Joby Aviationの墜落事故、米国運輸安全委員会が調査中

米国運輸安全委員会(NTSB)が、米国時間2月16日水曜日にカリフォルニア州ジョロンで発生したJoby Aviation(ジョビー・アビエーション)の実験機の墜落事故を調査している。

規制当局に提出された書類によると、この事故に関わっているのは、カリフォルニア州にあるJobyのテスト基地で行われた飛行テストで遠隔操縦されていた実験機だという。航空機の初期テスト段階では、米連邦航空局(FAA)が安全上の理由から航空機の無人化を要求することが多い。

同社の報告によれば、墜落による負傷者はなく、テストは無人の地域で行われたとのことだ。

「実験飛行プログラムは、航空機の性能の限界を見極めるための意図の下にデザインされたものであり、残念ながら事故が発生する可能性はある」と提出書類には記載されている。「我々は、関係当局による事故の徹底調査を支援する」。

NTSBは、航空事故から特定の種類の高速道路事故、船舶事故、橋梁事故に至るまで、最も深刻な事故を調査しあらゆる詳細を報告している。今回の墜落事故ではJobyの機体に「かなりの損傷」があったことを、NTSBのスポークスマンPeter Knudson(ピーター・ヌッドソン)氏がブルームバーグに語っている

Jobyの株価は時間外取引で9%下落している。

画像クレジット:Joby Aviation

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:sako)

【コラム】未来の交通でも、自律走行車ではなく人間が運転するべきだ

高度に自動化された航空機を指揮するパイロットのように、自動化のレベルにかかわらず、すべての旅客輸送車両には人間のオペレーターが搭乗しなければならない。議会は、ほとんど規制されていない自律走行車(AV)技術の急速かつ性急な出現に対する適切な連邦政府の対応について議論しており、この安全基準を確認する機会を得ている。

毎日、米国中の交通機関では、第一線の労働者がバス、電車、バンを安全に運行している。彼らは緊急事態に対応し、身体障害者や高齢者のためのアクセシビリティを確保し、致命的なパンデミック時に乗客の安全を可能な限り確保している。これらの労働者は、乗客を乗せた車両を運転しながら、これらの職務を同時にこなすよう訓練されている。

ハイテク業界の中には「完全な」自律走行車で人間のオペレーターをなくすことができると主張する人がいるが、どのレベルの自動化でも彼らに取って代わることはできない。これは、議会とバイデン政権がテーブルから取り除かなければならない危険な考えである。

運輸労働者は、進化する輸送技術の最前線に身を置き取り組んでいる。私たちにとってイノベーションは生き方であり、何十年にもわたって次世代車両やシステムの実装に貢献してきた。しかし、今日私たちが目にしているのは、単なるイノベーションではなく、実証されていない、規制も不十分な無人運転車を道路に普及させることなのだ。

このような自動車を地域社会に氾濫させている技術や企業の利害関係者は、単に最高の安全基準で管理されておらず、厳格な連邦政府の監督や執行にも直面していないだけなのだ。この状況を変えなければならない。

AV業界のビジネスは、連邦政府の適切な規制の精査や重要な安全データの透明性基準を満たすことなく、売上と利益を追求するという、たった1つの目的に沿って設計されている。これらの企業は、自社のAV技術が安全かどうか、交通利用者や公共の利益を損なうかどうか、重要な公平性の目標を達成するかどうか、労働組合の良い仕事をなくすかどうかについて、白日の下にさらされる対話から逃れているのだ。その価値を証明する責任は、彼らにあるのだ。

とはいえ、政府が道路や交通機関へのこれらの自動車の普及を承認する前に、私たちは話し合いを持ち、強力な政策を制定しなければならない

今日のAVパイロットプログラムでは、最終的に段階的に廃止する予定のドライバーを、オペレーターではなく「モニター」と呼ぶ企業さえある。これは労働者に対する侮辱であり、乗客に対する策略である。彼らはモニターではなく、旅の安全を確保するために存在するプロなのだ。高度に自動化された商業用車両が、有資格のオンボードオペレーターを排除することがあってはならない、それは、高度3万フィート上空の民間航空機に自動操縦機能を持たせ、コックピットのパイロットを排除しようとするのと同じことだ。議会で可決される新しいAV法は、すべての旅客輸送事業において、人間のオペレーターの搭乗を義務付ける必要がある。

また、AVをどのように、あるい導入するかどうかを規制するために、明確なタイムラインをもって連邦政府の行動を義務づける法案も必要だ。これらの指示は、無人運転車が最高の安全基準を満たすことを保証するための基盤を確立しなければならない。「完全な自動運転」機能についてのTesla(テスラ)の主張をめぐって国家運輸安全委員会とTeslaの間で大きな論争があったことを受けて、配備される車両には人間の介入と制御能力を備えることが要求されなければならない。また、基準を厳格化し、運輸省による連邦政府の自動車安全要件の免除や放棄の発行に厳しい制限を設ける必要がある。今日、私たちの道路で目にするAVの実験車が、厳格な安全規制の対象になっていないことを知ったら、ほとんどのアメリカ人は恐怖を感じるだろう。

Pete Buttigieg(ピート・ブティジェッジ)運輸長官は、発表されたばかりのイノベーション原則を通じて、議論をAV業界のニーズから労働者や乗客のニーズへとシフトさせる重要なステップを踏み出した。ブティジェッジ氏はスキル、トレーニング、および「組合の選択」へのアクセスを拡大することによって「労働者に力を与える」政策を約束し、労働者が「イノベーションを形成するテーブルに座る」ことを保証している。これは、誰かを裕福にするのではなく、労働者と広範な公的利益を中心に据えた、大きな変化を意味する。議会はAV法案にこのアプローチを採用するのが賢明であろう。

