DMMが秋葉原にモノづくりの大拠点――3億円超の機材を揃え、CerevoやABBALabが入居


MAKERSムーブメント、IoT――言葉としてはよく聞くし、その動きは活性化している。多くの人たちは3Dプリンターにばかり目が行きがちだが、それだけの話ではない。ハードウェアスタートアップに必要な機材が利用できる場所が増え、そのノウハウを持ったプレーヤーも徐々に育ち、MoffRingといったプロダクトが世に出てきた。またそんなプレーヤーに出資したい投資家も現れている。

そんな中、DMM.comが日本のモノづくりスタートアップの中心地づくりに動いた。同社は11月11日に東京・秋葉原にてモノづくりの拠点となるスペース「DMM.make AKIBA」をオープンする。あわせて同スペースにはハードウェアスタートアップのCerevoやハードウェアスタートアップを対象にした投資を行うABBALabが入居。ノウハウや立ち上げ資金の提供を進める。

DMM.comでは、サイト上でデータをアップロードし、3Dプリンターでパーツやフィギュアなどの造形物を製作する「DMM.make 3D PRINT」を2013年夏にスタート。その後はIoT関連の情報を配信するオンラインメディア「DMM.make」も展開してきた。3Dプリント事業はすでに月間数千メデルを制作するまでになったが、「実際のところこれまでの事業は『入口』。これまでの我々の事業もそうだが、プラットフォームを作ることを目指している」(DMM.make AKIBA総支配人吉田賢造氏)とのことで、そのプラットフォームとしてDMM.make AKIBAを立ち上げるに至ったという。

3億円超の“本物”の機材が揃う「Studio」

DMM.make AKIBAの所在地は、秋葉原駅そばの富士ソフト秋葉原ビル10〜12階。10階は電子工作から量産向け試作品の開発・検証までが行える。「DMM.make AKIBA Studio」。11階は3Dプリンターを設置し、3Dプリンターや各種機材に関する法人向けのコンサルティングサービスを提供する「DMM.make AKIBA Hub」。12階はイベントスペースやシェアオフィスなどを展開する「DMM.make AKIBA Base」となる。なおCerevoは12階の一部に入居する(余談だが、Cerevoは今夏に株主が変わって以降、人材を大幅に拡大しており、現在自動車メーカーや電機メーカー出身のエンジニアも続々参画しているそうだ)。

Studioには合計180点以上の設備があるそうで、その金額は「機材だけでも3億円超」(吉田氏)だという。また、機材の監修をしたCerevo代表取締役の岩佐琢磨氏は、「機材は『本物』を揃えた、ということが重要。
5軸CNC(切削機)をはじめとして、小さな工場では高価で導入できないものも用意されている。また、水深30mまでに対応した耐圧潜水試験設備など、試験用設備もある。これがあれば最近出ているいわゆるハードウェアスタートアップの量産のほぼ一歩手前までができる」と語る。僕もそのリストの一部を読んだのだが、言葉の意味は分かるけど実物を見たことがない…というような試験設備も数多く並んでいた。

ハードウェアと聞くと僕らは機器そのものに目が行きがちなのだけれど、岩佐氏いわく配達までに壊れないよう梱包素材の選定だって重要だということで、そのための試験機までが用意されている。こういった試験機やハードウェア製作のための機器をスタートアップが一度に利用できる施設は国内では今までまずなかったそうで、岩佐氏は「1製品作るのに平均10カ月近くかかっていたが、うまくいけばそれが1〜1.5カ月短縮できるのではないか」と語る。

利用料金はStudioが月額1万5000円(初期費用3万円)から。オフィススペースのBaseと同時利用の場合、月額3万円(初期費用6万円)からとなる。この設備にたいしてこの料金設定でビジネスとして回るのか吉田氏に尋ねたが、「まだ投資フェーズだと考えている。施設単体でどうかというところだけでなく、ビジネスをより波及させることになる。まだまだ市場を広げて初めて価値を出す」とのことだった。

ハードウェアスタートアップ向けの支援プログラムも

また、ABBLab代表取締役の小笠原治氏は、ここでスタートアップ向けのシードアクセラレーションプログラム「ABBALab Farm Programing」を展開する。現在BoltやHighway1、HAXLR8Rなど、海外では20以上のハードウェア向けシードアクセラレーションプログラムがあるが、日本で大々的なプログラムはこれまでなかった(これについて小笠原氏は「これまでモノづくりができていなかった地域ほど、プログラムが活発だ」と教えてくれた。同時に「日本はモノづくりに強いが、個人や起業して作る人が少ない」とも)。

プログラムに参加するには、毎月開催される「トライアウト」と呼ぶプレゼンで合格する必要がある。合格すれば、業務委託や投資(基本的には評価額3000万〜5000万円で、50万〜1000万円を出資する)「スカラシップ」、自らが持つスキルでスカラシップを教育・支援して対価を得られる「フェロー」になることができる。なおプログラム参加者は毎月発表を行う場が用意され、そこで支援継続、支援追加、支援中止のジャッジを受けることになるという。プログラムはまず、並行して10社程度の参加を予定する。

プログラムでの目標を達成したプロダクトは、クラウドファンディングなどを通じて市場に出し、初期ロットの生産数を試算できるようになった時点で適量生産(大量生産の手前の段階、数を限定した生産)までを進める。もちろんABBALabや他のベンチャーキャピタル、事業会社と連携した追加投資も行うという。

岩佐氏は最後にこう語った。「大義名分にはなるが、海外は気合を入れてモノを作っている。我々はそれに負けてはいられない。日本はハードウェアの国だったのに海外にやられている状況。我々Cerevoが偉い、儲かっているとは言わないが、ハードウェアベンチャーとしては先を走っていて、ノウハウがある。ここにはDMM.comの機材があって、スタッフがいる。ここでこそ我々のノウハウが生きると思っている」


冷蔵庫にミルクがあるか(いたんでないか)教えてくれるMilkzUpBottle

私は大人のなりそこないで、これからシリアルを食べるとき冷蔵庫に運良くミルクがあれば、それはたいてい、すでにいたんでいる。

しかし幸運にも、昨日のディスラプトEUのハッカソンで、ミルクの状況が何でもわかる、という作品が登場した。そのMilkzupBottleと名づけた作品は、プラスチックのボトルとUSBのコネクタとLEDライトとふつうのWebカメラでできている。

作者のDavid Turnerによると、大手家電のGE(General Electric)が今、USBやWiFiで接続される電脳冷蔵庫のプロトタイプを作っている。その冷蔵庫にまた別の電脳機器(たとえばQuirkyのEgg Minderみたいなやつか?)を接続してやると、人間ユーザが冷蔵庫の中の物とコミュニケーションできるようになる。

MilkzupBottleは、基本的にはそういう電脳冷蔵庫に接続して、一日に二回、ミルクの状態をチェックする。冷蔵庫の中はドアを締めると(たぶん)暗くなるので、MilkzupBottleにはWebカメラ撮影用のLEDライトがついている。

それのアプリ(上図)では、ミルクの4種類の状態…Milkzup(たっぷりある)、Milkzdown(いたんでる)、Milkzlow(少ない)、Milkzout(ない)…をチェックできる。

Turnerはこのプロジェクトをオープンソースにして、ほかの人がこれをどうするか見たい、と言っている。

詳しくはここで。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


ポーランドのSeed Labsが超簡単なIoTチップを開発…IoTのカンタン化だ

ホームネットワーキングのプロトコルは今非常に多様化しているが、でも本当に検討に値するものはわずかだろう。Wi-Fiは使えるがダウンすることがあるし、ZigBeeなどはあまり広くサポートされていない。でもBluetooth Smartは、ローカルでセキュアでしかも使いやすい。Seed Labsも、家の中のあらゆるもの…電球、ブラインド、湯沸かし、などなど…を制御するためにこれを使っている。

このポーランド出身のスタートアップが作ったものは、小さなチップ(上図左)で、サイズは切手ぐらい、厚さは切手の倍ぐらいか。これを、どんな器具にでも放り込むのだ。するとその器具は、Bluetooth Smart対応のスマートフォンに自動的に表示され、ユーザはそれらの電球や湯沸し器や窓のシャッターなどをコントロールできる。この、われわれのホームネットワーキング観を革命的に変える…超単純化する…製品は、消費者直接ではなく、家電メーカーなどの企業が顧客だ。

Seed LabsのCMO Marek Wierzbickiはこう語る: “近未来にはわれわれの身の回りの物すべてが、ソフトウェアで定義されるようになる、とわれわれは確信している。今のわれわれは大量のガジェットに囲まれているが、でも、電球、湯沸かし、スイッチ類、シェードなど、それらのどれひとつとしてネットワークに接続されていない。IoTがギークたちのものだとは、思いたくない。ふつうの人がネットワークに接続された製品を快適に使えるようにしたい”。同社は今、サンフランシスコにある。

