クラウドOSの勝者がOpenStackに決まりデベロッパの活躍の場が高レベルになるのは良いことだ

編集者注記: 筆者のRandy BiasはCloudscalingの協同ファウンダでCTO、OpenStack Foundationの創立理事会のメンバーでもある。彼をTwitterでフォローするには、@randybiasへ。

われら神を信ず。神以外のみんなはデータを持って来い。

信じてほしければデータをくれ、という上の引用は、Total Quality Managementの元祖W. Edwards Demingの言葉だ、と広く信じられている。今朝Tumblrで、私のプレゼンテーション“State of the Stack”を批判している匿名の投稿記事(のちにそれは取り下げられた)を読んだとき、この言葉が脳裏に浮かんだ。その投稿はとりわけ私の分析の、OpenStackがオープンソースのクラウド戦争に勝った、とする結論部分に噛みついていた。その投稿にはほかにもいくつか問題があったが、それらに関しては読者ご自身が判断していただきたいと思う。私は一般的に、匿名でしかも論拠となるデータが提示されていない議論は応じる価値がない、と信じているが、今日はTwitter上の会話に、たまたま参加してしまった。この記事は、そのときのやりとりの、蒸し返しのようなものだ。

コモディティを正しく理解する

まず、Tumblr上の匿名氏は、コモディティ化を誤解している。コモディティ化とは、一つの不可分な能力や機能が商材…売り買いの対象…になった状態を指している。定義をGoogleで調べると: “買ったり売ったりできる原材料や農業の一次産物、たとえば銅やコーヒー”、とある。

原油にも銅にもコーヒーにも石炭にも、さまざまな種類がある。原油には、ライトスウィートクルード、ブレント原油、ウェストテキサス原油などがある。銅も、産地が違えば品質が違う。コーヒーは、さらに種類が多い。でも、それらすべてがコモディティだ。

その基本単位は同じでなくてもよいが、価値を測ることが可能で、それらを互いに比較できる必要がある。最近、商品取引のブローカーだった人とディベートする機会があったが、その人も、彼が買ったり売ったりしたコモディティは、違いと変化が激しかった、と言っている…しかしどんなに違っていても、互いに価値を比較できるのだ。なお、その人の名はJames MitchellCloudOptionsの協同ファウンダでCEOだが、以前はMorgan Stanleyでグローバルな商品取引部門の長だった。

クラウドOSのコモディティ化も、多様化と比較可能性を指しており、単一実装系の圧勝と支配のことではない。

クラウドはゼロサムゲームではない

匿名氏は、OpenStackが勝者なら他はすべて敗者か、と文句を言っている。でも、これはゼロサムゲームではないから、勝者が複数いてもよい。しかしLinuxに関しては、勝者の数はとても少なくて、彼らが多くを支配し、そこにとても長いロングテールがある、という状態になるだろう。

Linuxの成功(私のプレゼンではスライドデッキの13枚目)の意味は、UNIXおよび、そのほかの初期のx86 UNIX派生系(SCO UNIX, 386BSD, FreeBSD, OpenBSD, NetBSDなどなど)が要するに“負けた”ということだ。

しかしLinuxが“勝った”ことの意味は、サーバ用オペレーティングシステムが全世界的にほぼ標準化された、ということになる。そのことによって互いの競争性が増し、また人びとはソフトウェア階層のずっと上の方の、価値の高い学習と知識を追究できるようになった。そして万人に、より良いコンピュータ人生、すなわち高レベルのコンピューティングの追究が保証された。一将功成れば万卒枯る、のような匿名氏の主張は、今のLinux界隈の現状を反映していない。一方的で単純すぎる説だ。

こう言っている私自身も、長年のBSD人間だ。Linuxが勝っても嬉しくなかった。でも、サーバのオペレーティングシステムがほぼ標準化されたことは、とても嬉しい。

これもやはりいつか来た道

クラウドオペレーティングシステムの戦いはサーバやデバイスのオペレーティングシステムの場合と違う結果になる、と想像するのはナンセンスだ。明らかに、一つか二つのメジャーな勝者が決まるだろうし、今のデータを見るかぎり、OpenStackが先頭位置につけていることは確かだ。

読者からのフィードバックを歓迎する。無署名でも、いいですよ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


OpenStackでクラウドをビルドするMirantisがシリーズAの第二ラウンドでさらに$10Mを調達

OpenStackデベロッパMirantisが、Red HatとEricssonとSAP Venturesからまた新たに1000万ドルの資金を調達した。OpenStackを使ってプライベートやパブリックのクラウドシステムを作りたいという需要が、このところますます増えているためだ。今回の資金は、シリーズAの第二ラウンドに相当する。

この前Mirantisは12月に100万ドルを、Dell Ventures、Intel Capital、およびWest Summit Capitalから調達したが、今回のラウンドにはこの三社も参加している。MirantisのCEO Adrian Ionelによると、最初のラウンドで一部の投資家が増額を要求した、しかし:

うちはすでに利益が出ていたし、1000万ドルは大きな額だから、その時点の評価額ではそれ以上を求めなかった。そこで、今後一定の経営目標を達成したら新たな評価額を算定し、それに基づく新たなラウンドを展開することで投資家たちとの合意を形成した。今回その目標に達したので、第二ラウンドを行うことになった。

MirantisもOpenStackの創設メンバーだが、OpenStackのインフラストラクチャを構成するさまざまな部品(計算処理、ストレージ、ネットワーク、…)を目的システムへと組み上げる仕事で業績を上げてきた。OpenStackはこれまで、7回のリリースを経ており、最新リリースがGrizzlyだ。開発はコミュニティが行い、さまざまな企業が自社の技術を部品として供給することによって、OpenStackが組み立てられている。

それらの企業の中では、下の図が示すように、Red HatがOpenStackの最大の貢献者であり、今回のようにアプリケーション開発企業に投資するのもうなづける。下図は、OpenStackへのこれまでの累積コミット数を表しており、左端の赤い棒がRed Hatである。

OpenStackのインフラストラクチャの派生系を作るスキルにも需要がある。たとえばSAPは、OpenStackを利用して自己のインフラを構築している。

一方Mirantisは、OpenStackのDIYキット Fuelをアップデートした。これはMirantisの多機能ライブラリ群をベースとする製品だ。たとえばMirantisのPuppetというライブラリは、インフラ利用の自動化を支える。同社はそれまで自己ライブラリへの外部アクセスをさせなかった。

しかし新バージョンはApache 2.0のライセンスにより無料で利用できる。それにはヴィジュアルなインタフェイス、ワンストップのコントロールプレーン、自動化機能、前述のGrizzlyのサポート、などが含まれる。今年の終わりごろには、Fuelの会員制の商用バージョンFuel Enterpriseのリリースを予定している。

Mirantisは今ではOpenStackのデベロッパとしていちばん目立つ企業になっている。その将来にとっては、Fuelがとくに重要だ。OpenStackの市場はどんどん拡大しているので、Fuelのようなツールの需要も拡大する。ただし、市場拡大の過程の中で、ますます多くの企業が彼ら独自のターンキーソリューションを提供してくるだろう。CloudscalingとPiston Cloud が、その分野で名を上げつつある。

しかしIonelによれば、Fuelの強みはディストリビューションを特定しないこと、またハードウェアとネットワークに関しても、要件を狭く限定していない。

“それに、うちはオープンソースだからね”、とIonelは言った。


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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))