ティーファブワークスが小中学校プログラミング教育向けにmicro:bit用拡張ボードを販売開始

ティーファブワークス TFW-S-M1

ティーファブワークスは7月3日、micro:bit(マイクロビット)を装着して利用できるメインボード「TFW-S-M1」(通称「赤ボード」)の販売を開始した。ビジュアルプログラミング用の専用ブロックも用意している。メーカー希望小売価格は税別1万800円。

micro:bitは、イギリスBBCによるプログラミング教育用小型コンピューター。LEDやボタンスイッチ、また加速度センサーなどを搭載しており、無償プログラミングツールMicroPythonでプログラミングを行うことで動作や反応をコントロールできる。

ただこのmicro:bitを日本の小中学校で利用する場合は、プログラミング教育が通常の教科で行われるため本体だけでは活用できるシーンが限られるという。

このためティーファブワークスは、多くの機能を標準搭載しビジュアルプログラミング用の専用ブロックも用意することで児童がアイディアを試しやすく、また教師の授業準備の負担軽減を目指したTFW-S-M1を用意したという。学校向けの支援としてオンライン研修の定期開催、センサーの値を時系列グラフ化し児童が観察できるようにするサービス「TFabConnect」クーポンの提供も行う。

ティーファブワークス TFW-S-M1

また、全小中学生に1人1台端末を保有させるGIGAスクール構想では、Windows、Chromebook(クロームブック)に加えてiPadも導入される予定となっている。iPadの場合のみ、USBケーブルで電源供給できないことや、ペアリング時に頻繁にリセットボタンを押す必要があるといった課題があることから、TFW-S-M1は単4乾電池1本で動作し、リセットボタンを押しやすい基板形状にした。

機能としては、人感センサー(赤外線)、温度・湿度・気圧センサー、電気回路制御スイッチなどを採用。フック穴を備えており、フック付き磁石で黒板に貼り付けたり、画鋲1個で展示できたりなどが行える。付属ピン足はレゴテクニックシリーズ互換ピンとなっており、LEGOと合体させることが可能。サイズは125×67×15mm。重量は約50g(micro:bit本体、電池含む)。

ティーファブワークス TFW-S-M1

ティーファブワークス TFW-S-M1

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イギリスの公共サービス放送局BBCが配布する、子どもたちがプログラミングを学ぶための小さなプログラマブルボードが、いよいよ一般公開予約を開始する。当初の配布予定台数は100万台だ。

このmicro:bitと呼ばれるマイコンボードは、Element14のWebサイトで予約を受け付け、配布は7月を予定している。

お値段は、ボードだけなら£12.99(12ポンド99ペンス)、miniUSBとバッテリーパックと4つのプロジェクトアイデア含むスターターキットは£14.99、これら10セットから成る‘BBC micro:bit Club’パックは£140だ。学校のクラスなど、複数の子どもを相手にプログラミング教室を開講する場合は、Clubパックを利用できる。

micro:bitプロジェクトのねらいは、定款により‘放送’だけでなく‘教育’も事業とするBBCの、‘Make it Digital’イニシアチブの一環として、“新世代にプログラミングとデジタル技術による創造力を涵養する”ことだ。デバイスの配布は、当初の100万台以降も継続的に行われる。

このボードは、最初からいろんなセンサーがついていて、センサーに対するプログラミングができることが特徴だ。Bluetoothをはじめ、多様なI/Oも用意されているから、ほかのデバイスやセンサーなどとの接続も容易だ。サポートソフトウェアはWebサイトから提供され、さまざまなコードエディターやチュートリアルを利用できる。

イギリスにはmicro:bitの大先輩、Raspberry Piがいる。これも最初の意図は、子どもたちがプログラミングを自力で学んでいくためのデバイス、だった。その後本格的なプロダクション用途が発達していったRaspberry Piと違ってmicro:bitはもっとシンプルで、メインのターゲットは11歳以上(イギリスの7学年以上)を想定している。

