MIT出身で元Dropboxのエンジニアらのスタートアップ、Inboxはこれまでステルスモードで開発を続けてきたが、今朝(米国時間7/7)、次世代のメール・プラットフォームともなるべきInboxを公開した。最近発表されたGmail APIに似て、Inboxはユーザーのメールの受信トレイにアクセスする最新のテクノロジーを提供する。Gmail APIの対象がGmailに限られるのに対して、InboxはGmail、Yahoo、Microsoft Exchangeなど主要なメールサービスをサポートしているという。
またInboxはウェブサイトで「Inboxはeメール専門企業です。Googleは広告企業です。われわれはInboxにすべての力を集中しており、ある日突然サービスを廃止するようなことはありません」とGoogleに皮肉を効かせている。
Google I/Oデベロッパー・カンファレンスで発表されたGmail APIはユーザーのGoolgleアカウントのすべてアクセスする権限を必要とせず、Gmail受信トレイのメッセージ、スレッド、ラベルなど必要な部分にアクセスすることを可能にし、デベロッパーがメール・アプリケーションを開発することを助ける新しいツールだ。この狙いは、IMAPのようなメールクライアントを動作させるための古いテクノロジーに頼らず、ユーザーに対して一定時間後にメールを再表示したり、ユーザーに代わってメールを送信したりするなどの限定的な機能を提供することだ。
Inboxの目的もこれに似ており、「古臭いプロトコルやフォーマットをアップグレードしてデベロッパーがメールを・アプリを開発する手助けをする」と主張している。Inboxの機能は非常に広範囲で、シンプルなメールアプリの開発に役立つのはもちろん、フル機能のメール・クライアントの開発も可能だという。
このスタートアップはMIT出身でDropboxのエンジニア、NestのデザイナーだったMichael Grinich、Ksplice (Oracleが買収)でLinuxのカーネルを開発していたChristine Spangが創業した。Inboxの開発チームの中心にはさらに数人のMIT卒業生が加わっている。またMIT CSAIL(MITコンピュータ科学およびAIラボ)の並列分散OSグループの出身者も含まれている。
GrinichはInboxを開発の狙いについて、「私はMITでメールのツールについて論文を書いたときにメール・アプリの開発がいかに難しいか気づいた。その根本的な原因は、IMAP、MIME、文字のエンコードといったインフラにあった。Inboxはそうした問題をデベロッパーに代わって解決する」と説明している。
しかしInboxの最終的な目標は単にデベロッパー向けのツールの開発にとどまらず、次世代のメールの標準を作り出すことにある。 Grinichによれば「Inboxはメール・サービスのインフラをオープンソースのパッケージで提供する」という。
「われわれのメール同期エンジンはGitHubから無料で入手できる。質問や機能の提案なども歓迎する。この同期エンジンは現在GmailとYahooメールをサポートしているが、将来はすべてのIMAPメールに拡張される。Microsoft Exchangeのエンタープライズ・ユーザーはInbox Developer Programにアクセスを求めて欲しい。こちらはActive Syncをサポートしておりプライベート・ベータテスト中だ」とGrinichは語った。
すでにInbox SDK(JavaScript版とiOS版)を利用したデモ・アプリがいくつかGitHubで公開されている。 現在デベロッパーはInboxエンジン、アカウント同期をダウンロードし、そのプラットフォームを利用してローカル環境で開発を開始することができる。将来はInboxがホスティングするサービスを提供していく計画だという。
サンフランシスコに本拠を置くInboxへの投資家は、Fuel Capital、SV Angel、CrunchFund(情報開示:TechCrunchのファウンダー、Micheal Arringtonがファウンダー)、Data Collective、Betaworksその他だ。出資額などの詳細は明らかにされていない。
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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+)