Google(グーグル)は米国時間2月17日に、多くのパートナーたちと協力してインド国内の400以上の駅や多数の僻地の公共の場所に、無料Wi-Fiを提供してきたGoogle Stationプログラムを、この先縮小すると発表した。
グーグルのPayments and Next Billion Users(支払いならびに次の10億ユーザー)担当副社長のCaesar Sengupta(シーザー・セングプタ)氏は、2015年に開始されたこのプログラムは、何百万人ものユーザーがインターネットサーフィンするために役立ち、多くの人が消費するデータ量を気にしなくても良いようにした初めてのものだと語る。しかし、インドを含む多くの市場でモバイルデータ通信の価格が安くなったため、Google Stationはもはや必要ではなくなったのだと彼は言う。同社は2020年中にプログラムを中止する予定だ。
さらに、グーグルはプログラムを拡張するための持続可能なビジネスモデルを見つけることが困難になっていると述べている。最近ではStationプログラムはインドネシア、メキシコ、タイ、ナイジェリア、フィリピン、ブラジル、ベトナムへと拡大していた。同社が南アフリカで同プログラムを開始したのはわずか3カ月前だ。
長年にわたり、グーグルはGoogle Stationプログラムを収益化する方法も模索していた。たとえば同社は、ユーザーがインターネットサービスに接続するためにサインインする際の、広告表示を開始していた。
2019年初めのインタビューで、インドにおいてグーグルの接続性への取り組みを率いているGulzar Azad(ガルザー・アザド)氏は、同社はStationをより多くの市場に拡大する方法を考えていると語っていたが、インドの鉄道駅への展開に関しては、(400の鉄道駅にサービスを提供する)という目標を達成したと語っていた。
グーグルがインドで無料のWi-Fiを提供する取り組みを発表した1年後、同国で最も裕福な男性Mukesh Ambani(ムケシュ・アンバニ)氏が、通信ネットワークReliance Jioを立ち上げた。Jioは、長期間にわたって無料で大量の4Gデータ通信を顧客に提供し、他の通信事業者たちが、請求額を下げざるをえないようにした。
この動きによって、膨大な数のインド人がインターネットにアクセスし始めた。多くの人にとって当初のアクセス料金が高すぎたからだ。別のインタビューで、私はアザド氏に対して、Reliance Jioの参入によってGoogle Stationの意義がいくらかでも低下したかと尋ねている。その時の彼の答えは、多くの人が今でもJioのプログラムにサインアップを続けている段階であり、さらに大量データを消費したいという大きな意欲も見せ続けているというものだった。
グーグルは多くの企業と協力して、公共の場所でユーザーたちが無料のWi-Fiを使えるようにしている。たとえばインドでは、グーグルがソフトウェアスタックを構築し、国有の通信インフラプロバイダーであるRailTel(レイルテル)が無料のインターネット回線を提供している。
RailTelは5600以上の鉄道駅でWi-Fiを提供し、長年にわたって独自のソフトウェアスタックを提供する能力を開発してきた。「私たちはパートナーと協力して既存のサイトへ移行し、コミュニティにとって有用なリソースを維持できるようにします」とセングプタ氏は述る。
TechCrunchはRailTelの広報担当者に連絡をとり、グーグルと連携してきた400余りの鉄道駅で、Wi-Fiを提供し続ける予定かどうかを確認した。RailTelからの回答によれば、すべての鉄道駅で無料Wi-Fiサービスは継続されるとのことだ。「この年月にグーグルから受けたサポートを心から評価しています」と、広報担当者は付け加えた。
「各国のパートナー間における、異なる技術的要件とインフラストラクチャは、パートナーたちにとってStationプログラムを拡大し持続可能にしておくことを困難にしました。そして、将来本当に影響を与えられるのはどこかを評価したとき、次なる10億人のユーザー市場に向けて、より役立つように調整された製品や機能を構築することに、さらに大きなニーズと大きな機会があると考えたのです」とセングプタ氏は語る。
開発途上市場のユーザーたちに、無料のインターネットを提供するために取り組んできた技術大手はグーグルだけではない。Facebookの後継組織Internet.orgが2017年に同国内で始められている(だが同プログラムはインド国内でのネット中立性規則に違反したために禁止されている)。
トップ画像クレジット: PUNIT PARANJPE / AFP / Getty Images
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(翻訳:sako)