猫を水のところへ連れて行くことはできるが、水を飲ませることはできない。猫は腎臓疾患になりやすいが、それなのに頻繁に脱水状態になるのは、渇きの感覚が十分に発達していなかったり、飲水の選り好みが激しいからだ。台北在住のロボット学者が作ったPuraという水飲み器は、猫をその気にさせるデザインであるだけでなく、飼い主がお猫様の水の摂取量をチェックできる。
Puraは今Indiegogoで資金募集中だが、それを作った台北のNoacare社は、ロボット科学者のLi-wei WuがCEO兼CTOだ。彼はこれまで台湾のいろんなトップテクノロジ企業や航空宇宙企業に在籍した。Foxconnもその一つだ。同社にはRed Dot Design Awardという権威ある賞を受賞した人や、獣医、そして人工知能の研究者もいる。彼らが見せてくれたPuraの実動プロトタイプは先週、同社のオフィスで50匹の猫でテスト済みだ。
Puraで猫が飲んだ水の量は、猫の首輪につけたBluetoothタグが教えてくれる。猫は一匹ずつそのプロファイルをセットアップし、するとアプリが猫の品種や年齢、体重、フードはドライかウェットか、などに基づいて、毎日飲むべき水の量を計算する。猫が水飲み器にやってくると、首輪のタグがPuraのモニタリングシステムをトリガし、猫が去ったら水の減った量を報告する。
アプリは、猫が飲んだ水の量が少なすぎたり多すぎるとアラートする。とくに、突然の多飲は腎臓や肝臓の疾患の疑いがある。
この水飲み器には、猫フレンドリーな工夫がいくつかある。猫はキッチンの蛇口やトイレの水洗など、動く水が好きなので、この水飲み器もたえず水が勢い良く流れている。ただし水の流れが猫のヒゲを濡らさないようにしてある(ヒゲが濡れると嫌がるので)。底の部分は重くて、滑り止めがしてある。不機嫌な猫がひっぱたいても、動かない(ほかの猫とチームを組めば動くかも)。
これまでの猫用水飲み器に比べると、おもしろい特徴がいっぱいあるが、おもしろいだけでなく耐久性もあり、洗いやすい。バクテリアの繁殖を防ぐために、水飲み器を洗うことと、水の交換は必須だ。
今の猫用水飲み器は、分解が面倒なのが多い。私は今、日本のGEXというブランドのを使っているが、電動フィルタを三つの部品に分解してから、ブラシで洗うのだ。ちょー面倒。Puraは下図のように、全体が三つのパーツから成る。最上部は水飲み用のお皿、その下が活性炭粒子を使ったフィルタ、いちばん下が水容器で、モニタリングシステムや撹拌機なども収まっている。分解して洗うのに数分しか、かからない。
欠点らしきものといえば、首輪のタグを嫌がる猫もいるのでは、ということ。私の猫は、首輪そのものを嫌がる。だから、かんじんのアプリを使えない。タグが首輪の面から突出しない平滑なデザインは、部品が多くて無理だった。今後は、体内埋め込みのRFIDチップを使う方法など、いろいろ考える、と彼らは言っている。
Puraはクラウドファンディングの締め切りまであと25日あるが、すでに目標の10万ドルの半分まできている。製造は、台湾の工場で行う。Indiegogoに載せたのは、グローバルな関心を知りたかったからだ。資金募集に成功したら、発売は2016年4月を予定している。