GE Digitalがフィールドサービス支援のServiceMaxを9億1500万ドルで買収

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GE Digitalは本日、クラウドベースのフィールドサービス支援事業を行うServiceMaxを9億1500万ドルで買収したことを発表した。ServiceMaxが2015年に8200万ドルを調達したシリーズFでは、同じGEグループのGE Venturesが出資に加わっていた。

おそらく、読者が思っている以上にこの2つの企業の共通点は多いだろう。GEはPredix Platformと呼ばれるプラットフォームを運営し、IoTデバイスに搭載されたセンサーから受け取った情報を活用して、顧客となる企業が各種のアプリケーションを構築できるというサービスを提供している。GEはこれまでにもIoT業界に大きく力をいれており、MRIや風力タービン、航空機エンジンなどの巨大な機械から得たデータを顧客に提供することで、顧客による機械のメンテナンスに役立てている。

実際、先日私がServiceMaxの共同創業者兼バイスプレジデントであるAnthani Krishnaprasadに取材したとき、彼はIoTデバイスに搭載されたセンサーから得た情報を企業に提供することで、企業がまったく新しいビジネスモデルを構築することができるという未来について話をしていた。その時に彼が話していたServiceMaxのビジョンによれば、病院などの医療機関は今後、MRIなどの医療機器を「購入する」代わりに、稼働時間に基づいて発生する料金を支払うようになるという。

そして、ベンダーが医療機器の稼働状況をモニターし、メンテナンスをするようになる。センサーから得たデータによって、どのパーツが故障寸前なのか、それとも定期的なメンテナンスが必要なのかということを知ることができるのだ。彼はこのサービスを「結果ベースのサービス」と呼んでいる。

「データを分析してビジネスのプロセスを変え、それによって効率的なビジネスとより良い顧客サービスを実現することで、企業は大きな成功を掴むことができるのです」とKrishnaprasadは説明する。

GEがこれまでの単に機械を販売するというビジネスモデルから、SeviceMaxのビジョンに似たビジネスモデルへと転換しつつあるということを考えれば、この2社が手を組んだことは当然の成り行きだと言えるだろう。

「この買収は、Predix Platformにまつわる一連の技術のクオリティを高め、”Industrial Internet”という私たちのビジョンを推進することを目的に実現したものです」と話すのはGE DigitalのCEOを務めるBill Ruhだ。「生産性の向上はIndustrial Internetには欠かせない要素です。そして、デジタル産業戦略を成功させるために重要となるのが、フィールドサービス支援事業のデジタル化なのです」と彼は加える。

2007年に創業のServieMaxはこれまでに2億ドルを調達している。買収金額の9億1500万ドルという数字は、同社の投資家にとっては悪くないリターンだと言えるだろう。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

製造業の自己革新を懸けてSiemensが$100MのVCファンドを創設

ヨーロッパ最大のエンジニアリング企業Siemensの投資部門Siemens Venture Capitalが、このたび新たに1億ドルのファンドを立ち上げた。このファンドの投資目的は、オートメーションの新しいやり方など製造業に革命と革新をもたらすデジタル技術を追究する若い草創期のスタートアップの育成だ。同社は過去二か月ですでに、3D視覚化のLagoaと、次世代のサイバーセキュリティソフトを作るCounterTackの二社に投資を行っている。

既存企業系のベンチャーキャピタルはこれまで、“鈍い”と評されることが多かったが、本誌TechCrunchの昨年11月の記事にも見られるように、最近では専業VCと変わらぬ鋭敏な動きを見せるところもある。事実、2013年10月には48件のVC投資ラウンドが総額7億1900万ドルの投資を行い、しかもその14%がCVC(corporate venture capital, 企業のベンチャーキャピタル)からの出資だった。CrunchBaseのデータによると、それはCVCの参加率が昨年で最高の月だった。

SiemensやGEなどのエンジニアリングと製造業のコングロマリットは、自分たちのデバイスやマシンが捉えたデータやインサイトを有効利用したいと考えている。またインターネットとそのほかのデジタル技術を組み合わせた新しい製造技術をGEらは“Industrial Internet”(産業インターネット)と呼んでいる。The New York Timesの昨年11月の記事は、これまでの古いエンジニアリングとソフトウェアによる新しいソリューションが、明確に区別されるというよりむしろ、今では両者が融合しつつある、と述べている。とくにその傾向を顕著に裏書するのが、“物のインターネット(Internet of Things, IoT)”と呼ばれる新しいネットワーキング技術の勃興だ。それにより、極論すれば、Generl ElectricもGoogleもある面では共にソフトウェアを基盤とする物作り企業となり、両社の業態が見かけ上同じになってしまうのだ。

Siemensの企業~産業界向け部門Siemens Industry SectorのCEO Siegfried Russwurmは、次のように述べている: “製造業の企業がグローバルなマーケットプレースで競争するためには、今やデジタル化とソフトウェアがますます重要だ。今回のファンドは、Siemensの“Industrie 4.0”(第四次産業革命)戦略の一環として、製造業と産業の自動化のあり方を変える可能性のある、革新的な技術とビジョンに資本を提供していく”。

同社の声明文によると、この新たなファンドは創生初期のスタートアップ企業を支援し、彼らとのパートナーシップを育むことによって、彼らの新しい技術により、長期的には既存市場の変革と、まったく新しい市場の創造を喚起していく。

今Siemensに、このファンドに関するより詳しい情報を求めているので、得られ次第この記事を更新したい。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))