Insta360は、360度ビデオキャプチャのリーダーとしての地位を、少なくとも一般消費者市場では、あっという間に確立した。同社の新製品GOは、ブレ補正機能を内蔵した超小型のビデオカメラ。同社の技術を、360度カメラではなく、より一般的なカテゴリのビデオカメラに応用した製品だ。
GOの価格は199.99ドル(約2万1000円)で、大きさは本当に小さい。重量は18.3gで、高さは49.4mm、幅は21.4mm、厚みも14.85mmしかない。Insta360が、このデバイスのユースケースとして考えているのは、ユーザーの服や帽子など、どこにでも取り付けて短いクリップを撮影するというもの。もちろん、この小ささは、それにぴったりだ。実際にGOは、手軽に短時間だけ撮影することに特化している。クリップの録画時間の上限は30秒だ。デバイス上にたった1つしかないボタンを押すと、30秒の録画が始まる。30秒以内にボタンをもう1回押せば、録画を停止できる。
GOは、間違いなくソーシャル共有を意識して設計されたもの。その秘密兵器は、Insta360独自のFlowStateと呼ばれる内蔵のブレ補正機能だ。これは、スマホや、他のデバイスを使った撮影とは、まったく異なった結果をもたらす。すでに同社のInsta360 One Xという360度カメラでも大きな効果を発揮している、デジタルビデオのブレ補正機能なのだ。映像を滑らか撮影し、激しいアクションを含むような場面でも、観ていて気持ちが悪くなったりしないようにする効果を持つ。
GO本体には磁石が内蔵されていて、いろいろなアクセサリーと組み合わせて使えるようになっている。たとえば、目立たないように衣類に付けるための背面プレート、水中ハウジング、サーフボードや乗り物に取り付けるためのアタッチメントなどだ。ちなみに、GO本体はIPX4に対応した防沫タイプなので、水滴などの飛沫からは保護されるが、そのまま水中に入れることはできない。GOは、最大2720×2720の解像度でクリップを撮影できるが、ブレ補正をかけた結果として、1080p(25fps)で映像を出力する。
撮影モードには、標準の25fpsに加えて、いくつかのバリエーションがある。30fpsのタイムラプス(低速度撮影)モードでは、最長で8時間の撮影が可能で、それを9秒のビデオとして出力する。また、ハイパーラプスモードも装備する。最長30分の撮影で、5分のビデオとして出力できる。静止画の撮影も可能だ。2560×2560の解像度の正方形の画像として出力できるだけでなく、そこからトリミングして何通りかのランドスケープ画像を得ることもできる。
Insta360 GOは撮影を簡単にするだけではない。FlashCutと呼ばれる自動編集機能によって、映像の編集と共有を非常に簡単なものにしている。このツールは、iOSとAndroid上で動作するアプリとして提供されている。Insta360によれば、AIを利用して、その日に撮影したものの中からベストなクリップを探し、いくつかのクリップを自動的につなぎ合わせて最終的な作品に仕上げてくれる。たとえば「食べ物」といったカテゴリーを指定して、クリップを選ばせることもできる。また、やはり無料で提供されるWindowsやmacOS用のアプリを使って、クリエーターの領域に踏み込むような、より突っ込んだ編集も可能となっている。
まだ、この製品を実際に試してみる機会は得られていないが、仕様を見る限り、もっとも気になる制約はバッテリー寿命だ。1クリップあたり20秒とした場合、1日で撮影できるのは200クリップ程度に限られる。これは、付属のチャージケースを使って、使っていないときにGOを充電する操作も含めての数字だ。このチャージケースに内臓のバッテリーは、GO本体を約2.5回フル充電できる。このバッテリー寿命と録画時間の制限は、このカメラを使って多くのコンテンツを作成しようと考えている人にとっては障害になる可能性もある。とはいえ、このGOは、何の苦もなく常に持ち歩くことができる。そしてスマホが近くになくても、すぐに撮影できる。
199.99ドル(約2万1000円)という価格は、それほど安いものではない。しかし、この価格には、チャージケース、首から下げられる磁石付きのペンダント型ホルダー、スタンド、衣服に直接付けられるクリップ、さらになめらかな面に張り付くタイプのマウントが、すべて含まれている。Insta360のウェブサイトから直接購入した場合には、レーザー刻印することも可能だ。このカテゴリには、Google Clipsカメラや、それより早く製品を発売したMemoto、Narrative Clipといったライフログカメラなど、先行する失敗例がある。そうしたものより多くの特長を持ったInsta360 GOが、新たなカテゴリを確立できるのか、注目して見守りたい。
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(翻訳:Fumihiko Shibata)