OSSクラウド可視化サービスの商用化を進めるAutoCloudが約4.6億円を調達

AutoCloud(オートクラウド)は、米国時間11月22日、400万ドル(約4億5900万円)のシードラウンドを発表した。Animo Ventures(アニモ・ベンチャーズ)がリードし、Uncorrelated Ventures(アンコリレイテッド・ベンチャーズ)B Capital Group(Bキャピタル・グループ)Moxxie Ventures(モクシー・ベンチャーズ)が参加している。

AutoCloudは、CloudGraph(クラウドグラフ)オープンソースプロジェクトの商用版だ。オープンソース(OSS)と商用のハイブリッドな組み合わせは、市場を攻めるスタートアップの手法としてますます人気が高まっている。Hashicorp(ハシコープ)は最近、そのOSSコアの強みを部分的に活かして上場した。Jina.ai(ジーナアイ)は、ニューラル検索への商業的かつオープンソースのアプローチで3000万ドル(約34億4600万円)の資金調達を発表したが、これはさらにアーリーステージでの例である。

CloudGraphは、AWSやAzure(アズール)などの複数のクラウド事業者から利用データを取り込み、標準化し、GraphQL(「State of Javascript 2020」レポートによると、この技術自体が利用され、好意的な評価を受けている)を使ってクエリを可能にするOSSツールだ。

AutoCloudはCloudGraphの上に位置し、自動化されたデータ取り込み、セキュリティコンプライアンス、クラウドリソースのビジュアライゼーションを提供する。同社の共同設立者兼CEOであるTyson Kunovsky(タイソン・クノフスキー)氏は、TechCrunchに対し、同社の目標はHashicorpなどが行ってきたように、大規模なクラウドプラットフォームが苦手としている作業を回収し、その経験を改善することにあると述べている。

AutoCloudの創業チーム(画像クレジット:AutoCloud)

成功する可能性のあるすべてのOSSプロジェクトと同様に、その目標は、有用なものをオープンコードとして市場に提供し、一般に利用可能なものの上に商業ビジネスを構築することだ。AutoCloudの場合、それはSaaSモデルであり、トラッキングされた資産の数に応じて価格が設定されるようになっている。

同スタートアップは初期の段階にあるため、収益成長率や純ドル保持率など、従来の牽引力を示す指標がない。クノフスキー氏がTechCrunchに語ったところによると、彼の会社は主にCloudGraph自体に注力してきたが、OSSサービスの何百人ものユーザーがプロジェクトの「Readme」を通じてAutoCloudを見つけ、そのウェイティングリストに登録しているという。

AutoCloudは2021年末までに有料製品を発売する予定で、もうあと数週間だ。そのため、次に同社と話をするときには、収益の伸びや関連する指標について説くことができるだろう。

シカゴを拠点とするAutoCloudは、アルゼンチンやチリなど複数の地域にチームを置いているという点で、今日の一般的なスタートアップであるということは特筆すべきだ。

クノフスキー氏は、この会社に大きな情熱を持っている。AutoCloudは、クラウドのコマンドラインから、GUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェース)に変換したいと考えていると同氏は説明してくれた。それは簡単なことではない。

AutoCloudがマルチクラウドに対応していることを考えると、Amazon(アマゾン)やMicrosoft(マイクロソフト)、Google(グーグル)のクラウドチームが直接市場に参入する可能性は低いと思われる。しかし、他のクラウド事業者がそのうちに参入してくるかもしれない。その時には、CloudGraphプロジェクトが単独でどれだけ強くなっているかが、AutoCloudがより多くの既存のテック企業に対抗できるかできないかの重要な決め手となるだろう。

いずれにしても、AutoCloudのラウンドをあなたのOSSスコアカードに加えてみて欲しい。次の四半期か2四半期に必然的に資金再調達をするときには、さらに追加して欲しい。

画像クレジット:AutoCloud

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Akihito Mizukoshi)

東京大学が「デジタルツイン」構築向けWebGISプラットフォーム「Re:Earth」をオープンソースとして公開

東京大学が「デジタルツイン」構築向けWebGISプラットフォーム「Re:Earth」をオープンソースとして公開

東京大学 大学院情報学環 渡邉英徳研究室は7月26日、ユーカリヤ(Eukarya)と共同で汎用的WebGISプラットフォーム「Re:Earth」(リアース)を開発し、オープンソースソフトウェア(OSS)としてGitHub上で公開したと発表した。ライセンスは「Apache License 2.0」。行動規範(Code of Conducts)も公開している

