元Symantec・McAfee幹部によるIsland、セキュリティ重視のエンタープライズ向けブラウザで脱ステルス

ダラスを拠点とし、Chromium(クロミウム)ベースのエンタープライズ向けブラウザを開発しているスタートアップ「Island(アイランド)」が、約1億ドル(約114億7000万円)の資金を得てステルス状態から脱却した。

Islandによると、同社が約2年前から開発を進めてきた、わかりやすい名前の「Enterprise Browser」は、既存のコンシューマー向けブラウザと、ますます複雑化するエンタープライズのIT・セキュリティ要件との間にあるギャップを解消することを目的としているという。

Symantec(シマンテック)で社長兼COO、McAfee(マカフィー)でGM兼CTOを歴任したIslandのMike Fey(マイク・フェイ)CEOは、TechCrunchの取材に対しこう語った。「企業内で最も広く導入されているアプリケーションはブラウザですが、それはコンシューマー向けに設計されたものです。一般の消費者は、無限の自由を求めています。好きなものをインストールし、好きな場所に行き、問題なくブラウザを使って何でもできることを望んでいます。ですがエンタープライズの場合は、顧客データが安全であること、重要な情報が保護されていること、そして顧客が良い体験をしていることを確かめる必要があります」。

Islandのブラウザは、Google ChromeやMicrosoft Edge、BraveやVivaldiなど、多くの主要なブラウザを支えているオープンソースプロジェクトであるChromiumをベースにしている。これにより、企業のアプリケーションやデータに対する重要なセキュリティコントロールとガバナンスを組み込むことが可能になり、ブラウザを親しみやすいものにできるという。

このブラウザは、重要なSaaSや社内ウェブアプリケーションをデータ漏洩から守り、契約社員やBYODワーカーに安全なアクセスを提供し、セキュリティチームがコピー、ペースト、ダウンロード、アップロード、スクリーンショットなど、重要なデータを漏洩させる可能性のあるラストマイル操作を制御することを可能にする。また、セーフブラウジング、Webフィルタリング、Webアイソレーション、エクスプロイト防止、スマートネットワークルーティング、ゼロトラストアクセスなどのセキュリティ機能を内蔵している。

フェイ氏はこう語る。「この製品は、エンタープライズ向けの無限のラストマイル・コントロールを備えたブラウザと考えてください。私たちは、環境を強化し、アイテムを暗号化し、より多くのコントロールを提供しています。必ずしもハッカーを排除するわけではありませんが、(彼らの)勝利を排除しているのです。実際には、ハッカーがアクセスしたいデータが、彼らが盗めるようなエンドポイントに置かれていないということです」。

100人以上の従業員を擁するIslandは、Insight Partners、Sequoia Capital、Cyberstarts、Stripesなど、アーリーステージの有力投資家から1億ドル(約114億7000万円)近い資金を獲得した。同社はTechCrunchに対し、今回の投資をスタッフの増強と市場投入戦略の拡大に活用すると述べている。

「才能の点で妥協することなく、できるだけ早く200人のエンジニアを確保したいと考えています」とフェイ氏はいう。「それだけの素晴らしいエンジニアを見つけるのに可能な限りのスピードで、増員していきます」。

同社は、すでに次の資金調達も視野に入れているという。「シリーズAやシリーズBは当然あるでしょうし、私たちの夢や希望を実現するためには、近く資金を調達しなければなりません」とフェイ氏は語った。

画像クレジット:Island / YouTube(video)

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(文:Carly Page、翻訳:Aya Nakazato)

サイバーセキュリティMcAfeeを投資家コンソーシアムが1.59兆円で買収

サイバーセキュリティソフトウェア会社McAfee(マカフィー)の長く曲がりくねった歴史は、新たに興味深い展開を見せた。米国時間11月8日、6つの投資会社からなる投資家コンソーシアムが140億ドル(約1兆5850億円)で同社を買収すると発表した。

この買収額は、1株あたり26ドル(約2945円)という株価に基づくもので、11月4日の終値に対して22.6%のプレミアムがついているという。なお、11月5日の株価は20%上昇し、同日の取引終了時点での時価総額は110億ドル(約1兆2460億円)をわずかに超えたというのも注目に値する。

このコンソーシアムは、Advent International、Permira Advisers、Crosspoint Capital Partners、カナダ年金制度投資委員会、GIC Private Limited、アブダビ投資庁の完全子会社で構成されている。AdventとPermiraが買収を主導した。

McAfeeは1987年以来、さまざまな形で存在してきた消費者向けセキュリティ企業だ。同社は2021年初め、法人部門をSymphony Technology Groupに40億ドル(約4531億円)で売却した

McAfeeは長い歴史を持っているが、消費者向けセキュリティ事業はまだ成長している。11月8日発表された直近の四半期決算では、売上高は前年同期比24%増の4億9100万ドル(約556億円)、新規加入者数は64万人だった。加入者合計は2000万人を超え、これはものすごい数字であり、投資家グループが注目せずにはいられないものだ。

