームにもっとも適したアプリはコンテンツ加工とキュレーション系だと考えている。 しかしF8カンファレンスでMessenger Platformはすべてのデベロッパーに開かれていると宣言したことでもあり、もっと広い範囲のアプリも考慮することにした」と語った。
Doodle Draw(iOS版、Android版)をプレイしたゲームファンの中には何か見覚えがあると感じたものもいたはずだ。実はこのゲームは 2012年にいっときブームとなり、とんでもない高値でZyngaに買収されたDraw Somethingというゲームのデッドコピーなのだ。しかしDraw Something自体が昔からあるパーティーゲームのPictionaryのモバイル版だったのだから、あまり憤慨することもないだろう。デベロッパーの ClayのサイトにはDoodle Draw以外のゲームもたくさんある。
Doodle Drawを開くとテーマが表示されるので、限られたツールと色でそれを描き、友達に送る。友達はそれが何かを当てなければならない。友達を招待したりプレイ回数を重ねたりするとプレイヤーにはポイントが付与され、そのポイントで新しい色を購入することができる。将来は色やツールをキャッシュでゲーム内購入できるようにするのだろう。
こうした売上からFacebookが手数料を徴収することになるのかどうかはまだ不明だ。UltratextというMessengerアプリは有料でフィルターを販売しているがFacebookは手数料を課していない。
うまくいけばゲームはMessengerプラットフォームのエコシステムを急成長させるのに役立つが、反面、以前のFacebookゲームがそうなったように、ユーザーを騙して課金するアプリやスパムの温床になりかねない。Zyngaはプレイヤーが友達を誘ってゲームに参加させるとポイントが与えられるシステムを作り、ポイント欲しさのしつこい宣伝投稿でニュースフィードがひどく汚染されるという騒ぎになった。〔日本版:2009年にTechCrunchのファウンダーで当時の編集長、Micheal Arringtonは詐欺まがいが蔓延―ソーシャル・ゲームの邪悪のエコシステムは放っておけないという記事でZyngaのフラグシップ・ゲーム、Farmvilleなどが悪質な課金手法を取っていることを厳しく指摘し、Zyngaは謝罪した。〕
Facebookはニュースフィードの質の低下を恐れて、こうしたバイラル勧誘の仕組みに大ナタをふるい、大部分を禁止してしまった。これと、同時に進展したモバイル化のためソーシャル・ゲーム会社は大打撃を受けた。
Doodle Drawにもこうしたソーシャルスパムへの萌芽が見えるのが気がかりなところだ。ゲームをプレイするとゲーム内通貨として使えるポイントが与えられるという仕組みは、ポイント欲しさにつまらない絵が大量に送られる危険性を秘めている。 Facebookはこういうインセンティブの与え方に対して厳格な態度を取るべきだろう。
今後Messengerプラットフォームがどこまで拡大するかは未知数だが、Messengerの価値がゲームスパムで傷つけられることがないよう、Facebookの適切な舵取りが期待される。.
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)