サウジアラビアの‘砂漠のダボス’のWebサイトがハックされ皇太子を非難する合成画像で汚損された

サウジ政府が近く開催するFuture Investment InitiativeカンファレンスのWebサイトがハックされ、殺されたサウジのジャーナリストJamal Khashoggiの画像が‘落書き’された。

汚損後のサイトのスクリーンショットがいくつもツイートされ、そこには王国の実質的な支配者であるMohammed bin Salman皇太子が剣を振りかざしている合成写真が載っている。サイトのテキスト部分は、王国の“野蛮で非人間的な行為”に対する非難に置き換えられている。それはKhashoggiの死だけではなく、イエメンで今行われている攻撃への、政府の関与にも言及している。

サイトのホームページには、何人かのサウジの個人の名前と電話番号も載っている。それらは、政府の職員や政府系企業の役員たちだ。

サイトは、汚損されたあと、月曜日(米国時間10/22)にオフラインになった。

汚損の犯人は、名乗りを上げていない。それが現れたのは、サウジの政権が、Khashoggiがイスタンブールの同国領事館で“殺された”ことを認めてから数日後で、そのときはすでに、そのThe Washington Postのコラムニストが婚姻届の用紙を得るために入館してから2週間以上経っていた。サウジの政府職員たちは、彼は“殴り合い”の後で死んだと主張したが、西側諸国はそれをナンセンスと非難した。トルコ政府がリークしたと思われる録音は、ジャーナリストが殴られ、殺され、そして切断されたと主張している。

イギリスとフランスとドイツは、声明で、彼のまだ行方不明の遺体に関する明確な説明を求めている。トルコは火曜日(米国時間10/23)に、この殺人に関する詳細を発表すると予想されている。

Future Investment Initiativeは“Davos in the Desert”(砂漠のダボス)とも呼ばれ、スイスで行われる投資カンファレンスに擬している。開催は、今週後半の予定だ。サウジアラビアはアメリカのテクノロジー企業に数十億ドルを投資しているが、しかしこのカンファレンスは、ジャーナリストの殺人のあと、数十名もの著名な投資家やテクノロジー企業、そしてビジネスリーダーたちが不参加を表明している。

・関連記事: カショーギ事件はシリコンバレーの一つの時代の終焉か–SoftBank新ファンドの行方も不透明

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

リチャード・ブランソン、Virgin Hyperloop Onerの会長を辞任――サウジ公営ファンドの投資はキャンセル

Virginグループのファウンダー、リチャード・ブランソンがVirgin Hyperloop Oneの会長を辞任したことが報じられた。

Reutersが引用した声明によれば、ブランソンは、予想したより時間を必要とすることがわかったためだとして次のように述べている。

わが社の発展段階の現状からすると、ビジネスの詳細を知りチャンスを活用するためにさまざまな業務を自ら実行できる会長が必要だと感じた。私はすでに多くの時間をVirginグループの諸企業ならびにチャリティー事業の運営に費やしているため、これは私には困難な任務となる。

しかしここで述べられていない重要な問題は、サウジアラビアの公共ファンドからの資金提供の計画がキャンセルされた点だ。サウジのPIFは総額10億ドル前後をVirginグループの宇宙事業に投資する計画だったが、ブランソンがサウジを非難した後、交渉は中止されていた(TechCrunchはカショーギ殺害事件はシリコンバレーへの一時代の終焉となる可能性があると報じている)。

Washington Postのコラムニスト、ジャマル・カショーギがイスタンブールのサウジ領事館内で殺害され、遺体が切断されたとされる事件が発覚した後、ブランソン始め、多くのビジネスリーダーがサウジとの関係を絶った

Virgin Hyperloopの最大の投資家は UAE(アラブ首長国連邦)のロジスティクス企業、DP Worldだ。今年に入って、両社はハイパーループ・テクノロジーを用いて公共交通機関を建設するジョイント・ベンチャーを立ち上げた。 DP WorldがVirgin Hyperloopに最初の投資を行ったのは2016年だった。

今月、Virgin HyperloopはBlack & Veatchと共同で実施したミズーリのセントルイスとカンザスシティを結ぶ路線に関するフィージビリティスタディの結果を発表した。

グローバルなインフラに関して調査を行う独立企業であるBlack & Veatchのレポートは両都市を結ぶ主要な高速道路、 I-70に沿うルートの可能性について、安全性、サスティナビルティともに肯定的な評価を下した。同社のCEO、Rob Lloydは次のように述べていた。

今回のフィージビリティスタディはアメリカにおける旅客、貨物の輸送を行うフルスケールの商用ハイパーループ路線の実現に向けての第一歩だ。ミズーリ州が最初の高速道路の出発点となったというアメリカの運輸の歴史において占める栄えある地位を考えるとき、われわれはこのハイパーループ路線計画を特に誇りに思う。この路線はやがて全米を結ぶハイパーループ・ネットワークの礎となるに違いない。これによる社会的、経済的影響は計り知れない。