Permiraのテクノロジー部門共同責任者であるBrian Ruder(ブライアン・ルーダー)氏は、消費者市場においてセキュリティが大きな関心事となっている中で の今回の買収だと指摘した。「パーソナライズされた、革新的で直感的なオンライン保護サービスに対するニーズはかつてないほど高まっています」と声明で述べた。また、PermiraはMcAfeeのブランド認知度、パートナーネットワーク、忠実な顧客基盤にも好感を持ったと付け加えた。ルーダー氏は、PermiraがMcAfeeのような企業と協力してきた経験を活かし、これらのポジティブな特徴を生かして、さらに会社を成長させることができると考えている。

投資家グループの各社は、それぞれ資金と経営資源を提供する予定だ。それがどのように機能するのかは完全には明らかになっていない。McAfeeが多くのボスを持つことになるのは確かだ。McAfeeが今回の契約に「ゴー・ショップ」条項を組み込んだことは注目に値する。これは、より良い価格を模索するために45日間の猶予を与えるという、かなり一般的な慣行だ。そのような結果になる可能性は低いものの、この条項は、会社が株主のために最善の取引をしたことを株主に証明するものだ。

3月の法人部門売却の際にも書いたが、McAfeeには複雑な歴史があり、上場と非上場を行き来し、一時は社名まで変更した。

同社の歴史は複雑で、1980年代にファイアウォールソフトウェアの販売から始まった。最終的には株式を公開したが、2010年にインテルに77億ドル(約8722億円)で買収され、再び非公開になった。2014年にはIntel Securityに社名を変更したが、2017年にIntelが42億ドル(約4757億円)でTPGに株式の過半数を売却し、社名をMcAfeeに戻した。

今回の買収はMcAfeeの株主やさまざまな規制当局の審査を通過しなければならないが、これらのハードルをクリアできれば、2022年前半には買収が完了する見込みだ。買収のニュースを受けて、同社の今朝の株価は0.57%上昇した。

画像クレジット:Justin Sullivan / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Nariko Mizoguchi

マカフィーが法人向け事業を約4370億円で売却、消費者向けビジネスに専念

セキュリティ企業のMcAfee(マカフィー)は米国時間3月9日、プライベートエクイティ企業のSymphony Technology Group(シンフォニー・テクノロジー・グループ)が率いるコンソーシアムに、法人向け事業を40億ドル(約4370億円)で売却すると発表した。

McAfeeは、2020年2月に同コンソーシアムが20億ドル(約2182億円)で買収したもう1つの法人向けセキュリティ企業、RSAと相性が良いはずだ。

関連記事:Dellがセキュリティー部門のRSAを約2283億円で投資家グループに売却

McAfeeの社長兼最高経営責任者であるPeter Leav(ピーター・リーヴ)氏は、同社のリソースを個人消費者向け事業に向けることに決めたと述べている。「今回の売却によって、McAfeeは消費者向けビジネスに専念し、消費者のためのパーソナルセキュリティ分野でリーダーとなるための戦略を加速させることが可能になります」と、リーヴ氏は声明で述べている。

McAfeeは、10年ぶりとなる再上場を果たした2020年、いくつかの動きを見せている。2021年1月には数百人の従業員を解雇し、テルアビブにあるソフトウェア開発センターを閉鎖したと報じられた。

シンフォニー社はRSA社の買収を直接指摘してはいないが、2つの投資は同社にとって大きな複合レガシーセキュリティ事業を生み出すことになる。どちらも強力なブランド認知度を持つが、市場ではより現代的な競合他社と比べると、いくらか競争力に陰りが見えていた。

McAfeeが2021年2月24日に発表した2020年第4四半期の決算報告書を見ると、一般消費者向け事業は法人向け事業よりもはるかに活発に成長していることがわかる。前者は前年同期比23%増であったのに対して、後者は5%とはるかに低い成長率だった。

通期では、2020年度の総収益が前年比10%増の29億ドル(約3165億円)と報告されている。内訳は、消費者向けの純収入が前年比20%増の16億ドル(約1746億円)、法人向けの純収入が通年でわずか1%増の13億ドル(約1419億円)となっている。

同社の歴史は複雑だ。1987年の創業当初は、ファイアウォールソフトウェアを販売することから始まった。2002年には株式公開を果たしたが、2010年にIntel(インテル)に77億ドルで買収され、上場廃止となった。2014年にIntel Security(インテル・セキュリティ)と社名が変わった後、2017年にインテルが過半数の株式を投資ファンドのTPGに42億ドル(約4583億円)で売却したことで、社名をMcAfeeに戻している。

今回の買収は、規制当局の監視の下、2021年末までに完了する見込みだ。

カテゴリー:セキュリティ
タグ:McAfee売却

画像クレジット:Smith Collection/Gado / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Hirokazu Kusakabe)