LayerX Labsと東京工業大学とのEthereum 2.0関連共同研究がインターネットアーキテクチャ最優秀研究賞を受賞

LayerX Labsと東京工業大学とのEthereum 2.0関連共同研究がインターネットアーキテクチャ最優秀研究賞を受賞

すべての経済活動のデジタル化を推進するLayerX(レイヤーエックス)は6月21日、研究開発組織LayerX Labs(レイヤーエックス・ラボ)と東京工業大学情報理工学院の首藤研究室との共同研究に関する学術論文「Saving attackのブロックチェーンコンセンサスに対する影響」が、電子情報通信学会インターネットアーキテクチャ研究会の「インターネットアーキテクチャ最優秀研究賞」を受賞したと発表した。

2018年に創設されたLayerXは、ブロックチェーン技術で業務や生産をはじめとした経済活動の摩擦を解消し、「この国の課題である生産性向上」の実現を目指している。2021年1月には、請求書の受け取りから会計、支払い処理までを自動化するクラウド型経理DX支援システム「LayerX インボイス」をリリースした。

LayerX Labsは、「デジタル通貨」「スマートシティ」「パブリックブロックチェーン」をテーマに、行政、各国の中央銀行、大学、民間企業と連係しブロックチェーンなどの技術の実用化に向けた研究開発を行う組織として、2020年8月に設立された。

今回、インターネットアーキテクチャ最優秀研究賞を受賞した研究は、ブロックチェーンのコンセンサスアルゴリズムに関するもの。「Ethereumの次期バージョンであるEthereum 2.0におけるコンセンサスアルゴリズムに対する攻撃やその緩和手法の分析・評価」が行われている。首藤研究室が開発するパブリックブロックチェーンのシミュレーター「SimBlock」と、LayerX執行役員兼LayerX Labs所長の中村龍矢氏が提案し、Ethereum 2.0の仕様に採用された研究とが結びついたものだという。

東京工業大学情報理工学院、首藤一幸准教授は、「ブロックチェーンが示した価値のインターネットという可能性、そして、まずはDeFi(分散金融)として始まったDAO(自律分散組織)という人類社会の未来。それらを産み、育んでいるEthereumを主な対象とした、学術らしい強固な貢献」と自負している。

論文の詳細:

タイトル: Saving attackのブロックチェーンコンセンサスに対する影響
著者: 大月 魁(東工大)・中村 龍矢(LayerX)・首藤 一幸(東工大)
掲載誌情報: 電子情報通信学会 技術研究報告, Vol.120, No.381, IA2020-37, pp.15-22

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:Ethereum / イーサリアム(製品・サービス)Ethereum 2.0DAO / 自律分散型組織(用語)電子情報通信学会 / IEICE(組織)DeFi / 分散型金融(用語)東京工業大学(組織)LayerX(企業)LayerX Labs日本(国・地域)

暗号資産・ブロックチェーン業界の最新1週間(2020.8.23~8.29)

暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン技術に関連する国内外のニュースから、重要かつこれはという話題をピックアップし、最新情報としてまとめて1週間分を共有していく。今回は2020年8月23日~8月29日の情報をまとめた。

LayerX Labsと東京工業大学 首藤研究室は、パブリックブロックチェーンの合意形成アルゴリズムに関する共同研究を開始

すべての経済活動のデジタル化を推進するLayerXの研究開発組織LayerX Labsと東京工業大学は8月28日、ブロックチェーンのコンセンサスアルゴリズムに関する共同研究の開始を発表した。

LayerX Labsと東京工業大学 首藤研究室は、パブリックブロックチェーンの合意形成アルゴリズムに関する共同研究を開始

ブロックチェーンの社会実装に向けた課題に関する研究に取り組むLayerX Labsは、研究テーマのひとつであるパブリックチェーンの研究をさらに加速するため、分散システムの専門家である東京工業大学 情報理工学院首藤研究室の首藤一幸准教授と共同研究を開始することを明らかにした。