また成果報告イベントとして、「最新Web技術による拡張可能なWebGIS「Re:Earth」OSS化イベント」が開催予定となっている(オンラインのみ。Zoom利用)。開催期日は8月10日19時〜21時。Re:Earthの解説、エンジニア・非エンジニア向けハンズオンセッションが実施される。申し込みは、こちら

Re:Earthの特徴

  • 実用性「ノンコードによる情報のマッピング」:Re:Earthは、専門技術なしでも扱うことができ、独自のウェブアプリの公開が可能。情報の作成や更新・公開設定などをエンジニアに依頼したり、難しいプログラミングを行う必要はない。物語性のある「ストーリーテリング」タイプのビジュアライゼーションも、コーディングなしに実現できるという
  • 独自性・新規性「様々な分野に対応できるプラグインシステム」:、最先端のウェブ技術を用いたプラグインシステムを実装しており、様々な分析や可視化がプラグインにより柔軟に対応できる。また、プラグインシステムにより、クライアントがノンエンジニアであっても管理・運用可能なシステムを実現
  • 実用性・新規性「柔軟なウィジェット配置システム」:デジタルアースをベースとして、統計グラフや時系列などの表現を柔軟なウィジェット配置システムによって実現できる。ウィジェットは、ドラッグ&ドロップ操作で直感的に配置可能。スマートフォンでの表示もサポート
東京大学が「デジタルツイン」構築向けWebGISプラットフォーム「Re:Earth」をオープンソースとして公開

統計グラフや時系列などの表現を柔軟なウィジェット配置システムによって実現できる。ウィジェットは、ドラッグ&ドロップ操作で直感的に配置可能

Re:Earthは、フィジカル空間の情報をバーチャル空間に再現する「デジタルツイン」の基盤となるWebGISプラットフォーム。WebGISは、ネット上で利用可能な地理情報システム(GIS)を指す。東大渡邉英徳研究室は、そのソースコードを様々な分野で自由に活用可能にするためにOSSとして公開した。

同研究室は、これまで「Google Earth」や「Cesium」などのデジタルアースを用いて平和活動・企業間取引・震災・文化財な様々な分野のデータをバーチャル空間に分析・可視化する研究を行っており、これまでの研究で得た知見を多くの人たちに提供するウェブプラットフォーム化を目指して、ユーカリヤと共同でRe:Earthを開発したという。

Re:Earthの目標としては、「複雑・大規模化する地理空間(フィジカル空間)データの手軽な活用環境の提供」「地理空間データの管理・分析・可視化のための汎用WebGISの実現」「多様な分野に向けたプラグイン開発による機能拡張」の3点が挙げられている。

東京大学が「デジタルツイン」構築向けWebGISプラットフォーム「Re:Earth」をオープンソースとして公開

南アルプス市ふるさと〇〇博物館(東京大学渡邉英徳研究室制作、ユーカリヤ技術協力)

東京大学が「デジタルツイン」構築向けWebGISプラットフォーム「Re:Earth」をオープンソースとして公開

経営危機自治体(ユーカリヤ制作、東京大学渡邉英徳監修)

Re:Earthは、最新のウェブ技術を用いて開発されており、これまでウェブブラウザーでは実現が困難だった本格的なGIS環境を、インストール不要でどこからでも手軽に利用可能。また今回OSS化したことにより、本体・プラグインの開発者を含む、世界各国のエンジニアとワールドワイドなOSSコミュニティを形成する計画を進めるという。

なおRe:Earthは、以下技術を用いているほか、今後AWSを含む、対応する外部サービスを拡張する予定。

東京大学が「デジタルツイン」構築向けWebGISプラットフォーム「Re:Earth」をオープンソースとして公開

  • フロントエンド:React・TypeScript・Cesium・Resium(生産性向上・高品質なUI開発)
  • バックエンド:Go(高生産性・高速実行・高ポータビリティ)
  • API:GraphQL(高効率・スキーマドリブンな通信)
  • クラウド関連:Docker・Google Cloud Storage(保守管理コスト削減・スケーラブル)
  • DBMS:MongoDB(高速で高い柔軟性を持つNoSQLデータベース)
  • 認証:Auth0(IDaaS)
  • フロントエンドのプラグイン実行環境:WebAssembly+QuickJS(安全高速なJavaScriptの実行)

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:WebGIS(用語)Cesium(製品・サービス)デジタルツイン(用語)東京大学(用語)日本(国・地域)