Epic Gamesが顔の動きをキャプチャするCubic Motionを買収

米国時間3月12日、ゲームタイトルの「フォートナイト」やゲームエンジンの「Unreal Engine」で知られるEpic Gamesが、英国のコンピュータビジョン企業Cubic Motionの買収を発表した。Cubic Motionは、複雑なカメラリグとソフトウェアでリアルなフェイシャルアニメーションをキャプチャするプラットフォームを構築しているスタートアップだ。

Epic GamesはCubic Motionとともに、ここ数年で技術デモをたくさん制作してきた。そのデモの中心は、アクターの顔の動きをリアルタイムでデジタルキャラクターに変換するものだった。2019年に登場したCubic MotionのPersonaシステムは、ソフトウェアとモーションキャプチャ用のハードウェアリグをセットにしたものだ。

Cubic Motionのテクノロジーは、ソニー・インタラクティブエンタテインメントの「ゴッド・オブ・ウォー」やInsomniac Gamesの「Marvel’s Spider-Man」といった大ヒットゲームタイトルで使われている。

Cubic MotionはNorthEdge Capitalから2200万ドル(約24億円)以上を調達していた。買収の条件は明らかにされていない。両社のプレスリリースによれば、Cubic Motionは今後も既存の顧客にサービスを提供すると同時に、自社の技術とUnreal Engineの統合を加速させるという。

Epic GamesとそのライバルであるUnityは、これからも自社のリアルタイムゲームエンジンが大手ゲームメーカーに採用されることを狙っていくが、一方で今回のような買収には、そのゲームエンジンがゲーム以外の業界にもっと浸透していくだろうという期待も感じられる。この買収は多額の予算を使えるゲームメーカーがシーンを作り込むために間違いなくプラスになるだろうが、ワークフローにリアルタイムレンダリングを取り入れたいと考えている映画製作会社からも注目を集めることになるだろう。

2019年、Epic Gamesは人間のリアルなアバターを制作するゲームスタジオの3Lateralを買収した。このことと今回の買収を合わせて考えると、Epic Gamesは人間のキャラクターやアバターのリアルさは投資に値する分野だと見ているのだろう。

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(翻訳:Kaori Koyama)

BMW、ゲームエンジンのUnreal Engineを使って車両デザインを複合現実化

BMWはリアルとバーチャルの良いところを組み合わせて、新車の設計をできるだけ早く、スムーズにしようとしている。同社はゲームエンジンのUnreal Engineのレンダリング機能を利用してバーチャルサーフェスを生成し、プロトタイプ部品を3Dプリントすることで、デザイナーやエンジニアが実際に制作することなく様々な部品や表面が最終製品でどう見えるかを確認できるようにする。

内装の外見、窓の大きさなどを車種ごとにVRを使ってモデル化し、3Dプリントされたプロトタイプに重ねて表示することができる。これによって従来非常に高価だったVR設備の導入や、全部品のプロトタイプを作って外見を確認する必要がなくなる。BMWはこの方法によってエルゴノミクスデザインを劇的に改善できると言っている。高額な費用のかかる物理的モデルを作る前に、室内の各要素がが人の移動や視界の邪魔にならないことを専門家の目で確かめることができる。

プロトタイプ制作前に問題を特定することによるコストと時間の節約に加えて、新方式によって設計者は、世界中のオフィスにいるほかのスタッフと協同作業ができるようになったとBMWは言う。変更の影響を見るために同じモデルを何度も作る必要がなくなるので無駄も省ける。

企業の現場における協業は、VR推進者が強調している可能性のひとつだ。こうしたVRやミックストリアリティ(複合現実)を万能な手法と呼ぶのはまだ早いが、BMWのようなトップメーカーが価値を認めたことは、よい兆候であることは間違いない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Pokémon Goのエンジン、Unityが1億8100万ドルのモンスター資金調達―評価額は15億ドルと報道

2016-07-14-uniti-roundc

この数年、Unity Technologiesはゲーム開発だけでなくエンタテインメント・ビジネス全般にとって欠かせない存在になっている。Unityはその上でユーザー体験を開発すればさまざまなOSで広く分散実行可能なエンジンを提供している。仮想現実と拡張現実の実用化に伴い、Unityがそうしたソフトウェア開発の将来を握るカギとなる可能性が高まってきた。

こうした未来を実現するには当然ながらキャッシュが必要だ。

今日(米国時間7/13)、Unity TechnologiesはシリーズCラウンドによる1億8100万ドルの資金調達を発表した。このラウンドはDFJ Growthがリードし、投資家にはChina Investment Corporation、FreeS Fund、Thrive Capital、Max Levchinらが加わっている。また既存投資家のSequoia Capital、WestSummit Capitalも参加した。

今回の大型ラウンドはUnityのこれまでのラウンド(わず2550万ドル)をかすませてしまっただけでなく、同社がいかにアグレッシブに拡張を図っているかを示すものとなった。New York Timesは2つのソースの情報として、この資金調達におけるUnityの会社評価額は15億ドルだとしている。2014年の後半、MicrosoftはUnityの買収を検討したと報じられたことがある。このときのUnityの言い値は10億ドルから20億ドル程度だったようだ。もちろんこの買収は実現しなかった。

