フェイスブックがSNSを研究する学術コミュニティ向けに「Researcher API」リリース予定

Facebook(フェイスブック)は、研究コミュニティによるアクセスに特化して設計された新しいAPIのリリースに向けて準備していると明かした。米国時間6月2日に開催された同社の開発者会議「F8」で発表されたこのAPIは、Cambridge Analytica(ケンブリッジ・アナリティカ)のデータスキャンダルを受けて、2018年に同社のプラットフォームに加えられた変更によって生じた問題に対処するためのものだ。この事件により、同社は開発者がユーザーデータにアクセスできるかどうか再検討する必要に迫られた。

Facebookは過去3年間で、将来のデータの乱用や侵害のリスクを減らすために、何千ものAPIを非推奨にしたという。

また、プラットフォーム上の開発者との契約を更新し、開発者らが「我々と同じ価値観を持っている」ことを確認したと、Facebookのプラットフォームパートナーシップ担当幹部であるKonstantinos Papamiltiadis(コンスタンティノス・パパミルティアデス)氏は基調講演で述べた。

しかし同社はこれらの変更が、これまでFacebookのデータに広くアクセスできていた学術研究コミュニティに影響を与えたことを認めた。

その問題に対応するため、同社は近日中に「Researcher API」を提供開始すると発表した。これにより、同ソーシャルネットワークの「社会への影響」を理解することを目的とする研究者たちは再びFacebookのデータを分析できるようになる、とパパミルティアデス氏は述べた。

「当社はこの問題に適切に対処したいと考え、人々のデータを安全に守りながら、研究者をサポートするための最高の製品を開発することを意図しました」とも。

Researcher APIは、プライバシーが保護された環境で、公開されているFacebookページ、グループ、イベント、および米国の投稿レベルのデータへのリアルタイムアクセスを提供する予定であると、同氏は述べている。しかし、研究者をどのように審査するのか、データへのアクセスに料金が発生するのかなど、より詳細な情報は明らかにされていない。

Facebookによると、このAPIは2021年後半には学術コミュニティで利用可能になるという。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:FacebookF8 RefreshAPI学術研究

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(文:Sarah Perez、翻訳:Aya Nakazato)

フェイスブックのAR作成ソフト「Spark AR」がビデオ通話対応に

Facebook(フェイスブック)は、米国時間6月2日に開催された開発者会議「F8 Refresh(F8リフレッシュ)」で、同社の主力AR作成ソフトウェアである「Spark AR(スパークAR)」の新機能を発表した。Facebookによれば、Spark ARがF8 2017で発表されて以来、190カ国の60万を超えるクリエイターが200万以上のARエフェクトをFacebookやInstagram(インスタグラム)で公開しており、今や世界最大のモバイルARプラットフォームになっているという。Instagramの投稿で、自撮りした自分の髪が緑色になるエフェクトや、自分の顔を動かすことで犬の表情をコントロールできるエフェクトを使ったことがあるなら、Spark ARを使ったことがあるはずだ。

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今回発表されたMultipeer API(マルチピアAPI)の導入により、間もなくそのようなARエフェクトが、Messenger(メッセンジャー)やInstagram、そしてスマートディスプレイ「Portal(ポータル)」によるビデオ通話で利用できるようになる。クリエーターは、複数の通話参加者を共通のAR体験で結びつけるARエフェクトが作成できるようになる。公開されたプロモーションビデオでは、その一例として、ビデオ通話で行われる誕生日パーティーの様子が紹介されている。参加者の頭にはそれぞれARのパーティハットが現れる。

クリエイターは、ビデオ通話中に参加者がみんなで遊べるゲームを開発することもできる。Facebookのビデオ通話では、1分間に誰が最も多く空飛ぶARハンバーガーを口に入れられるかを競うゲームがすでに存在している。しかし、新しく軽いゲームを作れる機能が開発者に開放されれば、ビデオ通話中に友達同士で挑戦できる新しいゲームが数多く見られるようになるだろう。

このようなビデオ通話のエフェクトや複数の人が参加できるARゲームは、Sparkのプラットフォーム独自のMulti-Class Segmentation(マルチクラス・セグメンテーション)機能によって強化される。これによって、開発者は1つのエフェクトの中で、ユーザーの体を複数のセグメント(髪や肌など)ごと個別に拡張現実化することができる。

FacebookはARグラスの開発にも意欲を見せている。Spark ARのパートナーシップディレクターであるChris Barbour(クリス・バーバー)氏は、この目標はまだ「何年も先」のことだと述べながらも、革新的なウェアラブル技術の可能性をいくつか示唆している。