アメリカではコロラド州とオハイオ州もVirgin Hyperloopのテクノロジーの利用に関するフィージビリティスタディを実施しており、インドやUAEでも別個の計画が進行中だった。

Virgin Hyperloop OneもHyperloop Transportation Technologiesもともに、 イーロン・マスクのハイパーループ計画からインスピレーションを受けている。

ハイパーループは真空近くまで減圧されたトンネル中をカプセルが高速で移動する新しい交通システムで、イーロン・マスクの宇宙企業、SpaceXで開発されたテクノロジーや素材が多数用いられている。

われわれはVirgin Hyperloop Oneの広報担当者にコメントを求めており、回答があり次第、記事をアップデートするつもりだ。

画像: Axelle/Bauer-Griffin/FilmMagic / Getty Images

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滑川海彦@Facebook Google+

血まみれの金を受け取るということーサウジ記者殺害事件に寄せて

何年か前、僕はTechCrunchイベントで会ったインベンターにコーヒーに誘われた。こういうことはよくある。僕はウィークリーコラムニストで、オフィシャルメディアのインフルエンサーと思われている。人々は僕に何かしらの影響を与えようとするが、結局僕は彼らを無視して僕が面白いと思ったことを書く、ということに相手は気づく。しかし、僕はこのコーヒーの誘いに応じた。というのも相手の仕事が、悪い意味で例になく興味深かったからだー彼はクレムリンに近いベンチャーファンドの代表だった。

これは、ロシアが今日のように民主主義を操る敵対的な存在になる以前のことだ。しかし、ロシアが“同性愛禁止法”を可決した後のことで、怒りに満ちた反ロシア感情が非常に強い時だった。相手がこの話題で憤慨する様を見るのは僕にとってかなり面白かった:彼が言うには、彼はベイエリアの人間で、ゲイの人権のプロであり、ゲイの結婚のプロだ。しかしそれぞれの国がそれぞれのスピードで啓発されていくという現実を受け入れなければならない。そして我々の価値を促進するための最善策は、国と一緒に働き、正しい道を示すことだ、と。

言うまでもないが、このコラムはサウジアラビアについてだ。

サウジアラビアの残忍さを人々に気づかせるのにJamal Khashoggi殺害を要したのには、まったく驚きに近いものを感じる。もう3年になるが、サウジアラビアは不必要な紛争で何千人ものイエメン人を虐殺している。国連の言葉を引用しているBloombergの記事は「特にサウジアラビア主導の連合、そしてそれをイエメン政府がバックアップすることは、市民の命を見捨てることを意味し、おそらく戦争犯罪に等しい」と記している。かつてはイスラムの過激な解釈のワッハーブ派と同盟を結び、一国一党主義の絶対的な君主主義を長い間しいてきた。ワッハーブについてT.E. Lawrenceは100年前に、解しがたい“狂信的な異教”と表現しているーこの同盟関係の結果、多くの世界的惨事を引き起こしてきた。

ご存知のように、サウジアラビアは国際的な同盟関係を築き、米国のパートナーとなっている。米国の経済/軍事/コンサルティング/産業/石油関係は、かなり長い間サウジと懇意にしていて、そこには政治家も含まれる。テック業界におけるサウジの金がどうにも非常に悪いもので異なるもの、というふりはやめよう。悪いもの、そう、米国社会の全てと同じくらいかなり悪いものだ。長い間、米国のサウジに対する姿勢というのは、「もちろん、彼らは圧制的な独裁制をしいている。しかし彼らは我々の圧制的独裁制であり、王室一家はとても素敵で寛大で、石油の多くをコントロールしている」というものだった。

しかしながら、ようやく今、そうした態度が変わりつつあるようだ。それは、米国がサウジから石油の購入をやめるようとしている、ということではない。米国がサウジに兵器を売るのをやめる、ということでもない。20世紀(間違っても21世紀ではない)にみられたようなその時々の躊躇するようなステップにもかかわらず、これから誰もサウジアラビアが残忍極まりない圧制的な国であるというふりはしない。(この件に関し、僕の故郷カナダの先取りした姿勢を声高にアピールしたい)。何が進歩なのか。進歩に近いものと僕は想像しているが。

サウジアラビアと関係を続けていくのに、実益政策をとることもできる。5年前に僕が一緒にコーヒーを飲んだ相手がロシア政府と協働を続けるように。それがどのような結果になったのかを見るといい。それからロシアがいかに啓発的になり、進歩を見せ、ロシアの社会に貢献しただろうか。…いや、最悪、サウジアラビアは違うかもしれない;あまりにも広範に激しく批判したり過剰反応したりするには繊細な問題だ。というのも、基本的には崩壊しやすい国だからだ。シリアの崩壊と内戦が起こる前にそれを予想したNassim Talebは、サウジアラビアについても同じような運命を予言している。

トランプ政権が、人々の恐れや経済影響を鑑みて、サウジアラビアの新たな常軌を逸したリーダーシップをサポートし続けるとは思わない。“Trump’s razor(トランプのカミソリ)”:最も愚かしい理由がおそらく修正される。ここでは、政権がサウジのサポートに戻ろうと思わないことを意味する。サポートに戻ると、彼ら自身の弱さをさらけ出すことになると彼らは考えているからだ。同様に、我々がからかっている人たち、サウジから資金を受けているVCは、パックスアメリカーナを支えるために同じような対応はとっていない。それは純粋に、彼らは金が欲しいからであり、だれも450億ドルもの現金を放り出す準備はできていない。

しかしながら、現在、そして当面サウジの金は汚れ、血まみれだ。もしそれを受け取れば、Khashoggi殺害事件後の新たな社会的道義に反するという帰結になることを考えなければならない。それは長く続くのだろうか。誰がそう言えるのか。しかし、そう長く続かなかったにしても、あなたの倫理に反するということを考慮しなければならない。それは、どれだけの額の金になろうとも、昨年においても、来年においても真実である。

イメージクレジット: 401kcalculator.org (opens in a new window)Flickr (opens in a new window)under a CC BY-SA 2.0 (opens in a new window)license

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(翻訳:Mizoguchi)

サウジ記者の失踪事件、Appleウォッチに注目集まるが手がかりにはならないかもしれない

サウジアラビアのジャーナリスト、Jamal Khashoggiが失踪した事件を調べている警察当局は、失踪前のKhashoggiの健康データや位置情報を入手しようと同氏が身につけていたAppleウォッチを探している。しかし、TechCrunchが新たに入手した情報では、ウォッチがそれらデータを示すのは無理かもしれない。

サウジで生まれ米国に居住し、そしてワシントンポスト紙のコラムニストであるKhashoggiは先週、伝えられているところによると、結婚に関する書類を取得するためにイスタンブールにあるサウジ総領事館に入った後に行方不明になった。Khashoggiが結婚するはずだった女性はKhashoggiのiPhoneを持って総領事館の外で待っていた。

Khashoggiは総領事館から出てくることはなく、捜査が行われている。確認はされていないが、Khashoggiは総領事館の中で殺害されたと伝えられている。ワシントンポスト紙は、サウジのムハンマド・ビン・サルマン皇太子がKhashoggiをサウジにおびき寄せて拘束しようとしていた工作の通信を米国が傍受した、と報道している。

Khashoggiはサウジアラビア政府に対し批判的だった。同政府はKhashoggiの失踪への関与を否定している。

水曜日、ロイターはトルコ高官の話として、捜査当局はKhashoggiが総領事館に入るときに身につけていた黒いAppleウォッチを探している、と伝えた。Appleウォッチが収集したデータにより、Khashoggiの心拍などの健康データ、位置情報、その他手がかりを得られるのではないか、ということらしい。

ロイターによると、トルコ側はウォッチを保有しておらず、失われたか、破壊されたか、またはサウジ当局の手中にあるかと推測される。

TechCrunchのスタッフがいくつかのフォトライブラリーやソーシャルメディアを探し回り、ウォッチのクラウンに見られる赤いドットから第3世代と思われるAppleウォッチをつけているKhashoggiの画像を見つけた。2017年モデルはオプションでLTE通信機能がついていた。

Jamal Khashoggi in Istanbul, Turkey in May 2018 wearing a third-generation Apple Watch. (Image: Al Sharq Forum/Twitter)

しかしたとえKhashoggiがそのモデルを手首につけて総領事館に入っていたとしても、第3世代Appleウォッチはトルコではセルラー通信をサポートしていない。なので、事実上、彼の健康データが総領事館の外にあった彼のiPhoneもしくはAppleのサーバーにシンクされていたチャンスは除外される。

また彼のウォッチが総領事館内のWi-Fiネットワークに接続したり、領事館の外にあったiPhoneとBluetoothで接続できる範囲にあったというのは考えにくい。

いずれにせよ、もしKhashoggiのウォッチの健康データが、彼のiPhoneとシンクしていたかもしれないAppleのiCloudへと無線で送られていたとしても、そのデータは彼のパスコードによってエンドトゥーエンドで暗号化されている。

Appleでさえーもちろん司法当局もーこのデータにはアクセスできず、これは消息の手がかりがiPhoneの中にあるだろう、ということを意味する。

スマートウォッチやフィットネストラッカーが行方不明者を見つけたり起訴内容を固めたりするのに当局の役に立ったという例がいくつかある。ウェアラブルは身につけている人の運動や行動を追跡するが、そのデータは多くの場合がクラウドに送られ保存される。データは往々にして司法当局によって入手される。これについてはプライバシーのリスクを懸念する声もある。

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(翻訳:Mizoguchi)