同社はこのチップを、器具のメーカーにライセンスし、ポーランドのクラクフでソフトウェアを作る。

“われわれはBluetooth Smartに、IoTの技術を抜本的に変えるものとして賭けている。われわれは、そのためにきわめて使いやすいソフトウェアを作る。現状では、そのほかのIoT企業は面倒で使いづらい通信プロトコルを使っている”、とWierzbickiは述べる。

同社のデモには、説得力がある。そのチップが器具の中で動いていれば、スマホ上のアプリには制御に必要なインタフェイスが現れる。何時にお湯が沸いてほしいか、とか、電球をリモートで消す/点けるなどのコントロールができる。ネットワークに加わったデバイスをシステムが自動的に記憶するから、人間がセットアップすることは何もない。インタフェイスのデザインも独特で、たとえばその物が近くにあることや、それの動きなどを感知するNestふうのノブなどがある。

チップはiBeaconにも対応しているので、iPhoneとリアルタイムで対話できる。同社は今日(米国時間9/12)、チップの一般的な可利用性と、100万ドルのエンジェル投資が完了したことを発表した。

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各部屋の温度をクラウドから個別にコントロールするVentix、アプリのデザインは13歳の少女が

父娘チームGabi ZunigaとShani Zunigaが、長年の隣人で友人のDanny Eizipsと一緒に、クラウドからコントロールする冷暖房装置を作った。

それはNestにも似ているが、もっと未来的だ。Nestのサーモスタットは家全体をコントロールするが、Arduinoで作ったVentixは家やオフィスの個々の部屋をコントロールできる。この小さなコンピュータ(上図)が、Digital Ocean上でホストされているオープンソースのSparkサーバと通信する。PebbleのウォッチなどにSMSのテキストを送るモバイルアプリもある。そのモバイルアプリから、このデバイスのある各部屋の温度をっコントロールするのだ。

ZunigaとEizipsはこれまでの1年半あまり、気流の方向を変えることによって家の各部屋の省エネを実現する方法を話し合ってきた。“Indiegogoに同様のアイデアはあったが、それは製品化されなかった”、とZunigaは言う。それは、KeenVentのことだろう。Keenの会社は過去にDisruptに出たこともあり、その後アクセラレータTechstarsを頼ったが、Indiegogoでは製品化の遅れを認めた。

しかしZunigaらは、満を持して今年のDisrupt SFのハッカソンまで待った。彼はアプリのデザイナーとして、自分の13歳の娘の名を挙げている。彼女にとってハッカソンに出るのは初めてだが、グラフィックデザインはすこし勉強している。13歳のShaniはiPadとiPhoneのアプリをすべて自分でデザインし、次はAndroidをやりたい、と言っている。

彼らは今、このアイデアをKickstarterにアップロードすべきか、それともパートナーを探すべきか迷っている。パートナーするのなら、エアコンのメーカーが最適だろう、とも考えている。“彼らはハードウェアを作れるし、流通経路もある。われわれには技術がある”、とEizipsは言う。

いずれにしても彼らは、ハッカソンに勝ち抜いてDisruptの本選に出たい、と願っている。彼らにとってDisruptに出るのは、これが初めてだ。

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物のインターネットにメッシュネットワークを構成させるOpen Garden…インターネットがなくても互いに通信して情報を伝達

Open Gardenは2年あまり前のTechCrunch Disrupt NYでローンチした。当時の同社は、Androidスマートフォンによるメッシュネットワークの構築がメインだったが、その後、オフラインチャットのFireChatで成功した。そして今同社は、物のインターネット(IoT)への進出をねらっている。

Open GardenのMobile Network for IoTデバイスは、同社がそのモバイルアプリのために開発したものと同じメッシュネットワーキング技術を使って、互いに対話をする。また対話だけでなく、そのシステムは単一のアクセスポイントにより情報をインターネットに渡せる(上図)。つまり、そのネットワークの中にインターネットに接続しているデバイスは一つだけあればよい。

Open Gardenの技術を採用した最初のデバイスは、車のキーや財布やペットを見つける TrackRだ。一般的には、キーが何らかの形でインターネットに接続していれば、それを見つけることができる。しかし、キーが家のカウチの後ろにあるなら問題ないが、路上でなくしたのだったら、そいつはあなたにpingできない。でもOpen Gardenなら、ほかのTrackRユーザや、Open Gardenのアプリをインストールしているデバイスを持ってる人が、紛失物から100フィート以内に来ると、彼らの電話機が接続をセットアップしてオーナーにアラートする。

TrackRはこれまで、約25万台のデバイスを売った。Open Gardenのモバイルアプリと、FireChatと、TrackRアプリを合わせて、Open Gardenはまあまあのリーチを確保しているが、まだまだユビキタスにはほど遠い。範囲が広く、密度が密になるためには、たくさんのパートナーとの積極的な提携関係が必要だ。同社はそれを目指して、いろんなデバイスメーカーにAPIを公開し、彼らのすべてのデバイスがOpenGardenのメッシュネットワークをサポートしている状態の実現を、目指している。

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半導体投資の回復

[筆者: Ilgiz Akhmetshin]

編集者注記: Ilgiz AkhmetshinはSKTA Innopartnersで事業開発とマーケティングを担当している。IlgizはITと情報システムの分野で、さまざまな経験を積み重ねてきた。

これまでの数年間、半導体への投資は低迷していた。SGAの調査によると、2010年の北米、ヨーロッパ、およびイスラエルでは、半導体企業へのシリーズAの投資はわずか5件、出口はわずか10件だった。それまで半導体企業に投資してきたVCも、スケーラビリティが大きくて出口までの期間が短く、失敗のコストが低いソフトウェアのスタートアップに軸足を移してきた。

しかしながら、半導体投資は2013年に底を打ち、徐々に回復に向かっていると私は思う。CrunchBaseなど一般に公開されている取り引きデータを見ても、最近の投資トレンドには明るい材料がいくつか見つかる。

VCの集団脱走

資本費用の高騰

半導体スタートアップがVCにとって魅力薄になった理由はいくつかある。第一の理由は、コンセプトの段階から概念実証の段階へ進むために必要な資本の大きさだ。半導体製品は通常、試作品を設計してコンセプトをテストするまでに最大18か月/100万ドルを要し、最初のサンプルチップができあがるまでにさらに200万ドルを要する。

半導体スタートアップを起業するために必要とされる資本の額はVCたちに、緩和努力のありえない大きなリスクをもたらす。半導体開発はソフトウェアと違って、フェイルファスト(fail fast, 早い失敗, 失敗が早めにわかること)の機会がないからだ。この投資構造のゆえに、ベンチャーキャピタリストは半導体スタートアップを避けようとする。

買収による整理統合

半導体がVCにとって魅力がなくなった第二の理由は、半導体業界における大規模な整理統合だ。ほんの数社の巨大企業が残り、買収能力のあるそのほかの企業(出口機会)や、またスタートアップがスケールしていけるための大きな顧客は、もうほとんど残っていない。

たとえば、今の業界の最大の問題のひとつは、10ナノメートル未満の加工技術に必要な安価で信頼性の高いEUVがないことだ。優秀なソリューションを抱えたスタートアップが数社あり、それぞれが製品を市場に出すまでに200〜300万ドルを必要としていた。ところが、彼らにスケールアップの機会、出口の機会を与えうる顧客はASML一社しかなく、しかも同社はすでにCymerに投資していた。このような状況があるため、スタートアップが資金を調達することはきわめて難しいのだ。

また、設計ツールの費用も高い。メーカーはCadenceSynopsys、わずか2社だ。彼らは小さなスタートアップに対して一人一年あたり50000〜75000ドルのライセンス料を課金する。これによってスタートアップのバーンレート(資本燃焼率)が大きく上昇する。

販売サイクルが長い

販売サイクルが長いことも、半導体スタートアップが投資家にとって魅力薄である理由の一つだ。あるスタートアップが、あらゆる問題を解決克服して最良のチップを作ったとしよう。そのチップは、最終設計の完成から市場で一般的に入手可能になるまで、平均3年を要する。かつて優れた製品を作ったCalxedaは、この長い坂の途中で息切れ(資金切れ)し、落伍した。半導体スタートアップは市場からの需要の牽引力を早めに得ることができないため、投資家も初期の投資(育成的投資)をためらうのだ。

半導体スタートアップへの投資が戻ってきた

上で挙げたようなさまざまな問題があるにもかかわらず、半導体企業への投資は徐々に回復している。2014年の最初の6か月のデータを見ると、2013年に比べ、投資ラウンドの回数は30回から35回に増加し、投資を受けたスタートアップは27社から31社に増加した。

この程度の増加は統計的に意味がないかもしれないが、しかし真の変化はその細部にある。

2012年の前半における32回の投資ラウンドのうち、新しい企業への投資はわずかに2件だった。そのほかの投資は、すでに投資をされている企業への追加的ラウンドだ。2013年の前半も同じ傾向で、スタートアップへの投資はわずかに3件だった。ところが今年は、1月から6月までで、新しい半導体スタートアップへの投資が20件近くに達した。

またLPたちも半導体企業とコア技術への関心を新たにしているようだ。Walden Internationalは最近、半導体向けのファンドとして1億ドルを確保した。噂では、某ファウンドリ企業が、スタートアップインキュベータ/アクセラレータ事業の立ち上げを検討している、といわれる。

過去数年間、資本集約型のスタートアップにとって、投資の欠如が致命的な問題だった。しかしながら、投資家たちはこの分野に戻りつつあるようだ。このトレンドが今後も続き、コアテクノロジにおけるイノベーションに火をつけ、新世代のIoTデバイスを可能にし、業界を大きく変貌させるアプリケーションが作り出されることを、期待してやまない。


資料:

  1. CrunchBase Data Export
  2. GSA Capital Lite Working Group Update

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Enevoのごみ容器用センサがごみ収集を効率化、早くも$8Mの資金を獲得

物のインターネット(Internet of Things, IoT)って知ってるよね。では、ごみのインターネットは?

