ハッセルブラッドのカメラを搭載したOnePlus 9発表、米国では約7.9万円から

ずいぶん前から、カメラはスマートフォンの戦場となっている。折りたたみ式スクリーンや奇抜なフォームファクターなど、斬新な技術革新がない限り、当面はこの状況が続くと思われる。毎年、モデルチェンジの度に、各社は画質の飛躍的な進歩をアピールし、差別化を図ってきた。

これには意味がある。スマートフォンは改良が重ねられ、概してフラッグシップ機の性能は非常に高くなった。中でもカメラはその向上した性能の一部だが、しかしハードウェアとそれを補強するソフトウェア / AIの両面において、まだまだ改善の余地がある。OnePlus(ワンプラス)は先日、その戦いでビッグネームの力を借りることを発表した。

この中国のスマートフォンメーカーは2021年3月初旬に、写真業界で最も象徴的な企業の1つであるHasselblad(ハッセルブラッド)と3年間の契約を結んだと発表した。米国時間3月23日のイベントで発表された新しい「OnePlus 9」シリーズは、この1億5000万ドル(約163億円)の契約の初期成果を搭載した最初の端末となる。

関連記事:OnePlusが老舗カメラメーカーHasselbladと3年のスマホイメージング提携、OnePlus 9に新カメラ搭載

この提携は、戦略的な観点から見ても理に適ったものだ。結局、ハイエンドの低価格端末からフラッグシップの競合機へと転換したOnePlusは、Apple(アップル)やSamsung(サムスン)といった企業を視野に入れている。両社とも自社のハードウェアのために長年にわたって確立された画像処理部門を持っているため、OnePlusにとって今回の契約は、明確なブランド提携というだけでなく、これらのメーカーと対等に戦うための切実な試みだったと思われる。

画像クレジット:Brian Heater

注目すべきことは、上述の通り、OnePlusが安価な代替品を提供する時代は終わったということだ。米国市場におけるOnePlus 9の価格は729ドル(約7万9000円)から、Proは969ドル(約10万500円)からとなっている。スマートフォンの価格設定としては、プレミアムデバイスのローエンドにあたるが、OnePlus Nordの投入以降、同社の主要モデルラインにおいて、もはや価格は主要な差別化要因ではなくなるといっていいだろう。

当然ながら、OnePlus 9 Proは、このハッセルブラッドとの契約の初期段階における大きな恩恵を受けている。メインカメラは、4800万画素のソニー製センサーを採用し、フォーカススピードの改善と色精度の向上が図られている。超広角カメラには5000万画素のセンサー(こちらもソニー製)が搭載され、レンズは歪みを抑えるように設計されている。興味深いことに、メーカーによれば、これは4cm程度の近距離マクロ撮影にも効果があるという。

3つ目のプライマリーカメラは800万画素の望遠で、最大30倍のデジタルズームが可能(ただし、かなりの情報が失われるが)。そして4つ目としてモノクロカメラも搭載されており、主に白黒写真の画質向上に役立つ。標準モデルのOnePlus 9も同様のセットアップだが、望遠レンズは搭載されていない。

ハッセルブラッドが今回、どのように貢献しているかについて、OnePlusは次のように説明している。

新しいHasselblad Pro Modeは、驚くほど正確で自然な色を提供し、編集作業に向けた確かな基盤となります。ハッセルブラッドの画像処理ソフトウェアをベースに刷新されたユーザーインターフェースは、プロレベルのユーザーにハッセルブラッドならではのルック&フィールを提供します。ISO、フォーカス、露光時間、ホワイトバランスなどを調整することができ、熟練した写真家が写真を微調整する際には、これまで類を見ないほどのコントロールが可能です。また、12ビットRAWフォーマットでの撮影も可能であり、他のスマートフォンで伝統的に使用されている10ビットRAWと比べ、64倍のカラーを実現しています。

画像クレジット:Brian Heater

なお、このパートナーシップはまだ初期段階にあり、資金の多くは研究開発に充てられているため、今後さらなる成果を目にすることになるだろう。

ディスプレイは、OnePlus 9がOnePlus 8Tと同じ2400×1080ピクセルの6.55インチAMOLEDを搭載する。リフレッシュレートは120Hz。輝度は最大1100nitsで、HDR10+対応。OnePlus 9 Proは3216×1440ピクセルの6.7インチとなり、リフレッシュレートを下げられるLTPO技術も採用する。CPUはどちらもSnapdragon 888を搭載し、8GBまたは12GBのRAMと、128GBまたは256GBのストレージが用意されている。両モデルとも、29分間で空の状態から100%充電できる4500mAhのバッテリーを搭載する。

米国では3月26日に予約受付が開始され、4月2日から出荷が始まる予定だ。

関連記事:OnePlusがミニマルなスマートウォッチ「OnePlus Watch」発表、Wear OSは採用せず

カテゴリー:ハードウェア
タグ:OnePlusスマートフォンHasselblad

画像クレジット:Brian Heater

原文へ

(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ハッセルブラッドX1D II 50Cレビュー、100万円超のレンズキットを持ち人がいない街中へ

