ガーデニングのIoT(物のインターネット)を目指すGreenboxがまず水やりコントローラの予約販売を開始

物のインターネット(Internet of Things, IoT)が最近やっと駅を出て走り出したようだ。これからはますます多くの家庭用品がインターネットに接続されて、スマートフォンアプリのユーザインタフェイスとリモートコントローラから操作されるようになる。

これまでも、ありふれた温度計をスマート化したNestがおり、ヨーロッパにはTadoなどがいる。Nestは最近、煙検出器(火災報知器)もスマート化した

同じくIoTでこれから頑張ろうとしているのが、イスラエルのGreenboxだ。“クラウドに接続されたスマートな灌水システム”と称される同社の最初の製品は、要するにスプリンクラーをコントロールするシステムだが、12月の立ち上げを前に今から予約を受け付けている。同社のキャッチフレーズは、“庭のためのNest”だ。

Kickstarterの資金募集が成功しなかった同社は、最近Kima Venturesから25万ドルを調達した。Greenboxのやることは、典型的な、家や家庭のインターネット化路線だ。庭で使うスプリンクラーをインターネットに持ち込み、これまでの無脳製品や、インターネット接続とはいってもユーザ体験がお粗末な製品に、取って代わろうとする。

協同ファウンダでCEOのEyal Diorはこう言う: “今ある灌水コントローラは、時代遅れだし、極端に使い辛くてユーザをいらいらさせる。しかも今の製品はどれも、気象データに結びついていないから、雨が降ってきても潅水を続ける。慌てて走って行って栓を閉めなければならない。また予想外に陽射しの強い日には、同じく人間が走って行って栓を大きく開けてやらなければならない”。

これは、庭が自動的に十分な水を与えられない、という問題だけではなく、大量の水を浪費しているという問題でもある。もちろん無駄な水道料金を払わなければならない。そこでGreenboxは、コントローラソフトをクラウド上に置き、そこに位置対応の気象データを送り込む。それだけでなく、まるでNestをそのまま参考にしたように、学習能力がある。その結果、同社の主張では、水の消費量が最終的には最大50%減る。

“Greenboxはシンプルなインタフェイスでリモートアクセスをする”、とDiorは言う。“その灌水システムは天候に基づいて自分をプログラムする。しかも、長期間使い込むにしたがって学習内容が充実し、より一層水と費用を節減できるようになる。それに、使う人間にとって楽しいUXの実現を心がけた”。彼によると、そのUXは人気のスマートフォンプラットホームiOSを多いに参考にした。“スマートフォンの普及によって、ホームオートメーションの大衆化の時代が始まった。家だけでなく、庭についても同じことが言える”。

Greenboxの収益源は、灌水コントローラの売上だけだ。スマートフォンアプリは無料、クラウド上のサービスも、会費などは要らない。予約価格は219ドルである。Greenboxと同じく、庭の灌水の制御を自動化するシステムに、Cyber-rain、Rain Machine、Weathermaticなどがある。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


ARMが物のインターネットのSensinodeを買収, そろそろスマホ/タブレット依存から脱却へ

ARMのプロセッサを使ったWindowsマシンやAppleデバイスが、このところマスコミを賑わしている。最近の話題は、Surface 2とNokiaの初のWindowsタブレットと近く出るiPhoneの新機種だ。しかしイギリスのケンブリッジに本社を置く強力な半導体企業ARMは最近ますますその野望…インターネットに接続されるすべてのデバイスを駆動すること…を肥大させているようだ。今日(米国時間8/27)同社は、フィンランドで物のインターネットのためのソフトウェアを作っているSensinode Oyを買収した、と発表した

これは既存のパートナーシップの総仕上げのような買収だ。ARMによると、これで同社は今後も、SensinodeのNanoStackおよびNanoService製品を、ARM Cortex®系列のプロセッサやmbedのコラボレーションプロジェクトと並行して、売っていくことができる。

買収の金額条件等は、公表されていない。

ARMといえばAppleがARMベースのチップを設計していることが示すように、現状は何よりもまずスマートフォンとタブレットを連想するが、しかし同社はかなり前から市場を別世界へ拡大しようと努力している。その意図と姿勢の現れは、今回のIoT企業の買収が初めてではない。

長年CEOを務めたWarren Eastが昨年身を引き、生え抜きの元エンジニアであるSimon Segarsに指揮を譲ったとき、ARMはその長期戦略を明かにした。当時の声明等では漠然と、いわゆる“モバイルデバイス”依存から脱却し、車や家電、FAなど、仕事関連であれレジャー関連であれ、なにしろネットに接続されるものなら何でも動かしていく、と言われていた。上の図はSensinodeのサイトにあるイラストだが、まさにそういう意味での“何でも”を表している。

ARMはIoTの将来性との関連で大量の例を挙げている: “IoT技術の対応市場は、ワイヤレスセンサ、ネット接続型電脳家電、家庭用保健医療アプリケーション、着脱式(ウェアラブル)電子製品などである。この技術はさらに、セルラー接続を使用するM2Mアプリケーションや、デバイス管理のための軽量M2Mの規格であるOMAにも対応する”

退任に際してEastは、次のように言っていた: “弊社の経営については非常に長期的な視野を持っている。そして、今こそがリーダーシップを一新する最良のタイミングであり、成長の次のフェーズに踏み出し、長期計画の視野をさらに遠い未来にまで広げるべき時期だと信ずる”。

というわけで、本日の買収のニュースは、彼が具体的に何を考えていたのかということの、一つの例である。ARMがIMS Researchに委託して行った研究調査では、2020年にはインターネットに接続された「物」の総数が300億個に達する。これに対し、昨年出荷されたARMベースのデバイスは87億台だ。今すでにこれだけ好調かつ好評なのだから、それをベースとして、300億の大きな部分が自分たちのものだ、とARMは考えているのだ。

ARMのシステムデザイン部でEVPとゼネラルマネージャを務めるJohn Cornishは、今日の声明文の中でこう言っている: “ARMはあくまでもスタンダードに基づく物のインターネットの実現に傾注していく。そこでは、何十億ものありとあらゆるタイプおよび能力のデバイスが、Internet ProtocolsとWebサービスを介して相互運用されていく”。つまり彼の言うスタンダードとは、IPとWebがベースだ。

そしてこれは当然、Intelなどとの企業競争に伍していくためにも、力を緩めることが許されない分野だ。IoTは、今や各社が狙っている。

ARMはSensinodeについて、次のように説明している: “インターネットに接続される低価格で低電力消費のデバイスのためのソフトウェアにおける、パイオニア的企業群に属し、IoTのオープンスタンダードに対する重要な寄与貢献者である”。それらのスタンダード努力には、ローコストローパワーデバイスのための6LoWPANおよびCoAP規格の作成も含まれる。同社が今寄与貢献しているのは、IETF、ZigBee IP、ETSI、OMAなどにおける各種の標準化努力である。

今回の買収はSensinodeにとっては、プラットホームの拡大と対象デベロッパの増大という大きな機会を意味する。同社の技術を使ってチップやデバイスを作るデベロッパの数が、一挙に増えるのだ。Cornishは、次のように書いている: “Sensinodeの専門知識と専門技術がARMのmbedプロジェクトを介してARMのパートナーたちからアクセス可能になることにより、今後は何千もの新しい革新的なIoTアプリケーションの迅速な展開ができるようになる”。

これはどうやら、ARMにとって二度目の買収のようだ。最初も今回と同じく戦略的買収で、それは2011年のProlific、ナノテクノロジソフトウェアのデベロッパだった。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))