以前われわれは没入型VRゲーム用ゴーグル、Oculus Rift〔日本でも発売へ〕のデベロッパー向けバージョンを紹介した。
開発元のProtagonistの消費者向け低価格VRゲーム・システムの概要はこうだ。まずある程度広い場所が必要だ。楽にピンポンができるくらい居間が広ければそれでもよいが、まあガレージのほうがいいだろう。バスケット・コートや空き倉庫ならもっとよい。次に専用の位置マーカーを配置する。ファイルをダウンロードすればプリントアウトできるが、Protagonistではビニール製で床に吸い付くマーカーを提供する予定だ。ユーザーはOculus Rift VRゴーグルを頭に付け、 iPhoneを取り付けたAtlasチェスト・マウントを胸に装着する。Razer Hydra照準器を装着した銃や剣を携えてゲーム開始だ。
OculusゴーグルとAtlasのiPhoneアプリを起動すると、そこはもう未来の世界だ。特許出願中のAtlasの位置認識システムが床のマーカーを読み取り、iPhoneの加速度計とジャイロスコープの情報と照合し、ゴーグルに拡張現実を3Dでレンダリングする。ユーザーが一歩前に出るとゲーム中のアバターも一歩前に出る。後ろを向けば後ろを向き、ジャンプすれば飛び上がる。ジムでダンベルを振り回す代わりにエイリアンやドラゴンと戦うのが未来の有酸素運動になるかもしれない。
Atlas ProtagonistのファウンダーAaron Rasmussenは小さいときからスタートレックのホロデッキに憧れていたのだという。RasmussenがSFのガジェットを実際に作ってしまった経験はこれが始めてではない。大学時代にBBガンとビデオカメラを組み合わせ、映像認識ソフトウェアを開発してサバイバルゲームの陣地を自動で防衛するシステムを作り上げたことがある。「すると軍の関係者が寮の部屋にやって来た。そんなことは映画の中だけの話だと思っていたから驚いた」とRasmussenは言う。それ以後、さまざまなロボット・システムの開発を続けてUSMechatronics社を創立して売却した。最近はゴースト探知機を開発している(残念ながらまだ1回も探知に成功していない)。
現実没入型のVRシステムはかなり以前から実用化されているが、これまでは軍隊や航空会社などにおける巨額の費用がかかるシステムだった。ユーザーの動作に遅れなしに作動するヘッドマウント・ディスプレイは最低でも5万ドルした。Rasmussenまずこの問題に取り組み、消費者向け価格帯のOculus Riftの開発に成功した。AtlasはVirtuix Omni VRのようにトレッドミル歩行器の上を歩くだけではない。 走ったり飛んだり振り向いたり伏せたり自由にできる。
現在RasmussenはAtlasのただ1人の常勤社員だが、キックスターターで12万5000ドルの資金が首尾よく調達できれば常勤社員を増やしてソフトの改良に当たらせるという。
「Atlasのシステムは将来、現在のゲーム・コンソールに並ぶような独自のゲーム・ジャンルになるはず」とRasmussenは自信を見せる。
Kickstarterのプロジェクトはこちら。今回募集しているのはiPhoneアプリとiPhoneを胸に固定するチェストマウントおよび付属品だ。
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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+)