 Enevoというスタートアップは、センサを利用するごみ収集システムを作ったんだ。同社は今日(米国時間8/28)、EarlybirdとLifeline VenturesとFinnish Industry InvestmentとDraper AssociatesとRisto Siilasmaaなどなどから800万ドルの資金を調達したことを発表した。

EnevoのONEと名づけたサービスは、ごみステーションやリサイクルスポットの容器に小さなワイヤレスのセンサをつけて、ごみ収集を最適化する。センサのネットワークがEnevoのサーバにデータを送って、容器が満杯か空か、などの情報を教える。

とくにリサイクル業者は定期的でなく動いているから、満杯の容器だけを収集できれば、かなりの時間節約になる。

EnovoのファウンダでCEOのFredrik Kekalainenによると、これによってごみ収集を、定期的で効率の悪いやり方から、完全に需要に基づく動的なやり方に変えることができる。ごみ収集は世界のどの国でもやっているから、うまくいけばEnovoの需要も多いだろう。

今Enovoは北米とヨーロッパの25の国で採用されていて、今後は中東やアジア市場も開拓したい、という。

Enovoにはすでに競合他社がいて、それはアイルランドの小さな企業SmartBinだ(Enovoはフィンランド出身)。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


米西海岸と急接近、中国深圳や香港、台湾に根付くハードウェアスタートアップの今

編集部注:この原稿は土橋克寿氏(@dobatty )による寄稿である。土橋氏は海外ハードウェアスタートアップに特化したブログ「Build Something!」を書いており、現在は東アジアや北米を主軸に活動している。

米西海岸のハードウェアスタートアップにとって、中華圏都市は身近な存在となっている。シリコンバレーのスタートアップエコシステムと結びつく形で、中国深圳や香港、台湾などが興隆しており、ハードウェア特化のインキューベーターも続々と出てきている。各都市にはそれぞれ異なる良さがあり、中華圏のスタートアップコミュニティといっても欧米人が多い。彼らはその違いを感じ取った上で、自らが最適と選んだ地へ足を運んでいる。

深圳の電気店が集約しているモール内の様子

独特のエコシステムを形成する深圳

香港の中心街から電車で40分ほど北上した所に位置する中国都市・深圳。名立たる電機メーカーの発注をこなす巨大工場から、試作や量産の相談がすぐにできる中小規模の製造工場、マニアックな部品を扱う売店まで集積しており、高い利便性を誇る。現在の深圳では、数個、数十個、数百個、数千個と幅広い単位での発注が可能だが、以前はこれが叶わなかった。

ハードウェアに特化したアクセラレータプログラム「HAXLR8R」ファウンダーのCyril Ebersweilerは「5年前に『これを1000個作ってほしい』とお願いしても断られていましたが、今日では問題ありません。現地のハードウェアスタートアップにとって深圳が本当に好都合なのは、プロトタイプ製作が迅速にできるからです。モノによっては24時間以内、しかも非常に安く。これらの変化がスタートアップにとって重要です」と話す。

HAXLR8RファウンダーのCyril Ebersweiler氏

HAXLR8Rのプログラム全体は111日間で構成されており、メンターの指導内容は創案・製造・梱包・戦略・流通・財務など、多岐に及ぶ。参加者は6割アメリカ、2割ヨーロッパ、2割アジアで構成されており、中国出身者は意外と少ない。要因の一つとして、深圳にはテンセントなどの巨大企業が本拠を構えており、優秀なエンジニアを高額給与で大勢雇い入れていることが影響している。その一方で、深圳に住むエンジニアたちは、スタートアップへ正式参加する代わりに、平日夜や週末に技術的サポートを行うことが多い。

「大企業の仕事だけでは物足りないのでしょう。深圳のスタートアップのエコシステムは、北京などと比べるとまだ発展途上ですが、深圳は他都市とは異なる、新たなエコシステムを形成する可能性を持っています。ハードウェアに携わる日本の皆さんには、是非もっと深圳へ足を運んでもらいたいです。恐れることはありません」

深圳視察研修を組み込むSFインキュベーター

HAXLR8Rは深圳を本拠としており、プログラムの最後にはサンフランシスコで製品発表を行う。一方、それとは逆アプローチのインキュベーターも存在する。ハードウェアのリスク縮小を目標とした4カ月のプログラムを提供するHighway1だ。サンフランシスコを本拠としており、参加希望者の合格率が7%という狭き門である。Highway1は各業界の有識者で構成されたメンターと共に、プロトタイピングプロセスやビジネスについてのブートキャンプを行い、参加者のプロダクト・ブランド・戦略がより強固になるよう手助けしている。

Highway1 VPのBrady Forrest氏

Highway1を運営するのは、世界的に製造・物流を手掛けているサプライチェーンマネジメント企業PCH Internationalだ。そのため、参加者はプログラム中に入居する施設で工作機械を自由に使えるだけでなく、Appleなどを顧客に抱えてきたPCHのノウハウも活用できる。

4カ月のプログラムには、深圳の工場を2週間巡る視察研修が含まれている。その思いについて、Highway1 VPのBrady Forrestは「中国の製造の現場について、サンフランシスコのスタートアップにもよく知ってもらいたい」と話す。滞在中、プログラム参加者は多くの工場を訪れる。直接メカニックと話し合うことで、プロダクトや製造プロセスについての助言を受けられる。そこでの議論が気に入り、視察研修の後半には製造パートナーを変更するチームも出るほどだ。

香港で醸成されるスタートアップコミュニティ

深圳のすぐ隣に位置する香港を本拠に選んだハードウェアスタートアップも少なくない。香港のスタートアップコミュニティStartupsHK共同ファウンダーであり、3Dプリンターを開発するMakibleファウンダーでもあるJonathan Bufordは、その魅力についてこう語った。

「私は2000年から14年間、香港に滞在しています。もし起業家が深圳で全てをまかなおうとしたら、中国の様々な規則を遵守する必要があります。顧客とのコミュニケーションやファイナンス面においても、余分なコストが掛かるでしょう。対して、香港では税金が安く済む上、ビジネスを行うためのプロセスが簡略化されています」

StartupsHK共同ファウンダーでMakibleファウンダーでもあるJonathan Buford氏

Ambi Labsも香港に魅力を感じたハードウェアスタートアップの一つだ。彼らは快適な気温へ自動調整するエアコン制御器「Ambi Climate」を開発しており、アジア最大級テックカンファレンス ECHELON 2014 でPeople’s Choice Awardを受賞した。8月末頃には、Kickstarterでのキャンペーン掲載も予定している。Ambi Labs CEOのJulian Leeは「香港には中国のサプライヤーをよく知り尽くし、国際基準に則って動ける人材が多く、世界各地への販路構築にも役立つ」と話す。実際、同社はまだ少人数だが、イギリス、シンガポール、アメリカ、スイス、カナダ、日本の出身者で構成されている。

Ambi Labs CEOのJulian Lee氏(右)

昨今、ハードウェア特化型インキュベーターに参加するスタートアップが増えているが、Ambi Labsはその道を選択していない。同社の場合、時間をかけてハードウェアと機械学習技術を融合させつつ、大量のデータを集めていく必要があった。アジア市場を調査したり、コンセプトを繰り返し考え直すことに9カ月、さらにそこからデータ分析やモデルタイプ製作に15カ月掛けている。

「この2年があったからこそ、私たちはAmbi Climateを納得した水準で世に送り出せました。ハードウェアインキュベーターが一般的に要求する約3ヶ月という時間フレームに縛られていれば実現できなかったでしょう。インキュベーターから受けられる製造面でのサポートは、ここ香港のスタートアップコミュニティからの助言で十分でした」

長期ビジネスを支える台湾のサプライチェーン

数カ月という比較的短期間で構成されがちなハードウェアインキュベーターのプログラムに疑問を抱き、1年以上の長期支援に対応するところも出てきた。クラウドファンディングサービスや製造業アドバイザリープラットフォームを提供する台湾のHWTrekである。ドイツやシリコンバレーに拠点を持ち、参加者の5割がアメリカ、3割がヨーロッパ、 2割が台湾で構成されている。

