2021年11月、Apple(アップル)は「Self Service Repair(セルフサービスリペア)」プログラムを開始すると発表した。これまで個人による修理を認定していなかった同社にとって、これは驚くべきことだ。もちろん、このような変化が何もないところで起こったわけではない。米国では大統領も議会も、いわゆる「修理する権利」を開放するよう働きかけてきた。その理由は、消費者の選択を増やすためや持続可能性への配慮など、いくつもある。
しかし、かつての抵抗勢力だった企業がこの変化を受け入れ始めたとしても、修理できる可能性をユーザーに開放することと、製品を実際にユーザーが修理できるようにすることでは異なる。近年の家電製品は薄型化が進み、ますます専門家でなければ修理することが困難になっている。
元アップルやOculus(オキュラス)・Facebook(フェイスブック)のエンジニアだったNirav Patel(ニラブ・パテル)氏が2019年後半に設立したFramework(フレームワーク)という会社は、修理可能性を製品設計の重要な機能として位置づけることに注力する、急成長中のハードウェアスタートアップの1つだ。米国時間2月1日、同社は1800万ドル(約2億円)のシリーズA資金調達を発表したが、これはそのミッションの正当性を証明するものだと宣伝している。
「私たちの使命とFramework Laptop(フレームワーク・ラップトップ)に対するみなさまの多大かつ迅速な関心は、私たちが正しい道を歩んでいることを明白にしてくれました」と、パテル氏は資金調達を発表したリリースで述べている。「この業界では、長く使えるように設計されたパーソナルな製品が、以前から高く必要とされています。このことは、私たちだけでなく、誰にとっても明らかであり、Spark(スパーク)社のパートナーもそれを確信しています」。
パテル氏によれば、今回のラウンドを主導したSpark Capital(スパーク・キャピタル)は、OculusのシリーズA資金調達も主導していたという。この投資により、SparkのゼネラルパートナーであるKevin Thau(ケビン・トー)氏がFrameworkの取締役に就任した。他にシード投資家のPathbreaker Ventures(パスブレーカー・ベンチャーズ)、Anorak Ventures(アノラック・ベンチャーズ)、Formic Ventures(フォーミック・ベンチャーズ)もこのラウンドに参加した。パテル氏は、ベイエリアを拠点とするFrameworkが「会社の存続のために投資家の資金が必要だった」わけではなく「アップグレード、カスタマイズ、修理をより多くのコンシューマーエレクトロニクスに提供する」ための製品ラインナップの拡大に、この資金を使うと述べている。
それが、どのようなカテゴリーになるのかは明らかにされていないものの、同社はすでに今後2年間のロードマップを作成しているという。スマートフォンは、その一般性の高さから、妥当な判断だと思われるが、最近の市場はノートパソコンよりもさらに飽和状態にある。アムステルダムを拠点とするFairphone(フェアフォン)は、2021年「Fairphone 4」をリリースするなど、積極的にこの市場をターゲットにしている。
今回の追加資金は、Frameworkの人員増強に充てられる。ユーザーによる修理が可能であるという魅力が、比較的ニッチな顧客層を超えて十分に関心を集められるかどうかは、まだわからない。同社より大きないくつかの企業が、修理可能性の実現に向けて一定の成果を上げているものの、多くの大企業がFrameworkやFairphoneと同じようにオープンな設計に取り組むことは、おそらくないだろう。
画像クレジット:Framework
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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)