外科医の技をVRで磨くOsso VRが手術室チーム訓練をマルチプレイヤーゲーム化するため約30億円調達

パンデミックの際、VRは究極のオフィス代替テレプレゼンスマシンにはならなかった。そうしようとする努力が不足していたわけではない。しかし、VRを使った従業員トレーニングに力を入れているスタートアップの一部は、2020年、さまざまな業界の専門家がリモート環境から組織的な知識にアクセスする必要に迫られたことで、新たな評価を得た。

サンフランシスコを拠点とし、医療トレーニングに特化した仮想現実のスタートアップであるOsso VRは、パンデミックの間、Johnson & Johnson(ジョンソン・エンド・ジョンソン)、Stryker、Smith & Nephewなどの医療機器の大企業各社とのパートナーシップを強化したことで、投資家の注目を集めた。Osso VRがTechCrunchに語ったところによると、最近同社は、GSR Venturesが主導し、SignalFire、Kaiser Permanente Ventures、Anorak Venturesなどが参加したシリーズBで、2700万ドル(約30億円)の資金を調達したという。

創業者兼CEOのJustin Barad(ジャスティン・バラッド)博士はTechCrunchに、パンデミックによって顧客が同社のプラットフォームに新たな需要を見出したことで「非常に強いレベルの緊急性が生まれた」と語った。

Osso VRは、VRをベースにしたソリューションで、現代の外科手術のあり方を変えようとしている。このソリューションにより外科医は、腕を伸ばせるだけのスペースがあればどこにいても、新しい医療機器を3D空間で操作し、デジタルの解剖用死体に対して何度も手術を「行う」ことができる。Ossoの取り組みは、特に医療機器企業の顧客にとって有益なものだ。顧客はこのプラットフォームを利用して自社のソリューションに精通することができ、外科医はそれらを移植する経験を積める。

Ossoの大きな目標の1つは、ビデオゲームのマルチプレイヤー機能を仮想手術室に導入することだ。これにより、外科医と医療助手がリアルタイムで協力し合い、自分の担当する部分を把握するだけでなく、手術全体の中でどのように位置づけられるかを把握できるようになる。

「(手術は)オーケストラのようなもので、それぞれが異なる役割を担っているのと同時に、お互いにコミュニケーションをとる必要があります」とバラッド博士はいう。

バラッド博士は、これはVRの空間的な広がりを必要とするプロセスであり、それに加えて指導は常にテキストやビデオによって補完されると語った。

同氏は、スタートアップの目標を「明確に良いもの」と呼んでいる。そのおかげか、同社のチームは約100人の従業員を抱えるまでに成長し、その中には世界最大の医療イラストレーターチームも含まれている。このチームのおかげで、プラットフォームのコンテンツは、10の専門分野にわたる100以上のモジュールにまで拡大した。

近年、VR関連企業は、消費者や企業への普及がこの技術に対する初期の野心に比べて遅れているため、投資家の注目を集めるのに苦労している。その代わりに投資家は、ゲームやコンピュータビジョンなど、頭に装着する特殊なハードウェアを必要としない隣接技術への投資に注目している。Osso VRのプラットフォームは、Facebook(フェイスブック)のOculus for Businessプログラムを通して提供されるOculus Quest 2ヘッドセットで動作する。

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カテゴリー:VR / AR / MR
タグ:Osso VR医療手術資金調達トレーニングVROculus Quest

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(文:Lucas Matney、翻訳:Aya Nakazato)

外科手術や医療機器の訓練にVRを利用するOsso VRが約15億円調達

医療業界にも遠距離学習がやってきたようだ。

新型コロナの時代になりリモートワークが日常化してからは、どのような業界でもトレーニングや教育サービスを提供できるツールが投資家の関心を集めている。

Osso VRが提供しているような仮想現実のツールは、投資家からの資金調達が急速に進んでおり、カリフォルニア州パロアルトを拠点とするバーチャルリアリティ配信プラットフォームがこのほど1400万ドル(約14億6000万円)の資金調達を行い、その列に加わった。

この資金は、ヘルスケア大手Kaiser Permanenteの投資部門が率いる一群の投資家たちからのものだ。Kaiser Permanenteは、介護施設や介護サービスのネットワークを全国に展開している。今回のOsso VRへの投資にはSignalFireやGSR、Scrum Ventures、Leslie Ventures、OCA Venturesなど新旧さまざまな多様な投資家たち参加している。

Ossoは医療機器メーカーや医療ネットワークが、技術者の立ち会いを必要としないトレーニングツールを採用するようになったことにより、パンデミックの間にその利用が急増しています。

同社の創業者であるJustin Barad(ジャスティン・バラッド)博士によると、医療機器教育サービスの市場だけでも現在の市場規模は30億から50億ドル(約3100億〜5200億円)で、急速に成長しているという。

Industrial Light and MagicやElectronic Arts、Microsoft、Appleなどのチームを要するOsso VRは、トレーニング用の一般的な教育コンテンツを制作し、Johnson & Johnsonのような企業向けに特定のバーチャルリアリティ教育ビデオを制作している。これらの制作物は、血管外科手術の説明ビデオからロボット手術のトレーニングのヒントや技術まで、多岐にわたっている。

Kaiser Permanente VenturesのAmy Belt Raimundo(エイミー・ベルト・ライムンド)氏は、戦略的投資家たちの投資の決定は必ずしもKaiser Permanenteの利用に結びついたものではなく、必ずしも従業員が何を求めているかに基づいているわけではないと述べている。

「投資は弊社自身のデプロイメントや顧客との契約に結びついているものではなく、Kaiser Permanenteの中にも同じ兆候があることを見ている。つまり同社にも、Ossoの技術を使うことに関心のある社員たちがいる。「そこで我々は、Osso VRの利用を検討していると発表した。そしてそれを契機に、投資と商用化の決定が互いにシグナルを発していたのは、そこに満たされていないニーズがあることを示していたからだ」とベルト・ライムンド氏は語る。

Osso VRは現在、約30社の顧客抱えておりだが、そのうち12社は医療機器分野の企業だ。同社はOculus Questヘッドセットを使用しており、20カ国にある20の教育病院に配備されている。最近の実証研究によると、Osso VRを使って訓練を行った外科医は、手術全体のパフォーマンスが230%も向上したと、同社は声明で述べている。

バラッド博士によると、同社の目標は、ActivisionやBlizzardなどのゲーム開発企業で多くのゲームを開発してきた人たちとプログラマーとしての生涯契約を結び、ヘルスケアを誰にでもできる技術にすることだ。「これにより患者の結果が良くなり、教育へのアクセスとその向上を万人のものにする。今やテクノロジーは成熟期に達しており、VRはプラットフォームへと成長した。これからは、もっと大きなヘルスケアの問題に取り組めるだろう」と博士はいう。

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タグ:Osso VR

画像クレジット:wacomka / Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa