アマチュアが高度なビデオ作品を作れるオンラインビデオエディタShowboxは、無限に豊富なフォーマットが売り物

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Showboxの目標は、プロでないビデオ作者がいちばんよく使う、オンラインのビデオエディタになることだ。このテルアビブのスタートアップはこのほど800万ドルのシリーズAを完了したが、お金は主に製品開発と機能の増強に投じられる。

投資家のCharles Petruccelliは元American Express Global Business Travelの社長、Brad WechslerはIMAXの会長、Giora KaplanはWixの協同ファウンダでCTO、そしてKarl PetersonはTPG Capitalのシニアパートナーだ。

Ciscoの調査によると、2018年には消費者トラフィックの80%がビデオになる。今年はすでに昨年より64%増だ。今やYouTubeだけでなくFacebookTwitterも自動再生ビデオを導入しているから、なにしろオンラインビジネスにとってビデオはますます欠かせない要素だ。

ただしShowboxのファウンダTomer AfekとEffie Atadは、アマチュア用とプロのスタジオ用とではエディティングツールの落差が大きい、と感じている。

“企業はますますビデオに大金をつぎ込んでいるが、でも彼らは、製作コストが高すぎて、気楽にいろんなことをトライできない、と泣いている”、とAfekは語る。

 

フリーミアムのShowboxは今非公開ベータで、試用希望者が5万人あまり待機している。同社は上記の落差を解消するために、多様なフォーマットを提供しようとしている(トップファイブリスト形式、チュートリアル形式、など)。ユーザは自分の生映像をそこに放り込み、エディティングツールを使って微調整を行う。また、タイトルのカードやエンディングもつけ、自動生成のバックグラウンド、あるいはGetty ImagesやReuters、Dori Mediaなどが提供している無料の映像も利用する。

同サイトは、ほかのオンラインプラットホームに比べて映像の制作がずっと高速だそうだ。ビデオをShowboxの上でホストして、ほかのサイトに埋め込むことも可能。

オンラインのビデオエディタはコンペティタが多く、代表的なサイトとしてYouTube EditorWeVideoMagistoなどがある。しかしAfekによると、“今市場に存在するソリューションは、ビデオ製作過程のごく一部の要素しか扱わない不完全なものや、高すぎたり、あるいは経験豊富なプロにしか使えないものばかりだ”、という。

Showboxはまず、ビデオ製作過程のあらゆる部分をカバーする。PCやモバイルで撮ったものをフォーマットし、ビデオの埋め込みができるようにし、ほかのサイトにアップロードできるようにもする。どれもこれもShowbox的なビデオ(Showboxでエディットしたな、と分かるようなビデオ)にならないか、という心配に対しては、豊富なテンプレートや、ジャンル別のフォーマット、そしてサードパーティ提供のコンテンツにより、ビデオ作品の他との完全な差別化が可能だ、と彼らは主張する。

Afekはこう述べる: “仮に同じフォーマットを選んだとしても、二つの作品が同じに見えることはない。うちのプラットホームはモジュール構造なので、無限に多くのフォーマットを作れる。複数のジャンルがあり、それぞれに多様なフォーマットがあることによって、個人や企業のユーザは独自のブランド色を持った、個性的なビデオを作っていける。コンテンツをフォーマッティング用のツールボックスに放り込めば、ほぼ自動的に作品が完成するから、プロがやるようなポストプロダクションの処理もほとんど必要ない”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a.
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今対戦中のゲームなど、ビデオソースを複数のビデオサイトに同時にストリーミングするRestream

誰かがプレイしているビデオゲームをストリーミングで見る、という趣味はぼくにはないけど…ぼくならTwitchそのものよりもTwitchの本社を見物したい…、でも今の子どもたちはますますそれに夢中らしい。Amazonが10億ドル近くも投じて、世界最大のビデオゲームストリーミングサイト(Twitch)を買収したのも、宜(むべ)なるかな、だ。

今はTwitchばかりが騒がれがちだが、世の中にはHitBoxをはじめとして、ゲーマーをねらったビデオストリーミングプラットホームが、ほかにもいろいろある。ゲーマーたちは、YouTubeやuStreamなどの一般的なストリーミングサービスも使っている。