Unityは創立後12年の会社だが、特にここ数年、Unityゲーム・エンジンがデベロッパーの間で事実上の標準となるにつれて、猛烈な成長をみせていた。今日、Unityは統計をアップデートし、550万以上のデベロッパーがUnityプラットフォームに登録ずみだと明らかにした。最近、Unityの直接のライバルであるEpic Gamesは同社のUnreal Engineの登録ユーザーが200万であると発表している。

Unityの急速な成長を可能にした大な要因はプラットフォームの多様化にあるとみられる。ゲーム・エンジンの世界では、以前のUnityには「負け犬」の印象がついてまわったが、2008年にモバイル対応を戦略の中心に据えた。UnityはApp Storeがスタートした当初からiPhoneのゲーム・アプリのプラットフォームを提供していた数少ないパイオニアだった。

その後も同社はトレンドのトップを走り続けるために多大の努力を払った。 VR〔仮想現実〕とAR〔拡張現実〕に力を入れてきたのもその例だ。同社の推計によれば、VRを代表するもっともポピュラーなヘッドセットのひとつであるGear VR向けアプリの90%にはUnityのエンジンが用いられている。ARを利用したユーザー体験をベースにするアプリ、たとえば最近のスマッシュ・ヒットとなっているPokémon GoもUnity Technologiesのゲーム・エンジンを用いている。

DFJ Growthのパートナー、Barry Schulerはプレスリリースに付随する声明で次のように述べた。

Unityのプラットフォームはゲーム産業に革命を起こした。インディーのデベロッパーもトリプルAクラスのゲームソフト企業もこのプラットフォームを利用することで美しく説得力ある世界を創造することができるようになると同時に、広告とアナリティクスの機能を利用して効果的な収益化が可能となった。今回〔の資金調達で〕、UnityはAR/VRテクノロジーを進化をさらに加速させる。「一度書けば多数の環境に提供くできる(write once/ publish many)」 という特長を持つユニークなUnityエンジンを利用することでゲーム・スタジオは新しいOSにも即座に対応が可能だ。どの環境が最終的に勝利するか見極めるために待つ必要はない

DFJ GrowthはベンチャーキャピタルのDraper Fisher Jurvetsonにおいて後期スタートアップに投資するための組織だ。このグループはこれまでにBox、Foursquare、Tumblrなどに投資している。今回の資金調達でSchulerはUnityの取締役に就任する。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

人気トップのゲームエンジンUnityがWebGL + Mozilla asm.jsでWebへポート

UnityMozillaが今日(米国時間3/18)、 WebGLとMozillaのasm.jsを使ってUnityのゲームエンジンをWebに持ち込む、と発表した

200万名あまりのユーザのいるUnityは、今もっとも人気の高いゲームエンジンの一つだ。

今日サンフランシスコで行われるGame Developer’s Conferenceで両者は、人気の3DシューティングゲームDead Trigger 2のWebポートをFirefox上でデモする。今のところ、asm.jsをサポートしているブラウザはFirefoxだけなのだ。今年の終り頃リリースされるUnity 5.0で、WebGLのサポートが、Unityのアーリーアクセスベータのアドオンとして可利用になる。

これまでは、Unityをブラウザ内で使うにはプラグインが必要だった。そのプラグインはきわめて有能でとても人気があるが、今後はますます、ブラウザ内でネイティブに動く(プラグイン不要の)アプリケーションが主流になる。asm.jsはJavaScriptのサブセットだし、WebGLは現代的なブラウザのすべてがサポートしているから、asm.js向けに最適化されているゲームでも、そのほかのブラウザで動かせる。やや遅くはなるが。

Mozillaの技術部長でWebGLの作者でもあるVlad Vukicevicが今週初めにぼくに語ったところによると、UnityとMozillaはUnityをWebに持ち込むために密接に協力してきた。これまでの2年間、MozillaとUnityのチームが週末や勤務時間外に頻繁に会って、UnityのWeb化に努めてきた。Mozillaでゲームプラットホームを担当しているMartin Bestによると、両者が一つの目標の実現に向けて協力してきた。

彼によると、これまで多くのデベロッパがUnityのWebGLポートを求めてきたし、いつごろ実現するのかと何度も何度も聞かれた。ただし今回の発表ぶんはあくまでも最初の第一歩であり、WebGLに関してもasm.jsに関しても、今後まだまだやるべきことは多い、と。

Unity TechnologiesのシニアデベロッパRalph Hauwertも同様のことを述べ、でも最初のバージョンが出たら、その後の開発はUnityとMozillaだけでなく、デベロッパのコミュニティが参加して進められるだろう、と言う。

どこかで聞いたような話だなぁ、と思われた読者もおられると思うが、実は先週Mozillaは、EpicのUnreal Engine 4がWebGLとasm.jsをサポートする、と発表したばかりだ。たしかに、JavaScriptをネイティブに近いまでに高速化するソリューションであるasm.jsに対しては業界全体としての支持もあり、またゲームデベロッパたちも、自分たちのゲームがプラグイン不要でWeb上で動くことには、並々ならぬ関心がある。

しかしなぜか、ハイエンドのゲームをブラウザに持ち込む方法としてNative Clientに賭けているGoogleからは、最近音沙汰がない。

Unity 5.0とそれが提供する機能の詳細は、本誌の別記事に書かれている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))