放置されたスクールバスに潜り込み、荒廃した廊下に不法侵入し、つかの間の雷雨を避けて、夜遅くまで誰もいないチャイナタウンの通りをさまよった。夏の2週間、私はこの上なく幸せだった。

ニューヨーク市は封鎖されていた。狭いアパートに隔離されていた私は、意気消沈して落ち着きがなかった。何か創造的なことをしたいと強く願っていた。ありがたいことに、レビュー用のHasselblad(ハッセルブラッド)X1D II 50Cが届いたので、スタジオの上司たちの承認を得て、ソーシャルディスタンスを守りながら屋外での撮影に出かけることにした。

花や建物などの日常的な写真を撮るのは、1万ドル(約105万円)超のカメラキットにはもったいないので、代わりに友人と私は楽しくて小さなプロジェクトに参加した。それは、私たちの好きな映画にインスパイアされたポートレートを撮影するというものだ。

画像クレジット:Veanne Cao

マスクと手指消毒液を用意して、X1D II 50Cと80mm F1.9レンズ(被写体に近寄らずクローズアップ撮影するのに最適)を使って、ニューヨークのあまり馴染みのない風景の中でその性能を試してみた。

  1. hasselblad_X1D_II_50C_mallory_002

  2. hasselblad_X1D_II_50C_mallory_001

  3. hasselblad_X1D_II_50C_mallory_003

  4. hasselblad_X1D_II_50C_gregg_002-1

  5. hasselblad_X1D_II_50C_gregg_002

  6. hasselblad_X1D_II_50C_bettina_002

  7. hasselblad_X1D_II_50C_bettina_001

  8. hasselblad_X1D_II_50C_bettina_003

  9. hasselblad_X1D_II_50C_max_001

  10. hasselblad_X1D_II_50C_max_002

  11. hasselblad_X1D_II_50C_celia_001

  12. hasselblad_X1D_II_50C_celia_002

  13. hasselblad_X1D_II_50C_alex_jason_001

  14. hasselblad_X1D_II_50C_alex_jason_002

最後の写真について面倒に巻き込まれる前に言っておくと、Alex(アレックス)とJason(ジェイソン)はプロのスタントマンで、持っているのは小道具のゴム製の拳銃だ。彼らは香港映画の傑作「Infernal Affairs(インファナル・アフェア)」(スコセッシのリメイクよりずっと良い)のラストシーンを再現している。

このカメラは、いくつかのアップグレード(大型化して反応も改善された背面のタッチディスプレイ、整理されたメニュー、テザリング機能、速くなった起動時間とシャッターレリーズ)を受け、価格と使いやすさの点で、従来より若干親しみやすくなっているもののX1D IIは基本的に先代モデルと変わらない。だから私は、標準的なレビューは省いた。

画像クレジット:Veanne Cao

それは何であり、何でないか

X1Dに関する最も一般的な不満は、オートフォーカスの遅さ、シャッタースピードの遅さ、バッテリーライフの短さだった。X1D IIではこれらの点が改善されているが、それほどではない。私はこのラグを邪魔だと思うよりも、性急でなく落ち着いた撮影スタイルのために脳を切り替えることにした(嬉しい副作用だ)。

X1Dのレビューでも言及したが、最近ではApple(アップル)をはじめとするスマートフォンメーカーが、簡単にすばらしい写真を撮影できるようにしている。そんな手軽さが、日常の平凡さを過剰に捉える文化を生み出した。必要以上にたくさん撮ってしまう。私も同罪だ。私のiPhoneのカメラロールにある画像の90%は、間違いなく「撮り捨て」も同然と言えるだろう(残りの10%は私が飼っている犬の写真で、彼はすばらしくフォトジェニックだ)。

しかし、X1D IIは決して簡単なカメラではない。時にはイライラすることもある。初心者であれば、基本的なこと(ISO、F値、シャッターを切るタイミング)を覚える必要があるかもしれない。だが、それに見合う価値はある。1枚の写真が良く撮れたときには、圧倒的な満足感が得られる。しかもその写真は、5000万画素で、細部までしっかりと描き込まれており、壁に飾る価値がある。X1D IIに大金をつぎ込んだからといって、すぐに良い写真家になれるわけではない。だが、そうなるための励みにはなるはずだ。

スタジオの人工的な照明や不自然なセットのない屋外での撮影は即興の練習になった。私たちは実存の街灯やネオンや陽光を求めて街中を歩き回り、撮影に適した場所を発見したり、あるいは上手くいかない場合は場所を変えたりした。

私たちは目的を持ち、探索していた。

このカメラを使った2週間から私が得たもの、それは「一旦止まって、自分の行動が意味あるものにすること」である。

レビューに使用したレンズキット:税別1万595ドル(約112万円)
ハッセルブラッド X1D II 50C ミラーレスカメラ ボディ:5750ドル(約61万円)
ハッセルブラッド 80mm F/1.9 XCD レンズ:4845ドル(約51万円)

カテゴリー:ハードウェア
タグ:Hasselbladカメラ写真レビュー

画像クレジット:Veanne Cao

原文へ

(文:Veanne Cao、翻訳:Hirokazu Kusakabe)