「友達の家のソファにテレポートして一緒に番組を見たり、ハイキング中に見かけた美しい景色の写真を共有したりできることを想像してみてください」と、バーバー氏はいう。何年か先に製品が発売される頃には、それほど未来的な話ではなくなっているのかもしれない。

2020年10月には最先端のクリエイターを対象としたプログラム「Spark AR Partner Network(スパークARパートナー・ネットワーク)」が起ち上げられ、2021年に入ってからは、Facebookの教育プログラム「Blueprint(ブループリント)」を通じて、クリエイターがARエフェクトを向上させる方法を学べるSpark ARカリキュラムも始まった。Spark AR Partner Networkの募集は、2021年の夏に再び始まる予定だ。現時点でクリエイターや開発者は、Spark AR Video Calling Beta(Spark ARビデオ通話ベータ版)を使って、ビデオ通話用エフェクトの作成を始めることができる。

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カテゴリー:VR / AR / MR
タグ:FacebookF8 RefreshSpark ARAR

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

フェイスブックがWhatsApp APIをアップデート、ビジネス利用を促進

WhatsApp(ワッツアップ)には全世界で20億人以上のユーザーがいるが、ビジネス利用を開拓する努力は比較的控えめだ。現在1億7500万人を少し超えるユーザーが、WhatsAppのビジネスアカウントを使ってメッセージをやりとりして、日々のカスタマーサポートや製品検討を行っている。米国時間6月2日、Facebook(フェイスブック)は同社のF8イベントで、WhatsApp APIの体験を拡張するアップデートをいくつか公開した。

このニュースは、Facebookがこの日にInstagram(インスタグラム)Messenger APIの一般公開を発表した直後のことで、同プラットフォームのビジネス利用を便利にする一連の発表の一環だ。

全般的に、Facebookと同社サービスの多くは消費者向けサービスの色が非常に濃い。数十億の人たちが連絡を取りあい、気分転換し、自分にとって重要なことを知るために使っている。

しかし、企業はFacebookでつながりを作ったユーザーを中心とした非常に大きくてお金になる商用インフラストラクチャーを徐々に構築している。広告に始まり、マーケティング、カスタマーサービス、職場の生産性向上、ショッピングなどへと深く広げている。

F8カンファレンスは、元々はハッカソンとして生まれ、非常に大きいイベントへと成長した。2021年は、過去数年と比べて著しく縮小されたイベントになった。大観衆はなく(完全バーチャル)、大きいサービスやハードウェアの発表もなく、どちらかというとZoom(ズーム)会議のような印象だ。ビジネス志向のデベロッパーツールに関するこの日の発表は、イベントを当初のデベロッパー重点のイベントへとリセットするだけでなく、商業戦略を強化するものだ。

WhatsApp for Businessに関しては、WhatsApp for Businessを設定するところから、さまざまな種類のメッセージに対応することまで長年の課題がある。今回Facebookが取り組んでいるのはそこだ。

まず、WhatsAppでビジネスアカウントを設定するのに要する時間を5分に短縮する(これまでは数週間だったと述べている)。

次に、Facebookは設定したビジネスアカウントを簡単に使えるようにする。まず、企業はインバウンドメッセージに早く対応できるようになり(これまでは「24時間より前の顧客はフォローアップが困難」だった)、たとえば在庫確認などに関してオプトインしているユーザーにメッセージを送ることができる。

カスタマーサービスのためにこのツールを使っている企業は、最大10種類のメッセージ・テンプレートを作って対応をスピードアップできるようになり、よくある質問への返信を準備しておいて送るための返信ボタンを設定することもできる。

WhatsAppのニュース以外に、FacebookはMessengerにも、Facebook Login Connectを拡張するツールを追加する。

要するに、企業がFacebook Loginを統合すると、ユーザーは自分のFacebook認証情報を使ってその企業のアプリやウェブサイトにログインし、Messengerを通して企業と会話することができる。

これが便利なのは、ユーザーが1カ所で会話を追跡できるだけでなく、チャットボットであれ他のCRMデータベースへのリンクであれ、企業が元々Messengerで会話するために作ったツールをアクセスできることだ。Facebookによると、ユーザーの70%がLogin Connectツールの利用にオプトインするそうで、Facebookの認証情報をこのように使う意志があることを表している。

