Steroids.jsで名を上げたAppGyverがデータベースへの容易なアクセスまで含む開発フレームワークSupersonicを立ち上げ

AppGyverは昨年、Steroids.jsと、ドラッグ&ドロップのHTML5アプリビルダーComposerで急に有名になった。その同社が今日(米国時間12/3)、これまでで最大のプロダクトと自称するSupersonicのローンチを発表した。それは、ユーザインタフェイスとデータの両方を構築するためのフレームワークだ。これと同時に同社は、Android用のより高速なラッパーと、Steroidsのアップデートもローンチした。

AppGyverのCEOで協同ファウンダのMarko Lehtimakiによると、Steroidsはデベロッパに、ベーシックなネイティブのユーザインタフェイスを作るためのベーシックなコンポーネントを与えたが、それをさらに一歩前進させたSupersonicでは、デベロッパがもっと完全なインタフェイスを作ることができ、しかもほとんどJavaScriptに触(さわ)らなくてもよい。代わりにSupersonicでは、Webコンポーネントを使ってHTMLのシンタックスを拡張し、ナビゲーションやタブ、アニメーションなどを作れる。インタフェイスは一回だけ書けばよくて、そのあとはAppGyverがそれを、AndroidにもiOSにも正しく割り振る。

Lehtimakiは曰く、“ユーザインタフェイスとナビゲーションの全体をずっと簡単に作れるようにした。この前はUIの成分を提供したが、今回はネイティブとHTMLの区別をぼやかしたんだ”。

SupersonicのUIの部分は、オープンソースのフレームワークIonicフォークだ。

しかしSupersonicはユーザインタフェイスを作るだけでなく、バックエンドのデータベースへのアクセスも容易になった、とLehtimakiは念を押す。

彼曰く、“一般的にモバイルアプリではデータの扱いが難しい。だからうちでは、開発過程の中でクラウドサービスを使うことが、全然特別なことじゃない、ふつうの自然なことのようにしたかったんだ”。

Supersonicではデベロッパが、バックエンドのデータベースと容易に対話できる。それは最初から、Parse、Kimono、built.ioなどをサポートしているし、アプリのプロトタイプ用には同社の無料のデータベースを使える(本番のバックエンドへの切り替えは数クリックでできる)。RESTのAPIなら何でも使えるから、特定ベンダへの囚(とら)われを心配する必要がない。AppGyverには囚われるかもしれないけど。

前からあるSteroidsとSupersonicにはもちろん重なった部分はあるが、でも今後AppGyverは、Steroidsをツールの一つとして位置づけたいのだ。それに対してSupersonicはフレームワークだ。ツールの方はアプリを作る・試験する・配布するためのサービスが含まれ、コマンドラインも使わなければならないが、製品系列が成長した今では、これらの機能との対話をWebインタフェイスから容易にできるようになり、またデータベースへの容易なアクセスも含まれる。

今日のローンチでAppGyverは、ネイティブラッパーの新バージョンもリリースする。Lehtimakiも認めるように、これまではiOSに力を入れ、Androidは二の次だった。でも今度からは、 Androidも第一級市民にしたい。被差別民ではなくて。

Androidラッパーは、従来のバージョンより3倍ぐらい速くなっている。それは、IntelのCrosswalkプロジェクトを統合したことに拠(よ)るところが大きい。これまで使っていた標準のAndroid WebViewは、Androidのバージョンごとの違いが激しすぎた。しかしこれからのデベロッパはいわゆる‘Androidの分裂’を心配する必要がなく、彼らのアプリはAndroidのどのバージョンでも、またどのデバイスでも、正常に動くはずだ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


PhoneGapで作ったアプリにネイティブのUIやアニメコードを呼び出させて高速化するSteroids.js

Adobeのモバイルアプリ開発フレームワークPhoneGapは、HTML5とJavaScriptだけでモバイルアプリが作れるので、とても人気がある。しかし、一度書いたコードを再利用できてクロスプラットホームなのは結構でも、ネイティブアプリに比べると遅い。そこで、AppGyverが今日ローンチしたSteroids.jsは、PhoneGapのアプリがネイティブのUIコンポーネントや、ナビゲーション、アニメーション機能などにアクセスできるようにして、そのギャップ(!)を填められるようにする。

そうすると、PhoneGapで書いたアプリなのにアニメーションなどのパフォーマンスはネイティブアプリと区別できないほどの速さ、なめらかさになるという。

AppGyverのファウンダでCEOのMarko Lehtimakiが言うには、このシステムはPhoneGapと完全互換であり、PhoneGapのプラグインもサポートしている。開発を始めてからほぼ18か月になり、最近の1年近くは非公開ベータをやっていた。そして今日あたりがいよいよ、一般公開してもよい頃合いだ、という。Lehtimakiによると、彼のチームはPhoneGapのパフォーマンスが抱える問題への対応修復にほとんど8人年を費やした。

Steroid.jsを使ってもアプリの核はあくまでもPhoneGapだから、カメラやマイクなどハードウェアへのアクセスはPhoneGapのコードのままだ。またSteroidsはCoffeeScriptとSassのサポートを内蔵し、さらにRuby On Rails的なScaffoldを自分のアプリのために手早くセットアップできる。そのための便利なコードジェネレータも、いくつか用意されている。だからLehtimakiの見積りによると、Steroidsを使えば開発時間は最大で30%ぐらい短縮される。

デベロッパにとってSteroidsがとくに便利なのは、デバイスに実際に接続して今書いたコードの動作をすぐに確認できることだ。コードのアップデートをデバイスにプッシュしてデバッグを開始するのは、わずかワンクリックだ。Safari Development Toolsを統合しているので、コードの変更もそうやって実機デバッグをやりながらできる。

新作のアプリを簡単に配布できるために、SteroidsではQRコードを使える。それをスキャンするだけで、アプリを自分のデバイスに素早くロードできるのだ。

Steroidsは、試用やオープンソース開発のためなら無料だが、企業利用のためには月額60ドルからの商用ライセンスがある。ちゃんとしたブランド名でアプリをリリースしたい企業や、そこの仕事をしているフリーのデベロッパは、有料ユーザとなる。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))