Fireflyは初試みのロケットを打ち上げるも空中爆発、機体は完全に破壊される

Firefly(ファイヤーフライ)はカリフォルニア州のヴァンデンバーグ空軍基地から初のロケットを打ち上げた。ロケットには地球低軌道にのせる数多くのペイロードが積載されていた。ロケットは計画通り打ち上げられ、打ち上げ後はかなり順調なように見えた。だが、明らかな爆発があり、そして宇宙到達前にロケットは完全に破壊されるという「異常」事態となった。

米国時間9月3日に打ち上げられたロケットはFireflyのAlphaで、同社にとって初の試みだった。実際のところ、打ち上げパッドからの離陸は成功し、ロケットの破壊は「マックスQ」として知られる、大気圏内で最も動圧を受ける点を過ぎた後に起こったように見える。

Fireflyは、Everyday Astronautがホストするライブストリームで爆発の様子が流れてから程なくしてTwitterで声明を出した。このライブストリームにはFireflyが提供した音声と動画があった。Fireflyは、地上のスタッフがリスクを最小限に抑えるため、そして安全プロトコルに従って打ち上げパッドとその周辺を離れた、と付け加えた。

同社はAlphaロケットに何が起きたのか、なぜ機体を失ったのか、詳細を提供する見込みだ。発表があり次第アップデートする。

オースティン拠点の民間商業打ち上げ会社であるFireflyはもともと2014年の創業で、破産を乗り越えて2017年にFirefly Aerospaceとして生まれ変わった。同社のAlphaロケットは小型の完全消耗品であり、2200ポンド(約998kg)のペイロードを低軌道へと運搬できる。同社はまた1万7000ポンド(約7711kg)のペイロードに対応するBetaロケットも開発中だ。

原文へ

(文:Darrell Etherington、翻訳:Nariko Mizoguchi

Firefly Aerospaceの月着陸船は2023年にSpaceX Falcon 9で月に飛ぶ

Firefly Aerospaceは、ロケットを開発しているだけでなく、並行して、同社の初めての月着陸船Blue Ghostを作っている。Blue Ghostは2023年に、別の打ち上げ企業SpaceXのロケットに乗って旅をする、と今日(米国時間5/20)同社が発表した。

Firefly Aerospaceも自社の打ち上げ機を開発中だが、最初の軌道飛行を目指しているAlphaロケットは、大きなペイロードを月に運べるロケットではない。一方SpaceXは、まだFalcon 9を月へのミッションで送り出したことはないが、そのほかのミッションでは何度も成功している。その仕様では月への配達も可能であり、商用月着陸船のそのほかの開発企業も、多くが打ち上げ機として同機を選んでいる。

関連記事: NASA issues new call for lunar payload deliveries from its commercial moon lander partners(未訳)

FireflyのBlue Ghostは、わずか2年後に旅立ち、NASAの月への商用ペイロードサービスであるCommercial Lunar Payload Services(CLPS)のために10個のペイロードを運ぶ。NASAはその事業を利用して、月面に実験装置を運ぶミッションを民間企業に与える。その一部は、人間による月探検と究極的には長期居住を目的とするArtemisミッションの準備でもある。

SpaceXが選ばれた理由の一部は、Falcon 9の性能仕様ではBlue Ghostが自分の燃料を多く節約でき、着陸船が約150kgの積荷を運べるからだ。他の多くのCLPSプロバイダーと同じくFireflyも、他の民間企業からNASAの実験装置と並ぶペイロードを奪い、節約で生じたスペース(積載量)を売上増に結びつけたいからだ。

CLPSの下(もと)での最初の着陸船の打ち上げは、今年の第四四半期を予定している。現在は計6社が選ばれているが、それらの打ち上げの予定は2023年内だ。

関連記事: As launch market matures, space opportunities on the ground take off(未訳、有料記事)

(文:Darrell Etherington、翻訳:Hiroshi Iwatani)
画像クレジット: Firefly Aerospace

[原文へ]

小型人工衛星打ち上げサービスFirefly Aerospaceが2021年6月の初飛行前に約82億円調達

Firefly Aerospaceは、10億ドル(約1094億円)を超える評価額で獲得したシリーズAの7500万ドル(約82億円)と、Fireflyの筆頭投資家Noosphere Venturesの保有株の売却からなる1億ドル(約109億円)の二次取引で合計1億7500万ドル(約191億円)を調達した。人工衛星を打ち上げるスタートアップである同社は、2021年6月に予定している最初のAlphaロケットの打ち上げの後、さらに今年後半に3億ドル(約328億円)を調達すると発表した。

Fireflyは、SpaceXやRocket Labの後を追って商用の打ち上げプロバイダーになろうとしているスタートアップたちの1つだ。目標は、現在成長中の小型衛星の打ち上げ市場に貢献することで、同社はこれまでの数年間、Alphaロケットを開発してきたが、すでにNASAやGeneral Atomicsなどから商用および政府非軍事部門の打ち上げ契約を獲得している。テキサスを拠点とする同社はこれまで、最初に立ち上げたFirefly Space Systemsの破産をはじめ、挫折も経験しているが、その後はFirefly Aerospaceと改名してNoosphere Venturesが全資金を提供する完全保有ベンチャーになった。

同社の2度目の命には、Alphaロケットを改造して打ち上げ容量を大きくしたことも含まれる。現在は、低地球軌道で1000kg、太陽同期軌道で600kgを運ぶことができる。また、NASAのCommercial Lunar Payload Services(CLPS)プログラムの一環として、月へのペイロードデリバリーサービスを提供するために「Blue Ghost」と呼ばれる月着陸船も開発している。

Fireflyは、カリフォルニアのヴァンデンバーグ空軍基地の施設で、打ち上げ機の準備がかなり進んでいるため、実際の飛行にこれまでになく近づいているようだ。初飛行を予定している2021年6月は近づいており、同社はそのデモ打ち上げの成功の勢いに乗り、同社がすでにその意図を表明している次の巨額調達(3億ドル)への関心が大きくなることも期待している。しかも同社は、シリーズAのラウンドが「申込過多」だったという。

シリーズAはDADA Holdingsがリードし、Astera InstituteとCanon Ball LLCなどが参加した。Fireflyによると、Noosphereの持ち株売却による二次調達にはシリーズAの参加社も含まれていた。

カテゴリー:宇宙
タグ:Firefly Aerospace資金調達

画像クレジット:Firefly Aerospace

原文へ

(文:Darrell Etherington、翻訳:Hiroshi Iwatani)

宇宙開発のFirefly Aerospaceが月面着陸船契約をNASAと98.4億円で結ぶ

NASA(米航空宇宙局)は、実験設備を搭載した月面着陸船モジュールを月面に運ぶために、9330万ドル(約98億4000万円)の契約をFirefly Aerospace(ファイアフライ・エアロスペース)と結んだ。Fireflyは打ち上げ自体は行わないが、2023年に予定されているミッションに対して宇宙船と着陸船「Blue Ghost」(ブルーゴースト)を提供する。

NASAは現在進行中であるCommercial Lunar Payload Services(CLIPS、商用月面ペイロードサービス)の一部としてこの契約を結んだ。このサービスにはBlue Origin(ブルーオリジン)、Astrobotic(アストロボティック)、Masten(マステン)といった、これまで主力ではなかった宇宙企業も選ばれて肩を並べている。

この契約の公募がCLIPSパートナーたちに対して行われたのは2020年9月である。Fireflyがそれを勝ち取ったわけだ。

NASAのThomas Zurbuchen(トーマス・ズルブチェン)科学副長官はこの契約を発表したリリースの中で「新しいCLIPSプロバイダーが、初のタスクを勝ち取ったことを喜んでいます」と語っている。ここ数年来、NASAは打ち上げサービスから衛星や宇宙船の製造に至るまでのすべての部門で、民間業者をますます新たに受け入れるようになってきている。

正確にいえば今回のNASAからの注文はFireflyにとっては初めてのものではない。その国家安全保障関連子会社であるFirefly Black(ファイアフライ・ブラック)が、Venture Class Launch Service Demo-2(ベンチャー・クラス・サービス・デモ2)ミッションのために2つのキューブサットを打ち上げることになっているからだ。しかし今回の契約は、比べるとはるかに大規模かつ複雑なものだ(高価なのはいうまでもない)。

これはFireflyのBlue Ghost着陸船にとって、初の月面着陸となる。同社は過去数年にわたり、月に対する新たな関心の下で準備を続けていた。BlueGhostは10個の科学実験装置を搭載する(詳細はNASAがここで説明している)が、その中にはたとえば新しいレーザー反射装置や、実験的な耐放射線コンピューターなどが含まれている。搭載されるものはたくさんあるのだが、BlueGhostはその他、月に運びたいもののために50kg分の場所を残してあるはずだ。

着陸が計画されているのは危難の海(または危機の海、Mare Crisium)である。これは月の「表側」にある盆地の1つだ。ここに送り込まれた機材たちは、将来の訪問や月面への入植に対する情報を提供するために、継続して貴重な観測や実験を行うことが期待されている。

また、Fireflyは着陸船を月面に運ぶ宇宙船を提供し、何よりもまず着陸船を地球から離陸させる責任を負うことになる。同社は私に現在そのためのオプションを評価中であると語った。2023年までには、たくさんの選択肢が生まれているはずで、実際Firefly自身のAlpha(アルファ)打ち上げ機もそれまでに稼働しているかもしれない。とはいえ同社は現時点では月軌道投入の準備は整っていない。同社は3月にAlphaの初飛行を予定している。

関連記事:NASAが月面ミッションを記録する革新的な新技術を一般に広く募集中

カテゴリー:宇宙
タグ:Firefly AerospaceNASA資金調達

画像クレジット:Firefly Aerospace

原文へ

(文:Devin Coldewey、翻訳:sako)