Piは2012年に世に出てから今日まで800万台以上も売れているが、結果的にメインのユーザーは学童ではなく大人のメイカーたちだ。そこでBBCは、micro:bitが伸びる余地がある、と見ている。

Piを子ども向けの教材プラットホームにしようと頑張っているKanoのような企業もいる。これらに対してBBCは、micro:bitはオープンソースであり、売れることより、たくさんの子どもたちのあいだに広まることが目的、としている。

このデバイスの設計や生産に協力したパートナーの数は、とても多い。企画のスタートから学校への配布開始まで1年半もかかったのは、パートナーの数が多すぎたためかもしれない。

いよいよ一般的に可利用となったmicro:bitは、Piのユーザー層よりも若い世代にねらいどおり広まり、多くの子どもたちにプログラミングの能力を育み、‘Raspberry Piの弟’と呼ばれるほどの成功を、果たして収めるだろうか。

 

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

BBCのmicro:bitは子どもたちがプログラミングを楽しむためのマイクロコンピュータボード、学校への配布がやっと始まる

microbit

イギリスの子どもたちをプログラミングの世界に誘いこむための小さなコンピュータが、構想から半年を経た今日(米国時間3/22)やっと、学校に配布される。

micro:bitは、発表されたのが1年前だ。イギリスの放送局BBCには公益事業としての設立趣意書があり、その中には「教育」も目的として掲げられている。すなわち超小型コンピュータmicro:bitは、BBCの教育事業の一環として構想されたプロジェクトだ。放送局がコンピュータのハードウェアに手を染めるのはちょっと異様にも思えるが、実はBBCには、1980年代のBBC Microという前歴がある。

BBCは、micro:bitで“新しい世代がプログラミングを書き、構想し、デジタル技術と親密に触れ合う”ことにより、クリエイティブな人間になることを期待している。今は80年代と違ってモバイルコンピューティングデバイスが氾濫しているが、その上でDIYのプログラミングを楽しめる機種はほとんどない(ただしRaspberry Piマイクロコンピュータで成功しているイギリスは、他国よりは抜きん出ているが)。

BBCは昨年、2015年の秋には100万台のmicro:bitをイギリスの11歳の学童に贈る、と発表した。しかし時期は大幅にずれ込んで、学期半ばの今になってやっと、子どもたちの手に渡ることになった。そのため、その教育効果を心配する声もある。とくに先生たちはすでに、今年の授業計画を作ってしまっているからだ。

このmicro:bitプロジェクトは、パートナーの数が30社近くと、ものすごく多い。その中には、ハードウェアのメーカーやソフトウェアのメーカー、小売企業、教育機関など多様な顔ぶれがいる。船頭が多すぎたことが、遅れの原因かもしれない。

最初のロットを学童たちに手渡したあとは、BBCによると、 micro:bitのライセンスを管理する非営利団体を作り、そこが、micro:bitの製造を希望する企業にライセンスを提供していく。最初の3年間で500万台を売ったRaspberry Piの大成功を見ても、教育目的の‘クリエイティブコンピューティングデバイス’には。将来ますます需要がある、とBBCは考えている。その方面のスタートアップたちも、すでに登場している。

学校での展開に続いて、BBCの構想では、ハードウェアの仕様とmicro:bit用のソフトウェアの多くをオープンソースにし、デバイスはいろんなお店から買えるようにする。そして得られた販売利益は、“さらにもっと多くの人びとが‘プログラミング革命’に参加していけるための”企画に投入する、とBBCは言っている。

micro:bitのボードには、2列のLEDの集合、2つのプログラマブルなボタン、動きを検出するための加速度センサー、方位計(コンパス/磁石)、Bluetooth端子、そのほかの多様なI/O端子の集合がある。子どもたちが、自分がやってみたいいろんなデバイスやセンサーをつないでプログラミングできることを、ねらっている。プログラミングは子どもたちの新しい遊びである、というコンセプトだ。とても小さなボードだから、ウェアラブルにも十分挑戦できる。

また、micro:bitにはお助けWebサイトがあり、そこがいろんなコードエディターやチュートリアル、指導ビデオなどを提供している。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))