米国時間3月10日に、Google(グーグル)は、同社のデフォルトのメッセージングアプリを大幅にアップグレードすることを発表した。ほとんどのAndroid携帯にプリインストールされているメッセージアプリは、今回のアップデートで多くの新機能を獲得することになる。最も顕著なのは、iMessageの「背面タップ」が絵文字の反応として配信されず、別のメッセージとして送信されていた長年の問題に対処することだ。この問題は、AndroidとiPhoneユーザーの間のチャットを混乱させ、乱雑にし、あまりにもうるさいものにしている。
他のアップデートは、返信を忘れたメッセージに返信することを思い出させるナッジ、ビジネスと個人的なメッセージのための別々のタブ、お祝いしたい誕生日のリマインダー、Googleフォト統合を介するより鮮明なビデオのサポート、絵文字マッシュアップの拡張セットなどが含まれている。
アップデート後は、iPhoneユーザーからのリアクションが、Android上のテキストメッセージに絵文字として送信されるようになる。iMessageと同様にライク、笑い、混乱、興奮などの絵文字のリアクションがメッセージの右側に表示される(Androidでは、右下に表示)。この機能は、まず英語に設定されたAndroidデバイスで展開されるが、他の言語でも順次展開される予定だ。
これらの改良されたリアクションは、メッセージアプリのベータユーザーにはすでに提供されていたが、Googleはまだ一般にいつ提供されるようになるかについては述べていなかった。しかし、どの絵文字を使うかについてのAndroidの解釈は、iPhoneと若干異なることがテスターによって指摘されていた。例えば、Androidでは「ハート」のリアクションが「ハートの目をした顔」の絵文字になる。また、iMessageの感嘆符のリアクションは「口を開けた顔」の絵文字になる。
また、Googleは、ビデオ共有のエクスペリエンスを向上させるために、メッセージアプリにGoogleフォトを統合する。最新のRCS規格では、Android端末を持つ人同士で高品質のビデオを共有することができるが、iMessageはRCSをサポートしていないため、同じビデオをiPhoneの人と共有するとぼやけて表示される。そこで、Googleフォトを経由して動画のリンクを送信することで、iPhoneユーザーも同じように高画質で動画を視聴できるようになる。この機能は、後に写真にも対応する予定だ。
この追加機能は、ビデオの品質に関してAppleを恥じ入らせることで、業界標準を採用するように仕向けることを目的としている。
Googleはこれまで、AppleがRCSをサポートしないという決定について非常に大きな声を上げてきた。RCSを採用すればGoogleがAppleのiMessageとよりよく競争できるようになるというのがその主な理由だ。しかし、AppleがiMessageを安全性の低い古い規格であるSMSに戻したことで、自社の顧客にあまり良いサービスを提供できていないと指摘するGoogleは間違ってはいない(これは、Appleが主張するようなプライバシー重視の企業としては、奇妙な選択だ)。
iMessage should not benefit from bullying. Texting should bring us together, and the solution exists. Let’s fix this as one industry. https://t.co/18k8RNGQw4
— Android (@Android) January 8, 2022
サポートの欠如はまた、メッセージングの際にさまざまな矛盾を引き起こす。例えば、他のiPhoneユーザーにテキストを送る際、iMessageユーザーはタイピングインジケータを見たり、既読レシートを使ったり、高解像度のメディアを見たりすることができる。iMessageがRCSをサポートしていれば、Androidユーザーとのコミュニケーションでもこれらの機能が使えるはずだが、Appleはそうしないことを選択したため、自社の顧客にとって劣った体験になってしまっている。
Appleは、SMSを「より悪い」体験にすることで、エコシステムをロックインすることができるため、ある程度は利益を得ている。しかし、このような決定によって、iMessageはグローバルなメッセージングチャンピオンになることに失敗したと批判する議論もある。世界中のユーザーがWeChat(ウィーチャット)、Messenger(メッセンジャー)、Telegram(テレグラム)、WhatsApp(ワッツアップ)などのサードパーティのメッセージングアプリに移行したのは、AppleがAndroidに対抗しない、あるいは現代のメッセージングの基本機能に追いつくことさえしないことを選択したことも一因となっているのだ。
一方、Googleの場合は、ユーザーのプライバシーを保護するための努力が必要なものの、少なくとも消費者の利便性という点では、メッセージのアップグレードは、デフォルトのメッセージングアプリがどのように機能し得るかについての基準を上げている。それでも、以前の同社の散漫なメッセージング戦略の場合のように、さらに別のアプリを展開するのではなく、たった1つのアプリに着実な改善を見るのは良いことだ。
AppleがSMSを使い続けていることに関連する問題の解決に焦点を当てた上記の修正に加え、メッセージはアプリ内でメッセージを個人用とビジネス用のタブに自動的に分類するようになり、必要なメッセージをより簡単に見つけることができるようになった。さらに、乱雑さを減らすために、ワンタイムパスワードのメッセージは24時間後に自動的に消えるように設定することも可能だ。この機能はインドですでに提供されており、今回、米国でも提供される。
このアプリはまた、テキストに返信するのを忘れているのを知らせたり、友人の誕生日を思い出させることによって、より良い関係を維持するのに役立つ(連絡先アプリに誕生日情報を保存した場合にのみ有効)。このナッジは、まず世界中の英語圏のユーザーに対して展開される。
メッセージで送信されたYouTubeのリンクには、会話中にビデオのプレビューが表示されるようになった。
ついにGoogleは、Gboardキーボードに搭載されている、2種類の絵文字をマッシュアップして自分だけの絵文字を作ることができる機能「Emoji Kitchen」をアップデートした。この機能では、2000種類以上の絵文字がステッカーとして利用できるようになり、選択の幅が広がった。Gboardのデバイス上での文法訂正機能も、Pixelデバイスで最初に開始された後、すべてのAndroidに提供される。
メッセージアプリの新機能は、Androidウィジェット、Google TV、Googleフォト、Nearby Share、Android Auto、アクセシビリティ機能などの改善を含む、今回配信される他の多くのGoogle製品のアップデートにおけるハイライトの1つだ。
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(文:Sarah Perez、翻訳:Yuta Kaminishi)