そして、ウクライナで自己資金だけで立ち上がったRestream.ioは、ビデオゲームのセッションを(あるいはそのほかのビデオフィードを)、複数のビデオサイトに同時にストリーミングしてくれるクラウドサービスだ。それをもしも、ローカルのアプリケーションでやろうとしたら、ものすごく強力なコンピュータと、超広帯域のインターネット接続が必要だろう。

このサービスは今のところ無料だが、CEOで協同ファウンダのAlexander Khudaは、軌道に乗ったらフリーミアムにしたい、と言っている。なぜ複数のビデオサイトへ同時ストリーミングするのか? 彼が認識したところによると、世界のゲーマーたちは必ずしもTwitchやYouTubeにばかり集中しているわけではなくて、オンラインビデオのオーディエンスはけっこう細分化している。

そこでKhudaが挙げるセールスポイントは、(1)多くのプラットホームに並列でストリーミングしてオーディエンスを拡大する。…“それを自分でやろうとすると、たいへんだよ”、と彼は言う。多くの人が、複数のHDビデオストリーミングを同時にアップロードできるほどの帯域を持っていないからだ。(2)どこかのプラットホームが途中でダウンしても、ゲームのストリーミングの見物を中断されない。…そのためにRestream.ioは今、15のビデオサイトに同時ストリーミングしている。

もちろん、こんなサービスの恩恵に与(あずか)るのは、ゲーマーばかりではない。“想定しているユーザは、ゲーマー、インターネットラジオへの放送者、DJ、ビデオブロガー、などだ。ユーザ層が日に日に多様になっていくことを、期待したい”、とKhudaは言っている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


StepUpは、YouTubeビデオを一口サイズに切り貼りするサービス

オンラインで見られているビデオの数は膨大だ。例えばこのデータには驚かされるだろう:ComScoreによると、アメリカでは今年の1月だけで、500億本近くのビデオが見られた。しかし、実はあなたは何も見ていない。

あらゆるデバイスにカメラが付いている今、ビデオを「発見する」ことが、益々難しくなっている。デジタルビデオは増え続け、リミックスに適した時期が来ている。

そこで、英国拠点のスタートアップ、StepUpは、既存ビデオコンテンツを短い断片にして、ループさせたり次々と再生したりするプラットフォームを作った。

ファウンダーのMakoto Inoueは、自らの作品を「YouTubeのためのVine」と呼ぶ。基本となるアイデアは、平均的ネット利用者に、タグや注釈の付いたビデオの断片をつなぎ合わせる機能を提供することだ。長いオリジナルビデオを短縮してハイライト版を作る。あるいは、複数のハイライトをまとめて、消化しやすいサイズにして学習に役立てる。

「オンラインビデオ自身は巨大な市場だが、多くの人たちはさらに多くのビデオを作らせることに集中している。しかし、人々がビデオを消費する方法を手助けしようとする会社は少ない。だから、ビデオが多く作られるほど、われわれが人々にビデオを消費しやすくする方法の範囲は広がる」とInoueは話す。

プロ向けのビデオ編集ツールは既にあるが、Inoueは平均的ビデオ視聴者が使える手段を提供したい。彼はStepUpを「ビデオを一口サイズにするサービス」だと説明する。Vineを思い浮かべるかもしれないが、あれは短いビデオを新たに撮るためのサービスであり、StepUpは、既存のコンテンツを新しいやり方でリミックスさせる。

「Vineはビデオのクリエーションのため。StepUpはキュレーションのため。Vineのおかげで便利なこともある。私が『YouTubeのためのVine』と言えば、小さなサイズに意味がある理由をわかってもらえる」

GIFアニメツールと比較すべきかもしれないが、StepUpはGIFのような一芸ツールではなく、より幅広いプラットフォームだと彼は言う。

StepUpは、便利なビデオ編集ツールとしてだけでなく、自身がビデオコンテンツプラットフォームになることも狙っている。人々が集めたハイライトビデオを検索して閲覧するサイトだ(類似のスタートアップにCoursmosがあり、短編ビデオをモバイルEラーニング用フォーマットとして利用している)。

Inoueは、ビデオの中からおいしい部分を取り出すために特別な訓練はいらないと言う。「特別なスキルもデザインスキルもいらない。必要なのは、どこが重要かを知ってることだけ。だから私はそこに集中した」と彼は本誌に語った。