HWTrekはサービス開始当初から80名以上のデジタルデバイス専門家と連携してきた。製造やコスト管理、資材調達、流通問題に関するアドバイスを行い、限られた期間・予算内で良い製品を作るサポートを行う。HWTrekを運営するTMI台灣創意工場社CEOのLucas Wangは「ハードウェアは長期ビジネスであり、スケジュールも思い通り進行しません。そんな中、台湾にはハイレベルなサプライチェーン・マネジメントがあり、モノを作ることに関して本当に便利な場所だ」という。

HWTrekを運営するTMI台灣創意工場社CEOのLucas Wang氏

同社はこのほど、アイデアを製品化し、効果的に市場まで繋ぐプロジェクトマネジメントツール「HWTrek Project Development Hub」を公開した。Foxconnなどの大手EMS企業との直接的なチャネルを活かし、国際的なハードウェアメーカーコミュニティの繋ぎ手を目指す。

「例えば、アップルストアのようなお店で自らの製品を販売したいと望んだら、彼らは非常に多くの審査プロセスを課すでしょう。その時、世界的に知られた工場で製造している事実は信頼関係を強くします。名が通っていない工場で製造した場合、一定の品質を保てるか、リコールを生じないかと心配され、審査が難航するでしょう。つまり、世界的な製造工場と関わることは、販売面でも非常に役立つのです」

今回は深圳、香港、台湾と駆け足で紹介してきた。各都市のコミュニティが形成されていく中で、ハードウェアスタートアップにとっては様々な選択肢が生まれてきている。日本のスタートアップにもハードウェアを組み合わせたものが増えているので、この辺りは注目しておいた方がいいだろう。


“活動量計もどき”はいらない–オムロンが30億円規模のベンチャー投資

京都府京都市に本社を置く大手電機メーカーのオムロンが、7月1日付で投資子会社のオムロンベンチャーズを設立。コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)として、2016年までの3年間で30億円規模のベンチャー投資を実施することを明らかにしている。

オムロンと言えば、コンシューマ向けの健康医療機器から制御機器や電子部品、車載電装部品などさまざまな事業を展開している。時価総額ベースで1兆円近い大企業がこのタイミングでベンチャーと組むことを決めた理由はどこにあるのか。

実は日本最古の民間VC設立にも関わったオムロン

実はオムロンは、日本最古の民間VCの設立にも関わっているそうだ。オムロン創業者で当時の代表だった故・立石一真氏が、京都経済同友会のメンバーとともに1972年に立ち上げた「京都エンタープライズディベロップメント(KED)」がそれだ。同社は日本電産などへの投資を行い、1979年に解散している。ちなみにKEDの設立から約2週間後、東京ではトヨタ自動車などが出資する日本エンタープライズ・デベロップメント(NED)が設立されているそうだ。

オムロンベンチャーズ代表取締役社長の小澤尚志氏

最近では通信キャリアだってテレビ局だってCVCを立ち上げているが、オムロンもそんな流れを受けているのだろうか。オムロンベンチャーズ代表取締役社長で博士の小澤尚志氏に率直に聞いたところ、「(オムロンベンチャーズを)立ち上げる中で知ったのだが、案外世の中ではやっていたとは知らなかった」と語る。

オムロンでは、2011年から10年間の長期経営計画「VG2020」を掲げており、その中でも2014年以降では「地球に対する『新たな価値創出』へつながる新規事業づくりに取り組む」としている。この経営計画の中で、ベンチャー投資の可能性を模索していたのだそうだ。

「オムロンは『ソーシャルニーズの創造』を掲げてきた会社。世の中で解決しないといけない課題を技術というよりはコアバリューとして提供してきた。例えばオムロンが世界で初めて提供した自動血圧計。これによって、これまで病院に行って看護師を必要としていた血圧測定が、家庭にいながら実現できるようになった。これは健康状態を手軽に見られる、より長く健康に生きたいという課題を解決しようとしたもの」(小澤氏)

オムロンは「課題解決のための会社」と語る小澤氏。もちろん自社に技術があればそれは活用するが、技術がなければ世の中の別の場所から獲得してくることもいとわないという考えだという。「本質的には、持っている要素技術でどんな課題を解決できるかを考えるのではなく、まず先に課題とその解決方法を考えている」(小澤氏)

しかしそうは言っても大企業の中でイノベーションを起こすのは難しいのは小澤氏も認めるところで、「いいモノを安く作るのは得意だが、新しいモノを作るのはなかなか大変」と語る。そこでオムロンベンチャーズを立ち上げ、速いスピードで投資し、協業できる体制を作る狙いがあるという。

オムロンベンチャーズは、ファンドを組成せず、オムロングループの資本をもとに投資を行う。対象とするのは「安全・安心センシング」「ライフサイエンス」「ヘルスケア」「ウェアラブルデバイス」「IoT」「環境・エネルギー」「農業関連」といった分野。オムロンベンチャーズがオムロングループ各社の新規事業のニーズをヒアリングし、協業の可能性のあるスタートアップを中心に、数千万円から数億円程度の出資を行う予定だ。すでにセンシングや農業関連の分野では具体的な話が進んでいるとのことで、第1号案件については、早ければ9月にも決定する予定だ。

モノづくりのノウハウをスタートアップに開放

小澤氏によると、今後は加工機や成形機など、自社グループの設備に関しても投資先に開放することを検討しているそうだ。「例えばfoxconnのようなEMS(Electronics Manufacturing Service:電子機器の受託生産サービス)がハードウェアベンチャーを助けているところがある。我々もハードウェアを安く製造できるノウハウや検品のノウハウなど、一通りの『モノづくり力』を持っている。そしてグローバルなネットワークもある。逆にベンチャーマインドやそのスピード感、テクノロジーは弱い。ならば我々がやるべきなのは、自分たちの能力やアセットをシェアすることだ」(小澤氏)

例えばスマートフォンアプリであれば、ここ数年のクラウドの普及によってスケールのための課題はある程度解決されたかも知れない。だがモノづくりとなるとQCD(Quality:品質、Cost:コスト、Delivery:納期)が求められる。その課題を解決するパートナーとしては最適だと小澤氏は語る。

ハードウェアのQCDまでケアできる連携体制と聞けば、ハードウェアスタートアップにとっては期待が高まるかも知れない。実際、ハードウェアスタートアップ関係者から、部品の調達や組み立てに苦労したという話を聞くことは多い。

しかしこの取り組み、M&A先の発掘のための施策にも見えなくもない。小澤氏も「本音を言うとそれがないわけではない」と可能性については否定しないが、あくまでM&Aありきという話ではないと続ける。「M&Aは場合によりけりだと思っている。パートナーという距離のままのほうがいいケースとよくないケースがあると思っている。グループに入った瞬間、大企業のしがらみだってあるはずだ」(小澤氏)

「活動量計もどき」のウェラブルデバイスはいらない

さて、オムロンベンチャーズの投資領域には「ウェラブル」とあるが、オムロンと言えばこれまでにも歩数計や活動量計など、(今時のウェアラブルデバイスとは方向が異なるが)ヘルスケア関連のウェアラブルデバイスを提供してきたメーカーだ。どういうスタートアップと連携する可能性があるのか、改めて聞いてみたところ、小澤氏は以下のように語った。

「血圧、活動量、睡眠時間については、(デバイスを)持っているのでもういいんじゃないかなと思っている。だがこれらのデータを使ってアプリを開発してもらう、さらには身体的な情報だけではなくて、意思やメンタルに関する情報までを取得しないと総合的な健康というのは見ることができないと思っている。活動量計もどきのウェラブルには正直興味がなくて、もっと先を一緒に考えたい」


IoT(物のインターネット)の汎用開発キットを作っているSpark Labsが$4.9Mを調達してIoT用のOSをローンチ

Nestのようなサーモスタットをオープンソースで作っているSpark Labsが、Lion Wells CapitalのリードによりシリーズAで490万ドルを調達した。これにはO’Reilly AlphaTech VenturesとSOSventures、Collaborative Fund、そして多くのエンジェル投資家が参加した。

Spark Labsの主製品は今二つある。まず39ドルのSpark Coreは、IoTデバイスを作るための小さな開発キットだ。そしてSparkCloudは、IoTでインターネットにつながったデバイス同士がコミュニケーションするためのプラットホームだ。そして今日同社は、Spark OSと称する第三の製品を発表した。これはSpark CoreやSparkCloudを使うプロジェクトのためのOSで、iOSやAndroidとの互換性もある。

Spark Coreはこれまでに約25000ほど売れているが、Spark LabsにはSpark Coreを軸とするより充実したキット製品もある。それには、ブレッドボードやジャンパ線、抵抗器、コンデンサ、センサ、ボタン、LEDなどが含まれていて価格は99ドルだ。

