ヤフーが位置情報共有サービスの米「Life360」と提携、日本向けにサービス開始


ヤフーは3月27日、米スタートアップのLife360との業務提携を発表した。この発表にあわせて、Life360は位置情報共有アプリ「Life360」のAndroid日本語版を公開。ヤフーは今後の国内展開を支援していく。なおiOS版は現在英語のみで提供されており、日本語版は近日公開予定。

Life360 は家族や友達などをグループとして登録し、お互いの居場所をリアルタイムで把握できるアプリだ。アプリ内の設定で位置情報共有のオンオフを切り替え可能。

グループは複数作成でき、「家族は常に共有をオンにして、友人は待ち合わせの時以外はオフにする」といった設定が可能。また、自宅や学校など、特定の場所やエリアを「通知エリア」として設定すれば、グループに通知する機能などを備える。さらに、グループメンバー全員に助けを求める通知を送れる「緊急通知」ボタンも備える。

今後は、警察機関などから提供されるデータをもとに、犯罪発生地点をアプリ内地図に搭載する機能も提供する予定(米国ではすでに同様の機能が提供されている)。有料版では、通常2点までの通知エリアの登録が無制限になるなど、追加機能を提供する。

そういえばGoogleも、友人とお互いの現在地を共有するサービス「Google Latitude」を提供していたが、現在はサービスを終了している。このLife360はGoogle Latitudeと比べると、「家族や知人の安全確認」といった方向でブラッシュアップしたサービスに思えた(ただ設定次第では家族間のプライバシーはあってないようなものになるのかも)。

ちなみにヤフーによると、米国では主に子どもの登下校時や1人での外出時に位置を把握する目的で利用されているとのこと。ファミリー層を中心にして、現在全世界5000万グループが利用している。


私はこうしてパテント・トロル(特許ゴロ)を撃退した―みんな立ち上がれ!

編集部: Chris Hullsは家族向けSNSのLife360の共同ファウンダー、CEO

いじめと戦うのは中学でおしまいかと思っていた。大人しくおくてだった私は小さい頃、かっこうのいじめの的だった。しかしある日、敢然と反撃するともう誰からもいじめを受けることはなくなった。それがまた始まったのだ。私はテクノロジー起業家として新たないじめに直面した。パテント・トロル(特許ゴロ)だ。

これは法律の抜け穴を巧みに利用し、他人の成功にたかって生き血を吸おうとする貪欲非道なヒル的存在である。 こいつらは無用ないし無効な特許を盾にとって「ライセンス料」を取り立てようとする。

学校のいじめと同様、たいていの人はいじめを恐れて反撃しない。ほとんどの場合、連中に金を払う方が訴訟より安くつくからだ。

去年の5月、私の会社、Life360が5000万ドルの資金を調達すると同時にパテント・トロルに襲われた。

このケースでわれわれを特許権侵害で訴えてきたのはAdvanced Ground Information Systems Inc.(AGIS)という会社で、最初はパテント・トロルであるかどうかはきりしなかったが、その行動はパテント・トロルそっくりだった。この会社を調べてみるとまともな会社にしてはおかしな点がいろいろ浮かび上がった。LinkedInに登録した社員が一人もいない。本社がフロリダのビーチの家だ。

AGISの主張によれば、地図の上にユーザーの位置をマーカーで表示したり、スマートフォンの位置情報をSNSに利用したりすればすべて彼らの特許の侵害になるという。

給料日に強盗に襲われたようなものだ。それまでにトロルと示談したことはあったが、私はもう黙っていないぞと決意した。いじめに屈すれば、さらなるいじめの標的になるだけだ。背中に「私はカモ」ですというドル印をつけて歩き回るようなものだ。

そこで「金を払うかサービスを停止しろ」という要求に対して私はこう答えた。

クソ野郎どの:

われわれは弁護士と相談しながら問題を調査している。そちらのいう金曜日の最終期日までに金を払うことはできない。弁護士と相談した後で迅速に対応するつもりだ。

今晩のところはあなた方にカルマが報いる〔自業自得の目に遭う〕ことを願っておこう。

クリス

私の言葉づかいはだいぶ過激だったが、意味は明白に通じた。われわれはすぐに連邦裁判所で顔を合わせることになった。連中は和解を望んだが、私は「1ドルたりとも支払う気はない。すべての特許をすべてのスタートアップに対して無料で公開するか、そうでなければわれわれはそちらのすべての特許の無効を申し立てる」と答えた。

AGISはわれわれがブラフをかませているのだろうと思ったらしい。大間違いだ。先週、陪審員が決定を下した。特許権侵害の訴えはすべて退けられた。トロルは死んだ。

トロルとの対決で私は3つの非伝統的戦略を取った。トロルに襲われた会社は参考にしていただきたい。

それで必ず勝てるという保証はできないが、「いいなりに和解金を払うつもりはない」という強いメッセージを伝えることはできる。それがトロルどもにとっては痛いのだ。他のトロルにもあなたが従順な被害者ではいないということを伝えることができる。

情報の公開

パテント・トロルやその後押しをする法律事務所にとって、自分たちの存在や活動が公けにされるぐらい嫌なことはない。だまって金を払ってくれることを望んでいる。われわれはAGIS Inc.とKenyon and Kenyon LLP法律事務所の弁護士、Mark Hannemann、Thomas Makinが陰に隠れることを許さなかった。訴訟の継続中、われわれは有力メディアや業界で影響力のある人々に向けてトロルどもの役割を公表した。

情報と資源の共有

AGISに襲われている他の会社を助けるためにわれわれはAGISの主張を無効にするためにわれわれが収集した情報を公開し、いわば訴訟をオープンソース化した。さらに調達資金が2500万ドル以下で同様の問題でAGISに訴えられている会社に対しては無料で訴訟援助を申し出た。これはAGISの主張に根拠がないことに広く注目を集めさせると同時に、われわれを訴えればトロルの他の訴訟にも悪影響が及ぶことを知らせるのが目的だった。

腹を据えてやり通す

これは正と邪の戦いだ。それだからやりがいがある。正義のために戦っているのだということをしっかり腹に据えておかねばならない。いささかおもはゆい言い方のような気がするかもしれないが、状況が苦しくなってきたときにこの自覚は大きな差を生む。

「訴訟は金が掛かり過ぎる、それより少額で和解した方が得だ」と勧める人もいた。しかしそれはおそろしく近視眼的な見方だ。トロルのいいなりにならず、断固として戦って撃退したという記録は他のトロルに狙われる危険性を大きく下げるのだ。

たしかにコストのかかる対処法ではあるが、われわれの強硬策が正解だった有力な証拠がある。AGISが特許権侵害の訴訟を起こした後、われわれはさらに2件の特許権侵害の通告を受けたが、AGISが壊滅的な敗北を喫したのを見ると、どちらも取り下げられた。

起業家、ベンチャーキャピタリスト、その他テクノロジー・コミュニティーの皆さんにお願いする。どうか和解に逃げないで欲しい。NewEggのLee Cheng、Findthebestの Kevin O’Connor たちに加わり、断固としてノーと言って欲しい。多くの被害者が立って反撃すればいじめはなくなる。テクノロジー・コミュニティーの宿痾ともいうべきパテン・トロルといういじめも同じだ。

画像: EFF Photos/Flickr UNDER A CC BY 2.0 LICENSE

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+