Social Capitalの白紙小切手会社の1つがOpendoorとの逆さ合併を検討中

世界の大部分をシャットダウンに追い込んだ2020年のパンデミックで活動が減速した人もいる。だがChamath Palihapitiya(チャマス・パリハピティヤ)氏は違う。

Bloomberg(ブルームバーグ)の報道によると、サンフランシスコを本拠とし住宅売買をより簡単にすることを目指すOpendoor(オープンドア)は、Social Capital Hedosophia Holdings Corp II(ソーシャル・キャピタル・ヘドソフィア・ホールディングス・コープ・II)との合併を通じた上場のための交渉を進めている。

報道によると、パリハピティヤ氏率いる「白紙小切手会社」であるSocial Capitalは4月に3億6000万ドル(約380億円)を調達したが、「この取引のために新たに株式で資金調達することについて投資家候補と協議して」おり、合併新会社の価値は約50億ドル(約5300億円)になるという。ただ、何かが確定したわけではなく契約が成立しない可能性もあると付け加えている。

OpendoorのCEOであるEric Wu(エリック・ウー)氏とパリハピティヤ氏にコメントを求めた。Opendoorの広報担当者は同社がコメントすべきことはないと述べた。パリハピティヤ氏からの回答はまだない。入手次第更新する。

取引が十分な時間検討されたと仮定すると、50億ドルのバリュエーションからOpendoorの魅力が想像できる。未公開市場の投資家による直近の評価は38億ドル(約4000億円)だった。ベンチャーキャピタルが投資する多くの企業と同様、同社にとっても2020年は混乱の年だった。実際、4月に新型コロナウイルスに伴う「公衆衛生、米国経済、住宅への予期せぬ影響」を理由に、当時の従業員の35%に相当する600人を一時解雇した。

しかし、ここ数カ月の間に、住宅ローンの低金利と、特に混雑した都会の外にスペースを求めるニーズにより、全米の住宅販売は活気を取り戻している。

全米不動産業者協会の8月下旬のレポートによると、7月の米国の住宅販売は過去最高の24.7%増加した。昨年の同時期との比較では8.7%の増加だった。6月の住宅販売も20.7%増加した(当時過去最高)。

この取引はパリハピティヤ氏にとっても理にかなう。第一に、多くの個人投資家にとってOpendoorは既に知っていて簡単に理解できるブランドであるため、公開企業になっても支え続ける可能性がある。実際、消費者にとっての同社のわかりやすさは、パリハピティヤ氏の最初の白紙小切手会社が2017年に6億ドル(約640億円)調達後に最終的に買収した宇宙旅行会社のVirgin Galactic(ヴァージンギャラクティック)のそれとそれほど変わらない。

合併した両社は昨年10月に公開し、23億ドル(約2400億円)の時価総額となった。現在、時価総額は40億ドル(約4200億円)を超えている。

注目は、パリハピティヤ氏が4月に同時に組成した3番目の特別目的ビークルで何をするかだ。このSPAC(特別目的買収会社)は7億2000万ドル(約760億円)を調達し、3つの中で最大だ。同社はIPOで得た資金で主に米国外にあるテック企業を買収すると述べている。

パリハピティヤ氏は自身のSPACだけに力を注いでいるわけではない。マサチューセッツ州バーリントンの会社であるDesktop Metal(デスクトップメタル)にも投資しており、別のSPACを介して上場する予定だ。

Desktopは先週、昨年3月に2億6100万ドル(約270億円)を調達した白紙小切手会社であるTrine Acquisition Corpと合併することによりニューヨーク証券取引所に上場する計画を開示した。パリハピティヤ氏はこの取引の資金として、2億7500万ドル(約290億円)のPIPE(上場会社への私募増資)での調達を支援した。

画像クレジット:Opendoor

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(翻訳:Mizoguchi

6週間先の価格を予測 ― オンライン不動産取引のKnockが3200万ドルを調達

Human hands holding little house and money.

オンライン不動産サービスのKnockがシリーズAで3200万ドルを調達した。リード投資家はRRE Venturesだ。Truliaの元役員が創業したKnockは、オンラインの不動産売却サービスを展開している。手数料は6%。しかし、従来の不動産取引サービスとは異なる点がある。Knockで不動産を売却する場合、ユーザーは売却前に相場相応のリターンを受け取ることができる。もし不動産を売却することができなかった場合、Knockがその不動産を買い取ることになる。

Knockや、その競合であるOpenDoorOfferPadが解決しようとする問題はシンプルだ:不動産を売却する、もしくは購入する場合、タイムラインは当てにならないのだ。オンラインの不動産マーケットプレイスというアイデアを植え付け、それと予測分析による価格予測を融合させることによって、これらのスタートアップは不動産取引に伴う痛みや不確実性を取り除こうとしている。

Knockは同社のモデルをアトランタとジョージアでテストしている最中だ ― この地域は不動産市場のボラティリティが低いことで知られている。先の不動産不況は、完全なる市場の崩壊だったと語られることが多い。しかし、ワシントンDCなどのいくつかの市場は、ラスべカスなどの市場に比べてダメージが少なかった。

「私たちが市場を選ぶときの基準は、地域経済がよく多様化されていることと、その市場のリスクが低いことです」とKnock CEOのSean Blackは説明する。

Knockによれば、同社の長期的な目標はすべての不動産市場へとビジネスを展開することだという。しかし、アイオワなどの農村部や、ニューヨークやサンフランシスコなどの活発過ぎる市場については、リスクを低減してユーザーのサービス利用を促すためには、より多くのデータが必要だとも認めている。