ご覧のようにSparkの製品は、初心者が容易に楽しめると同時に、高度な企業用の用途にも十分使える。

Spark Labsはこれまで、Kickstarterでも成功しており、目標額1万ドルに対してその60倍を集めている。

ファウンダのZach Supallaは、耳の不自由な父親が彼の母親と常時コミュニケーションできる方法として、母親が父親にテキストするとライトが点滅する装置を作り、そのときに、IoTの広いニーズと可能性に目覚めた。

父親のために作ったSpark Socketがその後、Spark CoreやSparkCloudへと進化していった。つまり、さまざまなIoTをトライする人たちのための、汎用の開発基盤だ。

“うちの最大の課題は、視野をつねに広げておくことだ”、とSupallaは言う。“IoTは範囲がとても広い。世界中の企業がいろんなことに取り組んでいる。だから市場の様相は、誰かが何かをローンチするたびに毎週変わる。幸いにもこれまでは、うちも機敏に追随できているけどね”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


庭や畑に置く土壌センサEdynがKicistarterで目標額の3倍に達しそう

土壌センサEdynは1か月前に本誌の記事でご紹介した(日本語記事)。庭に置いておくと、光量、湿度、気温、土壌中の栄養分などを調べてくれるのだ。

同社は昨年のTechCrunch Disruptでローンチし、Kickstarterで最初の生産資金を獲得した(目標額は10万ドルだが6日後の締め切りには30万を超えるだろう)。同社は、支援者たちからのフィードバックに基づいて、製品の改良も行った。

99ドルのEdynは太陽光発電を使用する土壌モニタで、天候と土壌の状態を調べる。ユーザは二つのiOSアプリからデータにアクセスする。アプリは庭の現時点の状態をユーザに教え、植物の健康状態に関するアラートもくれる。さらに60ドル出すと、アクセサリとして、自動灌水用の水栓をもらえる。

協同ファウンダのJason Aramburuはプリンストン大学を出てから、東アフリカで農業を経験した。Edynをデザインしたのは、高名なデザイナーYves Beharだ。

最初の設計では電池寿命が2年半だったが、Kickの支援者たちからの不満を受け入れて7年にした。来年はAndroidもサポートする予定で、それと同時に自動水栓からの水の消費量を計測する機能も加えたい、と同社は考えている。

支援者はオーストラリア、イタリア、インド、中国、ブラジルなど、ほとんど世界中からで、用途は庭用と農業用の二派に(ほぼ半々で)分かれている。

下の新作ビデオは、とくに内部のセンサについて詳しく説明している。

Edyn Hardware and Software from Edyn on Vimeo.

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庭や家庭菜園の環境モニタと灌水を自動化するEdynがクラウドファンディング中

ガーデニングはこれまでもっぱら、大量の勘に運を一滴混ぜたような行いだった。Edynはこの古くからあるカクテルに、データ分析という新しい味を加えようとしている。同社はそのための実際のプロダクトを作るために、Kickstarterで10万ドルを募集している

同社は2013年のDisrupt SF(サンフランシスコ)でローンチした。最初はSoil IQという社名で、CEOのJason AramburuはDisruptの審査員と来場者に、彼の会社は合衆国の1億の世帯すべてのための食糧生産技術を作り出す、と語った。製品の当時のプロトタイプは、金属の棒の上に大きな箱が乗ったようなものだった。それから2年経った今は、有名なデザイナーYves Beharの協力を得て、こんなにスマートな製品になった:

ミッションは前と同じで、デバイスはその約束を履行するためのものだ。Edynは庭や菜園などの環境条件をモニタして、植物に生存と繁栄のための最適条件を与えようとする。

このデバイスは、光量と空気中の湿度と気温と、土の栄養分や水分をチェックする。このデータを、植物と土壌科学と気候データベースなどと対照して、その土壌条件でよく育つ植物を推奨する。モニタリングは継続的に行われ、異変が起きたらユーザに警報する。同社はモニタリング装置のほかに、自動灌水機も作っているので、適正量の水やりを自動的に行わせることもできる。

これらデバイスのコントロールは、スマートフォンのアプリから行う。デバイス、Edyn Garden SensorとEdyn Water Valveはどちらも太陽光発電で動き、もちろん防水性がある。

同社は今、Kickstarterで10万ドルの資金募集と、製品の予約受付をしている。資金提供者はGarden Sensorを79ドル、ベータテスター志願なら129ドルでもらえる。159ドル以上を支援すると、SensorとWater Valveの両方をもらえる。

ガーデニングを物のインターネット(Internet of Things, IoT)のターゲットにしようとしている企業は今、Edynのほかにもたくさんある。たとえばAR Droneを作っているParrotが最近ローンチしたFlower Powerは、Edynと同じような仕事をする。Click And Growは電脳植木鉢(というか電脳プランター)を作っていて、ハーブやいちごなどの栽培を自動化しようとしている。どのデバイスが使われるにせよ、これで食糧の自給自足の効率がアップするなら、われわれ全員にとって良いことだ。

Edynの詳しい記事(未訳)〕


EdynのDisrupt Battlefieldにおけるローンチ

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bttnはWebの汎用クライアントをシンプルな物理ボタンにして広範なB2B市場を開拓

IFTTTというWebサービスは、レシピと呼ばれるプログラムに基づいて複数のWebアプリケーション間の動的関係を自動化する。たとえば「もしもFoursquareでチェックインしたら、Facebookのステータスをアップデートせよ」、なんて。なかなか便利なサービスなので、ファンやマニアも多い。

でも、難しいプログラムを書かないと人生が快適にならないのはいや、という方のためには、Webサービスではなく、bttnという名のハードウェアがある。これは、すでに用意されているいくつかのレシピに基づいて、画面上のボタンではなく、実物のボタンを押すとアクションが実行される(上図)。

今日(米国時間5/27)、69ユーロで予約受付を開始したbttnは、インターネットに接続された物理的なボタンで、そのボタンが何をトリガするかによって、実際に起きるアクションが決まる。あなたが設定した条件に基づいて実際にアクションを実行するのは、フィンランドのThe Button Corporationのサーバだ。あなたはこのサーバに、SMSや携帯/スマートフォンやWiFiなどで指示を送る。ボタンの電源は、電池またはUSBケーブルだ。サーバにあなたが送る指示(コマンド)は、ブラウザ上でカスタマイズできる。

では、一体、何をカスタマイズできるのか?

サーバは、bttnが押されたときに起きるさまざまなアクションを提供する。それらのアクションはユーザが構成可能である。シンプルなウィザードを使ってさまざまなインターネット技術…HTTP、RSS、IFTTT、SmartThings、Twitter、Facebook、メール、SMSなどなど…を利用できる。われわれはたえず、これらの選択肢の増加に努めている。

使い方の例としては、子どもが帰宅してbttnを押すと、帰ったよというSMSが親に送られる(自分の携帯を使わないですむ)、というのがわかりやすいだろう。あるいは、高齢者が、気分が悪くなったときにbttnを押すとSMSが送信され、介護者が来てくれる、というシナリオもありえる。逆に、今日はなんでも自分でできたから、来なくてよいよ、というメッセージでもよい。

ボタンを押したあとでbttnのグリーンのLEDが点灯したら、コマンドが正常に実行された、を意味する。黄色なら、“待機中”、赤は“エラー”だ。

このLEDライトを、ユーザへのプロンプト(“ボタンを押せ!”)として利用することもできる。たとえば、ゆっくり点滅したら“押してね”、急速に点滅したら“大至急押して!”の意味にするとか。高齢者などの場合は、決められた時刻にボタンが押されなかったらプロンプトを点滅させる、という使い方がよいだろう。

このプロンプト機能は、家庭内で一定時間ごとに薬を服む/服ませる、とか、高齢者の無事を確認する、という使い方ができる。bttnのファウンダHarri Rautioの最初の発想が、後者だった。

コマンド実行のフィードバックとプロンプト機能は今後、ライトの色や点滅だけでなく、音声の利用も考えている。コマンドをサーバに送ることも、音声でできるようにしたい、という。

IFTTTに対しては、bttnの作者たちは、あくまでも補完的な位置づけだ、と考えている。とりわけ、コンピュータやスマートフォンなどがない、あるいは使えない場面では、bttnが重宝するだろう、と。もちろん、さっさと用をすませたい、いちいちコンピュータやアプリを立ち上げるのは面倒、という場面もありうる。

他製品との競合については、同社はこう言っている: “単一目的のレガシーな製品やサービスが数多くある。たとえば子どもや高齢者の連絡用、など。でもそれらの多くは供用範囲がローカルだ。bttnは多目的に利用でき、インターネットのおかげで供用範囲はグローバルだ”。

“多目的でグローバルといえば、IFTTTなども競合相手になるかもしれないけど、実際にはこれらは、競合というよりも相補的な関係にある。うちのような物理的なボタンでなく、画面上の仮想ボタンを押す類似サービスも、すでにいろいろある”。

“bttnの、他にない抜きん出た特長は、非常にシンプルで使いやすいこと、自由度、低価格、クライアント側にコンピュータやスマホなどが要らないこと、そして、パートナーが自己ブランドでデバイスとサービスを提供できることだ”。

というわけで、同社がメインの収益源と考えているのは、あくまでもb2bの市場だ。もちろん最初の立ちあげ時には、ハードウェアマニアのような個人にも、一回かぎりの低額料金で提供されるのだが。

b2bの例として同社はすでに、フィンランドのタクシー/マイクロバスサービスの大手Kajon Oyを顧客にしている。bttnを、レストランやホテルなど、町のあちこちに置くことによって、タクシー等の利用者を増やすとともに、“毎回いちいちタクシー会社に電話をする”というお客さん側の手間も省くのだ。

またもうひとつの顧客、映画館チェーンのFinnkinoでは、館内の随所にbttnを置いて、来館者サービスを充実させている。

同社は2013年9月に創業され、今年の初めまで、一定の顧客とベータのユーザグループにサービスを提供していた。資金はすでに、SuperCellの発明者Jari Ovaskainenやフィンランド政府のテクノロジ企業育成ファンドTekesから得ている。これまでの調達総額は100万ユーロ弱だ。

同社のb2bを中心とするビジネスモデルは、月額の料金制だ。企業パートナーの方が、個人ユーザよりもお金を払いやすいのである。でも今回の予約受付に応じた初期ユーザは、無料で利用できる。彼らの手に製品が届くのは、10月の予定だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Apple、WWDCでスマートホーム用プラットフォームを発表か

Appleがスマートホーム分野に本格参入しようとしているとFinancial Timesの最新記事が報じた。同社はiPhone等のiOSデバイスを、スマートホーム機器用プラットフォームに変え、照明やセキュリティーシステム等の〈つながる家電〉を制御可能にしようとしている。プラットフォームはiPhoneに内蔵され、複数のサードパーティーアプリに分散するのではなく、集中制御方式をとると同紙は伝えている。新プラットフォームは来週のWWDCで披露される。

対応機種にはiPhone、iPadだけでなく、Apple TVも含まれると記事は伝えており、Apple TVは今年中に新機種が出るという。これらを組み合わせることにより、例えば部屋に入ると照明が点灯したり、家を離れるとセキュリティーシステムが有効になる等の自動化が可能になる。サードパーティーハードウェアの「Made for iPhone」プログラムと同じく、Dropcam、Next、Philips等のアクセサリーメーカーは、自社のスマートホーム機器がAppleの自動化プラットフォームで動作することの認定を受けることができる。

FT紙はこれをAirPlay、CarPlay、およびiBeaconと比較し、自動化機能の一部に低電力Bluetoothが利用されることを示唆している。また、次期iPhoneのNFC採用を予測するアナリストがいることも指摘しており、NFCはこの種のスマートホームシステムと相性が良い。

Appleがこの分野に参入することは、SmartThings等すでに同様のサービスを提供しているスタートアップにとっては悪いニュースかもしれないが、消費者のスマートホーム機器導入を著しく促進する可能性がある。スマートホーム技術は、Philips、Honeywell等の伝統的家電メーカーの参入にもかかわらず、消費者への普及に関してはまだ初期段階にある。Googleも、すでにモノのインターネットおよびスマートホーム技術に注力する意向を明らかにしていることから、Appleが積極的に領有権を主張することは理にかなっている。

来週のWWDCでは、iOSおよびOS Xの新バージョンが発表されることも予想されており、6月2日月曜日の基調講演では多くの魅力ある発表が行われるだろう。本誌は現地からライブでニュースを届ける予定だ。

Image: Composite with Shutterstock photo

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


リモートで愛猫をモニタしながら遊んでやれるKittyo, わずか一日でKickstarterの目標額を突破

あなたはご自分の猫といつも一緒にいないといやな方(ほう)ですか?(もしそうなら、猫にとっては理想の飼い主ね)。猫は、わがままな個人主義者でありながら、室内で飼われていると、歩き回ったり、刺激を求めたり、たっぷりとエクササイズをしたくなったりするものなのだ。動物愛護団体、Humane Societyもそう言っている。ここでご紹介するKittyoは、飼い主が猫をリモートで監視しながら猫と遊んでやれる、というデバイスだ。

これのKickstarterキャンペーンは二日前に始まったばかりだが、すでに目標額3万ドルの4倍、12万ドル近くが集まっている。一見、小さなコーヒーメーカーのような形をしているが、KittyoはiOSやAndroidのアプリでコントロールして床や壁にレーザービームを投射し、猫はそれを追っかけて遊ぶ。おやつを出してやることや、内蔵のカメラとマイクで猫の姿をモニタしたり、ビデオに撮ることもできる。

スピーカーもあるので、猫に話しかけることもできる。猫にその気があれば、耳を傾けてくれるだろう。猫にとって残念なのは、Kittyoに猫パンチを食らわせてひっくり返し、粉々にしてしまうことはできない。壁や棚にクランプで固定されるからだ。

クリエイティブディレクターのLee Millerは、友だちの子猫の世話を頼まれたときに、Kittyoを発想した。ひっきりなしに彼からテキストや写真のアップデートを求められるので、彼女はさとった。猫を飼っている人は、その毛むくじゃらのお友だちに夢中なのだ。Kittyoを実際に作ったのは、製品開発スタジオのIon Designだ、そして生産過程はEastbridge Engineeringが監督した。

合衆国のペット市場の規模は555億ドルといわれ、またインターネット接続型デバイスの市場は2020年に3090億ドルになると予想されている。その中には当然、犬や猫をリモートで世話したり、遊んでやるデバイスも含まれるし、その製品はますます多様化するだろう。本誌TechCrunchが最近取り上げたものの中には、電脳給餌器PetNetや、同じくリモートでペットと遊んでやれるPetcubeなどがある。

Kittyoの小売予価は189ドルだが、Kickstarterの出資者には50ドル以上安くなる。発売は11月の予定だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Android直挿しボードでIoTの可能性も見えた!? TechCrunch Hackathonの優秀作品を紹介

TechCrunch Japanは大阪市との共催で4月12日、13日の2日間にわたって大阪でハッカソンを開催した。イベントには約50人の開発者やデザイナが集まり、12チームに分かれてプロダクト作りを行ったのだが、これが結構「大阪な感じ」だった。

どう大阪だったのかと言えば、プロダクト発表のデモで、いきなりボケ満載の寸劇が始まるのは当然として、例えばステージに登壇した新生チームに「このチームのプロダクトリーダーは誰ですか?」と問えば、「はーい!」と5人が一斉に手を挙げてしまうだとか、チームビルディングがなかなか終わらないなと思って話を聞けば、「オレはこれが作りたい」「オレのアイデアはこれだ」というのが噛み合わず、「だったらキミはキミの道を行けばええやんか、オレはオレがやりたいことをやる」という感じでまとまらなかったりしたといった具合。

大阪・梅田にある大阪イノベーションハブに50人ほどが集まった

2日間でチームビルディング、アイデア出し、実装を行った

デバイスを扱うハッカソン。中にはロボを扱うチームも

全国各地でハッカソン主催の経験があり、今回の運営にも協力して頂いていたMashup Award実行委員会の伴野智樹氏によれば、「やっぱり大阪は違いますね……。東京だったらさっさと譲り合うところです」と苦笑いしていた。形式そのものに対する慣れがなかったということもあったかもしれないが、大阪人のDNAというようなものを感じたハッカソンではあった。リーダーシップの欠如が日本社会の宿痾のように言われる昨今、頼もしい話ではないか。

さて、今回のハッカソンは多くのデバイスメーカーやサービス提供企業の協力を得て「IoTの可能性を探る」というテーマで行った。開催告知記事に書いたように裏のテーマは「MVP」。結果としては、12チームとも明確な課題意識と、ぼんやりした可能性を広げすぎずにシャープなフォーカスを持ったプロトタイプ実装を行ったという意味で興味深いイベントになったと思う。

ポスターや展示用ディスプレイを「見た人」の数をグラフ化

審査の結果、最優秀賞は福本晋也氏(エンジニア)と安川達朗(エンジニア)による作品「ポスタライズ」とさせていただいた。

ポスタライズは、ポスターなどの印刷物が、実際にどれだけ見られたかを計測・解析するプロダクトだ。ネット系のサービスでは、利用者が何をどれぐらい見ているか、どう行動したのかというのは数値化して計測できる。オフラインのポスターなどはそうではないので効果測定が難しい。これを解決するために、ポスターに対して額縁のような形でデバイスを付加して顔認識を行う、というのがポスタライズのアイデアだ。顔の角度認識の技術を使って「見た」ことを特定する。収集したデータは時系列のデータとしてデータベースに保存してグラフ化する。利用したのは、オムロンが最近評価用モジュールとして提供している人認識モジュールの「HVC」というデバイスだ。

優勝したポスタライズは、ポスターの枠として顔認識モジュールを実装するアイデア

実際のデモでは、チラッとポスターに視線をやるとブラウザ上に実装された集計用の折れ線グラフにピコンと「1ビュー」のぶんだけ山型に表示されるという素朴なものだったのだが、これは2つの意味でIoTの未来を感じさせてくれるデモだった、というのがぼくを含めた審査員たちの意見だ。

審査員の1人で、みやこキャピタル ベンチャーパートナーの藤原健真氏はポスタライズがデジタルサイネージでないところに可能性を感じると指摘した。実は藤原氏自身、最初の起業が街中に設置する大きなデジタルサイネージ事業だったそうだ(後に売却)。非常に高価なデジタルサイネージのソリューションは、すでに世に出ている製品も少なくないし、性別や年齢を推定して推薦ドリンクを切り替える自動販売機なんていうものもある。しかし、ポスタライズは、小さく、既存の紙ベースのポスターや展示物にアタッチするデバイスでしかない。

オムロンは、元々こうしたソリューションで使われるエンジンを企業向けに提供している。HVCは、それをモジュール化したところがミソで、まだ3月に発表したばかり。ハッカソンで使った評価用ボードは約7万円とお高いが、量産すれば数千円の前半になるという(もちろん出荷数次第)。とすれば、BLEモジュールをくっつけてショーウィンドウの食品サンプルに埋め込むという未来も薄っすら想像できる。カフェであれば、どのスイーツに目を留めて顧客は入店しているのか、というようなことが計測可能になるかもしれない……、という会話がその場で生まれて来たのは、まさに今回のハッカソンの趣旨である「IoTの未来を探るためのMVP実装」だったと思う。

ちなみにオムロンのHVCは、今回のハッカソンでは大人気のデバイスだった。手のひらに乗る小さなモジュールながらカメラ付きで10種類のアルゴリズムが使える。3月20日に発売したばかりで、今のところ企業向けにしか売っていないのが惜しい。人間や顔を認識し、「どちらを向いてるか / 誰なのか / 視線の方向 / 年齢・性別推定 / 手検出 / 表情(5種類、信頼度あり)」などを数値で取り出せる。

オムロンの手のひらに乗る小型顔認識モジュールは10種のアルゴリズム搭載

アルコールセンサーをiPhoneに繋げて遊ぶ「DrunkenMaster」

優秀賞は「DrunkenMaster」(ドランケンマスター)を作ったチーム、Drunker5に贈らせて頂いた。DrunkenMasterは、呼気中のアルコール濃度を検出するセンサーをiPhoneにアタッチした酔っぱらい向けのゲームだ。ポイントは2つある。1つはアルコールセンサーのようなデバイスを、極めて容易にiPhoneに付ける仕組みを提供する「PocketDuino」(このデバイスも大阪発だ)の可能性が垣間見れたこと、もう1つは、遊び心からビジネスのタネが生まれて来そうと思えたことだ。

正直に書くと、Drunken5のチームが初日に「お酒とSNS」とホワイトボードに書いているのを見て、ぼくは「あちゃー」と思っていた。なんか面白そうだからという理由で作ってみて、結局なんだかよく分からないプロダクトができてくる、というのは良くあること。ところが実際に出てきたものは、ドラクエ風の画面を備えたシンプルながらも完成度の高いゲームだった。

DrunkenMasterは一定量以上のアルコールを摂取していないと、そもそもログインができない。そして、ゲーム内容といえば酔うほどに難易度の上がりそうな認知能力テスト系。スライムの絵のあるカードに書かれた色の名前を即座に答える(タッチする)というだけのことだが、「青」とか「赤」と書かれた色の名前と実際のカードの色が一致しない。酔うほどに成績が落ちるわけだが、この路線には確かにお酒の場を盛り上げそうな何かがあるという予感を感じさせるのに十分なデモだった。若者のアルコール離れや、年々落ち込むビールの売上といった課題を抱える酒造メーカーや飲食チェーンが導入して、ネットワーク越しに参加型のキャンペーンを展開するなどアイデアは広がりそうだ。

DrunkenMasterはアルコールセンサーを使った酔っぱらいのためのスマフォゲーム

実際にビールを飲んで試す審査員の久下玄氏(Coiney,Incプロダクトストラテジスト)

「iPhone+センサー」のプロトタイピングのハードルを下げる「PocketDuino」

DrunkenMasterはモバイルゲームとして画面デザインがよく出来ていた。デザイナーのセンスということもモチロンあると思うが、限られた開発時間の中でアプリの作り込みに時間をかけられたことも大きかったのではないかと思う。これはセンサーをiPhoneにアタッチして計測値を取得するという部分を、PocketDuinoに任せられたからではないかと思う。

PocketDuinoはAndroidのUSB端子に直接挿せるArduino

アルコールセンサーを付けたPocketDuino。手軽にプロトタイピングできる

PocketDuinoで使えるセンサー類。各数百円。火炎センサーなんていうのもある

PocketDuinoは4月10日にIndiegogoでクラウドファンディングのキャンペーンを開始したばかりの大阪発の開発者向けボードだ。簡単にいうとAndroidのUSB端子に直接挿すことのできるArduinoだ。USB端子形状はmicro-B。Arduino Pro Miniとピン互換なので既存の多くのデバイスが利用できる。開発しているのはソフト・ハードウェアのエンジニア2名、Webエンジニア1名からなる大阪発のPhysicaloidプロジェクトチームだ。

Arduinoという開発ボードが、IoTやMakerムーブメントにおいて重要な役割を果たしているのはご存じの通りだが、Arduino自身はインプットを受け取ってアウトプットをするだけの素のコンピュータのようなところがある。組み込みデバイスで使うぶんにはこれで良くて、そこにLEDのような表示デバイスをつけたり、センサーからの入力を繋げたりしてデバイスのプロトタイプを作っていく。一方、PocketDuinoはスマフォを前提とすることで、開発のハードルを大きく引き下げたのがポイント。スマフォにはディスプレイもユーザーインターフェースもネットワークも全部ある。まさに今回のハッカソンででてきたDrunkenMasterのようなプロトタイプの開発とフィールドテストのサイクルを速く回すのに好都合だというのが、PocketDuinoの開発をリードする鈴木圭佑氏の説明だ。Pysicaloidプロジェクトでは、PocketDuinoというミニボードを提供するだけでなく、Androidアプリ開発者向けにJavaで書かれたライブラリもオープンソースで提供する。これまでArduinoで必須だったC言語による開発でなく、Android開発者が使い慣れたJavaで対応センサーを使った開発ができるのがポイントで、例えばアルコールセンサーや距離センサー、温度・湿度センサー、火炎センサー、心拍センサーといったデバイスから値を読み出すのが、3行ほどのコードで書ける。もう少し具体的に言うと、センサーごとに用意されているデバイスのクラスをインスタンス化して使うというオブジェクト指向っぽい開発ができるということだ。ハンダごてもブレッドボードもC言語もなしに、Android開発者なら手軽にIoTを試せる。ちなみにセンサー類は数百円程度だそうだ。

PocketDuinoの値段はボード1個にユニバーサル基板がついて39ドル、ユニバーサル基板5枚とアルコールセンサー基板1個が付くもので55ドル。PocketDuinoのコンセプトは「自分の作ったIoTプロトタイプを気軽に持ち歩いてカフェや飲み屋の席で見せて楽しむこと」だそうで、今回のハッカソンで出てきたDrunkenMasterはまさに狙い通りの応用だったと思う。

ちょっと記事が長くなってきたので、ほかの10チームの作品については別記事で。


農業専門のクラウドファンディングサイトAgFunder, 最初のプロジェクトOnFarmが資金募集に成功

農業や農業関連の技術をクラウドファンディングで育てるAgFunderが、その最初のプロジェクト、農家のためにデータと分析を提供するOnFarmへの、資金募集を成功裡に完了した。

OnFarmのCEO Lance Donnyによると、匿名の機関投資家1名を含む計6名の投資家が、同社の最初の資金調達ラウンドに対して80万ドルをコミットした。

カリフォルニア州FresnoのOnFarmは、家族の家業であるぶどう農園で育ったDonnyの経験が着想のベースになっている。

ソフトウェア企業で数年を過ごしたDonnyはその後農業へ回帰し、カリフォルニア州Oaklandで灌漑管理技術を売っているPureSenseのCFOになった。

PureSenseで仕事をしながらDonnyは、テクノロジやその関連サービスが農業にもたらす問題に気づき始めた。農業の役に立つと称するツールはたくさんあるが、すべてのデータを分かりやすい形で統合するツールがなかった。

そこで彼は、OnFarmを創業した。Donnyは曰く、“うちには農業のためのIoTプラットホームがあり、農場のさまざまなデバイスからの、それぞればらばらなデータを、一つのソフトウェアプロダクトへ統合している。そういう意味でうちは、農家のためのオペレーティングシステムのようなものだ”。

農業へのテクノロジの利用は、まだ萌芽期とはいえ、投資家たちからの注目を集め始めている。そして、すでに相当額の出口を獲得したところもある。

今月初めには、テクノロジで収穫量を上げるというサービスBioConsortiaが、Khosla VenturesやOtter Capitalから1400万ドルを調達した。またGranular(元Solum)は、Khosla Ventures、Google Ventures、Andreessen Horowitzらからの1700万ドルの初期投資に加えて、さらに420万ドルを獲得した。1月初めには、FarmlogsがDrive Capitalから400万ドルを調達した。中西部のVCであるDrive Capitalは、Sequoia CapitalのパートナーだったMark KvammeとChris Olsenが創業した。