現在は限定ベータだが、数カ月のうちにもっと広く公開する、とFacebookは言っている。

最後に、FacebookはBusiness Suite(ビジネス・スイート、企業がFacebook、InstagramおよびMessengerを横断して行動を管理するためのプラットフォーム)の新機能を公開し、デベロッパーが「Business Apps」(ビジネス・アプリ)を作れるようにした。

これはアプリストアのような意味のアプリではなく、サードパーティー(デベロッパー)がFacebookの内蔵Business Suiteと協調して動かすために作るツールのことで、企業のサイトやアプリにFacebookのツールをさらに統合するとともに、企業のコンテンツ(カタログ項目など)を自社のFacebookページやInstagramアカウントなどに持ってくる。このプラットフォームではすでに90社のデベロッパーが開発中で、Bigcommerce(ビッグコマース)のようなeコマースプラットフォームと統合している、とFacebookは述べた。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:FacebookF8 RefreshAPIWhatsApp

画像クレジット:WhatsApp.com

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Nob Takahashi / facebook

フェイスブックがInstagram用Messenger APIの正式導入を開始、すべての開発者や企業が利用可能に

Facebook(フェイスブック)は、毎年開催している開発者会議「F8 Refresh(F8リフレッシュ)」(2021年は例年より規模を縮小し、バーチャルでの開催となる)に先立ち、いくつかのニュースを発表した。そのうちの1つは、すべての企業がMessenger(メッセンジャー) APIを活用してInstagram(インスタグラム)ユーザーの顧客と対話できるようになるというものだ。この機能は、まず世界中のすべての開発者に開放され、企業に対しては段階的なアプローチがとられる。

フェーズ1では、フォロワー数が1万人以上10万人未満のInstagramアカウントがこのAPIに接続される。続いてフェーズ2として、2021年7月よりフォロワー数が1000人以上1万人未満のアカウントにまで拡大される。残りのアカウントは第3四半期までに利用可能になる予定だ。

このInstagram用Messenger APIは、2020年10月に一部の企業を対象としたクローズドベータとして発表されたもので、30の開発者と700のブランドが参加した。今後はInstagramを利用して顧客との交流を図るすべてのブランドや組織が、この機能を利用できるようになる。

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このツールで重要な点は、企業にとってFacebookのプラットフォームをさらに広く活用する方法が大きく前進することだ。

これまで、顧客とメッセージのやり取りによる交流を望むブランドは、Instagramを直接利用するか、Facebookの統一ビジネス受信箱を使う必要があり、特に大量のトラフィックを扱う企業や、顧客との交流をより広範な顧客サービスのデータベースと連携させたい企業にとっては、できることに制限があった。

これに対し、Messenger APIは、企業やブランドがコミュニケーションの管理に使用しているサードパーティ製アプリケーションに統合することができる。例えば、Hootsuite(フートスイート)やSprinklr(スプリンクラー)のようなソーシャルメディア管理プラットフォームや、保証情報やロイヤルティカード番号などの顧客データを取り込むことができるCRMアプリケーションなどだ。

Facebookによると、クローズドベータの結果から、ブランドや企業はコミュニケーションを1カ所で管理できるもっと良い方法を求めていること、そして多くの企業がコミュニケーションやワークフローを効率よく管理するために、ソフトウェアへの投資を増やしていることがわかったという。これらの点において、Messenger APIをInstagramに拡張することは、長く必要とされていた機能だった。

Messenger APIをInstagramに拡張する動きは、いくつかの点で理に適っている。まず、FacebookがInstagramの商業的な可能性をどのように活用するかについて、以前から積極的に取り組んできたこと。それは広告に留まらず、ブランドや企業とユーザーとの会話や、最近ではショッピング機能の強化などの分野にまで拡大している。また、Facebookは、現在Instagramユーザーの90%が少なくとも1つの企業をフォローしていることを指摘しており、両者間の会話を管理するためのより良いルートを作ることは、必然的な動きだったと言える。

Facebookは同時に、同社が擁するさまざまなアプリやプラットフォーム、すなわちFacebook本体、Messenger、WhatsApp(ワッツアップ)、Instagram、Oculus(オキュラス)などの連携を高める方法にも取り組んできた。それはユーザーがアプリやプラットフォームの枠を超えて交流できるようにするだけでなく、企業にとってはより統合されたソーシャル戦略を可能にするものだ。Messenger APIはもともと、ブランドがMessenger上でボットを使ってユーザーと会話したり、会話を管理するために開発されたものであり、そのサポートにInstagramを加えることは、前述の2つの大きな戦略に合致する。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:FacebookFacebook MessengerInstagramF8 RefreshAPI

画像クレジット:Facebook

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Hirokazu Kusakabe)