共同研究では、首藤研究室が開発するパブリックブロックチェーンのシミュレーター「SimBlock」を活用し、「イーサリアム 2.0」(Ethereum 2.0)に実装予定のPoS向けプロトコル「Casper」を始めとするコンセンサスアルゴリズムの安全性や性能の分析を行う。

イーサリアムは、金融を始めさまざまな分野向けにアプリケーションを実現できるパブリックブロックチェーンであり、イーサリアム 2.0は、イーサリアムのセキュリティとスケーラビリティを改善することを目的に開発される、期待のアップデートプロジェクト。イーサリアム財団(Ethereum Foundation)を中心に、10社以上の企業が協力し開発を進めている。

イーサリアム 2.0とLayerX Labs 中村龍矢氏

イーサリアム 2.0のPoS(Proof of Stake)プロトコル「Casper」は、「Casper Correct By Construction」(CBC Casper)と「Casper the Friendly Finality Gadget」 (FFG)の2種類が提案されており、現在双方の検証が進められている。

CBC Casperに関する研究を進めるLayerX Labsのリードリサーチャー中村龍矢氏は、その研究が評価されイーサリアム財団が運営する助成金プログラム「Ethereum Foundation Grants Program」にも選定されている

また、中村氏はPoSに関する研究で、Casper FFGとフォーク選択ルールのLMD GHOSTを分析。その結果、プロトコルの仕様に一部悪用される可能性があることを指摘し、その解決策を提案した。中村氏が提案する「デコイフリップフロップ攻撃」と「バウンス攻撃」への対策は、いずれもイーサリアム 2.0フェーズ0の正式仕様として採用されている

首藤准教授ら研究グループと情報理工学院サイバーセキュリティ研究センターが開発の「SimBlock」

一方の首藤准教授ら研究グループと情報理工学院サイバーセキュリティ研究センターは、PC上でブロックチェーンネットワークをシミュレートし性能や安全性を検証できるパブリックブロックチェーンシミュレーター「SimBlock」を開発。2019年6月、オープンソースソフトウェアとしてGitHub上で公開した

SimBlockは、一般的なPCで1万台相当のノード群について、インターネット上での振る舞いをシミュレートできる。SimBlockを用いることで、既存ブロックチェーンの改良をはじめ、自ら考案したブロックチェーンをPC上で試すことが可能。悪意あるノードを模擬し、攻撃の成功率を調査できるほか、攻撃への対策を検討したりなど、その安全性の効果を調べられるという。同研究チームは、SimBlockを活用してブロックチェーンの性能を向上させる研究を行っている。

首藤准教授は、多数のコンピューターからなる大規模分散システムを専門とし、ブロックチェーンについてネットワークの側面から取り組む数少ない研究者。2008年12月から東京工業大学 准教授として研究・教育に取り組む一方、2009年より独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)の未踏事業にて25歳未満の突出したITクリエーターを選出・育成するプロジェクトマネージャも務めている。

LayerX Labsは、今後も学術界でのブロックチェーン研究の発展に貢献すべく、国内外の大学との共同研究を一層強化していくことを明らかにしている。

アステリアが無料オンラインセミナー「超初心者のためのブロックチェーンの学校」開催

アステリア(旧インフォテリア)は8月26日、オンラインセミナー「超初心者のためのブロックチェーンの学校」(全6回)の開催を発表した。9月10日より全6回の予定で行われる。

参加希望者は、第1回参加登録サイトで事前登録することで誰でも無料で受講できる。締め切りは9月10日12時まで(席に限りあり)。全講義は、Zoomのウェビナーにて配信されるため、事前にZoomアプリのインストールが必要になる。

アステリアが無料オンラインセミナー「超初心者のためのブロックチェーンの学校」開催

初心者向けに開講される同セミナーは、ブロックチェーン技術の仕組み、種類や活用事例を解説。技術の用途を正しく理解し、受講者が「ブロックチェーンを活用したビジネススキームを考えられるようになる」ことを目指す。講師は、アステリアにてブロックチェーンエバンジェリストを務める奥達男氏。奥氏は、一般社団法人ブロックチェーン推進協会(BCCC)においてトークンエコノミー部会部会長も務めている。