Knockでは、バランスシートに抱える不動産在庫は全体の10〜20%程度に留めたいとしている。競合企業であるOpenDoorでは、Knockよりも多くのリスクを許容している。彼らはプラットフォーム上のすべての不動産を買い取っているのだ。Knockの課題とは、彼らが買い取った不動産が逆選抜(アドバースセレクション)のプロダクトにならないようにすることである。言い換えれば、最悪な質の不動産在庫を抱え過ぎないようにするということだ。

そのため、Knockが取り扱う不動産には厳しい審査が課される。彼らがフォーカスするのは15〜50万ドルの価値を持つ不動産で、すべての不動産を詳しく検査して悪い部分を取り除いている。

しかし、在庫の質をどれだけ高めたとしても、不動産ビジネスでは適正な価格付けが重要だ。正しいデータを最初に得るものが不動作を最初に売買できる。つまりKnockは、自分たちのサービスが不動産の売り手、買い手にとってもっともシンプルで手間のかからないプラットフォームだということに賭けているのだろう。

RRE VenturesのRaju Rishiは、Knockのアプローチはそこまで資本を必要とするビジネスモデルではないと説明する。また、6週間先の不動産価格を予測することにフォーカスすることで経済的な不確実性を減らし、同社のコンピュテーショナル・モデルが乗り越えなければならない障害を減らしていると話す。

不動産を売却する個人はKnockによって保護されている。不動産が実際に取引される前に、ユーザーがKnockとの契約に合意することで、Knockは不動産の売却価格分の資金をリザーブしておく。保険会社の要領だ。

「不動産市場には浮き沈みのサイクルがあります。私たちはその波に上手く対応できるように準備をしておかなければなりません」とBlackは語る。「私たちが予測するのは6週間先の不動産価格だけでいい。不動産の取引は大統領選よりも頻繁に発生します。だから、予測も簡単なのです」。

もし必要とあらば、Knockは在庫の不動産を貸し出して経済的なダメージを軽減することもできる。Blackstoneもこれと似たアプローチを採用しており、在庫不動産を貸し出して収益を得ている。

Knockによれば、SEC提出書類に記載されているイニシャルクローズの金額は1250万ドルだという。また、今回のシリーズAで調達した金額はベンチャーデットであり、その負債をもって購入ができる不動産の制限はなしという条件だそうだ。本調達ラウンドには、RedpointGreycroftCorrelation VenturesGreat Oaks Venture CapitalFJ Labsも参加している。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

不動産取引プラットフォームのOpenDoorがシリーズDで2億1000万ドルを調達:リスキーなビジネスモデルという評価を跳ねのける

Home and money on hand

本日(現地時間11月30日)午後、Norwest Venture PartnersはOpenDoorにシリーズDで2億1000万ドルの巨額出資を完了したことを発表した。OpenDoorは今回調達した資金を利用して、同社が展開する不動産取引プラットフォームを10都市に拡大することを目指す。

OpenDoorの特徴は、自社で不動産の在庫を抱えているという点だ。不動産の再売却価格を予測するために同社が導入している予測分析のアルゴリズムは複雑である一方で、実際の不動産取引フローはかなり効率化されている。

ユーザーがOpenDoorで不動産を売却したいと考えている場合、そのユーザーは同社から不動産の売却価格を提示される。その売却価格に納得がいけば、ユーザーはOpenDoorに不動産を売却する。その後同社は不動産を修繕し、利益を得るために他のユーザーに売却するという仕組みだ。

OpenDoorは買い手を惹きつけるために、セルフサービスの不動産見学を随時開催している。スマートロックとセキュリティカメラによって実現されたサービスだ。OpenDoorで不動産を購入する際には、180項目もの住宅の品質審査とワランティ、そして30日間のキャッシュバック保証がついてくる。

昨年の今頃、同社はシリーズCで8000万ドルを調達している。すべてのラウンドを合わせると、同社の合計調達金額は3億2000万ドルになる。OpenDoorのバリュエーションがユニコーンとして認められる10億ドルにすでに達している可能性は高い。

本ラウンドにはNorwest Venture Partnersの他にも、NEAKhosla VenturesGGV CapitalAccess IndustriesFifthWallLakestarSVB CapitalCaffeinated CapitalFelicis Venturesが参加している。OpenDoorで経営執行役会長を務めるKeith Raboisは、Khosla Venturesのパートナーも務めており、同VCが本ラウンドにも参加していることは注目すべき点だといえる。CrunchBaseによれば、Khosla VenturesがOpenDoorに資本参加したのは2014年のシリーズAからだ。今回のラウンドまではKhoslaが同社の筆頭株主だったが、今日のラウンド後の出資比率はまだ分からない。

Norwest Venture Partnersは今回の出資にあわせて、OpenDoorが「数百万ドル」の負債を抱えていることを公表している。この負債は同社が不動産の購入に利用した資金だ。通常、フィンテック企業やマーケットプレイスが資金を借り入れる際には、その前に彼らのビジネスモデルがもつ可能性を証明することが求められる。

このビジネスモデルの話がうますぎると感じている者は少なくない。多くのメディアでは、景気の下降局面で同社のビジネスモデルが抱えるであろう問題について触れている。遠慮なしに言えば、景気下降局面で売れ残った住宅を多く抱える企業の株価はこうなってしまう。

それに対してOpenDoorは、同社の「摩擦のない」マーケットプレイスによって全体のリスクを減らすことができると主張している。また、経済的なメルトダウンが発生した場合には、住宅の売り手はどんな値段でも良いのでOpenDoorに売却したいと考えるため、どんな状況でもOpenDoorは利益を得ることができるとも話している—ほとんど不可能とも言える将来予測が可能だと仮定すればだが。

同社は現在200名の従業員を抱えており、OpenDoorのサービスはダラス/フォートワース地区とフェニックスで利用可能だ。これらの地域におけるOpenDoor上での不動産取引のボリュームは約6000万ドルとなっている。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter