UberはNASAの先進航空機エンジニアMark Mooreをスカウトした。「空飛ぶ自動車」の開発に本腰を入れるらしい。以前からUberは都市圏での短距離乗客輸送のための小型の垂直離着陸機に対して強い興味を抱いていた。2010年のレポートでもヘリコプターのように運用できるVTOL機の実現可能性が検討されている。MooreはUber Elevateのエンジニアリング責任者に就任する。Elevateはオンデマンドの空飛ぶタクシーにUberが付けた名前だ。
Bloomberの記事によれば、Uberは最近のVTOL機利用に関するレポートをまとめる際にMooreをコンサルタントとしたという。 MooreはUberのこの分野における真剣さに強い印象を受け、同時に彼自身の長年のアイディアを比較的短い時間で実現するチャンスを見てとったようだ。Mooreは「この〔Uberに参加するという〕決定のカギはUberが短距離旅客航空に関して現実的なビジネスモデルを持っているということだった。市場に需要がないかぎりどんなすぐれたビジョンであっても実現は不可能だ」と語っている。
Uberは「オンデマンド航空」に関して詳細な提案を行っている。これには一回の充電で80-160km程度飛行できる電動モーターを使った垂直離着陸可能な小型の航空機のネットワークが用いられる。最終的な目標はスマートフォンなどのデバイスを通じたユーザーの呼び出しに答えてこうした機体が自律的に飛行するというものだ。MooreがBloombergに語ったところによると、当面の目的は、人間のパイロットが操縦する小型VTOL機をいくつかデザインし実際にテストすることのようだ。
VTOL機の開発は他社も関心を抱いている。Googleのファウンダー、ラリー・ペイジ、航空機メーカーのエアバスがそれぞれ創立した2つのスタートアップなどがそうだ。TechCrunchでも報じているが、エアバスはVTOLタクシー、Vahanaプロジェクトを発表している。エア・タクシーは地上の渋滞を避ける切り札だが、運輸ビジネスにとっての最大の関心は、安価なVTOL機体の開発だ。これが可能であれば長期的に莫大な利益が確保できるはずだ。
今のところElevateは現実のオンデマンド・エア・タクシーではないが、 Uberはこのテクノロジーを真剣に追求しており、年内にオンデマンドVTOL輸送に関心を抱く企業を集めるサミット・カンファレンスを開催しようと努力している。
Uberの先進プログラムの責任者、Nikhil GoelはTechCrunchの取材に対し、下記のようなコメントを寄せた。
Uberは拡大しつつあるVTOL開発エコシステムにおいて今後も重要な触媒的役割を続けていく。 Markが参加してくれたことはUberと株主にとって朗報だ。われわれは〔VTOL機について〕以前のレポートで発表した線にそってユースケースの拡大を検討している。
〔日本版〕Airbusが発表したエアタクシーの想像図。Uberのものも含めてVTOLはV-22と同様のティルトローター式を採用している。
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)