全6回の講義は、基礎編(全3回)、実践編(全3回)にわかれている。各講義は1時間。すべての講義に参加することが望ましいものの、各回に単発で参加することも可能。対象となる受講者は、ブロックチェーンという言葉は聞いたことがあるが、ブロックチェーンと暗号資産の関係は分からないといった人、またブロックチェーンビジネスに興味がある、自分の会社や事業に新しい仕組みを導入したいと考えている人など。ブロックチェーンの存在は知っているがその内容には詳しくないという人に向いている講義となる。

アステリアが無料オンラインセミナー「超初心者のためのブロックチェーンの学校」開催

アステリアは、ソフトウェア開発者だけではなく、通常業務に携わる社員も使用できるノーコード環境で各種データ連携が可能になるミドルウェア「ASTERIA Warp」を主力製品に、企業内の多種多様なコンピューターやデバイス間を接続するソフトウェアやサービスを開発、販売。ここ数年はAIやIoT、ブロックチェーン技術など、新たな技術にも積極的に取り組んでいる。代表取締役社長の平野洋一郎氏は、BCCC代表理事を務めている。

シンガポールの暗号資産取引所BitrueがCeFiとDeFiを統合し、ハイブリッド取引所に

シンガポールを拠点に暗号資産取引所を運営するBitrueは8月25日、CeFiとDeFiを統合したハイブリッド取引所として、従来サービスをアップグレートしていくことを発表した。既存の中央集権型ファイナンスCeFi(Centralized Finance)に分散型ファイナンスDeFi(Decentralized Finance)の利点を活かしたデジタル金融サービスプラットフォームを展開し、新たにDeFiサービスを開始する。

シンガポールの暗号資産取引所BitrueがCeFiとDeFiを統合し、ハイブリッド取引所に

Bitrueは、XRP(Ripple)を取引プラットフォームの基軸通貨として採用していることでも知られる取引所。2018年7月にはXRPをベースペアに追加し、現在、顧客はXRPと50以上のペアによる暗号資産取引を行えるという。同社サイトの報告によると、XRP全取引量の10%以上がBitrueからのものとしている。

Bitrue初のDeFiサービスは、2021年の第1四半期に開始される予定。サービス内容は、借り手と貸し手を接続するP2Pマッチングサービスによる暗号資産のレンディングで、流動性プールに追加した暗号資産の利息を自動で受け取れるようになるという。

またBitrueは、新たなトークンとしてBitrue Finance Token(BFT)を発行すると明らかにした。Bitrueの一連のサービスをサポートするBFTは、間もなく顧客に配布され、同取引所にて9月中旬に上場する予定。

Bitrueの分析によると、DeFiサービスは、2020年になって大きな成長を遂げたことで、暗号資産業界の明確な未来像を表したという。しかしDeFiの初期段階では、サービスがイーサリアム上で発行されたERC-20準拠トークンに集中しており、XRPを含むその他の暗号資産の70%が除外されている状況にあると指摘。Bitrueの新ハイブリッドモデルでは、主要なブロックチェーン・暗号資産のクロスチェーン取引を段階的に促進し、それによってすべての暗号資産のワンストップ取引を、顧客にDeFiにて提供していく予定であることも明らかにしている。

またBitrueは、DeFiの思想に沿って既存のローンサービスをアップグレードする予定だという。まずは、担保となる資金を含むウォレットを一般公開し、顧客に対して透明性の向上を図っていく。

DeFiの本質的な公平性は、顧客が常に100%満足する公正な取引を受けられることを意味すると、Bitrueはいう。少数の富裕層や大規模な機関投資家のみならず、一般の投資家も含め、すべての人に公平な機会をもたらす金融サービスの提供をしていきたい思いでBitrueは事業を立ち上げており、DeFiの機能はそれに合致するとうたっている。

BitrueのCEOを務めるCuris Wang(クリス・ワン)氏は「このハイブリッドモデルの結果として提供できる新しい機能は、これらの幅広いニーズを満たすことができるでしょう」と語っている。

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