労働者の席を確保することは、賢明な政策改革によって達成することができる。労働組合の多い交通機関は、AVのテストや配備が計画されたとき、労働者に事前通知をするよう要求されるべきだ。早期に労働者の視点を得ることで、貴重な経験と専門知識をプロセスに呼び込み、AVアプリケーションが安全で、単に従業員を排除して、その技術を奪うための道具ではないことを保証することができる。

労働者の声を高めるこの新しいアプローチは、願望ではなく、むしろ連邦政府の明確な政策の問題であるべきだ。それは、この委員会のAV法案と運輸省の政策に固定されるべきであり、雇用への影響、訓練の必要性、安全性、そして新しい技術の導入を可能にしてきた労使交渉プロセスを通じて管理されるべきものなのだ。

議会とバイデン政権は、技術企業や大企業の利益動機ではなく、労働者と公共の利益が、我々の輸送システムと道路におけるAV技術の未来を推進することを保証し、断固として行動するチャンスを持っているのだ。

編集部注:執筆者のJohn Samuelsen(ジョン・サミュエルセン)氏は、全米運輸労働者組合の国際会長

画像クレジット:Jae Young Ju / Getty Images

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(文:John Samuelsen、翻訳:Yuta Kaminishi)

米運輸安全委がマスク氏にテスラ「Autopilot」の設計変更を要求、安全勧告無視に懸念

米国運輸安全委員会(NTSB)のJennifer Homendy(ジェニファー・ホメンディ)委員長は、Tesla(テスラ)に対し、同社の先進運転支援システムがドライバーに誤用されないように設計を変更するよう求めた。

TechCrunchが閲覧したこの書簡は、NTSBが4年以上前に出した2つの安全勧告をTeslaがまだ実施していないことに懸念を示している。これらの安全勧告に対応する緊急性は現在、Teslaがいわゆる「フルセルフドライビング(FSD)」ソフトウェアベータ版を通じて、より多くの自動運転機能を展開していることで高まっている。

ホメンディ氏は「貴社の車両に関わる我々の事故調査では、誤使用の可能性があるため、安全性を確保するためにはシステム設計の変更が必要であることが明確に示されています」と記している。Teslaにもコメントを求めているが、回答は得られていない。

NTSBは勧告を行うだけで、既存の法律を施行したり、政策を決定する権限はない。

ホメンディ氏は、NTSBが調査してきたさまざまな事故や事件の後、TeslaがNTSB調査官に協力していることに感謝しつつも、書簡の大部分を使って、Teslaが「NTSBの重要な安全勧告を実施していない」ことへの深い懸念を述べている。

一部抜粋する。

貴社はこれまで「Teslaの設計においては、常に安全性が第一の要件である」と述べてきました。ウィリストン、デルレイビーチ、マウンテンビューで発生した致命的な事故の原因となった設計上の欠陥をまず解決することなく、最近の発表では、Teslaのドライバーは、高速道路と市街地の両方で動作する「フルセルフドライビング(FSD)ベータ版技術」へのアクセスを要求できるということで、以前の発言は裏切られました。

Tesla車の設計において安全性を最優先することを真剣に考えているのであれば、4年前に私たちが出した安全性に関する提言を完全に実行していただきたいと思います。

NTSBは、道路における悲劇や負傷を防ぎ、人命を救うためのさまざまな技術の導入を長年にわたり提唱してきましたが、そのような技術を導入する際には、すべての道路利用者の安全を第一に考えることが極めて重要です。私たちの安全に関する提言についてのアップデートをお待ちしています。

2017年、NTSBは、Joshua Brown(ジョシュア・ブラウン)氏が乗ったTesla Model S(モデルS)セダンが、進路を横切ったトラクタートレーラーに衝突して死亡した事故の調査に基づき、同社に対して2つの安全勧告を出した。この事故では、Teslaの先進運転支援システムであるAutopilotが作動していた。同局は、ブラウン氏がAutopilotを、システムが想定していない道路で使用していたことや、長時間ハンドルから手を離し運転していたことを明らかにした。Autopilotはハンズフリーシステムではない。

NTSBは、TeslaのAutopilotシステムは、ドライバーがステアリングホイールを握る動作を効果的に監視し、それに対応してドライバーのエンゲージメントを確保していないと判断した。同局はTeslaに対し、Autopilotを設計時の条件に限定するセーフガードを設け、さらに「ドライバーのエンゲージメントレベルを効果的に感知し、自動車両制御システムの使用中にエンゲージメントが不足している場合はドライバーに警告する」方法を開発するよう勧告した。

Teslaは、Autopilotなどのいわゆるレベル2の運転支援システムについては、許容される動作環境をドライバーが決定するため、運用設計領域(ODD)の制限は適用されないと主張している。ホメンディ氏はマスク氏に宛てたメールの中でこの主張に反論し、当局の事故調査では「誤用される可能性があるため、安全性を確保するためにシステム設計の変更が必要であることが明確に示されている」と指摘した。

またホメンディ氏は、レベル2の運転自動化システムを搭載した車両を持つ他の自動車メーカー5社に、ドライバーの関与を促し警告する方法を適用するよう勧告を送ったことにも言及した。ホメンディ氏がマスク氏に宛てた書簡によると、これらのメーカー5社はNTSBに回答し、ドライバーのエンゲージメントレベルをよりよくモニターするために計画している、または実施している行動を説明したという。

「Teslaは、この勧告について公式に回答しなかった唯一のメーカーです」と同氏は書いている。

画像クレジット:Tesla

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Aya Nakazato)