Pluto Mailは「メール版Snapchat」を標榜するサービスだ。ただし、提供するサービスは、送信したメールの自己消滅機能だけではない。送信済みながら開封前のメールを編集したり、メールが開かれたかどうかを確認することもできるようになっている。また送信したメッセージをDropboxに保管しておくこともできるようになっている。
現在のところサービスは完全にオープンな状態ではないベータ版として運用されている。但しこちらのリンクから、先着500名までは登録して使ってみることができるようになっている。
このPluto MailはRough Draft VenturesおよびDorm Room Fundから3万ドルのシード資金を調達している。自分で使っているメールアカウントとリンクして、自分がいつも利用しているメールアドレスを使ってメールを送信することができるのも大きな特徴だ。メールは送信前にJEPGファイルに変換される。そして予め指定しておいた有効期間を過ぎると、送られたJPEGイメージが消え去るという仕組みになっている。
「Plutoはメールのコンテンツを画像に変換して保存しておくようになっています。保存場所は利用者の方のDropboxないし、Plutoのサーバー上ということになります。メール中にはiframeとimageタグが埋め込まれて、受け手の方にメッセージが送られます。メールが開封された際には、iframeタグの中にDropboxないしPlutoのサーバー内に保存してある画像が表示されるようになるわけです。そうした仕組みのおかげで、メールを送った後でも送信者側からメッセージの処理を行うことができるわけです」。そのようにPlutoの共同ファウンダーであるDavid Gobaudは言っている。
Dropboxと連携するようにしたことによって、送ったメールを取り消したい場合などには単純にDropboxのApps Folder内にあるPluto Mailフォルダーを削除すればよいようになっている。
もちろん、送ったメールが自己消滅型のものであるとわかったら、受け手はスクリーンショットをとっておくことで「消滅」を回避することができる。あるいは画像をダウンロードしておくことも可能だろう。しかし読まれる前に削除することもできるし、少なくとも「テキスト」が相手のメールボックスに残り続けることはない。
「Yahoo Mailの容量が25MBであった事態と、状況は大幅に変わりました。現在は事実上無制限の容量が提供されており、メールは永遠に残り続けるようになったのです。しかしすべてのデジタル情報が一生残り続けるという状況が正しいものなのかどうか、疑問に感じています」とGobaudは言っている。
GobaudはPluto Mailの素案を2年前に考えついたのだそうだ。しかし実現に向けて、たとえばわざわざ新しいメールアドレスを使うようなものにしたくなかったし、またメールの受け手にも新しいメールクライアントを使わせるようなものにはしたくないと、アイデアを練ってきたのだそうだ。そうしてついに作成側も受信側も、アドレスを変更したりメールクライアントを変えたりする必要のない、それでいて自動的にメールを消滅させたり、あるいは送信を取り消したり、読まれる前に編集したりする機能を実現することができた。
Gobaudおよび共同ファンダーのLindsay Linは、ふたりともハーバード・ロー・スクールの学生だ。ただしGobaudはスタンフォードでコンピューターサイエンスを専攻した元Googlerでもある。卒業時は大統領府にてソフトウェア・オートメーションのチームを作り、そのチームを率いていたこともある。Linの方はバージニア大学で数学を専攻し、ロー・スクールに通いながらRuby on Railsを使ったプログラミングも学習したそうだ。
Dropboxのアカウントとリンクしない場合、作成したメッセージはPlutoのサーバーに保管されることとなる。この場合、メタ情報(タイトル、受信者など)も併せて保管され、のちの管理に利用することもできる。もちろんサーバーにメールを残しておきたくないというケースも考えられるわけで、その場合にはすべての情報を消し去ることもできる。
「メールの完全削除後も、バックアップ用として最大3日間、メタ情報は保管されます。また、メールの消滅期間が到達したり、あるいは送信を取り消した際に自動的にサーバーからも完全削除することもできます」とのこと。
Pluto Mailと同様の機能はSecretInkでも実現している。さらにはGmailでも送信取り消しを行うことができる。もちろん自動消滅型メッセージといえば、誰もがSnapchatを思い浮かべもするだろう。
Gabaud曰く、Pluto Mailの新しさは「アプリケーションをダウンロードしたり、プラグインを導入する必要がないところです。また受信者側には何の作業も必要ありません」とのこと。「メールアドレスを持っている誰に対しても自動消滅メッセージを送ることができるのです。一緒に新しいサービスを使おうと説得する必要もありません。これがPluto Mailの特徴であり、大きな利点だと考えています」。
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(翻訳:Maeda, H)