「そして、われわれの最大の利点は、ダウンロードやアップロードに時間がかからないことだ」

StepUpのビデオセグメントに長さ制限はない(ただしデフォルトはVine風の6秒に設定されている)。ユーザーは元のビデオをStepUpに登録し、”clip” ボタンを押して目的のセグメントを選び、カテゴリー、タグ、メモなどを追加してリミックス版をStepUpプラットフォームにアップロードする。

切り貼りするためのソースビデオは、YouTubeまたはStepUpから取ってこられる。StepUpの閲覧者は、セグメント毎にいいね!をつけたり、ビデオ全体に対してコメントを書いたりできる。StepUpビデオは他サイトへの埋め込みも可能。

直接のライバルとして、Inoueはロシアのスタートアップ、Coubが一番近いとして名前を挙げたが、Coubのビデオが10秒間に制限されているのに対して、StepUpは長さ制限がないので、より充実した内容をユーザーに届けられると話した。

他者のコンテンツを使うことに関する著作権問題は、オリジナルへのリンクを貼ることで回避している ― Pinterestがネット上の既存写真を「ピン」するのと同様。Inoueは、これがStepUpのセールスポイントになると信じており、オンラインニュースやコミュニティーサイトがGIFアニメを埋め込んでいるやり方は、著作権的にグレイであると指摘する。

「そうした目的には私のツールを使う方がずっと簡単だ。GIFアニメと殆ど同じで、サウンドもあり、ワンクリックでオリジナルのビデオに戻れる。記事への埋め込みは、StepUpを使ってもらいたい分野の一つだ」と彼は付け加えs

長いトークやミュージックビデオは、StepUpに特におすすめだと言う。

もっと広く、Eラーニングやエンターテイメントにも利用場面はある。自社で十分多くのユーザーを集めることができたら、発見プラットフォームになる。YouTubeダイジェストのようなものだ。

StepUpの元になったInoueのアイデアはBenkyo Playerと呼ばれ、今も別のラーニングツールとして、大規模公開オンライン講座(MOOC)のビデオライブラリの字幕検索などを提供している。

このEラーニングへの取組みにより、InoueとBenkyo Playerは、アクセラレーター、Bethnal Green Ventures(BGV)の支援を受けた。BGVは、Eラーニング専門から、StepUpというより広いビデオプラットフォームへと会社が転換した後も、支持を続けている。

StepUpという名前は、同名の映画から取ったもので、そこではヒップホップダンサーとクラシックバレーのダンサーがそれぞれのダンスの動きを教えあう ― そのステップ・バイ・ステップの学習プロセスが、StepUpの目指すものだとInoueは言う。

StepUpは今年4月にスタートし、現在月間ページビューは平均1~3万。
BGVからの1万5000ポンドに加え、InoueはNominetからも資金と助言を受け、これまでに計6万5000ドルの早期資金を調達している。現在Inoueは、事業拡大のために10~50万ポンドのシード資金調達を目論んでいる。

Inoueの優先課題はモバイル版StepUpの開発だ。今はブラウザーの制約により、モバイルでは正しく動作しない。その修正が、重要課題だと彼は言う。

ビジネスモデルに関しては、十分なユーザー数を確保できたら、Pinterestスタイルのモデルを考えている ― 断片ビデオにネイティブ広告を挿入することによって、より効果的で邪魔にならない広告手段をブランドに与えられるかもしれない。

他の収益化アイデアとしては、StepUpツールのフリーミアムモデルがある。例えば、一般公開されていないビデオコンテンツの編集や、高度なタグ付けを可能にする。クリップ作業やキャプション付けの自動化も候補の一つだ。

さらにInoueは、ブランドにビデオ分析を提供する可能性も考えている ― StepUpはヒデオコンテンツの中から視聴者が特に好きな部分を識別するのにも使える(セグメントをループさせる回数や、いいね!をつけられた数等)

しかし、どのアイデアも今は構想にすぎない。InoueはStepUpを動かしている単身のファウンダーであり、現在のデスクトップ専用サービスを、モバイル対応にステップアップするための資金を調達する必要がある。しかし、少なくとも核となるアイデアは堅牢な基盤の上にあるので、金はついてくる彼は願っている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook