共同創業者曰く、Facebookは「アメリカンドリーム」を破壊する

2004年4月、ハーバード大学の寮生たちが雨の大学キャンパスを歩いていた。彼らは数カ月前に設立されたインターネット企業の共同ファウンダー3人のうちの2人だった。そのソーシャルネットワークのスタートアップは現在Facebookとして知られている。

若者のひとりで歴史学専攻の学生、Chris Hughesは、もうひとりのコンピューター科学専攻の学生、Mark Zuckerbergに、新会社の権利の分け前について主張していた。Hughsはソーシャルネットワークの10%を要求していた。

しかし、ワイドナー図書館の階段で話し合った末、ずぶ濡れのHughesは降参した。気の済むようにしてくれ、と同じくずぶ濡れだったルームメートに言った(二人とも傘を持っていなかった)。後にHughesは、Zuckerbergが新会社の「わずか」2%しか渡さなかったことを知った —— 現在の価値で100億ドル以上。あれは「壮大に失敗した交渉だった」とHughesは打ち明ける。

このストーリーを始めとするHughesの数多くの思い出が、彼の近著、”Fair Shot: Rethinking Inequality and How We Earn“に書かれている。これはアメリカンドリームの物語だ。ノースカロライナ州の労働階級に生まれた子供がハーバード大学へ行き、Zuckerbergともうひとりのルームメイト、Dustin MoskovitzとともにFacebookを設立し —— ハーバードキャンパスでの交渉には失敗したが —— 5億ドルを手にした。

しかしこの本は、Hughesの言う「アメリカンドリームの崩壊」を書いた本でもある。Facebookの勝者総取りの性格はアメリカ資本主義の問題を体現しているとHughesは言う。不平等は1929年以来の水準にあり、「ほとんどのアメリカ人が非常時の400ドルを持たない」一方で私は「3年働いただけで5億ドルを稼いだ」。この憂慮すべき格差は「経済」にとっても「この国」にとっても「深刻な誤り」であるとFacebookの共同ファウンダーは信じている。

Chris Hughesは、現在アメリカとFacebookが抱える問題には、恐ろしい対象性があると考えている。かつてのルームメイトであるMark Zuckerberは、Hughes —— 子供時代「新エルサレム」と呼ばれる地方の協会に通っていた —— が言う「神の来たりしとき」(反省すべきとき)を迎えていると彼は言う。

今Facebookには、偽ニュースを始めとするアメリカ民主主義を蝕む腐敗したオンライン勢力と戦う責任がある、と彼は言う。ZuckerbergとFacebookは自らを再発明する必要がある。そしはアメリカについても同じだと彼がFair Shotで主張している。

Hughesのようなワンパーセンター[上位1%]は、それ以外の人々に気を配る道義的責任があると彼は強調する。Hughesが重要な新法案 —— アメリカンドリームを救う「勤労者の収入保証制度」など —— を推進している理由はそこにある。つまり、アメリカとFacebookは神の来たりしときを同時に迎えている。どちらも2004年4月のワイドナー図書館の階段にいたHughesのような湿っぽい結果にならないことを願うばかりだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ブロックチェーンは政治も変える…未来本ベストセラーのDon Tapscottにインタビュー

[筆者: Andrew Keen](著書(3冊): Cult of the Amateur, Digital Vertigo, The Internet Is Not The Answer。 Futurecastをプロデュース。本誌インタビューシリーズKeen Onのホスト。)

テクノロジーの未来を語るカナダの評論家でライターのDon Tapscottはいつも、「次の大物」を嗅ぎ当てようとしている。たとえば彼が書いたベストセラーWikinomicsは、wiki(オープンな共同執筆)というラジカルな考え方を、多くの人びとに紹介した。

そして今回、Donと彼の息子のAlexは、ブロックチェーンを“新しいインターネット”として紹介する大著、Blockchain Revolutionを出版する。ブロックチェーンこそ、再びすべてを変える新しい技術だ、と言うのだ。

Tapscott親子の主張によると、ブロックチェーンは基本的に透明な技術なので、その変更不可能な公開台帳と併せて、政治家たちをこれまでのように曖昧な嘘つきであれないようにする。これからはすべての政治家が、自分と自分の意図に関して正直であることを強制される。ブロックチェーンは究極的に、アメリカの政治システムを消毒する。不誠実をあばき、政治的会話の説明責任を強化する。

ただし2016年の選挙については、それは間に合わない、とTapscott親子は述べる。2020年か2024年には変わるだろう、と。今年に関しては、ブロックチェーン革命はほとんど関与できないだろう。

いつものように、このインタビューの制作もCALinnovatesにしっかり助けていただいた。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))