またClimate CorporationがMonsantoに買収されたとき、その11億ドルという巨額の出口から、Founders Fund、Khosla Ventures、Google Ventures、New Enterprise Associates、Index Ventures、Atomicoなどなどの面々が大いに潤った。

Donnyはこう言う: “大農場はテクノロジをかなり採用しつつあり、ここ数年でそのROIも実証され始めている”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


ネットから制御する自動給餌機SmartFeederでペットの過食と肥満を防ぐ

【抄訳】

ロサンゼルスのPetnetが今日(米国時間1/21)、112万5000ドルのシード資金を獲得したと発表した。投資家はGrishin RoboticsKima VenturesSparkLabs Global Ventures、そしてLaunch Capitalだ。Petnetは得られた資金を、最初の製品であるSmartFeederの商用化に投じ、発売は今年半ばを予定している。なお、オーストラリアのペット用品ショップPetnetと、こちらのPetnetはお互いに無関係である。

ここ数年でペットケア産業は不況に強いことを証明した。American Pet Products Associationの統計によると、2008年の世界金融危機のあとでもペット製品への支出は着実に成長を維持し、2013年には合衆国における支出額が推計で555億3000万ドルに達した。その38%、212億6000万ドルが、フードだ。

またアナリスト企業のEuromonitorによると、ペットケア市場は世界的にも成長しており、2013年の総売上は960億ドルと推定される。

ペットのオーナーには、他の支出を切り詰めてでもペットにはお金を投ずる傾向がある。中には、あまりにもやりすぎではないか、と思われるほどの可愛がり方も見受けられる。Association for Pet Obesity Prevention(ペットの肥満防止協会)によると、合衆国の犬と猫の推定54%が、過食による太りすぎ、ないし肥満である。それは言うまでもなく不健康であり、さまざまな疾病の原因、そして短命の原因になりやすい(典型的には、糖尿病、腎臓病、心臓病、癌、関節の障害など)。

今売られているペットフードの給餌機、たとえばPetmate Le Bistro Portion-Control Automatic Pet Feederなどは、タイマーとドアシャッターを使って給餌量を制限する。ペットの首にスマートIDをつけておき、ペットの接近を感知したら給餌機がシャッターを開けて一定量のフードを出すのだ。

後発のPetnetが考えたのは、物のインターネットを利用するペット給餌機だ。定価199ドルのSmartFeederには、インテリジェントなセンサ、学習アルゴリズム、ペットの食餌要件に基づいて給餌量や給餌スケジュールを計算するプロセッサ、などの機能がある。給餌が終わったら飼い主にアラートし、また給餌機内のフードの量が少なくなりすぎるとアラートする。需要はすでに活発で、今現在10000を超える予約が集まっている。

SmartFeederの競合ないし類似製品には、Bluetooth LEを利用するペットトラッカーPuppyや、インターネットからコントロールするペットの遊具PetcubeEggなどがある。

【後略】

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


ハードウェア音痴が物のインターネットのアプリケーション開発を容易に試行できるWunderBarセンサモジュールキット

【抄訳】

ヨーロッパのスタートアップrelayrは、昨年の1月に創業され、今でもアクセラレータStartupBootcampの屋根の下にいるが、このほど、将来の市場が大きいと言われる物のインターネット(Internet of Things, IoT)のためのアプリケーション開発をデベロッパが容易に実験できるためのハードウェアキットで、クラウドファンディングによる資金募集を開始した。

たとえばそれは、オフィスのビール用冷蔵庫を誰かが開けたことを知らせてくれるアプリケーションでもよいし、センサのグローバルなネットワークから得られる気温データを共有するアプリケーションでもよい。ネットワークI/Oのうち、I、またはO、またはその両方が人ではなく「物」であるネットワークアプリケーションを物のインターネットと総称している。ちなみにここで例として挙げた二つのアプリケーションは、どちらもIだけが「物」だ。

Relayrは、どこにでも置けて、ワイヤレスでネット上に信号を送出するセンサ素子として、上図のような板チョコ状のブロックを考えた。これらの信号を受信して何かをするソフトウェアは、AndroidやiOS、あるいはNode.jsで動く。

このハードウェアキットはWunderBarと名づけられ、合計7つの‘板チョコ’から成る。資金提供額の大きい人には、このほかに、これらのセンサモジュールのためのケースも提供される。センサモジュールは、温度、近接性、光、色、湿度、動きの6種類、残る1つのモジュールはARMのプロセッサとWiFiチップを搭載したメインモジュールだ。

WunderBarの狙いは、IoTのアプリケーション開発を試行するデベロッパに、センサの取り付けや配線、ハンダ付けなどで苦労をさせないことだ。またこれらのモジュールの利用を前提としたアプリケーション開発のための、ライブラリやチュートリアルも提供される。

適当なセンサモジュールをどこかに置けば、すぐにそのためのソフトウェアを書き始めることができる、そんな簡便さがねらいだ。

relayrの協同ファウンダJackson Bondは次のように語る。“ハードウェアのレベルではいろんな“メーカー”指向のプロジェクトが出回っているが、われわれの調査によると、ハードウェアにすぐに対応して仕事ができるアプリケーションデベロッパはあまりいない。うちのハードウェアキットを使えば、ハードウェアのことを何も知らなくても仕事ができる。多くのソフトウェアデベロッパにとって、便利な環境を提供できると信じている”。

センサモジュールからのデータの転送やアップロードにはBluetooth Low EnergyとWiFiを利用し、すでに用意されているSDKとAPIを使ってデベロッパはふつうにプログラムを書ける。個々のセンサモジュールには、LEDライト、ボタン、そして専用の電池がある。なお、BLEはセンサモジュールとメインモジュール間の通信に使われ、WiFi機能はメインモジュール上にある。

類似製品として、医療用機器の開発試行を行うためのバイオセンサキットBITalinoがあるが、WunderBarは分野を特定しない実験用キットだ。なお6つのセンサモジュールのうち2つは、中に入れるセンサのタイプがクラウドファンディングにおける投票で決められる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


“物のインターネット”をモバイルで汎用化するSmartThingsに投資家が殺到, アプリは大きく改良されて新バージョンへ

家のドアやライトなどをまだ物のインターネット(Internet of Things, IoT)に接続していない人も、iPhoneアプリSmartThings使えば、簡単にそれができる。それだけではない。このアプリの最新バージョンは、家がインターネットに接続されたら何ができるのか、その全貌と未来を消費者に教育してくれるのだ。

ニューバージョンはiOS 7用だが、使い勝手が良くなり、家にスマートで(==電脳で)ワイヤレスでインターネットに接続された物をインストールする場合の、いちばん一般的なケースをまず消費者に提供する。また、外出時に家に何が起きているかをスマホに伝えるための、プッシュ通知のさまざまな使い方も教えてくれる。

このアプリを最初に開いたときは、SmartThingsの多様な使い方をカテゴリーにわけて紹介する。“家庭と家族”、“明かりと家電製品”、“損害と危険性”などなどのカテゴリーだ。それぞれについて、典型的なユースケースとデバイスを例示する。ユーザがそれらのデバイスを持っていなければ、SmartThingsのShopへ行けばすぐに買える。

そんやり方は、SmartThings対応のデバイスを買えるだけでなくて、そのアプリのいろんな使い方、その可能性を、消費者に教える効果もある。

この新バージョンでIoTの構成をする場合、新たにデバイスとそのアクションを加える過程が改良され、複数の照明器具や家電製品などをグループ化して加えることができる。そしてそれらすべてをアプリからコントロールし、たとえば部屋がしばらく無人だったらそれらをoffにする、などのことができる。

そしてセットアップが完了すると、”Hello, Home”と呼ばれる通知センターで、家中で起きているすべてのことが分かる。そのためのアプリのモードの切り替えも、ユーザが迅速にできる。

SmartThingsのニューバージョンは、パワーユーザがすごく複雑なルールの設定をできるようになったのと同時に、初めて使うユーザが容易にセットアップできるようにもなった。IoTの普及に欠かせないのが、このようなバランス感覚だろう。

今日に至るまでの助走として同社は先月、Greylock PartnersとHighland Capital Partnersから1250万ドルを調達した。この投資ラウンドに参加したそのほかの投資家は、First Round Capital、SV Angel、Lerer Ventures、CrunchFund、Max Levchin、Yuri MilnerのStart Fund、David Tisch、A-Grade Investments、Chris Dixon、Vivi Nevo、Alexis Ohanian、Loic Le Meur、Martin Varsavsky、Kal Vepuri、Ryan Sarver、Jared Hecht、Steve Martocci、Emil Michael、Aaron Levie、Zorik Gordon、そしてNathan Hanksだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))